フランス国土を忠実に巡る2025ツール・ド・フランス…勝負どころは悪魔の棲む山

2025年7月5日に開幕する第112回ツール・ド・フランスのコースが10月29日にパリで発表された。コースは黎明期のようにフランス国土の六角形をおおまかにたどる。難所のピレネーが前半、アルプスが後半。最大の勝負どころは第16ステージ、プロバンスにあって悪魔の棲む山と恐れられるモンバントゥー。

2025ツール・ド・フランスのコース

最初の10日間はアタッカー、後半戦は総合実力者の出番

総距離3320km。個人タイムトライアルが2ステージ。最初の休息日は例年なら大会10日目だが、7月14日のフランス革命記念日にあたるため、2025年は大会11日目。選手は開幕から10ステージを一気にこなすことになる。

獲得標高は5万1550mで、中央山塊、ピレネー、アルプス、ジュラにタイム差がつきやすい山頂ゴールが設定されている。参加22チーム、選手総数は176人。

2025ツール・ド・フランスのコース発表会に登場したマーク・カベンディッシュ ©A.S.O. Etienne Coudret
2025ツール・ド・フランスのコースプレゼンテーション ©A.S.O. Etienne Coudret
2025ツール・ド・フランスのコースを発表した大会ディレクターのクリスティアン・プリュドム ©A.S.O. Etienne Coudret
2025ツール・ド・フランス第10ステージ
2025ツール・ド・フランス第12ステージ
2025ツール・ド・フランス第14ステージ
2025ツール・ド・フランス第18ステージ
2025ツール・ド・フランス第19ステージ

●2025ツール・ド・フランスのコース
7月5日(土) 第1ステージ リールメトロポール〜リールメトロポール 185km
7月6日(日) 第2ステージ ロワンプランク〜ブローニュシュルメール 212km★
7月7日(月) 第3ステージ バランシエンヌ〜ダンケルク 178km
7月8日(火) 第4ステージ アミアンメトロポール〜ルーアン 173km★
7月9日(水) 第5ステージ カン〜カン 33km(個人タイムトライアル)
7月10日(木) 第6ステージ バユー〜ビアノルマンディー 201km★
7月11日(金) 第7ステージ サンマロ〜ミュールドブルターニュ 194km★★
7月12日(土) 第8ステージ サンメアンルグラン〜ラバル 174km
7月13日(日) 第9ステージ シノン〜シャトルー 170km
7月14日(月) 第10ステージ エネザ〜ルモンドア 163km★★
7月15日(火) 休日
7月16日(水) 第11ステージ トゥールーズ〜トゥールーズ 154m
7月17日(木) 第12ステージ オシュ〜オタカム 181km★★★
7月18日(金) 第13ステージ ルダンビエユ〜ペラギュード 11km(個人タイムトライアル)★★
7月19日(土) 第14ステージ ポー〜リュション・シュペルバニェール 183km★★★
7月20日(日) 第15ステージ ミュレ〜カルカッソンヌ 169km★
7月21日(月) 休日
7月22日(火) 第16ステージ モンペリエ〜モンバントゥー 172km★★★
7月23日(水) 第17ステージ ボレーヌ〜バランス 161km
7月24日(木) 第18ステージ ビフ〜クーシュベル 171km★★★
7月25日(金) 第19ステージ アルベールビル〜ラプラーニュ 130km★★★
7月26日(土) 第20ステージ ナンチュア〜ポンタルリエ 185km★
7月27日(日) 第21ステージ マントラビル〜パリ・シャンゼリゼ 120km
★は難易度

悪魔の棲む山モンバントゥー
2025ツール・ド・フランスの勝負どころとなるモンバントゥーの高低図

みんなのおすすめコースを取り込んでナビできる自転車NAVITIME

自転車専用ナビゲーションアプリの自転車NAVITIMEがリニューアルされて使いやすくなった。直感的で使いやすく、より幅広い層のサイクリングユーザーが楽しめる。新たに「みんなのコース」や「台風表示」機能を追加。iOS向けで先行対応し、今後Android OS向けにも対応予定。

2011年のリリース以来追加された多様な機能を整理

自転車NAVITIMEは、「坂道が少ない」、「裏通り優先」、「サイクリングロード優先」など全7種類のルート検索や音声案内が可能な自転車専用のナビゲーションアプリ。高低差グラフの確認や走行ルート、距離、消費カロリーなどの記録、お気に入り地点の保存などの機能が利用できる。

Web版と連携する新機能「みんなのコース」

新機能「みんなのコース」を追加。これにより、Web上で公開されている「Myサイクリングコース」をアプリ内で確認、そのままナビゲーションを利用できる。他のユーザーが作成したコースを参考にすることで、サイクリング計画がより充実し、自転車に乗るモチベーションの向上につながる。

●自転車NAVITIMEの詳細ページ

ポガチャルの世界選手権優勝アイウエアは限定96個、3万7000円

2024年にジロ・デ・イタリア、ツール・ド・フランス、世界選手権の三冠(トリプルクラウン)を達成したタディ・ポガチャルが使用するアイウエアの世界選手権優勝記念モデルが発売される。

ブランドはSCICON(シーコン)。ポガチャルの世界選手権優勝を記念し、AEROSCOPE WORLD CHAMPION – Limited edition(エアロスコープワールドチャンピオン・リミテッドエディション)が発売される。

日本の入荷予定数は96個で限定商品。税込み3万7000円。輸入代理店はメニーズ。

●メニーズのホームページ

2025ツール・ド・フランスのコース発表は10月29日午後7時から

2025ツール・ド・フランスと女子レースのツール・ド・フランスファムのコースが10月29日・現地時間午前11時からパリで発表される。 欧州の夏時間は10月27日に終わるので、日本はプラス8時間となり午後7時から。 大会公式サイトとSNSでライブ視聴できる。

2025ツール・ド・フランス最初の3日間

2025年の第112回ツール・ド・フランスは、フランス北部のリールメトロポールとそれを取り囲むオードフランス地域圏で開幕する。すでに第1ステージから第3ステージまでのコースが発表されていて、第4ステージのスタートがアミアンメトロポールになることまでが明らかになっている。

大会は2025年7月5日から27日まで。パリ五輪が開催された2024年は史上初めてパリではなくニースで終幕したが、2025年は例年通りにパリにフィニッシュする。

カベンディッシュの新記録セレモニーもあるツール・ド・フランスさいたま

その年の夏に開催されたツール・ド・フランスで大活躍した選手らが日本を走るイベント、ツール・ド・フランスさいたまが11月2日にさいたま新都心駅周辺で行われる。10回大会を記念した限定イベントか行われるので、例年以上に盛り上がる予感がする。

2023ツール・ド・フランスさいたま ©A.S.O. Thomas Maheux

選手サイン入りグッズ抽選からアバンギャルディまで

第10回記念大会は大会史上初めて、さいたまスーパーアリーナのメインアリーナを使ってコース設定された。レースとしては13時20分から14時05分までタイムトライアル(個人・チーム)が行われ、15時からメインレースとなるクリテリウムがスタートする。

2023ツール・ド・フランスさいたま ©Yuzuru SUNADA

その前後にもさいたまスーパーアリーナの会場内でさまざまなイベントが行われる。注目したいのは7月のツール・ド・フランスで史上最多ステージ優勝記録を35勝に塗り替えたマーク・カベンディッシュの祝福セレモニーだ。さらにさいたま大会歴代優勝者のトークショーが行われる。カベンディッシュをはじめ、クリストファー・フルーム、マルセル・キッテル(現大会アンバサダー)、ジョン・デゲンコルプ、新城幸也、ヤスペル・フィリプセンの参加が予想される。

注目のパフォーマンス集団、アバンギャルディが出演するステージは14時10分から。また会場内には「ツール・ド・フランスミュージアム」が特設され、貴重なグッズを見ることができる。

アリーナへの入場は観戦チケットが必要で、当日販売もある。クリテリウムのフィニッシュは16時過ぎの予定で、その後に表彰式や歴代優勝者セレモニーが行われてフィナーレとなる。

●ツール・ド・フランスさいたま(イベント)の詳細ページ

海の向こうに3000m級の山岳が望める絶景富山湾サイクリング

能登半島地震は震源地の石川県だけでなく隣接する富山県にも多くの被害をもたらした。半島の付け根にある氷見(ひみ)市、その南に隣接する高岡市の観光産業は打撃を受けた。全国からサイクリストが集まれば復興支援になると、スマホアプリを使っていつでも自由に、無料で参加できるイベントが企画された。さっそく富山の絶景とおいしいものを満喫してきた。

立山連峰がかすかに見える比美乃江公園

ナショナルサイクルルートのなかでも絶景

能登半島を自転車で走ると、日本地図帳を初めて開いた小学生のころを思い出す。独特の海岸線を描く半島の東岸に位置するのが氷見。半円形の富山湾をはさんで3000m級の立山連峰が一望できる。これからの季節は日本海の荒波の向こうに冠雪した剣岳などが見えるチャンスが増える。そんな絶景ルートが全国に6カ所ある国土交通省指定のナショナルサイクルルートのひとつ、富山湾岸サイクリングコースだ。

海王丸パーク。右手に見えるのが新湊大橋

今回は無料のサイクリングアプリ「トラベロ」をスマホにダウンロードし、ナビとして活用しながら富山県を走った。日本全国のサイクリングコースをアプリを使って走破しようという「サイクルボール」に、5年目となる2024年から初めて富山県を走る「とやまいち」が登場した。琵琶湖一周を「ビワイチ」と呼ぶように、一周するという意味を込めて「とやまいち」と名付けられたのだ。

富山県南砺市相倉。古風で趣のある山村。アプリ推奨ルートからは外れる

距離131kmのロングコースと40kmのショートコースが用意されているが、スタート・ゴール地点はともに氷見。画面でコースを確認できたり、途中の「ご当地スポット」にチェックインできたりする。完走するとアプリ内の通貨を貯めることができて、特典と交換できる。これまでサイクリング大会といえば年に一度の開催が多かったが、「サイクルボール」はあらかじめ決められた期間内ならいつでも申し込みなしに参加できる。「とやまいち」は11月30日まで開催されるので、スマホと自転車があればいつでも無料で参加可だ。

JR氷見線の雨晴駅近くの海岸線を走る

今回は手軽なやり方で富山の魅力を満喫した。東京駅から北陸新幹線を使って2時間ちょっとで富山駅へ。駅近くにある自転車メーカーのジャイアントストアで最新バイクを2日間8800円でレンタル。自宅から持っていったのは愛用ペダルとシューズ、ウエアのみだ。

広い更衣室もあるジャイアントストアでロードバイクをレンタル
「日本のベニス」と呼ばれる内川地区

「世界で最も美しい湾クラブ」に加盟している富山湾の眺望を自転車に乗りながら楽しむ。ルートは交通量が少なく、いつでも立ち止まったり引き返したりできる。今回の訪問で思い出に残ったポイントは雨晴(あまはらし)海岸、「日本のベニス」と称される落ち着いた内川の風情など。コース途中には随所に道の駅や公園などの休憩場所があり、飲食店で口にした「のどぐろ」「しろえび」が忘れがたいほどおいしかった。これからの季節なら「ベニズワイガニ」や「ブリ」なども味わえる。

海の向こうに立山連峰を望む比美乃江公園は絶好の撮影ポイント
サイクリングアプリ「トラベロ」が富山湾沿いのコースを案内してくれる

故郷の復興支援の機運につなげたい…被災で発案

コロナ禍をきっかけにこの期間分散型サイクリングイベントを企画したのが一般社団法人ルーツ・スポーツ・ジャパン。富山県高岡市出身の中島祥元代表理事は2024年1月1日、氷見市に滞在していたときに最大震度7、氷見市は震度5強の災害に見舞われた。その後、氷見・高岡エリアのホテルがキャンセルなどの影響を受けている状況を知り、「故郷の復興支援の機運につなげたい」と、富山県庁、氷見市役所の賛同と協力を得て、「とやまいち」企画が実現。「全国から多くの方に富山に来てもらい、素晴らしいサイクリングコースやグルメなどを堪能する機会となることを願っています」と中島代表理事。

JR氷見線のディーゼル車がやってきた
ユネスコ世界遺産に登録されている相倉合掌造り集落
相倉合掌造り集落は観光地化した白川郷とは違ってゆっくりと風情を楽しむことができる

ナショナルサイクルルートとは

優れた観光資源を 自転車の走行環境や休憩・宿泊機能、情報発信などと連携させ、新たな観光価値を創造し、地域の創生を図るため一定の水準を満たすルートを国土交通省が指定。日本を代表し、世界に誇りうるサイクリングルートとして国内外にピーアールして、 サイクルツーリズムを強力に推進していくもの。
しまなみ海道サイクリングロード(広島・愛媛県)
●ビワイチ(滋賀県)
●富山湾サイクリングコース(富山県)
太平洋岸自転車道(千葉・神奈川・静岡・愛知・三重・和歌山県)
つくば霞ヶ浦りんりんロード(茨城県)
●トカプチ400