ピドコック難関第2ステージ制覇…危険な下りでレース中断も【アルウラー・ツアー】

2025アルウラー・ツアー第2ステージがサウジアラビアの丘陵地帯で1月29日に行われ、五輪で2度のマウンテンバイクチャンピオンに輝いたトム・ピドコックが、今季移籍したQ36.5プロサイクリングチームのユニフォームを着て優勝した。

アルウラー・ツアー第2ステージは旧市街をスタート ©AlUla Tour Khalid Alhaj

ピドコックはビルジェイダ山の最後の上りをうまく利用し、残り500mからアタックを決めて後続を振り切った。最後はライナー・ケップリンガー(バーレーン・ヴィクトリアス)と世界マウンテンバイクチャンピオンのアラン・ハザリー(ジェイコ・アルウラー)を抑えてゴールラインを越えた。今シーズンのこの初勝利により、ピドコックは総合首位に立つことになり、総合リーダーのグリーンジャージを着ることになる。

ピドコックがアルウラー・ツアー第2ステージを制した ©AlUla Tour Pauline Ballet

JCLチーム右京がこの日も第1集団に加わる

118選手が出走。ステージのスタート地点は旧市街。絵のように美しい迷路のような通りを散策し、郊外に出て戦いが始まった。コースはアルウラーの南西まで157kmを走り、今大会で最も過酷な上りの1つであるビルジェイダ山への3回の上りを予定していた。

アルウラー・ツアー第2ステージは旧市街をスタート ©AlUla Tour Khalid Alhaj
2025アルウラー・ツアー第2ステージ
2025アルウラー・ツアー第2ステージの高低図

スタートしてすぐにJCLチーム右京のシモーネ・ラッカーニ(イタリア)、マレーシアのムハンマド・ロスリとアブド・ハリム(トレンガヌ)、タイのティマチャイ(ルージャイインシュランス)、レインダース(ワグナーバジンWB)の5人が集団から抜け出した。リードは、7.5km地点で早くも2分5秒に広がった。

アルウラー・ツアー第2ステージは旧市街をスタート ©AlUla Tour Pauline Ballet

前日の逃げにも参加し、最優秀アクティブライダーのオレンジジャージを着るロスリが最初の中間アクティブスプリント(77km)を先頭で通過し、その差は3分20秒になった。その後、先頭の選手たちは苦戦し始めた。最初に脱落したのはティマチャイで、すぐにロスリとハリムが続き、トップは2人だけとなった。後続集団はQ36.5、ジェイコ・アルウラー、ピクニック・ポストnlの3チームがペースメークしてその差を詰めていった。

アルウラー・ツアー第2ステージで飛び出したJCLチーム右京のシモーネ・ラッカーニ(先頭) ©AlUla Tour Pauline Ballet

危険な下り坂でレースを一時ニュートラル化

最終周回に入り、ラッカーニが1回目のフィニッシュライン(103km)を先頭で通過し、2回目の中間アクティブスプリント1位を獲得したが、下り坂に砂利が多く、選手の安全上の懸念から、レースの距離を短縮する決定が下された。最後の周回コースは2周から1周に変更され、さらに下り坂はレースをニュートラル化してペースを制御。下りきってから先頭の2選手とメイン集団との差を従来のタイム差に調整してレースを再開。残り5kmで先頭の2人は28秒のリードで、最終的にゴールから3km手前で追いつかれた。

第2ステージはアルウラー・ツアー最大の難所 ©AlUla Tour Charly Lopez

ビルジェイダ山の最後の上りで、ラファル・マイカ(UAEチームエミレーツ・XRG)が激しいペースを設定し、数人のライダーだけが追従した。ケップリンガーが最初にアタックした後、決定的な動きが見られたのは残り500mでピドコックが攻め込んだときだった。最後の300mで引き離し、ケップリンガーに4秒、2024年のUCIマウンテンバイク世界選手権でピドコックに勝っていた南アフリカのハザリーに7秒の差をつけて勝利を収めた。

移籍後初勝利のピドコック(左)をチームメートが祝福 ©AlUla Tour Charly Lopez

ツール・ド・フランスなどに続き6度目の勝利を集中

ピドコックは、2022ツール・ド・フランスのステージ優勝や2024年のアムステルゴールドレースなどの成功に続き、プロロードレースでキャリア6度目の優勝を果たした。これにより、25歳の2度のオリンピックチャンピオン(2020東京と2024パリ)は、総合リーダーのグリーンジャージを獲得。総合2位ケップリンガーに8秒差をつけた。ピドコックはポイント賞でもトップに立つ。

2025アルウラー・ツアー第3ステージ(1月30日)

2025アルウラー・ツアー第3ステージ
2025アルウラー・ツアー第3ステージの高低図

2025アルウラー・ツアー
【第1ステージ】山本大喜ファーストアタック、メルリールが制して首位に

山本大喜ファーストアタック、第1ステージはメルリールが制して首位に【アルウラー・ツアー】

ツール・ド・フランス主催者A.S.O.がプロデュースする5日間のステージレース、アルウラー・ツアーが2025年1月28日に中東サウジアラビアを舞台として開幕。欧州チャンピオンジャージを着るスーダル・クイックステップのティム・メルリール(ベルギー)が第1ステージを制し、大会通算3勝目。総合成績で首位に立った。

サウジアラビアの岩石地帯を行くアルウラー・ツアー ©AlUla Tour Charly Lopez

2024アルウラー・ツアーで2つのステージを制したメルリールが初日を制覇し、2025大会を華々しくスタートさせた。この日は比較的平坦で、予想通りに集団スプリントで決着した。6選手が長い逃げを見せたが、ステージ終盤の周回コースで捕らえられた。ベルギーのスペシャリスト、メルリールは、UAEチームエミレーツ・XRGのファン・モラノを制してゴールした。メルリールは総合首位のグリーンジャージも獲得した。

2025アルウラー・ツアーに挑む日本のJCLチーム右京 ©AlUla Tour Pauline Ballet
2025アルウラー・ツアーの全体コース
2025アルウラー・ツアー第1ステージ
2025アルウラー・ツアー第1ステージの高低図

この日は118選手が第1ステージのスタート、旧アルマンシヤ駅に集まり、レースが始まった。アルウラー・ツアー地域の美しい名所を巡る142kmの周回コースだ。理想的な気象条件とそれほど強くない風の中、午後1時前にスタートした。  

日本のJCLチーム右京が3年連続で参戦 ©AlUla Tour Charly Lopez

山本大喜が最後まで逃げるがアクティブジャージ獲得ならず

スタートしてすぐに6人のアジア勢が集団から抜け出すことに成功した。カザフスタンのアレクサンドル・ヴィノクロフ(XDS・アスタナ)、サウジアラビアナショナルチームのアル・アブドゥルムニムとアル・クライフ、日本の山本大喜(JCLチーム右京)、マレーシアのムハンマド・ロスリ(トレンガヌ)、タイのティマチャイ(ルージャイインシュランス)だ。先頭の6人は5km地点で1分35秒の差をつけた。スプリンターを擁するジェイコ・アルウラー、チューダー、スーダル・クイックステップが追撃を開始したが、5km後には2分10秒の差をつけられた。

2025アルウラー・ツアー第1ステージで山本大喜(左から2人目)ら6選手が序盤からアタック ©AlUla Tour Pauline Ballet

73km地点での最初の中間アクティブスプリントは、集団が1分30秒後ろに接近する中、ロスリが制した。先頭集団が壮観なアシャール渓谷に入ると状況は一変した。ガラス張りのマラヤコンサートホールを通過した直後の急な登りで、サウジアラビアの2人が脱落し、最終的に追いつかれ、先頭はわずか4人となった。集団はペースを上げ続け、周回コースに入るころには射程圏内に。

2025アルウラー・ツアー第1ステージ ©AlUla Tour Pauline Ballet

優勝候補のクリストフが残り5kmで落車

山本が最後まで逃げたが、残り約15kmで最初のゴールラインを越えた直後に集団は再びひとつに。スプリンターチームのコントロール下で、集団は最後の瞬間までコンパクトなままだった。残り5kmで、ステージ優勝候補のアレクサンドル・クリストフ(ウノエックスモビリティ)とアルヴィド・デクライン(チューダー)がクラッシュで転倒。  

サウジアラビアを走るアルウラー・ツアー ©AlUla Tour Pauline Ballet
欧州チャンピオンのティム・メルリール(ベルギー)がアルウラー・ツアー第1ステージ優勝 ©AlUla Tour Pauline Ballet

最終決戦までさらなるアクシデントはなかった。スーダル・クイックステップのチームメイトにうまく先導された32歳のメルリールは、早めにスプリントを開始し、誰にも追い抜かれることはなかった。シーズン初、キャリア51回目の勝利により、現欧州チャンピオンのメルリールは総合リーダーのグリーンジャージを。彼はポイントランキングでもトップ。フランク・ファンデンブルック(ピクニック・ポストnl)は最優秀若手選手のホワイトジャージを獲得した。マレーシアのロスリは、この日獲得した5ポイントにより、最もアクティブなライダーランキングでトップに立った。

スーダル・クイックステップのティム・メルリール(ベルギー)。総合成績とポイント賞でトップに立った ©AlUla Tour Pauline Ballet

2025アルウラー・ツアー第2ステージ(1月29日)

2025アルウラー・ツアー第2ステージ
2025アルウラー・ツアー第2ステージの高低図

●アルウラー・ツアーのホームページ

2025年の北の地獄パリ〜ルーベに男子25チーム、女子24チーム出場

2025年4月13日に開催される第122回パリ〜ルーベ、その前日12日に開催される女子の第5回パリ〜ルーベファムに出場するチームが発表された。

北の地獄パリ〜ルーベ ©ASO Pauline Ballet

パリ〜ルーベ出場25チーム

2025パリ〜ルーベ出場25チーム
UCIワールドチーム
アルペシン・ドゥクーニンク(ベルギー)
アルケア・B&Bホテルズ(フランス)
バーレーン・ヴィクトリアス(バーレーン)
コフィディス(フランス)
デカトロン・AG2Rラモンディアール チーム(フランス)
EFエデュケーション・イージーポスト(米国)
グルパマ・FDJ(フランス)
イネオス・グレナディアーズ(英国)
アンテルマルシェ・ワンティ(ベルギー)
リドル・トレック(米国)
モビスター チーム(スペイン)
レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ(ドイツ)
スーダル・クイックステップ(ベルギー)
チーム ジェイコ・アルウラー(オーストラリア)
チーム ピクニック・ポストNL(オランダ)
チーム ヴィスマ・リースアバイク(オランダ)
UAEチームエミレーツ・XRG(UAE)
XDS・アスタナ チーム(カザフスタン)
UCIプロチーム(2024上位3チーム)
ロット(ベルギー)
イスラエル・プレミアテック(イスラエル)
ウノエックス・モビリティ(ノルウェー)
UCIプロチーム
Q36.5プロサイクリング チーム(スイス)
トタルエネルジー(フランス)
チューダー・プロサイクリングチーム(スイス)
ユニベット・ティテマ・ロケッツ(フランス)

パリ〜ルーベファム出場24チーム

2025パリ〜ルーベファム出場24チーム
UCIウイメンズワールドチーム
AGインシュランス・スーダル チーム(ベルギー)
キャニオン・スラム・ゾンダクリプト(ドイツ)
セラティジット・WNT・プロサイクリング(ドイツ)
FDJ・スエズ(フランス)
フェニックス・ドゥクーニンク(ベルギー)
ヒューマンパワードヘルス(米国)
リドル・トレック(米国)
リブ・アルウラー・ジェイコ(オーストラリア)
モビスター チーム(スペイン)
ローランド(スイス)
チーム ピクニック・ポストNL(オランダ)
チーム SDワークス・プロタイム(オランダ)
チーム ヴィスマ・リースアバイク(オランダ)
UAE・チーム・ADQ(UAE)
ウノエックス・モビリティ(ノルウェー)
UCIウイメンズプロチーム
アルケア・B&Bホテルズ・ウィメン(フランス)
コフィディス・ウィメン チーム(フランス)
EF・オートリー・キャノンデール(米国)
サンミシェル・プレフェンスホーム・オベール93 WE(フランス)
フォルカーヴェッセルズ・ウィメンズプロサイクリング チーム(オランダ)
ウィンスペース・オレンジシール(フランス)
UCIウイメンズコンチネンタルチーム
DDグループ・プロサイクリングチーム(ベルギー)
ロット・レディース(ベルギー)
チーム コープ・レプソル(ノルウェー)

展示台数400台超、ダイワサイクル八王子越野店1月24日オープン

自転車専門店DAIWA CYCLEが2025年1月24日、東京都八王子市にダイワサイクル八王子越野店をオープン。開店セール、パンク無料修理期間を設定した。

自転車大型専門店ダイワサイクル

全国134店舗目! DAIWA CYCLE 八王子越野店

ダイワサイクル八王子越野店は東京都立大南大沢キャンパスに近い、京王線京王堀之内駅から18分の距離に位置。周辺は公園や学校が多く、通勤通学途中の空気入れ・困りごとなどがあれば気軽に立ち寄りやすい立地。近隣エリアの出張サービスもある。

自転車大型専門店ダイワサイクル

八王子市内の対象店舗で使用可能な「自転車用ヘルメット購入費用助成券」も利用できる。キッズ用から大人用ヘルメットまでさまざまな用意がある。

1月24日(金)から1月26日(日)までの3日間は超特価オープニングセールを実施。地域住民の自転車ライフ応援施策として2025年2月24日(月)まで「パンク修理を無料」も設定している。

●ダイワサイクル八王子越野店の詳細ページ

サイクルベースあさひ福島矢野目店…オープニングセール情報

快適な自転車ライフを提供するあさひは2025年1月23日、サイクルベースあさひ福島矢野目店を福島市にオープンさせる。オープニングセール開催。また福島矢野目店近隣の郡山富田店も協賛セールを実施。

サイクルベースあさひ福島矢野目店

福島矢野目店はシティサイクルをはじめ、幼児・子供用、電動アシスト自転車など幅広い自転車を取り扱うとともに、修理・点検などの各種サービスを提供する。

サイクルベースあさひ福島矢野目店
住所  :〒960-0112 福島県福島市南矢野目荒屋敷58-3
営業  :10時~20時
     ※5月21日から2月20日の期間の平日の営業時間は10時~19時となります。
定休日 :年末年始、棚卸日(2月と8月に、各1日)
     ※2月20日(木)は棚卸のため店休日となります。
TEL  :024-572-7235
駐車場 :あり
アクセス:電車:福島交通飯坂線「笹谷」駅から東へ徒歩約30分
     バス:福島交通バス「原田東」停留所から南西へ徒歩約5分
     福島交通バス「イオン福島店」停留所から北東へ徒歩約8分
     車 :国道13号線(福島西道路)沿い「西道路入口」交差点から南西へ約150m

●オープニングセール情報

チーム右京勝負のシーズンへ…ジロ・デ・イタリア出場に現実味

日本登録のコンチネンタルチームJCLチーム右京が2025シーズンを始動させた。1月28日に開幕する、ツール・ド・フランス主催者ASO運営のアルウラーツアー(サウジアラビア)が緒戦。日本チャンピオンの小林海(まりの)、イタリア・スペイン・エリトリアの若手選手を獲得して欧州レースに挑む。

JCLチーム右京。左から増田成幸、鎌田晃輝、小林海、山本大喜、小石祐馬、石橋学。使用する自転車はファクター

ツール・ド・フランスを目指すがジロ・デ・イタリアにシフト変更も

チームは増田成幸、小石祐馬、石橋学といったベテラン勢を軸に、日本ナショナルチャンピオンジャージを着用する小林を補強。山本大喜(まさき)と鎌田晃輝も前シーズンに続いて所属する。

神田明神祈願。左端が片山右京代表

海外勢はすべて25歳以下で今後の活躍が期待できる逸材だ。アンドレア・ダマト(イタリア)は2024ジロ・デ・イタリアネクストジェネレーションでスプリント力を発揮。アレッサンドロ・ファンチェッル(イタリア)はトレック・セガフレード、エオロコメタ、Q36.5に所属していたオールラウンダー。

高速道路を走っていても目立つチーム右京バス。「海老名サービスエリアにメロンパンを買いに立ち寄っただけで人だかりになる」(右京)
中古バスを購入しレース仕様に改装中。「このバスが1年後にどんな改装がされているかを確認してほしい」と右京さん

2026年が本当の意味で勝負。そのために重要な2025シーズン

「コロナ禍などで当初の計画から遅れてしまったけれど、2024年に初めてヨーロッパに拠点を移して、まずまずの成績をつかむことができた。2024年はツール・ド・フランスに向けて一歩前に進むことができたシーズンだった」と片山右京代表。

「2026年が本当の意味で勝負。そのためにも2025年はしっかりと戦っていきたい」

チームのスローガンはI We´ll。I willとWe willをつなげた造語で、独自性と結束を表象。個人のChallengeがチームのChallengeになり、次世代への育成、社会への貢献につながるという決意を込めた

ゼネラルマネジャーのアルベルト・ボルピは、「2024年は結果を残すことができたが、それはもう過去のこと。私たちは2025年に向けて新たなスタートを切っている」と記者発表にオンラインでコメントした。

実際のレースで指揮を取るのはマヌエーレ・ポアロ。ボルピとともにイタリアの元プロ選手として活躍してきた実績があり、ジロ・デ・イタリアの主催者RCSとのコネクションもある。ミラノ近郊のマルペンサ国際空港近くにあるチーム協賛企業のイタリア拠点も、物流拠点として活用する。関係者の話を総合すると、チームがワールドツアー大会の主催者推薦枠を獲得できるUCIプロチームに昇格した時点で、出場の可能性が高いのはツール・ド・フランスよりもジロ・デ・イタリアであるようだ。

神田明神での必勝祈願のあと、東京ドームホテルでチームプレゼンテーションを開催