東京五輪予選を含め自転車全競技が4月3日まで中止に

国際自転車競技連合(UCI)は2020年3月15日に声明を発表し、新型コロナウイルスによる危機的状況のために、4月3日まですべてのUCIカレンダー掲載レースを中止するよう主催者に要請した。日本では3月20日から22日に開催予定のツール・ド・とちぎが対象となる。

沿道に観客がいないコースを走るパリ〜ニース第5ステージ ©A.S.O. Fabien Boukla

各国自転車競技連盟と主催者の一部はすでにレースを延期・中止する決定を下しているが、UCIはプレスリリースを通じて、4月3日まで競技の凍結を要求した。新型コロナウイルスが蔓延する地域でこれ以上の健康被害拡大をしないことが目的。開催・非開催によって影響が生じる国際ランキングや五輪出場枠争いにおける公平性を確保する意味もある。

UCIは前週と週末に複数の危機会議を行って、大会の中止、国際ランキングの停止、東京五輪・パラリンピックの予選会停止という決定を発表した。以下はその概要。

世界保健機関(WHO)によって危険にさらされていると特定された地域の自転車競技主催者は、UCI国際カレンダー上のレースをキャンセルする必要がある。

UCI国際カレンダーのすべてのイベントが中止になることを受けて、すべての国際ランキングを停止。3月15日から再開通知の日まで、少なくとも2020年4月3日まで期間中のUCIポイントは停止される。

2019ジロ・デ・イタリア第19ステージ ©Fabio Ferrari / LaPresse

延期のジロ・デ・イタリアも再設定は保証できず

2020東京五輪・パラリンピックの国別出場枠の配分にも影響が生じる。すでにロード、トラック、パラサイクリング・トラックは出場枠争いが終了しているが、マウンテンバイク、BMXレース、BMXフリースタイル、パラサイクリング・ロードは2020年3月3日からと期日をさかのぼって停止。UCIは、国際オリンピック委員会(IOC)と国際パラリンピック委員会(IPC)と調整する。

現在のところは4月3日までのレースを見送るとしているが、収束に向けての道筋が見られない場合はさらに措置を延長する可能性もある。第二次世界大戦でも中止されなかったツール・デ・フランドルは4月5日開催予定。パリ〜ルーベは12日だ。

ジロ・デ・イタリアをはじめとした主要大会は「開催延期」と発表し、統括団体のUCIに新たな開催日程の割り当てを求めているが、カレンダー上の保証はないとした。プロレースは毎週末にレース開催されているだけに23日間にも及ぶグランツールがどこに移動できるかは不明だ。

●国際自転車競技連合のリリース

観客なし、最終日打ち切り…パリ〜ニース異例の終幕

3月8日から15日まで全8ステージで開催される予定だったフランスのステージレース、パリ〜ニースは新型コロナウイルス懸念で最終日のレースを中止。14日に最後のステージが開催され、ボーラ・ハンスグローエマキシミリアン・シャフマンが総合優勝した。

パリ〜ニース第5ステージ ©A.S.O. Fabien Boukla

シャフマンがチームの強力なコントロールのおかげで初日に獲得したマイヨジョーヌと、新人賞のマイヨブランを最後まで守りきった。レースが8区間から7区間に短縮されたとはいえ、2004年のイエルク・ヤクシェ以来となる全ステージの首位死守。ドイツ勢の優勝は2011年のトニー・マーティンに続く4回目。

最後ステージは山岳区間で行われ、アルケア・サムシックのナイロ・キンタナ(コロンビア)が優勝。シャフマンが第1ステージから首位争いを演じてきたサンウェブのティシュ・ベノート(ベルギー)を制して逃げ切った。

ジュリアン・アラフィリップ(右) ©A.S.O. Fabien Boukla

大会は新型コロナウイルスの余波で大きく揺れ動いた。開幕前はすでに隣国イタリアで大流行していたことから、参加は5チーム減の17チーム。急きょ第2カテゴリーのチームも招へいされた。さらにフランスでも感染が広がり、閣議決定で1000人以上の集会が禁止に。大会2日目からスタートとゴールに観客を入れないという異例の措置でレースを続行。

ゴール地点に観客がいない第2ステージ、NTTのジャコモ・ニッツォーロが優勝 ©A.S.O. Fabien Boukla
第4ステージの個人タイムトライアルを走るペテル・サガン。ここにも観客の姿はない ©A.S.O. Fabien Boukla

そして地中海に面した大都市ニースを舞台とした最終日の第8ステージを中止にして、14日の第7ステージでもってレースを打ち切った。

最後のステージとなった第7ステージはニースの目抜き通りを出発 ©A.S.O. Fabien Boukla
パリ〜ニース最終ステージを制したナイロ・キンタナ ©Nico Vereecken/PN/BettiniPhoto

それでも春のビッグレースを初制覇したシャフマンは手放しで快挙を喜んだ。

「最終日はとても大変だった。チームメイトがレースをコントロールする素晴らしい仕事をしてくれた。最後の3kmは地獄で、もうそこからは自分で耐えるしかなかったが、終わった今は楽園だ。勝利は痛みを消すからね」とシャフマン。

「4年間の選手生活で最大の勝利だ。多くの人は私が総合優勝できるタイプなのかを疑っていた。それは私の夢なんだ。私は1週間のステージレースで勝てる実力を示すことができた」

マキシミリアン・シャフマンがパリ〜ニース総合優勝 ©A.S.O. Fabien Boukla

●パリ〜ニースのホームページ

自転車旅を豊かにするホテルは安価な合宿所タイプから専用客室まで

大切な自転車を携えて旅先で宿泊するときは、盗難や破損の心配がない部屋の中か、きちんと管理された駐輪ラックなどに置いておきたい。そんなサイクリストの要望をかなえたホテルが全国に増殖中。安価な合宿所タイプ、リラックスできる専用客室などが選択できる。おすすめコースの案内、自転車貸し出などのサービスも充実。

元プロレーサーの平塚吉光さんがおすすめのコースを教えてくれた

eバイクのレンタルと朝食込みで5200円パックも

自転車旅を豊かにするホテルとして、静岡県の温泉地・伊豆長岡の中心地に2019年3月オープンしたのが「コナステイ伊豆長岡」だ。自転車に乗ったまま館内を走ってもOK。整備スペースがあり、eバイクのレンタルも気軽に申し込める。サイクリストにとってこれほど心地よい宿泊施設はない。

左手の玄関から入ると右奥のフロントに行くまでに、こんな自転車コーナーがある

環境に優しい自転車が見直され、全国各地の自治体が自転車を使った旅を楽しむ観光客を受け入れる整備を進めている。だからたいていのホテルは客室への持ち込みを認めてくれたり、高額なスポーツバイクの取り扱いに気を遣ってくれる。それでも外で遊んできた自転車をロビーに持ち込むのは勇気がいるし、他の利用者に迷惑をかけないかと心配してしまう。

外観は老舗温泉旅館のコナステイだが、自転車に特化した施設だ

サイクリングホテルはそんな気遣いが一切不要なのである。いわゆる「サイクリストファースト」というヤツだ。コナステイでは道路から段差なしでフロントまで行ける。木製フロアは自転車シューズでも滑りにくい。洗車スペースを自由に利用でき、スタンドやぞうきん、空気入れなどを貸し出してくれる。

安価な二段ベッド形式のドミトリーは自転車合宿にうってつけ。食材を持ち込んでシェアキッチンで調理できる。トレーニングルームにはVRマシンがあって、無料で利用できる。もちろん伊豆長岡だけに源泉掛け流しの温泉で疲れをいやすこともできる。

バーチャルトレーニングの「ズイフト」が無料で使える

コナステイには2019年までブリヂストンサイクリングで走っていた元トップロード選手の平塚吉光さんが勤務。沼津市出身で、伊豆半島は現役時代の練習環境だっただけに知らない道はない。

「その日の気分で走るルートが選べるほどサイクリング環境には恵まれています」と平塚さん。フロント前のリビングには推奨サイクリングコース地図の分厚いファイルがあって、気に入った地図を1枚もらって携行することができる。

eバイクのレンタル付き、朝食無料のドミトリーで5200円から。春の桜サイクリングなどさまざまなプランが用意されている。

◆コナステイ伊豆長岡

中庭のBBQ設備を借りてみんなと楽しむこともできる

星野リゾートBEB5土浦

星野リゾートBEB5土浦の客室

茨城県・土浦駅ビル「プレイアトレ」に3月19日オープン。24時間営業のスポーツバーは海外自転車レースの映像も。「プレイアトレ」には自転車店など関連施設が多数。霞ヶ浦サイクリングの拠点となる。ツインルーム6000円。


掬水(きくすい)

掬水

富士山が望める静岡県富士宮市にあるゲストハウス。レンタルeバイクや自転車用品販売も。2段ベッドのドミトリーから個室まで。1人3600円から。朝食無料。ウェルカムドリンクは地ビール。

ジロ・デ・イタリア開催延期…開幕地ハンガリーでもコロナ蔓延で

イタリア最大の自転車レース、ジロ・デ・イタリアの主催者RCSスポルトが5月9日から31日まで開催予定だったジロ・デ・イタリアを延期することを発表した。

2020ジロ・デ・イタリアはハンガリーのブダペストで開幕する

新型コロナウイルスの蔓延を受けて、2020年のジロ・デ・イタリアがスタートするハンガリーでも政府が非常事態を宣言した。大規模なイベント開催を禁止したため、国際的なイベントを開催することが不可能になった。

それを受けて、ジロ・デ・イタリアのハンガリーステージ組織委員会は、2020年大会のスタートを当初の予定時刻にハンガリーで開催できないと判断した。すべての関係者は、ジロ・デ・イタリアが開催時期を遅らせることによりハンガリーから出発できるように協力する決意があることに合意しているという。

こういった状況からRCSスポルトは3月13日、国際的および国家的状況に留意し、2020年のジロ・デ・イタリアの日付が新型コロナウイルスの影響で延期されることを発表することになったという。

新しい日付は、2020年3月4日のD.P.C.M.(イタリア共和国閣僚理事会会長令)が終了する4月3日までに発表される。イタリア政府や地方、イタリア自転車競技連盟や国際的なスポーツ機関の代表者と協議して決定するという。

●ジロ・デ・イタリアのホームページ

パリ〜ニースが最終区間を中止…コロナウイルス禍で

第78回パリ〜ニースが、最終日となる3月15日にニース近郊で開催予定だった第8ステージを開催しないことを発表した。新型コロナウイルスの拡散に直面して、主催者が決断した。レースは8日間の日程から7日間となり、14日にコルミャーヌの頂上でフィニッシュする。

フランスでは3月12日にエマニュエル・マクロン大統領が全国学校の休校を指示。サッカーのリーグアンとリーグドゥーを無期限停止。自転車レースも4月4日までの開催中止を余儀なくされていた。

●パリ〜ニースのホームページ

ピナレロがマリアネーラを復刻…レプリカジャージ発売

ピナレロが往年のジャージを再現。レプリカジャージが入荷した。創業者のジョバンニ・ピナレロが1951年のジロ・デ・イタリアの最終完走者として受賞した黒いジャージ、MAGLIA NERA(マリアネーラ)を再現した。デマルキ製でテクニカルウールを採用していて、オリジナルと同じ刺繍が施されている。

PINARELLO MAGLIA NERA 1951 JERSEY

1951年のジロ・デ・イタリアでマリアネーラを受賞したジョバンニ・ピナレロ

サイズ(重量):S、M、L、XL
素材:De Marchi テクニカルウール
価格:1万6800円(税別)


PINARELLO HERITAGE JERSEY

1968年のレース前にスタート地点に並ぶファウスト・ピナレロ(当時6歳)とジョバンニ・ピナレロ

ファウスト・ピナレロ社長が1968年に初めて自転車レースに参加した時に着用したピナレロチームのレプリカジャージも入荷した。当時6歳のファウストは、ジョバンニに支えられてスタートラインに並んだ。

De Marchi製でテクニカルウールを使用している。

サイズ(重量):S、M、L、XL
素材:De Marchi テクニカルウール
価格:1万6800円(税別)

●ピナレロジャパンのホームページ