ヤコブ・フルサンがブエルタ・ア・アンダルシア2連覇

アスタナヤコブ・フルサン(デンマーク)が第66回ブエルタ・ア・アンダルシアで総合優勝した。かつてルータ・デル・ソルと呼ばれていたスペインのステージレースは2月19日から23日まで開催され、フルサンが最終日の個人タイムトライアルで逃げ切った。

ブエルタ・ア・アンダルシア総合優勝のヤコブ・フルサンを中央に左が2位ジャック・ヘイグ、右が3位ミケル・ランダ ©David Ramos/Getty Images

ブエルタ・ア・アンダルシアは最終日の23日、ミハスで短いタイムトライアルが行われた。フルサンは、ステージ優勝者となるバーレーン・マクラーレンのディラン・トゥーンス(ベルギー)と同タイム。記録としては切り捨てられるコンマ以下の差で2位となったが、初日から総合トップを一度も譲らず5日間のレースを終えた。アスタナチームに今シーズン初の総合優勝をもたらした。

フルサンはこの日、15時20分にの最後のライダーとしてスタート。力強いパフォーマンスを見せた。中間チェックポイントで2番目にいいタイムを記録し、17分57秒のタイムでフィニッシュ。トゥーンスにわずか0.8秒遅れた。この大会で2度のステージ優勝を果たしたフルサンは、2年連続で優勝した。

「いいタイムトライアルだった。2年連続で総合優勝できたことを本当にうれしく思う。このレースに再び勝ってシーズンを始めるのは驚くべきこと。昨年はこれまでのキャリアで最高のシーズンを過ごしたし、再びそんなシーズンを繰り返すことを願っている」とフルサン。

「非常に難しいレースだったし、初日からジャージを守るために多くのハードな場面があったが、チームは素晴らしかった。勝者は私だが、チームもそうだ。私にとってはジャージを維持することが重要だったが、短くて強烈なタイムトライアルで逆転負けしたくなかったのでので、今は本当に幸せだ。いいシーズンになると思うし、いい結果でこういうスタートを切れたことで、自信を持って次の目標に向けて取り組むことができる」

●ブエルタ・ア・アンダルシアのホームページ

ウワサの映画『栄光のマイヨジョーヌ』をレビューしてみた

映画鑑賞というものが得意ではなく、試写会もなんとなく敬遠していましたが、「これは見ておいたほうがいい!」という周囲の推薦があってウワサの映画『栄光のマイヨジョーヌ』視聴してみたら、少なくとも2シーンほど目頭が熱くなってしまいました。それほど現場のリアルさが伝わるものだったのです。

マイヨジョーヌを着るサイモン・ゲランス。『栄光のマイヨジョーヌ』より ©2017 Madman Production Company Pty Ltd

繰り返しますが、取材記者の私自身が30年にわたって現地取材しているツール・ド・フランスの、本当のストーリーが克明に映し出されているからです。もちろんそれはボクが駆け出しだった30年前には存在しない手法を多様に駆使してのものでした。

あの当時、日本でツール・ド・フランスの総合優勝者を知る方法は、銀座の洋書店にフランスの自転車雑誌が入荷し、それを手に取ることが唯一という時代でした。そんな情報入手のあり方も日進月歩し、すぐにインターネットが普及し、リアルタイムに画像やテキストが報じられる時代が到来。

『栄光のマイヨジョーヌ』より ©2017 Madman Production Company Pty Ltd

さらにこの映画が伝える2010年代になるとプロ選手がSNSで、プロチームがオリジナル動画を編集して配信するなどでインサイドなシーンを拡散し始めたのです。この映画もそういったツールを集めてドラマ化したものだと認識しています。

『栄光のマイヨジョーヌ』より ©2017 Madman Production Company Pty Ltd

映画の舞台はサイモン・ゲランスがミラノ〜サンレモに勝利した2012年、同じくゲランスが第100回ツール・ド・フランスでマイヨジョーヌを着用した2013年、エステバン・チャベスがブエルタ・ア・エスパーニャで一時リーダージャージを着用した2015年、そしてマシュー・ヘイマンが北の地獄パリ〜ルーベを制した2016年のもの。

欧州を中心に行われる自転車ロードレースのリアル情報はその後もさらに研ぎすまされていますが、基本的にはこの映画の時代の手法がベース。そのため数年前のシーンを集めてはいるものの、古くささは感じられません。登場したベテラン選手はすでに引退していますが、なんらかの関わりを持ってこの世界で手腕を発揮し続けているので、そんな彼らの人生を知るにはうってつけです。

『栄光のマイヨジョーヌ』より ©2017 Madman Production Company Pty Ltd

ボクは記者なので、映画中に何度か登場するオーストラリア人記者を見るにつけ、笑顔になってしまいました。彼は複数のオーストラリア選手が活躍を始めたころにツール・ド・フランスに参入してきましたが、お互いに欧州スポーツ報道の現場に苦労しただけに、共感するものは多々あります。

マイヨジョーヌを獲得した自国選手の話を聞けるなど、うらやましいと思ったこともありました。ましてや自国のチームがツール・ド・フランスの常連となるのだから、誇らしげな横顔に嫉妬したこともあった(かも)。

笑ってはいけないんですが、2013年の第100回ツール・ド・フランスのバス事件も克明に紹介されています。とにかくこの年は主催者として特別なコース設定がなされ、最初の3日間が史上初となる地中海のコルシカ島を走ることになっていました。すべてが初体験のレースでした。

『栄光のマイヨジョーヌ』より ©2017 Madman Production Company Pty Ltd

コルシカ島はツール・ド・フランスのような大規模なスポーツイベントを開催するような環境ではなかったんです。プレスセンターのように大勢の関係者を収容する施設もなかったので、大型客船が3日間のゴールとなる港を巡って関係者のシゴト場としたほどです。チームバスなどの大型車両が通行する迂回路も設定できなかったので、オリカ・グリーンエッジのバスがゴール地点のゲートに引っかかるのも当然でしたよね。

映画にあるようにチーム関係者は顔面蒼白となっていましたが、この件は本当に大変だったようで、ツール・ド・フランスが再びコルシカに渡るという計画は全くないようです。

2013年の第100回ツール・ド・フランスは異例。コルシカ島のプレスセンターは3日間とも大型客船だった

ちなみにこの年のツール・ド・フランスは移動日なしで大会4日目にフランス本土のニースに渡り、ここで行われたチームタイムトライアルでオリカ・グリーンエッジが最速タイム。映画のとおり、ゲランスがマイヨジョーヌを獲得するわけです。2020年のツール・ド・フランスはこの大躍進の舞台となったニースが開幕地であり、彼らが激走したプロムナード・デザングレ通りが出発地。6月末になる前に映画で学習しておいたほうがいいです。

チャベスの笑顔の裏側も映し出していた

映画の主役となるのがコロンビアのエステバン・チャベス。取材記者が選ぶ「ベストフレンドリーライダー」で、屈託のない笑顔ばかりが印象的ですが、この映画で苦悩が続いた時代があったことを知らされました。

ブエルタ・ア・エスパーニャのエステバン・チャベス。『栄光のマイヨジョーヌ』より ©2017 Madman Production Company Pty Ltd

映画に断片的に登場する選手やチームスタッフの「回りくどいジョーク」の連続も見どころ。こういった冗談はきまじめなクリストファー・フルームには通用しないと思ったが、まさにその通りでした。

映画『栄光のマイヨジョーヌ』

オーストラリアのプロ・サイクリング・ロードレースチーム「グリーンエッジ」に密着したドキュメンタリー。2010年、オーストラリア人ビジネスマンで起業家のゲリー・ライアンが自分のロードレースチームを作ろうと思い立ったことから、オーストラリア初のワールド世界ツアー出場レベルのロードレースチーム「グリーンエッジ」が誕生した。結果だけでなく、それぞれの個性やチームに溶け込めるかに重点を置いて編成されたチームは、メンバーそれぞれが深い人間愛から競技にアプローチしていった。これまでの常識からはちぐはぐに思えたチーム編成でありながら、まさかのチャンピオンが誕生する。国際レースに臨んだチームの5年間のツアーに密着し、勢いに乗る選手、困難にぶつかる選手、さまざまな選手たちの姿を通して「グリーンエッジ」というチームの信念を描いていく。

『栄光のマイヨジョーヌ』
2020年2月28日(金)より 新宿ピカデリー/なんばパークス(大阪)ほか全国順次公開(c) 2017 Madman Production Company Pty Ltd
●公式サイト
Facebook:@green.edge.movie
Twitter:@greenedge-movie
Instagram:@greenedge_movie
2017年/オーストラリア/英語、スペイン語/99分
原題:ALL FOR ONE
監督・撮影:ダン・ジョーンズ

ヤコブ・フルサンがブエルタ・ア・アンダルシア2勝目

アスタナヤコブ・フルサンが2月21日にスペインで開催されたブエルタ・ア・アンダルシアの第3ステージで優勝。同選手は初日の第1ステージを制して総合1位に立ち、そのリーダージャージを着ての2勝目となった。

ヤコブ・フルサンがブエルタ・ア・アンダルシア第3ステージ優勝 ©David Ramos/Getty Images

この日は距離177km。アップダウンのある厳しいコースで行われ、数選手がアタックして数分の差をつけて先行した。アスタナチームはフルサンのリーダージャージを守るために先行選手を追走。

「レースの最初の2時間は本当に大変だったが、チームメイトは一日中素晴らしい仕事をしてくれた」とフルサン。

アタックした選手をすべて吸収し、ゴール前の最後のコーナーでフルサンが飛び出して勝利を飾った。総合成績でのアドバンテージも得て、最終日までその座を守り切れば2年連続の総合優勝を手中にできる。

「今朝ロードブックを見て、勝利を狙いたいならその時点で正しい位置にいることが重要だと判断した。

「明日はもう一つの厳しい日になるが、リーダージャージをもう一度守ることを願っている。レースを難しくしようとしているチームはたくさんいるが、今のところアスタナチームは素晴らしい動きをしている。最終日に行われるタイムトライアルは容易なことではないけど、少しのアドバンテージがあれば逃げ切れると思う」

ブエルタ・ア・アンダルシアは5日間のステージレース。最終日は2月23日に行われる。

●ブエルタ・ア・アンダルシアのホームページ

フィジークxクランクブラザーズ Tシャツプレゼントキャンペーン

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期間:2020年2月20日(木)~2020年5月31日(日)まで
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対象商品:fi’zi:kシューズ*1と、crankbrothersぺダル*2
プレゼント賞品:crankbrothersオリジナルTシャツ*3
応募方法:対象商品を購入時に、販売店で専用応募用紙でキャンペーン申込み。*4
※購入予定の販売店がキャンペーン参加店か、必ず購入前に確認
*1:X2 ERGOLACE or X4 POWERSTRAPのいずれか
*2:エッグビーター1~3 or キャンディ1~3 or ダブルショット1~3のいずれか
*3:サイズはUS Sサイズ(JPN Mサイズ)で、カラーは指定できない
*4:キャンペーン申込みの際、簡単なアンケートに協力をお願いいたします。
※プレゼントは数に限りあり。期間中であってもなくなり次第終了。
フィジーク・ERGOLACE or X4 POWERSTRAPのいずれか、クランクブラザーズ・エッグビーター1~3 or キャンディ1~3 or ダブルショット1~3のいずれかが対象商品

トレックがÉmondaのリムブレーキモデルを2割価格下げ

トレック・ジャパンが2020年モデルのロードバイクÉmonda(エモンダ)シリーズのリムブレーキモデルの価格改定を行った。4モデルとも2割引の価格となった。

Emonda SL 6

Émonda ALR 4   13万5000円(税別)→ ¥10万8000円(税別)
Émonda ALR 5   17万9000円(税別) → ¥14万3200円(税別)
Émonda SL 5      22万3000円(税別) → ¥17万8400円(税別)
Émonda SL 6      33万円(税別)→ ¥26万4000円(税別)

EmondaALR4
EmondaALR5
EmondaSL5

●トレックのホームページ

ジロ・デ・イタリア第1ステージで鎖橋を渡るコース実現

ハンガリーのブダペストで開幕する2020ジロ・デ・イタリアは、同市と合意して第1ステージの個人タイムトライアルで、この首都のシンボルの一つである最も古い橋であるセーチェーニ鎖橋を通るコースに修正された。

セーチェーニ鎖橋をくぐる軽飛行機 © Armin Walcher / Red Bull Content Pool

鎖橋は当初、計画されていた改装工事のためにコースから除外されていた。その工事が延期されることになり、橋を渡る個人タイムトライアルのコースに変更することできたという。

コースはすでに発表されていた英雄広場から城郭地区までは変更なし。コースは変わったものの距離8.6kmもそのまま。

2020ジロ・デ・イタリア第1ステージのコースマップ
2020ジロ・デ・イタリア第1ステージのプロフィールマップ

第103回ジロ・デ・イタリアは2020年5月9日にハンガリーのブダペストで開幕する。

●ジロ・デ・イタリアのtwitter