新城幸也がツール・ド・フランスさいたまで初優勝

7回目の開催となるツール・ド・フランスさいたまクリテリウムは10月27日、さいたま新都心周辺の特設サーキットでクリテリウムメインレースを開催し、バーレーン・メリダの新城幸也が終盤に単独アタックを成功させ、ツール・ド・フランス総合優勝のエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス)、ブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝のプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ビスマ)を振り切って優勝した。

新城幸也がマイヨジョーヌのエガン・ベルナルとマイヨロホのプリモシュ・ログリッチェを振り切って優勝 ©Yuzuru SUNADA

日本勢がメインレースで優勝したのは初めて。新城はシーズン序盤に大ケガを負ったが、終盤戦にレース復帰。世界選手権にも出場し、この日は積極果敢な走りを見せつけて、悲願の優勝を果たした。

山岳賞ジャージのロマン・バルデ、世界ランキング3位のヤコブ・フグルサング ©Yuzuru SUNADA

支えてくれた人の顔が浮かんだ…新城幸也

残り2周で世界ランキング3位のヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)のスパートに反応した新城。先頭交代をしたときに後続との差を確認し、かなりの差があるとみて一気にアタック。フグルサングもあっという間に引き離していく。

「アタックが早すぎたので、うわー、ゴールまで長いなと後悔しましたよ」(新城)

遠藤の大歓声の中で残り1周を独走し、猛追してきたマイヨジョーヌのベルナル、マイヨロホのログリッチェを振り切ってガッツポーズで優勝した。

「安堵感とうれしさと一緒に、順番は覚えていませんが、支えてくださった多くの人たちの顔がたくさん、頭に浮かびました」と新城。

マイヨジョーヌのエガン・ベルナルと新城幸也 ©Yuzuru SUNADA

そしてわずかに及ばなかったベルナル。

「楽しかったし、コースもとても気に入った。観客のみなさんの雰囲気もとてもよかったですし、最終的に表彰台に上がれたので満足です」

来年の参戦予定をコメントするには時期が早いと言うが、「グランツールのどれか、ジロ・デ・イタリア、ツール・ド・フランス、ブエルタ・ア・エスパーニャのどれかで2019年と同じような成績を残したい」と語った。

ブエルタ・ア・エスパーニャのマイヨロホを着用するプリモシュ・ログリッチェ ©Yuzuru SUNADA

そして常にレースを主導し、最後は3位に食い込んだログリッチェ。

「素晴らしかったです。スキージャンプ選手時代に長野に来ているので来日は2回目ですが、観客のみなさんが熱く応援してくださったことが、とてもよかった」

並み居る海外の強豪を制してスプリントレースで優勝した黒枝は、「まだ若いので、2024年のパリ五輪などでメダルを取れる選手になりたいと思う」と決意を語った。

新城幸也がエガン・ベルナルとプリモシュ・ログリッチェを制して初優勝 ©Yuzuru SUNADA

クリテリウムメインレース
優勝:新城幸也(ツール・ド・フランスジャパンライダー)
2位:エガン・ベルナル(イネオス)
3位:プリモシュ・ログリッチェ(ユンボ・スマ)
ポイント賞:マッテオ・トレンティン(ミッチェルトン・スコット)
山岳賞:ロマン・バルデ(AG2Rラモンディアル)
敢闘賞:ヤコブ・フグルサング(プロチーム)
新人賞:エガン・ベルナル(イネオス)
チーム賞:ミッチェルトン・スコット
日本人チーム賞:チーム右京

優勝の新城幸也を中央に左が2位エガン・ベルナル、右が3位プリモシュ・ログリッチェ ©Yuzuru SUNADA

チームタイムトライアルレース
優勝:シマノレーシング

チームタイムトライアルはシマノレーシングが優勝。左から個人ロードのナショナルチャンピオンジャージを着る入部正太郎、一丸尚伍、中井唯晶 ©Yuzuru SUNADA

スプリントレース
優勝:黒枝咲哉(シマノレーシング)

スプリントレース決勝で黒枝咲哉が沢田桂太郎を制して優勝 ©Yuzuru SUNADA

●ツール・ド・フランスさいたまクリテリウムのホームページ

ツール・ド・フランスの精鋭が日本伝統の空手に挑戦

ツール・ド・フランスさいたまクリテリウムはレース前日の10月26日(土)、さいたま新都心にあるさいたまスーパーアリーナで「ツール・ド・フランス2020ルートプレゼンテーション」、「チームプレゼンテーション」、「さいたま市内交流会」を開催。イネオスのミハウ・クビアトコウスキーらが空手に、ツール・ド・フランス総合優勝のエガン・ベルナルらがサッカーに挑戦した。

伝統的な日本の空手に挑戦した(左から)新城幸也、リリアン・カルメジャーヌ、ミハウ・クビアトコウスキー、マッテオ・トレンティン、マルセル・キッテル氏 ©Yuzuru SUNADA

空手に挑戦したのはクビアトコウスキー、 トタル・ディレクトエネルジーのリリアン・カルメジャーヌ、ミッチェルトン・スコットのマッテオ・トレンティン、バーレーン・メリダの新城幸也、そして大会アンバサダーのマルセル・キッテル氏。

キッズレースに参加したマルセル・キッテル氏やエガン・ベルナル ©Yuzuru SUNADA

空手の始まりとして「礼」を指導してもらい、さらに「中段突き」。そして最後は「板割り」。自転車のトップ選手にケガをさせてはいけないという配慮からか、発泡スチロール割りとなったが、選手からは「板がよかったなあ」という言葉も。「帰国してから本格的に練習したい」という選手も。

チームプレゼンテーションに登壇したイネオスチーム ©Yuzuru SUNADA

また開催地さいたま市は浦和レッズと大宮アルディージャというJ1サッカー2チームが拠点とすることから、ツール・ド・フランス出場選手のベルナル、AG2Rラモンディアルのロマン・バルデ、ユンボ・ビスマのプリモシュ・ログリッチェ、アスタナのヤコブ・フグルサングが挑戦した。

この前日イベントはすべて観覧無料だった。

フランスの食材を味わうことができるさいたまるしぇを訪問したロマン・バルデ(中央)とマルセル・キッテル氏 ©Yuzuru SUNADA

この日選手らは夕方から前夜祭に参加。レースデーとなる27日は12時50分からスプリントレースの予選ラウンドが、13時30分からタイムトライアルが、そして14時55分からメインレースが開催される。

●ツール・ド・フランスさいたまクリテリウムのホームページ

新城幸也とクリストファー・フルームが病院訪問 ©SSC

売り切れ人気のネコ柄アイテムが防風ジャケットで復活

サイクリングアパレルの7ITA(セブンアイティーエー)は秋冬ウエアが好評。中でも人気のロングスリーブジャージがネコ柄アイテム。すぐに売切れてしまった7ITA Daydreaming Catが、防風ジャケットで復活した。取り扱いはセブンバイシクル

7ITAデイドリーミングキャット・ウィンタージャケット(ホワイト) 2万3100円

秋冬ウエアはこれが最終入荷分、再入荷はないという。特にXLやSは入荷数が少ないので、今ある商品も早期品切れが予想される。価格は2万3100円(税込み)。

7ITA Daydreaming Cat

好評のネコ柄シリーズ、2019年はフロントに散歩するネコ、バックにはボーっとしたり昼寝したり、伸びをしたりするネコと、おもちゃやエサなど楽しい雰囲気を醸し出している。

ジャケット本体には主に北欧のディーラー向けに開発された新素材を採用、保温性・防風性ともに高く厳冬期も強力にユーザーを守る。従来のWindfree素材に比べて少し厚手で、真冬の本格的ライドが初めての方にも安心感がある。

カジュアルなルックスでアフターライドでもおしゃれに着こなせる。
フロント・フルジッパー、3バックポケット。0-10℃対応。

●セブンバイシクルのホームページ

悪魔おじさん4年連続の来日…地球環境を真剣に考える

悪魔おじさん(エル・ディアブロ)の呼び名で世界中の自転車ファンに知られるドイツのディディ・センフトさんが2019年もツール・ド・フランスさいたまクリテリウムを応援するために来日した。10月25日、フランクフルト発の全日空224便で、定刻より10分遅れとなる午後3時過ぎに羽田空港に到着。同26日と27日にさいたま新都心駅周辺の大会会場に出没する計画。

10月25日午後に羽田空港に到着した悪魔おじさん。4回目の来日を果たした

「さいたま大会がツール・ド・フランスのエッセンスを持ち込んで展開するイベントである限り、私も来日するのである。日本のみなさんにすこしでも本場の雰囲気を味わってほしいです」と悪魔おじさん。

大会両日は、クリテリウムコースに隣接する2019サイクルフェスタ会場をベースとして活動。ブースA-25「悪魔おじさん“DIDI”のパネル展示 byクリーン工房」を訪れると出会えるチャンスがある。同ブースでは「ツール・ド・フランス名物、悪魔おじさんのパネル展示およびポストカード無料配布」を実施。

フランクフルトからの直行便で羽田空港に到着
今回の荷物は多少多め

大会を盛り上げるとともに、低炭素社会の実現に向けた取り組みの大切さを啓蒙する役割もこなす。

さいたま市は

環境省補助事業である、地域と連携したCO2排出削減促進事業『COOL CHOICE』のバッジを胸に貼るのもその姿勢の表れだ。

「自然環境の大切さを世界中の人が再確認し、未来へと続く美しい地球を守るため、ヤリをふりかざすのです」と来日第一声。

羽田空港でいきなりハイテンションの悪魔おじさん

●2019サイクルフェスタのホームページ

世界選手権ロードの放送が10月26日にNHK BS 1で放送

2019年ロード世界選手権の放送がNHK BS 1で10月26日(土)0時45分から2時24分まで行われる。解説は土井雪広(サイクルコメンテーター)、実況は木下貴道。デンマーク選手として初の世界チャンピオンになったマッズ・ピーダスンが快挙を成し遂げるエリート男子レースを伝える。

マッズ・ピーダスン Pictures made by JoostVH Photography

10月26日(土)0時45分は言い換えると25日(金)の深夜。途中でBSニュースはない。

●番組概要
2019自転車ロード世界選手権。今回は英国ヨークシャーで、各種目の世界一を決めるレースが行われた。注目は、男子エリートロードレース。悪天候の中、250kmを超える長時間の戦いは過酷なレースとなり、途中棄権する選手が続出。タフな選手しか残れない戦いとなった。2015年から3連覇を果たしたペテル・サガンを筆頭に、世界のトップ選手たちが参戦! 果たして2019年の世界一となるのは誰なのか?

●NHKの番組表

ブダペスト開幕の2020ジロ・デ・イタリアのコース発表

2020年5月9日にハンガリーのブダペストで開幕する第103回ジロ・デ・イタリアのコースが、10月24日にイタリアのミラノで発表された。個人タイムトライアルが3ステージで、その合計距離は58.8km。平たん6ステージ、中難度の山岳7ステージ、高難度の山岳5ステージ。頂上ゴールはブダペストで行われる最初の個人タイムトライアルを含めて7ステージ。

2020ジロ・デ・イタリアのコース(クリックすると拡大します)

総距離は3579.8kmで、1ステージの平均距離は170.5km。最初の3日間をハンガリーで過ごし、移動日なしの空路で地中海にあるシチリア島に飛ぶ。世界遺産のワイン産地であるぶどう畑を走る第14ステージに象徴されるように、各地の世界遺産をめぐることが特徴。

チマコッピと呼ばれる最高峰は標高2758mのステルビオ峠。第18ステージにあり、2020年大会の最難関と言われる。さらに第20ステージはフランス国境にあるアニェッロ峠(標高2744m)を越える。

5月31日の最終日は3回目の個人タイムトライアルでミラノを目指す。ジロ・デ・イタリアがミラノにゴールするのは78回目。

イタリアのテレビ局スタジオで行われたプレゼンテーション ©LaPresse/Marco Alpozzi

「2019ジロ・デ・イタリアはプロライダーとしての私のキャリアの中でほんとうに重要な大会となり、その記憶がよみがえると今でも興奮する」と2019総合優勝者のリカルド・カラパス(エクアドル)。

「両親や私をサポートしてくれた多くの人たちのおかげでこの栄冠を勝ち取ることができた。夢を追い求めるのがいかに大切か。サイクリングを始めるエクアドルの子供たちにこう言い続けている。2020年もジロ・デ・イタリアをスタートしたいと考えている。ちょっとビックリするような要素があって、とても興味深いルートだ。最終週は山がたくさんあるし、特にステルビオ峠は決定的かもしれない」

カラパスは2020年に、スペインのモビスターから英国のイネオスに移籍する。同チームにはグランツール総合優勝者がクリストファー・フルームとゲラント・トーマス(ともに英国)、エガン・ベルナル(コロンビア)を加えて4選手となり、それぞれがどんな役割で各大会に挑んでくるかが注目。

2019ジロ・デ・イタリア総合優勝のリカルド・カラパス ©LaPresse/Claudio Furlan

「2020ジロ・デ・イタリアのルートプレゼンテーションに招かれてうれしい。私はブダペストをスタートすることをこの場で表明したい。まだ数カ月先のことだが、私はそこに行くと宣言したい」とボーラ・ハンスグローエのペテル・サガン(スロバキア)。

「ハンガリーで行われる第1ステージからこのルートは気に入っている。スロバキアはハンガリーに非常に近いので、最初の3つのステージの沿道には多くのスロバキアファンが駆けつけてくれると確信している。でも私はイタリアに住んでいるし、ずっとイタリアでトレーニングしているから、イタリアのステージも楽しめる。素敵なジロルートだ。序盤戦のほうが自分に最も適していると思うが、最終日のミラノまで走り続けたい」

ペテル・サガン、RCSのウルバノ・カイロ社長、リカルド・カラパス ©LaPresse/Claudio Furlan

2020ジロ・デ・イタリア日程

5月9日(土) 第1ステージ ブダペスト(ハンガリー)8.6km(個人タイムトライアル)★★
5月10日(日) 第2ステージ ブダペスト〜ジェール(ハンガリー) 195km
5月11日(月) 第3ステージ セーケシュフェヘールバール(ハンガリー)〜ナジカニジャ(ハンガリー) 204km
5月12日(火) 第4ステージ モンレアーレ〜アグリジェント 136km★★
5月13日(水) 第5ステージ エンナ〜エトナ 150km★★★
5月14日(木) 第6ステージ カターニア〜ビラフランカティッレーナ 138km★
5月15日(金) 第7ステージ ミレート〜カミーリャテッロシラーノ 223km★★
5月16日(土) 第8ステージ カストロビッラーリ〜ブリンディージ 216km
5月17日(日) 第9ステージ ジョビナッツォ〜ビエステ 198km★★
5月18日(月) 休養日
5月19日(火) 第10ステージ サンサルボ〜トルトレートリード 212km★★
5月20日(水) 第11ステージ ポルトサンテルピディオ〜リミーニ 181km★
5月21日(木) 第12ステージ チェゼナティーコ〜チェゼナティーコ 205km★★
5月22日(金) 第13ステージ チェルビア〜モンセリーチェ 190km★
5月23日(土) 第14ステージ コネリャーノ〜バルドッビアデーネ 33.7km(個人タイムトライアル)★★
5月24日(日) 第15ステージ バセアエレアリボルト〜ピアンカバッロ 183km★★★
5月25日(月) 休養日
5月26日(火) 第16ステージ ウディーネ〜サンダニエーレ・デル・フリウリ 228km★★
5月27日(水) 第17ステージ バッサーノデルグラッパ〜マドンナディカンピーリオ 202km★★★
5月28日(木) 第18ステージ ピンツォロ〜ラーギディカンカーノ 209km★★★
5月29日(金) 第19ステージ モルベーニョ〜アスティ 251km
5月30日(土) 第20ステージ アルバ〜セストリエーレ 200km★★★
5月31日(日) 第21ステージ チェルニュスコスルナビーリオ〜ミラノ 16.5km(個人タイムトライアル)
★は難易度

ジロ・デ・イタリアがイタリア国外で開幕するのは2020年で14回目。近年になって海外を開幕地とすることが多くなり、2010年以降は2年ごとに海外で開幕する。

三大大会ではツール・ド・フランスが2021年にデンマークのコペンハーゲンで、ブエルタ・ア・エスパーニャが2020年にオランダのユトレヒトで開幕する。

●これまでにイタリア以外で開幕したジロ・デ・イタリア
1965 サンマリノ
1966 モンテカルロ(モナコ)
1973 ベルビエ(ベルギー)
1974 バチカン市国
1996 アテネ(ギリシャ)
1998 ニース(フランス)
2002 フローニンゲン(オランダ)
2006 スラン(ベルギー)
2010 アムステルダム(オランダ)
2012 ヘアニング(デンマーク)
2014 ベルファスト(北アイルランド)
2016 アペルドールン(オランダ)
2018 エルサレム(イスラエル)
2020 ブダペスト(ハンガリー)

●ジロ・デ・イタリアのホームページ