杉浦佳子が個人パーシュートと500mでともに日本新

自転車競技パラサイクリングの日本一を決める「2019日本パラサイクリング選手権トラック大会」が2019年9月22日に静岡県伊豆市の日本競輪選手養成所JKA250mバンクで開催され、男子は川本翔大が、女子は杉浦佳子が出場したカテゴリーで優勝した。

女子パラサイクリングで優勝した杉浦佳子 ©2019 JCF

個人パーシュート 3km WB
1位 山口乃愛(北海道札幌視覚支援学校) 3:56.912
パイロットは山本さくら(Ciel Bleu 鹿屋)

個人パーシュート 3km MC2-3
1位 川本翔大(大和産業) 3:46.460
2位 藤田征樹(藤建設) 3:47.659
3位 相園健太郎(全日本空輸) 4:18.420

男子パラサイクリングで優勝した川本翔大 ©2019 JCF

個人パーシュート 3km WC2-3
1位 杉浦佳子(楽天ソシオビジネス) 4:08.696 ※大会新・日本新
2位 藤井美穂(楽天ソシオビジネス) 4:23.433

女子パラサイクリングの個人パーシュートと500mタイムトライアルで優勝した杉浦佳子(右)。左は藤井美穂 ©2019 JCF

1kmタイムトライアル WB/WB
1位 木村和平・倉林巧和 1:05.104 ※大会新
2位 大城竜之 ・中川誠一郎 1:07.159
3位 山口乃愛・ 山本さくら 1:07.253

1kmタイムトライアル MC4-5
1位 石井雅史(イナーメ信濃山形) 1:10.544
2位 小池岳太(JTBコミュニケーションデザイン) 1:12.196  ※大会新・日本新
3位 沼野康仁(uspSPLENDOR) 1:25.485

1kmタイムトライアル MC2-3
1位 川本翔大(大和産業) 1:14.514
2位 藤田征樹(藤建設) 1:15.302
3位 相園健太郎(全日本空輸) 1:17.117

男子パラサイクリングの個人パーシュートと500mタイムトライアルで優勝した川本翔大(中央)。左が2位藤田征樹、右が3位相園健太郎 ©2019 JCF

500mタイムトライアル
1位 杉浦佳子(楽天ソシオビジネス) 41.650 ※大会新・日本新
2位 藤井美穂(楽天ソシオビジネス) 44.365

●同日開催の2019 全日本自転車競技選手権大会オムニアム
●日本パラサイクリング連盟のホームページ

オムニアムの全日本チャンピオンに岡本隼と梶原悠未

自転車トラック競技のオムニアム種目の日本一を決める「2019 全日本自転車競技選手権大会オムニアム」が2019年9月22日に静岡県伊豆市の日本競輪選手養成所JKA250mバンクで開催され、男子は岡本隼(愛三工業レーシングチーム)が、女子は梶原悠未(筑波大学)が優勝した。

男子オムニアムで優勝した岡本隼 ©2019 JCF
女子オムニアムで優勝した梶原悠未 ©2019 JCF

男子オムニアム最終結果
1位 岡本隼(愛三工業レーシングチーム) 130p
2位 窪木一茂(TEAM BRIDGESTON Cycling) 126p
3位 近谷涼(TEAM BRIDGESTON Cycling) 119p

男子オムニアムで優勝した岡本隼 ©2019 JCF

女子オムニアム最終結果
1位 梶原悠未(筑波大学) 187p
2位 中村妃智(日本写真判定) 131p
3位 鈴木奈央(JPCA) 128p

女子オムニアムで優勝した梶原悠未 ©2019 JCF

●同日開催の2019日本パラサイクリング選手権トラック大会

●日本自転車競技連盟のホームページ

インドネシアの自転車レースは大気汚染深刻で区間中止

インドネシアのスマトラ島で開催されているツール・ド・シアク(UCIアジアツアー2.2)は9月21日の第3ステージがスタート後に大気汚染悪化で中止された。日本のKINANが参戦中で、最終日となる第4ステージは22日に行われる予定。

ツール・ド・シアク第3ステージでマスクを着用してスタートを待つ選手たち ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

前日までの2ステージとは変わって、現地時間の午前にレースのスタートが切られたが、発生したスモッグの濃度が高まったため、序盤の時点でキャンセルが決定。総合成績は第2ステージ終了時点のものが維持され、KINANは山本元喜が個人総合5位、サルバドール・グアルディオラが6位、チーム総合1位のまま最終の第4ステージへと移ることになった。

大会は後半戦へ突入。ここまでの戦いは、第1ステージで上位フィニッシュを果たした山本とグアルディオラが個人総合上位をキープ。チーム総合でも首位に立っていて、ここまで2ステージを攻撃的に戦っていることを順位でも示してきた。

迎える第3ステージは、当初大周回を2周する170.6kmが予定されていたが、開幕時から懸念される大気汚染の状況を考慮し1周に短縮。レース距離は85.5kmとなった。また、この日からレース時間を午前へと変更。少しでもよい環境でレースができるよう、出場選手・チームの意見を照らし合わせながら、主催者が柔軟な対応を見せた。

しかし、この日は早朝から濃度の高いスモッグが開催地一帯を覆う状況。スタートに向けて、選手・スタッフ・関係者がそれぞれに準備を進め、いったんはレース開始となったが、20km地点を迎えようかというタイミングでコミッセール判断によりキャンセルが通告された。それまで、KINAN勢は再三のアタックでライバルチームの消耗を誘い、よい流れを作り出していたが、無念の中止となった。

これを受け、総合成績は前日行われた第2ステージ終了時点のものが反映され、山本、グアルディオラがそれぞれ個人総合5位と6位のまま。チーム総合トップもキープして、続くステージへと進む。

大気汚染の状況に左右されながらも進行する大会は、翌22日に行う第4ステージでフィナーレを迎える。最後を飾るのは、大会の拠点都市であるシアクの市街地でのサーキットレース。17.9kmのコースをおおよそ8周回する133.5kmで競う予定となっている。最終的には、今後のスモッグ発生状況を勘案しながらレース開始時刻や距離について決定がなされるものとみられる。

ツール・ド・フランスさいたまに松崎琢仁ら4選手参戦へ

自転車ロードレースのトップ選手が集まるツール・ド・フランスさいたまクリテリウム(10月27日開催)への出場権が獲得できるRoad toさいたまクリテリウムin埼玉スタジアム2○○2が9月21日に行われ、個人タイムトライアルの各クラスで優勝した4選手が参戦を決めた。

男子クラスでトップタイムを出したサイタマサイクルプロジェクトの松崎琢仁

サイタマサイクルプロジェクトの松崎琢仁が優勝

男子の優勝はサイタマサイクルプロジェクトの松崎琢仁。
「キツい戦いとなったが、昨年も同い年でライバル的存在の藤田涼平が優勝して本戦に出場しているので、勝ちに来ました」という。
サッカーの国際大会で使用されることで知られる総合競技場の外周道路やスタンド下の通路などを走る特設コースは、「踏み場所(全力で走る部分)が分からなかった」というが、ロードレースが得意という逸材は他の選手の記録を寄せつけずトップタイムを記録した。

自転車競技に目覚めた2014年に活躍していたアルベルト・コンタドールが憧れの選手という21歳。地元はこの日のコースや本大会にも近い川口市。飲食店でアルバイトをしながら練習を続ける。
「この日の(短い距離での)個人タイムトライアルを想定して、3分走や4分走を毎日5本やりました。優勝したのは初めてなのでそのうれしさもありますが、安心のほうが大きかった」という。

「本大会ではトップ選手に一泡吹かせるような走りがしたい」と意気込みを見せた。

ツール・ド・フランスさいたま出場権を獲得した(右から)松崎琢仁、福原大、佐藤伊織、廣瀬博子

女子は山岳にも強い廣瀬博子が優勝

女子の廣瀬博子(Pedalist)はU23で活躍する学生選手を制しての優勝。
「テクニカルなコースで苦戦しましたが、上りと下りで頑張りました」という。

もともとは上りが得意な選手で、富士ヒルクライムでは2018、2019年と女性エージクラスで2連覇している。近年はタイムトライアルでの実力を高めるトレーニングを行い、この日も目標とする大会に向けての実戦練習と位置づけ、勝てるとは思っていなかったという。

ツール・ド・フランスさいたまクリテリウムが開催される10月27日は、年代別の日本チャンピオンを決める全日本マスターズ選手権の個人タイムトライアルがある。
「それを目標にしていたので複雑な心境です。さいたま本大会には出ないつもりだったんですが、貴重な体験なので悩んでしまいます」

埼玉スタジアム2○○2の外周などを使って開催された一般参加イベント

新設のオーバー40枠は福原大がゲット

2019年から新設された男子40歳以上のクラスも優勝はサイタマサイクルプロジェクトの福原大だ。
「難しいコースで、どこでスピードに乗せるかが課題だった」と優勝後にコメント。

本大会は第1回から沿道で観戦するほどの自転車レースファン。同時に実業団E1クラスの群馬大会で優勝する実力も持つ。

「今年からオーバー40カテゴリーが誕生しなかったら、チームメートと争うことになったのでラッキーだった。本大会は家から近く、ツール・ド・フランスで大活躍したジュリアン・アラフィリップが来日したら抱きつきたい。大ベテランのアレハンドロ・バルベルデだっていまだに活躍しているんですから、まだまだいけるぞという走りをしたい」

ジュニア男子は葛西工業高の佐藤伊織

ジュニア男子優勝は葛西工業高2年の佐藤伊織。「昨年は知り合いの氏原真之介(埼玉・浦和北高)が優勝して本大会を走っていたので、優勝をねらって練習を頑張りました」

高校に自転車競技部はあるが、実力が抜きんでいているため練習内容は任されているという。トラックばかりでなくロード練習も積み、この日のために短時間で高負荷の練習を積み重ねてきた。

「ツール・ド・フランスさいたまはこれまで見にいっただけ。出場を決めて感無量です。ペテル・サガンに憧れています。将来はアシストとしてエースに貢献できるような、カッコいい走りがしたい」

チームエンデューロも大好評

1時間エンデューロ優勝の水谷鉄平さん、悠平くん、彩奈さんファミリー

この日の一般参加型イベントは2018年に新設された。2回目となる2019年も個人タイムトライアルとチームエンデューロの2種目のレースが実施され、第1回よりも3倍増の500人が参加した。チームエンデューロの成績上位や抽選で当たったチームには本大会の一般体験走行の出場権やオフィシャルエリア観戦席などが提供された。

新プロチーム「埼玉ディレーブ」の代表を務める長沼隆行
大宮アルディージャの塚本康史が前を行く浦和レッズOB土田尚史を猛追
YouTuberのけんたさんはGoProを胸につけてビデオ収録中
格闘技RIZINの水垣偉弥はマイバイクとマイジャージで参戦

●ツール・ド・フランスさいたまクリテリウムのホームページ

世界選手権新採用のミックスTTは2024パリ五輪でも有力

チームタイムトライアル・ミックスリレーが英国ヨークシャーで開催される世界選手権ロードで初めて採用された。男子3選手から女子3選手にバトンタッチして、トータルのタイムを競う新種目だが、2024年のパリ五輪でも有力視されている。

9月22日にヨークシャーで開幕する世界選手権ロードの初日はいきなり新種目のチームタイムトライアル・ミックスリレーだ。国別のチームタイムトライアル形式で、まず男子3選手がスタート。男子選手の2番手がフィニッシュラインを通過したら女子3選手がスタートする。最終的に男子選手の2番手がフィニッシュラインを通過したタイムが計測され、順位となる。

初採用の今回はベルギー、デンマーク、スペイン、フランス、英国、ドイツ、イタリア、オランダ、ロシア、スロベニア、スイス、UCIワールドサイクリングセンターが出場し、初代チャンピオンを争う。

2019年の欧州選手権でテスト開催されたチームタイムトライアル・ミックスリレー。このときはバウケ・モレマを擁するオランダが、2位ドイツ、3位イタリアを抑えて優勝した。UCI(国際自転車競技連合)は2024年のパリ五輪で実施することを目指してIOC(国際オリンピック委員会)と調整を重ねていくという。

●世界選手権ロードのホームページ

中根英登が新城幸也のアシストとして世界選手権出場

年に一度の世界王者決定戦、UCI世界選手権エリート男子ロードが9月29日に英国ヨークシャー地方で開催され、日本代表としてNIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネの中根英登が出場。日本のエース新城幸也のアシストとして、世界最高峰の舞台で戦う。

日本自転車競技連盟が9月19日、9月下旬に英国で開催されるUCIロード世界選手権の日本代表メンバーを発表。日本は男子エリートロードレースで出場2枠を獲得し、新城(バーレーン・メリダ)とともに、中根が日本代表に選出された。中根は2年連続で世界選手権に挑む。

現在29歳の中根は、日本を代表するクライマーとして活躍。2018年はツアー・オブ・ジャパンでアジア人選手最高位となる個人総合9位、ジャパンカップサイクルロードレースでも国内最高位の12位でゴール。日本代表としてオーストリアでの世界選手権に初出場し、アジア競技大会ではエースの別府史之(トレック・セガフレード)の銀メダル獲得に貢献し、自身も5位でゴールするなど、大きく飛躍するシーズンを送った。

しかし、今季は体調不良やクラッシュの影響から成績が伸び悩み、シーズン前半は厳しいものだったが、夏ごろから復調。9月18日にイタリアで開催されたUCIヨーロッパツアー1クラスのジロ・デッラ・トスカーナでは、抜群の登坂力を武器に2018年の18位という成績を上回る15位でフィニッシュ。ヨーロッパで価値のあるUCIポイントを獲得し、完全復調を実感。自信をもって10日後に開催される世界選手権に挑む。

英国で初開催となる2019年のUCIロード世界選手権は、9月21日にパラサイクリング部門からスタートし、最終日の29日に男子エリートのロードレースが開催される。男子エリートは、リーズをスタートしたのち、3つの山岳を通過してハロゲイトの周回コースを7周回する285km。起伏に富んだチャレンジングなコース設定になっている。

またNIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネからは、男子U23にトレーニーの石上優大(AVCエクサンプロヴァンス/EQADS)が出場、メカニックの西勉と南野求も日本代表チームのスタッフとして世界選手権に参加する。

中根英登のコメント
今年の世界選手権も日本代表として走らせてもらえることになりました。今季は最高のスタートを切れたものの、度重なるコンディションの崩れに加えてトレーニング中の事故と、厳しい状況が続いていました。チームが組んでくれたスケジュールのおかげで、自分にとっては長く感じていたトンネルからようやく脱出できたように思ってます。
直近のトスカーナのレースでは半年ぶりに身体の軽さと調子のよさを感じられたので、コンディションはいい具合に仕上がってきています。そのタイミングでの世界選手権への抜擢となり、自分を信頼してくれたナショナルチームに感謝しています。
アジア大会も急きょ抜擢してもらいましたが、今回は世界選手権。桁違いのレースレベルなので、アシストと言ってもそう簡単にはいきませんが、自分の最大限やれることをし、新城選手のアシストとしての仕事を全うしたいと思います。

UCI Road World Championships
UCIロード世界選手権
開催期間/2019年9月21日〜29日
     男子エリート・ロードレースは29日 
カテゴリー/世界選手権
開催地/英国ヨークシャー

●日本代表選手
監督:浅田顕(選手強化コーチ)
男子エリート(2名)
新城幸也(BAHRAIN-MERIDA)
中根英登(NIPPO – VINI FANTINI – FAIZANE’)
女子エリート(2名)
与那嶺恵理(Alé–Cipollini)*TT兼任
金子広美(イナーメ信濃山形)
男子U23(3名)
石上優大(EQADS)
松田祥位(EQADS)*TT兼任
今村駿介(中央大 / ブリヂストンサイクリング)*TT兼任
男子ジュニア(2名)
津田悠義(EQADS / 愛知県立三好高)*TT兼任
山田拓海(長野県飯田風越高)*TT兼任
女子ジュニア(1名)
岩元杏奈(日本体育大)

男子エリート・ロードレース Leeds > Harragate 285km
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