エタップ・デュ・ツール…本場の過酷さが分かる一般参加レース

エタップ・デュ・ツールはツール・ド・フランスの1ステージを走る一般参加レースだ。7月21日にフランスで開催され、日本を含む1万2760人のサイクリストがアルプスの山岳ステージに挑戦した。世界最高峰のレースの過酷さを実体験できるイベントで、主催はツール・ド・フランスと同じ運営会社ASO。プロ選手のスゴさが身をもって痛感できるはずだ。

2019エタップ・デュ・ツール ©A.S.O. Aurélien Valatte

世界トップクラスのプロ選手が走るツール・ド・フランスでは最終日前日の7月27日に開催されるアルベールビル~バルトランス間の第20ステー ジ。2019年で29回目を迎えたエタップ・デュ・ツールはこの過酷なステージが採用され、本番の6日前に一般参加レースとして開催された。エントリー数は1万5000人。世界中から憧れの大舞台に挑戦するために集まり、プロ選手に先駆けてこのコースに挑んだ。

本番レースの距離は130km。エタップ・デュ・ツールはパレード区間も競技距離となるため135km。つまり6日後にマイヨジョーヌを確定させる最後の勝負どころとスタートからゴールまでまったく同じコースを走るのである。その途中には標高1968mのコルメドロズラン、1190mのロンジュフォワの丘があり、最後は距離33.5km、平均勾配5.5%の上り坂を走って標高2365mのバルトランスにゴールする。

ツール・ド・フランス第20ステージは崩落の恐れで距離短縮

エントリー数は1万5000人。スタートに備えてブロックごとに整列する ©A.S.O. Aurélien Valatte

出場者は一般愛好家といっても相当練習している人たちばかりだ。日本からは北京五輪代表の元プロ選手、宮澤崇史さんも参加。最後は脚をつりながらも制限時間ギリギリで完走を果たした。

2019エタップ・デュ・ツール ©A.S.O. Aurélien Valatte

男子部門の優勝は4時間47分24秒でセドリック・デュボワさん。女子は5時間25分36秒でエドウィジュ・パテルさん(ともにフランス)。

「優勝を決めるためにゴールまで長い距離を残してアタックした。後続の選手たちが追ってきたところでスピードアップした。最後はちょっと差をつけられたかな」とプロ選手並みの作戦でトップフィニッシュしたデュボワさん。

セドリック・デュボワが独走で優勝 ©A.S.O. Aurélien Valatte

女子のパテルさんは残り15kmでパンクしたが、修理する時間を惜しんでそのまま走り続け、女子1位でゴールしたというのだから根性ある。

コースの沿道では住民のみならず、すでにツール・ド・フランス最終日前日の応援のために場所を確保しているバカンス客が大声援を送っていた。乗る人も見る人も自転車の楽しみ方を知っているのがさすが本場だと感じた。

2019エタップ・デュ・ツール ©A.S.O. Aurélien Valatte

●エタップ・デュ・ツールは日本からの参加も可能
●国際興業のエタップ・デュ・ツール参戦ツアーページ

石上優大 プルエバ・ビリャフランカで7位…キャリア最大の成績

石上優大(VC Aix en Provence/EQADS)が7月25日にスペインで行われたUCI1.1クラスのレース、プルエバ・ビリャフランカ・デ・オルディシアに日本ナショナルチームのメンバーとして出場し、7位になった。

プルエバ・ビリャフランカ・デ・オルディシアで7位の石上優大

夏期欧州遠征初戦は日本出発組6名に加え、欧州合流の石上の計7名でスペインのワンデーレースに参加。3km程度の勾配のある峠を含む周回コースで行われる今回のレースでは、適正とコンディションから増田と石上でUCIポイント圏内ゴールを狙った。

スタートから形成された11名の逃げに入部が入り、集団と2分前後の差で後半に突入。その後メイングループのペースアップとともに入部らは吸収され、本格的な展開が始まった。

石上優大は最優秀U23選手のトロフィーも獲得

好位置につけていた増田は序盤の落車の影響でメカトラに見舞われ位置を下げてしまったため、チームからは石上のみが約30人に絞られた先頭グループに残りゴールへと進んだ。最後は単独アタックしたモビスターのラファエル・バルスが逃げ切り、石上は2位以下の集団の6番目の7位でゴール。UCI欧州ツアーポイント35点を獲得した。

日本ナショナルチームは増田成幸(宇都宮ブリッツェン)、石橋学(ブリヂストンサイクリング)、入部正太郎(シマノレーシング)、小石祐馬(チーム右京)、雨澤毅明(Ljubljana Gusto Xaurum)、岡篤志(宇都宮ブリッツェン)で構成される。

優勝したラファエル・バルス(モビスター)は、山岳が多いことで知られる2015年のツアー・オブ・オマーンで総合優勝を果たした大ベテラン

●エカーズのホームページ

ベルナル初制覇を記念したDOGMA F12特別バージョンをピナレロが発売

マイヨジョーヌ100周年記念となった第106回ツール・ド・フランスでその黄色いジャージを獲得したエガン・ベルナル(イネオス)。2019ツール・ド・フランス総合優勝を記念して、エガン・ベルナルが最終ステージで使用したTDFイエローカラーのDOGMA F12を発売する。

また、エガン・ベルナルは総合優勝に加えて新人賞も合わせて獲得していて、それを記念したスペシャルカラーのDOGMA F12も発売する。

チームイネオス発足後初のツール・ド・フランスで総合優勝、そして2018年の覇者ゲラント・トーマスも総合2位に入るなど素晴らしい結果となった。ピナレロにとってもDOGMA F12発表の年であり、ツール・ド・フランス15回目の勝利を祝うスペシャルモデルとなった。

総合優勝を確実にしたベルナルを前年の覇者トーマスが祝福 ©Nico Vereecken/PNBettiniPhoto©2019
2019ツール・ド・フランス総合優勝のエガン・ベルナル ©Luca Bettini/BettiniPhoto©2019

DOGMA F12は最強マシン

DOGMA F12は、世界最高との呼び声が高いDOGMA F10をしのぎ、再びグランツールを制覇するバイクとなるべく開発、これまで蓄積された空気力学および構造力学的な知識や経験を生かし、「F」の称号を与えるにふさわしいバイクとなるようデザインされた。

開発にあたって特に留意された点は、エアロダイナミクス特性の向上、フレーム構造の軽量化と剛性アップ、最新コンポーネントとの互換性、ピナレロフィーリングの維持、これらを開発コンセプトとしてDOGMA F12は開発を進められた。

外部に露出している各種ケーブルの内装化を進め、ケーブルハウジングが受ける空気抵抗の85%を軽減。新しくDOGMA F12のために開発されたMOST Talon Ultraインテグレーテッドハンドルバーは、従来のTalon Aeroと比較して空気抵抗を5%軽減している。

新しいF12フロントフォークは、「ONDA」の形状を維持したまま空気抵抗を軽減するため側面が拡大されている。F10とF12のフロントフォークをCFD解析で比較した結果、F12フロントフォークは15.7%の空気抵抗軽減に成功した。

ダウンチューブ、ヘッドチューブ、ボトムブラケットなど、あらゆる箇所で空気抵抗を削減する試みを取り入れバイク単体で7.3%の空気抵抗を削減することに成功し、DOGMA F12とDOGMA F10で40km/hの同条件での走行を比較すると、DOGMA F12の方がパワーを8ワットセーブして走行できることが証明された。

ボトムブラケット~チェーンステイのエリアにおいて、パワー伝達効率の改善は、F10と比較して剛性が10%向上しているという。

DOGMA F12 ツール・ド・フランス マイヨジョーヌ スペシャルエディショ

DOGMA F12  Yellow TDF 2019
フレームセット 78万円(以下すべて税別)
DOGMA F12 DISK Yellow TDF 2019
フレームセット 81万円
MOST TALON ULTRA TDF Yellow Decal インテグレーテッドハンドル 11万6000円
※写真は選手の実車で、発売されるフレームセットのデザインとはデカールなど含め細部が異なり、手書きのサインは入らない

DOGMA F12 ツール・ド・フランス マイヨブランスペシャルエディション ©Makoto.AYANO/cyclowired.jp

DOGMA F12  White TDF 2019
フレームセット 86万円
DOGMA F12 DISK White TDF 2019
フレームセット89万円
MOST TALON ULTRA TDF White インテグレーテッドハンドル 13万2000円
※写真は選手の実車で、発売されるフレームセットのデザインとはデカールなど含め細部が異なり、手書きのサインは入らない

●カワシマサイクルサプライのホームページ

トレックがハイエンドサイクリングシューズXXX発売

トレック・ジャパンがハイエンドサイクリングシューズ、XXX Road Cycling Shoeを発売する。XXXシューズの新ラインナップは、レーサーが欲しがるハイパフォーマンスな見た目と機能をそのままに、フィットが改良された。

©Luc Claessen/Getty Images

XXXは快適性、機能性、パフォーマンス、スタイル、ラグジュアリーを究極レベルで求めるオンロードとオフロードのライダーやレーサーのために作られた。丈夫なBoaシステムを2個使い、中央から側面にかけて足を包み込む構造。しなやかなネオプレン製のタン、足上部の圧迫を軽減させるForm TXレースパターンを用いてシューズを改良した。

通気穴をシューズ全体に用い、通気性をさらに高めたことで快適さが向上している。さらに、外部にヒールカップを用いて、全力でペダルを踏み込んでも足を確実にホールドするようにし、完成度を高めた。

©Chris Graythen/Getty Images

XXX Road Cycling Shoe
重量:261g(サイズ42)
カラー:White
価格:3万7000円(税別)

Triple XはOCLV フルカーボンソールを採用、とても軽くて剛性に優れ、驚くほど効率的なパワー伝達を発揮

●トレックのホームページ

トレックがエンデュランスバイクDomane SLRとDomane SL発売

トレックジャパンがDomaneカーボンモデルのラインアップを完全に一新。最も速く、快適で、多才なエンデュランスバイクのDomane SLRとDomane SLを発売する。

新しいDomaneは史上最速。エアロなチューブ形状はMadoneと見間違えるほどだ。さらにインテグレーテッドケーブルの採用により、Domaneは旧モデルと比べ、1時間のライドで1分短縮する。バイクとボントレガーチームの長年の研究から、荒れた路面では太めのタイヤをやや低圧にセットして走り、路面を確実にとらえながら走る方が速いことが判明。Domaneの広いタイヤクリアランスや標準搭載する32mmタイヤとワイドリムの組み合わせなら、路面が荒れ出しても速く走れるという。

IsoSpeedも進化した。Domane SLRは、Madone SLRと共通のトップチューブ調整式IsoSpeedを採用、走り方に合わせたセッティングが可能に。旧型のDomane SLRと比べると、フレームサイズ56cmでIsoSpeedを最もソフトな設定にした場合、振動吸収性が27%高まっている。

IsoSpeedは減衰のためのダンパーも搭載していて、リバウンドも抑制している。Domane SLは従来と同じシートチューブ方式のIsoSpeedを採用し、多くのユーザーが多くのシチュエーションで快適に感じる振動吸収性を実現している。

また、Domane SLR/SL両方のタイヤクリアランスは、余裕を持って38mmのタイヤを履かせることができる。タイヤクリアランスを広げたことで、Domaneはより多様なライドに対応でき、フェンダーは35cタイヤと両立可能なので、雨の中でも走れるようになる。

新たにフレーム内蔵ストレージを採用し、ツールやギアをフレームの内部に収納できるようにした。ボントレガー Integrated Tool System (BITS) は、チューブ、タイヤレバー、CO2、CO2 ヘッドをダウンチューブ内に収める。サドルバッグよりもバイクの重心が下がり、走行性能も安定する。

ボトルケージは開けやすいストレージドアの上に取り付けられ、ボントレガーのマルチツールをストレージの蓋の裏側に保持し、メカトラブル発生時に素早く取り出せるようにした。またMadoneと共通のFlareテールライト用マウントを自動車から最も視認されやすい位置に、邪魔なストラップを使わず取り付けられる。

■ジオメトリーは?
従来と同じエンデュランスジオメトリーを採用します。Project Oneで展開していたプロエンデュランスジオメトリーは、数か月後を目途にラインアップに追加される予定です。新しいプロエンデュランスジオメトリーは、より多くのライダーをカバーするため、H1.5の新しいフィットを採用します。

■SLとSLRの違いは?
Domane SLは500 Series OCLV カーボンと、調整式でない従来のシートチューブ IsoSpeedを採用します。それ以外は、同じ素晴らしい特徴を共有します。

DomaneSL5

■最大タイヤサイズは?
Domaneには、最大38cまでのタイヤを履かせられます。ほとんどのDomaneは、内幅25mmのリムに32mmのタイヤを履かせて出荷されるため、トラクションと快適性はさらに太いタイヤを履かせることで向上できます。

■内蔵ストレージにはどんな物を入れられる?
BITS バッグとマルチツールをおすすめします。どのモデルもBITS バッグが付属しますが、マルチツールやパンク修理キットは付属しません。

DomaneSLR7

■T47とは?
最高の整備性と走行体験を提供するために、Chris Kingらによって開発されたT47 新規格を採用しました。T47を使うことで、ねじ切りBBの丈夫さや整備性の高さがもたらされます。BBをお買い求めの際は、ベアリング内装式のBBをお探しください。

■従来のT47と、Domaneで採用しているT47は異なる?
基本的には同じですが、BB シェルの両側を0.5mmずつ削っています。これにより、OE BB カップ用工具をたくさん買わないで済みます。最新のクランクシステムには1mm以上の許容誤差があるため、他のT47 BBでもDomaneに問題なく装着できます。

■フレーム重量は?
Domane SLRは、フレーム、ダウンチューブストレージ、IsoSpeed 取付金具を含めて1335gです。Domane SLは、フレーム、ダウンチューブストレージ、IsoSpeed 取付金具を含めて1365gです。

●トレックのホームページ

23年連続でツール・ド・フランス全日程を完走しました

ツール・ド・フランス取材者日記。アリベ・ア・パリ! 23年連続でツール・ド・フランス全日程を完走できました。これも取材者日記を読んでいただき、SNSなどで激励のお言葉を寄せいていただいたみなさんのおかげです。

23日間お世話になったサルドプレスのスタッフに持ってもらおうと思ったら、「これはあなたの国のファンが作ったものでしょ」とボクが写真に撮られるハメに
シャンゼリゼの観戦時は身分証明書の提示と荷物検査がある

最終日のステージは今回いくつかの変更点がありました。その1つはサルドプレスの場所が変わったこと。これはありがたかったです。

これまでサルドプレスはパリの西外れ、ポルトマイヨにあって、コースまでのアクセスが大変でした。シャンゼリゼは人だかりで時間をかけないと歩けないので、裏道を使ってコンコルド広場に行きましたが、今回はセレブがパーティーするパビリオンガブリエルです。歩いてすぐにフィニッシュライン!

サルドプレスはパビリオンガブリエル。窓から見える緑の向こうがフィニッシュライン
ボーラ・ハンスグローエの選手はゴールしたらピザをお腹いっぱい食べたいらしい

もうひとつはスタート時間が18時30分とかなり遅くなったこと。こちらのほうは後述しますが、ちょっと難点がありました。

今回はtravel wifiを利用しましたが、想像以上に使い勝手がよく便利でした。ピックアップはパリの空港なら複数カ所にあるツーリストインフォメーションに行けば短時間で受け取れます。その場でwifiネットワークに接続して、暗証番号を入力して正常に動くかチェックできるので安心。

返却は同封されている袋に入れて、街中のポストへ。日本で借りるより半額以下で利用できました。

travel wifiの返却は街中のポストへ

一方、毎度のことですがツール・ド・フランス滞在中に体重増えました! タンパク質の多い食事なので筋トレしてないのに骨格筋量増えるんですが、今回は体脂肪率が上がっちゃいました。またNHKの筋トレ体操頑張んなくちゃ。

レースは例年よりもスタートが遅かったので、全選手がゴールして表彰式が始まるころには20時過ぎ。いくつかのメディア向けに予定稿は書き上げていましたが、ゴールを見届けてから最終確認して送稿。すでに夜遅く、23時にはほとんどのお店が閉まってしまったので、残念ながら打ち上げができませんでした。

コンコルド広場に到着。数日前は熱波のパリもこの日はもう秋の気配

それでは日本にドゥミツール

フランスで最初に覚えたのが「ドゥミツール」。交通規制などで進行方向が封鎖され、「Uターンしろ」と命じられるときに聞きます。ツールは一周、ドゥミは半分という意味で、レストランで「ドゥミ・シルブプレ」と注文すれば中ジョッキが出てきます。

今回のツール・ド・フランスはフランスの東半分に偏ったコース設定なので、「二分の一ツール」なんて新聞の見出しに評されていました。でも東側にはドイツ国境に近いボージュ山系やアルプス山脈があり、例年以上に過酷なコースでもありました。熱波やなだれ、大自然の驚異にさらされることになりましたが、それがなくても総合成績は同じ結果になったと感じています。

初取材から30年、東京中日スポーツ派遣記者として全日程を追いかけて23年。無事にパリにがい旋しました! それでは日本にドゥミツール。

夜遅く、メトロでパリ郊外のホテルに戻りましょうか…

●プレゼント当選者の発表
ちあさん 第1回のEルクレール・Tシャツ&カスケット
cocoさん 第2回のEルクレール・Tシャツ&カスケット
lisaさん ブリュッセルのカスケット2点とLCL銀行キャップ
ご応募のみなさんからあたたかいメッセージをいただきました。心より御礼申し上げます。メルシーボクー。

2019年の実走距離は4898kmでした

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