ホセビセンテ・トリビオが吹雪のKINAN AACA CUP 開幕戦で優勝

KINAN Cycling Teamがホストを務める東海地区のロードレースシリーズ、「KINAN AACA CUP」の2019年シリーズが開幕。第1戦が1月26日、国営木曽三川公園長良川サービスセンター特設コースで開催された。吹雪の中でのレースとなった最上位カテゴリー1-1クラスは、小集団での争いとなり、ホセビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)が優勝。今シーズン最初の勝者となった。

吹雪により周回数短縮となったKINAN AACA CUP 開幕戦 ©KINAN Cycling Team / Midori SHIMIZU

東海地区のロードレースのレベル向上を目的に行われているが、シリーズ戦としてすっかり定着。近隣地域だけでなく全国各地から参加希望者が集まるとともに、実力やスキルによって細かくカテゴリー分けがされており、実際に走る選手の判断のもと、出場するレベルを選ぶことのできるメリットも大きい。

そして迎えた2019年の開幕戦。ホストを務めるKINAN Cycling Teamからは、スピードマンの雨乞竜己と荒井佑太がエントリー。この冬はシクロクロスに主眼を置いた雨乞と、KINAN Cycling Teamのジャージでは初のレースとなる荒井。ホストチームとしてはもとより、実力や実績的にも今節の注目選手に掲げられる存在となった。

この冬最も強いと言われた寒波は、長良川沿いのコースも例外ではなく、朝から雪が降る悪コンディション。それでも、シーズンインの場として選んだ選手たちが多数スタートラインへとならんだ。

最上位カテゴリーの1-1クラスは、5.1kmのコースを20周回する102kmで争われた。スタートからしばらくはアタックが散発したが、やがて狩野智也(マトリックスパワータグ)を含む2選手がリードを開始。レース中盤に入ってもそのまま先行を続けたが、スピードの上がったメイン集団が12周目で吸収。

 タイミングを同じくして雪と風が強さを増し、吹雪の中でのレースに。この状況下で7選手が集団から抜け出し、徐々にリードを広げていく。

終盤に向けて先頭グループとメイン集団との駆け引きが見ものとなるところだが、悪天候による選手の体調や安全面を考慮し、レースは予定から5周回減らして15周回へ短縮する判断が下される。

この決定の直前に先頭グループを形成した7選手がそのまま優勝争いへと移ることに。勝負はスプリントとなり、地力に勝るトリビオがトップでフィニッシュラインを通過した。

KINAN AACA CUPでは2019年から、キッズスクールを新設。中西健児アカデミーコーチが講師を務め、小学生を対象に集団走行などのレースに応用できるテクニックに加え、日ごろの安全な自転車走行につながる基本の走り方をレクチャー。実技では雨乞や荒井も加わるなど、プロ選手と一緒に走ることができるあたりもスクールの魅力となった。

なお、次節・第2戦は2月10日に愛知県新城市・新城総合公園内の特設コースで開催されることが決定している。すでにエントリーが開始しており、詳しくは公式ウェブサイト参照。(Photos, Text: 清水翠、Edit: 福光俊介)

雨乞竜己

雨乞竜己のコメント
「序盤のアタックは前方で見ていたが、風の影響や人数から、集団が吸収すると予測し終盤に備えていた。 シーズン初めなのもあり、集団内の脚が揃わずレースがハードに感じた。強度の高いシクロクロスの練習に重きを置いていたので、明日(東海シクロクロス第7戦・1月27日に終了)のシクロクロスが終わったらロード練習に切り替える。1年間走れる体を作りたい」

荒井佑太

荒井佑太のコメント
「有力チームの動きや気象条件の読めなさから、そのときのベストを選ぼうと雨乞さんと話していた。悪天候の中でのレースであったが、最後の勝負に絡めなかったのはとても悔しい。トラック競技で身につけたスプリント力を活かすためには、まずフィニッシュまでのサバイバルに残らないといけない。時間はかかると思うが、トレーニングを積んでロードレースに順応していきたい」

ジロ・デ・イタリアが恒例の各ステージ建造物ピンクイルミネーション

2019年5月11日に開幕する第102回ジロ・デ・イタリアは、スタートまであと102日となった1月30日に、全21ステージの開催地で歴史的建造物などをマリアローザにちなんだピンク色にライトアップするイベントが開催された。

Stage 1 – 11/05/2019 – Podestà palace in Bologna

2019年5月11日に開幕する第102回ジロ・デ・イタリアは総距離3518.5km、1ステージ平均167.5km。「地上で最も美しい場所で繰り広げられる一番タフなレース」の言葉どおり、非常に過酷なコース。

23日間のコースはイタリア半島の中にあるサンマリノ共和国に足を伸ばすだけで、ほぼイタリア国内を走る。個人タイムトライアルが3ステージあることが特徴で、スプリンター好みの起伏の少ないステージが6つ、中程度の山岳ステージが7、難易度の高い山岳ステージが5。頂上フィニッシュはボローニャとサンマリノで行われる個人タイムトライアルを含めて7つもある。

レオナルド・ダビンチの没後500年を弔う意で第3ステージはその出生地であるオルベテッロをスタートする。第7ステージのゴールは10年前の2009年に大震災に襲われたラクイラを訪れる。また1919年生まれのファウスト・コッピ生誕100年を記念して、故郷ピエモンテ州のノビリーグレにゴールする第11ステージ、クネオ~ピネローロ間を走る第12ステージが設定された。

大会中盤は第13、14ステージが厳しい山岳コース。さらに終盤は第16ステージが獲得標高としてこの大会最大の5700mを上る。大会最高峰の「チマコッピ」となる標高2618mのガビア峠も待ち構える。さらに第19、20ステージと超難関。そして最終日はベローナで個人タイムトライアルが行われ、最後まで総合優勝の行方がもつれる可能性を残す。

2019ジロ・デ・イタリア日程
5月11日(土) 第1ステージ ボローニャ〜ボローニャ(サンルーカ聖堂)8.2km(個人タイムトライアル)★★★
5月12日(日) 第2ステージ ボローニャ〜フチェッキオ 200km★★★
5月13日(月) 第3ステージ ビンチ〜オルベテッロ 219km★★
5月14日(火) 第4ステージ オルベテッロ〜フラスカーティ 228km★★
5月15日(水) 第5ステージ フラスカーティ〜テッラチーナ 140 km★
5月16日(木) 第6ステージ カッシーノ〜サンジョバンニロトンド 233km★★★
5月17日(金) 第7ステージ バスト〜ラクイラ 180 km★★
5月18日(土) 第8ステージ トルトレートリド〜ペザーロ 235km★★★
5月19日(日) 第9ステージ リッチョーネ〜サンマリノ 34.7km(個人タイムトライアル)★★★★
5月20日(月) 休息日
5月21日(火) 第10ステージ ラベンナ〜モデナ 147km★
5月22日(水) 第11ステージ カルピ〜ノビリーグレ 206km★
5月23日(木) 第12ステージ クネオ〜ピネローロ 146km★★★
5月24日(金) 第13ステージ ピネローロ〜チェレゾーレレアーレ 188km★★★★
5月25日(土) 第14ステージ サンバンサン〜クールマイユール 131km★★★★★
5月26日(日) 第15ステージ イブレア〜コモ 237km★★★★
5月27日(月) 休息日
5月28日(火) 第16ステージ ローベレ〜ポンテディレーニョ 226km★★★★★
5月29日(水) 第17ステージ コンメッザデューラ〜アンテルセルバ 180km★★★
5月30日(木) 第18ステージ バルダオーラ〜サンタマリアディサーラ 220km★
5月31日(金) 第19ステージ トレビーゾ〜サンマルティーノディカストロッツァ 151km★★★
6月1日(土) 第20ステージ フェルトレ〜クローチェダウーネ・モンテアベーナ 193km★★★★★
6月2日(日) 第21ステージ ベローナ 15.6km(個人タイムトライアル)★★★
★は難易度

ジロ・デ・イタリア特集サイト

雨乞竜己が東海シクロクロス2018-2019第7戦で独走優勝

東海地区各県を転戦するシクロクロスシリーズ「東海シクロクロス」2018-2019シーズンの第7戦が1月27日、愛知県一宮市の大野極楽寺公園で開催され、最上位カテゴリーであるC1カテゴリーにKINAN Cycling Teamの雨乞竜己が出場。ねらい通りのレース運びをし、2018年に続き同コースでの2連覇を果たした。

東海シクロクロス2018-2019第7戦で雨乞竜己が優勝 ©KINAN Cycling Team / Midori SHIMIZU

大野極楽寺公園の特設コースは芝生、舗装、砂利、階段とさまざまなパートが入り混じる難コース。長い直線もあり、ロードレースとシクロクロスとの並行選手にも上位をねらいやすいコースといわれる。

KINAN Cycling Teamはこの冬シクロクロスに主眼を置く雨乞が、最上位カテゴリーであるC1カテゴリー(60分)に参戦。前節の愛知牧場(1月13日)では、機材トラブルによりリタイアしていて、今回は立ち直りを図るレースでもある。レース前には「昨年勝っている好きなコースなので2連覇したい」と意気込み、存在感を示すにはこれ以上ない舞台が用意された。

そして迎えたレースでは、前方グリッドからのスタートを生かしてダッシュを試みる。同シリーズの上位ランカーとともに、序盤は5選手の先頭パック形勢。そのなかでも、雨乞を含む3選手が先頭ポジションを争い、激しい出入りが繰り返された。

パートによってはコース取りが展開に影響を与えると見られていたが、やがて先頭に立った雨乞はレースの流れに合わせて走行ラインを適宜チョイスしていく。階段セクション付近では、バイク乗降がタイムロスにつながると見るや、その脇を乗車したままクリアしていくなど、アグレッシブに進んでいく。ねらい通りにライバルとのタイム差を広げていき、スタートから30分を迎えるころには2位から約20秒のリードを奪った。

レース後半は余裕の走りとなった雨乞だが、攻めることはやめず後続との差をグングン広げていく。1周目のラップタイムによって設定される周回数は今回、11周と定められたが、フィニッシュを迎えるころには後続と1分以上のタイム差に。

完全な独壇場とし、会場に駆け付けたファンの目を奪ったその走り。最後の直線はコース脇に立つファンとハイタッチをしながらのウイニングライド。オープン参加だったものの実質1位だった2018年に続き、得意とするコースで完勝となった。

レース後には「ねらったポイントでライバルに差をつけられたことがよかった」と勝因を語った雨乞。表彰式では多くの人たちからの拍手と歓声を受け、表彰台の最上段で笑顔を見せた。

雨乞にとってKINAN Cycling Teamのジャージでは初の本格参戦となったシクロクロスシーズンだが、いよいよ“本職”であるロードレースへ目を向ける。今シーズンのシクロクロス参戦はこれで終え、ロードの調整へと移っていく。(Text: 清水翠、Edit: 福光俊介)

雨乞竜己

雨乞竜己のコメント
「シクロクロスは試走でのルート分析がとても重要。ねらい通りに先頭に出て、ねらったポイントで差をつけられてよかった。差が開いてからはシケインなどは慎重に越えつつも、直線では積極的に踏み込んでいった。
シーズン終盤は結果が出せなかったが、終わりよければすべてよし。自身のシーズン最終戦を優勝で締めくくることができてよかった」

ワレン・バルギルがマジョルカでシーズンイン

アルケア・サムシックのワレン・バルギル(フランス)が1月31日に地中海のマジョルカ当で開幕するチャレンジ・マジョルカで2019シーズンを始動することになった。「これまでとは異なるプログラムでシーズンインすることになった」と気持ちを引き締めている。

ワレン・バルギル

チーム名を新しくしたアルケア・サムシックはガボンで開催されたトロピカルアミッサボンゴで、新加入のアンドレイ・グライペル(ドイツ)がチームに初勝利をもたらした。4日間の日程で開催されるチャレンジ・マジョルカでは、そのグライペルとともにチームエースのバルギルが参戦する。

「マジョルカを走るのは初めて。コースはとても厳しいので困難な走りになると思うが、これまでなかったシーズンインとなるのでリズムをつかんでいいスタートを切りたい」とバルギル。

「昨シーズンの最後の勝利からチームは長い時間があったけど、グライペルが序盤に勝利してくれて、全体のモチベーションが高まった。ナンバーカードをつけて走ることにうれしさを感じる。100%のコンディションを目指してこれまで練習してきた成果が見つけられたらうれしい。新シーズンのモチベーションはとても高い」

3Tが2月7日にRapha Tokyoで新製品プレゼンテーション

イタリアンハイエンドバイクブランドの3T(スリーティー)が2019年発売予定の新製品発表会を行う。話題のコンプリートバイクなど注目の製品を展示、製品に関するプレゼンテーションも行う予定。

開始から17時までは招待状による入場制限を行い、17時30分より一般開放。入場無料。主催は自転車販売チェーン店のあさひ。

3T 2019年新製品発表会
会場:Rapha Tokyo
東京都渋谷区千駄ヶ谷3丁目1-6
日程:2019年2月7日(木)
一般ユーザー入場時間:17:30〜20:30(プレゼンテーション:19:00〜19:30)
入場は無料

中根英登がブエルタ・ア・サンフアン第2Sで10位と健闘

NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネの2019年初戦となるアルゼンチンでのブエルタ・ア・サンフアン。1月28日(日本時間同29日)に開催された第2ステージで中根英登が大健闘した。

NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネの中根英登

1月27日に開幕した南米アルゼンチン最大のステージレース「ブエルタ・ア・サンフアン(UCIアメリカツアー2.1)」。28日(日本時間29日)に開催された第2ステージは、40度に達する厳しい暑さのために、スタート時間が30分ほど遅くなり、さらに終盤に設定された3級山岳を含む周回コースが4周回から3周回に変更。走行距離も160kmから134kmに短縮された。

NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネは、3級山岳山頂フィニッシュというコースレイアウトのため、好調な中根、2人のネオプロ・コロンビア人アコスタとオソリオをエースにして戦う作戦でスタートした。

7名の逃げが先行する展開でレースは進んでいき、強い風も吹いたために落車も頻発し、ややナーバスなステージとなった。フィニッシュラインに向かう登坂区間を前に、最後まで逃げていたイスラエルサイクリングアカデミーの選手が集団に吸収されたが、その時点で集団は80名ほどに小さくなっていた。最後の登坂区間では、ナイロ・キンタナを擁するモビスターら強豪チームがペースアップを図り、集団は急激に小さくなっていく。

ブエルタ・ア・サンフアンの第2ステージ ©Roberto Bettini/BettiniPhoto

そして残り3kmを切って優勝候補でもあるジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)がアタックを仕掛け、キンタナとティシュ・ベノート(ロット・スーダル)が反応し、先頭は3名に。中根とアコスタが35名ほどになった追走集団に食らいつく。追走集団はアラフィリップをとらえることはできなかったが、勝者と同タイムでのスプリントとなり、中根が区間10位、アコスタが区間29位でフィニッシュした。

同集団には格上カテゴリーの、世界のトップレースで活躍するワールドツアー選手がひしめいていて、そのなかでトップ10の好成績を残したことは、中根にとって大きな自信につながる素晴らしい結果となる。しかも中根はこの結果に満足しておらず、ここをステップとして、さらに上を目指していきたいという。

中根英登
中根英登のコメント
クライマーの総合順位を落とさぬようにゴールすることを最優先にしてスタートした。アタック合戦で一時自分とダミアーノ・チーマを含む20人くらいが先行する時があったがこれは長く続かず、地元チーム中心に7人の逃げを容認して集団は落ち着く。チーマ兄弟が何度も補給に行ってくれて、水を身体にかけながら強烈な暑さをしのぐ。周回コースに入り、風が強いために平坦路での位置取りが毎回ナーバス。昨日よりも落車が多く発生したが、巻き込まれることなく最終周回へ。
上りの麓までの平坦路でチーマ兄弟の素晴らしいアシストを受けて、ストレスなく落ち着いて上りへ突入。頂上手前で強烈なアタックがかかり、集団が活性化。少し後ろにいたためにそのアタックについていくチャレンジはできず、その追走集団で頂上通過。サガンがいたために、ボーラのアシストが強烈に牽引するが、追いつくことはできずに追走集団でのスプリントにチャレンジしてステージ10位だった。
チーマ兄弟はボクらを信頼して1日通して素晴らしいアシストをしてくれたことに感謝したい。最後の強烈なアタックに反応するための位置にいるために、もっと脚を使って前にいかなければならなかったし、集団スプリントでの仕掛けるタイミングや位置ももっと改善できるはず。次はトップ3に食い込むために、そしてステージ優勝を目指して、このステージの経験を次に生かしていきたい。