河端朋之がトラックワールドカップ第6戦ケイリンで2位

1月24日に27日に香港で開催されているUCIトラックワールドカップ第6戦(全6戦)は、大会3日目の26日に男子ケイリン決勝が行われ、河端朋之が2位になった。優勝はオランダのテオ・ボス(ビートサイクリング)。

トラックワールドカップ第6戦の男子ケイリンで優勝したテオ・ボスを中央に左が2位河端朋之、右が3位オ・ジェソク ©2019 JCF

男子ケイリンは日本から河端の他に新田祐大が出場し、2名ともに決勝に進出。決勝では河端が4番手から猛然と追い上げるもわずかに届かず2位。新田は後方から伸びきれず4位となった。

男子オムニアムでは橋本英也がメダル争いから僅差の7位に入り健闘。またオリンピック出場を目指す女子マディソンも中村妃智、古山稀絵のコンビが11位となってポイントを積み上げた。

河端朋之のコメント
ワールドカップ第5戦に行かず、トレーニングとコンディショニングをしっかりできたので体は仕上がっていた。位置取りは後方だったが、取れたとこから自分で行くだけ。届いてほしかったが、そこは力不足だった。

ラックワールドカップ第6戦の男子ケイリンで優勝したテオ・ボス(右)。左は2位河端朋之 ©2019 JCF

●レース結果
男子ケイリン
1 テオ・ボス(オランダ)
2 河端朋之(日本/JPC)
3 オ・ジェソク(韓国)
4 新田祐大(日本)

男子オムニアム
7 橋本英也(日本)95点

女子スプリント
16 小林優香(日本/ドリームシーカー)
24 太田りゆ(日本)

女子マディソン
11 日本(中村妃智、古山稀絵)

最難関のニュージーランド第4ステージでトマ・ルバが5位

ニュージーランド サイクルクラシック(UCIオセアニアツアー2.2)は、1月26日に第4ステージを実施。今大会最難関ステージとなったこの日はトマ・ルバが5位でフィニッシュ。個人総合でも5位につけ、順位アップに成功している。

ニュージーランド サイクルクラシック第4ステージでトマ・ルバが5位 ©KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

この大会の開幕以降、スプリントや要所でのアタックで存在感を示してきたKINAN Cycling Team。プロトン(集団)内での位置取りも含め、他チームからも一目置かれる立場となっていることをチーム全体が実感している。

そして迎える第4ステージは、難所のマウンガカワ・ヒルの頂上に設けられたフィニッシュを目指す143.8km。おおむね平坦基調の前半を経て、中盤からは起伏の激しい区間へ。74.5km地点にこの日最初の山岳ポイントが設けられて、その後は次々とアップダウンがやってくる。107.3km地点で1回目のマウンガカワ・ヒルを上り終えると、約36kmの周回へ。そして、最後に2回目のマウンガカワ・ヒル登坂が待ち受ける。登坂距離は約3km。平均勾配が6%で、頂上に近づくにつれて急勾配になっていく。

この大会のクイーンステージに臨むにあたってKINAN Cycling Teamは、好調のトマで勝負することを確認。残る4人のメンバーがアシストに従事し、重要局面でトマを前方へと送り込む役割を務める。

レースは、リアルスタートから20kmを過ぎたタイミングで数人が上りを利用して飛び出し、やがて8人による逃げグループを形成する。KINAN勢はこの動きに乗じず、メイン集団に待機。5選手がまとまって集団前方に位置し、重要な局面に向けて態勢を整えていく。この間、逃げグループとメイン集団は、最大で3分ほどのタイム差で推移した。

この日最初の山岳ポイントを迎えるあたりから、逃げと集団との差は縮小傾向に。逃げメンバーの協調体制が保たれず、追撃姿勢を見せ始めた集団とのタイム差は縮まっていく一方。これに合わせるかのように、KINAN勢も集団内でのポジションを固めて、次なる展開へと備えていく。

そんなメイン集団の情勢に変化が生まれたのは、100km地点を目前としたタイミング。繰り返しやってくる急坂区間に、人数が絞り込まれていく。KINAN勢もトマを前方へと送り出してアシストの役割をまっとう。序盤から逃げていた選手たちは吸収され、個人総合で首位に立つアーロン・ゲート(ニュージーランド、エヴォプロサイクリング)を含む2人が新たに先頭へ。トマは単騎となって第2グループで1回目のマウンガカワ・ヒルを上った。

フィニッシュを目指して進む約36kmの周回では、逃げる2人に対して14人ほどのメイン集団が追う構図。人数をそろえるチームが主に集団を牽引し、KINAN勢で1人残ったトマは虎視眈々とチャンスをうかがう。先を急ぐ先頭2人に対し、集団はわずかながらタイム差を縮めていく。そして、マウンガカワ・ヒルの上りに入って集団から数選手のアタックが生まれる。

この変化に懸命に食らいつき、前を目指すトマ。勢いに勝るライバルの先行こそ許したが、粘って上位戦線にとどまる。先頭では、集団から飛び出した選手が逃げていた2選手をパス。そのままフィニッシュへと向かっていった。

トップまではわずかに届かなかったトマだが、最終盤の絞り込みでしっかりと上位進出を固め、最後は5位でフィニッシュ。ステージ1位との差は12秒だった。

このステージでの結果が総合成績に大きく反映され、トマは個人総合でも5位に浮上。首位を守ったゲート選手との総合タイム差は1分31秒だが、同2位以降トップ10圏内は数秒単位の僅差となっており、最終結果が出るまでは予断を許さない状況が続いている。

なお、トマの上位進出を支えた大久保陣、山本大喜、中島康晴、新城雄大の4人もフィニッシュラインを通過。問題なく次のステージへと進出する。

ニュージーランド伝統のツアーは、残すところ1ステージ。大会の拠点都市であるケンブリッジを発着とする143.3km。スタート後、1周8kmの第1周回を8回まわり、進路をケンブリッジ方面へと戻しつつ同じく8kmの第2周回へ。ここも8周回して、ケンブリッジのフィニッシュ地点を目指す。平坦基調の1日は、スプリント勝負になる可能性が高い。KINAN Cycling Teamは、トマの総合成績を確定させることを大前提としつつ、大会を通じて調子を上げてきた大久保を軸としたスプリントにもトライしていく姿勢だ。

トマ・ルバのコメント
「ステージ優勝を狙って臨んだ。終盤は14人がリーダージャージを含む2人の逃げを追う展開となり、消耗を避けながら勝負どころを見極めていった。大事な局面でライバルのアタックを許してしまったのは自分のミス。

シーズン初戦の結果としては悪くない。ベストコンディションではないし、チームとしての動きについてもまだまだ話し合う必要がある。今後も連携を深めていきたい。明日もハードで、平坦ステージとあって自分向きではないが、できるだけのことはやって大会を終えたい」

RCSがジロ・デ・イタリアなど主催大会の出場チームを発表

ジロ・デ・イタリアなどを主催するイタリアのRCS社が1月25日にミラノで主催大会の出場チームを発表した。UCIワールドチームである18チームは全大会に出場する権利があり、第2カテゴリーのチームから各大会に主催者推薦枠が与えられた。

RCSが主催するUCIワールドツアーレースは、ジロ・デ・イタリア、ストラーデビアンケ、ティレーノ〜アドリアッティコ、ミラノサンレモ。秋に開催されるイル・ロンバルディアのみワイルドカードは後日発表となる。

自動出場権を獲得したUCIワールドチーム(18チーム)
アージェードゥーゼル・ラモンディアル(フランス)
アスタナ(カザフスタン)
バーレーン・メリダ(バーレーン)
ボーラ・ハンスグローエ(ドイツ)
CCC(ポーランド)
ドゥクーニンク・クイックステップ(ベルギー)
EFエデュケーションファースト(ドイツ)
グルパマFDJ(フランス)
ロット・スーダル(ベルギー)
ミッチェルトン・スコット(オーストラリア)
モビスター(スペイン)
ディメンションデータ(南アフリカ)
ユンボ・ビスマ(オランダ)
カチューシャ・アルペシン(スイス)
スカイ(英国)
サンウェブ(ドイツ)
トレック・セガフレード(ドイツ)
UAEエミレーツ(UAE)

2019ジロ・デ・イタリアのコースマップ(クリックで拡大)

ジロ・デ・イタリア(5月11日〜6月2日)
ワイルドカード4(22チーム、8人編成)

アンドローニジョカトリ・シデルメク(イタリア)
バルディアーニCSF(イタリア)
イスラエルサイクリングアカデミー(イスラエル)
NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ(イタリア)

ストラーデビアンケ(3月9日)
ワイルドカード3(21チーム、7人編成)

ネーリソットーリ・セッレイタリアKTM(イタリア)
NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ(イタリア)
ヴィタルコンセプトB&Bホテルズ(フランス)

2017ストラーデビアンケ。©LaPresse/Fabio Ferrari

ティレーノ〜アドリアッティコ(3月13〜19日)
ワイルドカード5(23チーム、7人編成)

バルディアーニCSF(イタリア)
コフィディス(フランス)
ガスプロム・ルスヴェロ(ロシア)
イスラエルサイクリングアカデミー(イスラエル)
ネーリソットーリ・セッレイタリアKTM(イタリア)

ミラノ〜サンレモ(3月23日)
ワイルドカード7(25チーム、7人編成)
アンドローニジョカトリ・シデルメク(イタリア)
バルディアーニCSF(イタリア)
コフィディス(フランス)
ディレクトエネルジー(フランス)
イスラエルサイクリングアカデミー(イスラエル)
ネーリソットーリ・セッレイタリアKTM(イタリア)
ノボノルディスク(米国)

トラックワールドカップ第6戦の男子チームスプリントで日本2位

2018-2019UCIトラックワールドカップ第6戦が1月24日から27日にかけて香港で行われ、大会2日目の25日に行われた男子チームスプリントで日本が銀メダルを獲得した。シリーズは全6戦で、今回が最終戦。

男子チームスプリントの雨谷一樹、新田祐大、深谷知広 ©2019 JCF

日本のメンバーは雨谷一樹、新田祐大、深谷知広の3選手。予選、1回戦をともに2番目のタイムで決勝へ進出し、決勝ではオーストラリアと対戦。わずかに届かず銀メダルとなった。

東京オリンピックでのチームスプリント出場枠を獲得することになれば、ケイリン、スプリントにも2名づつの出場枠をもたらす。それだけに重要な種目で、今大会の2位は大きなポイントの加算となった。

日本男子チームスプリントはアテネ五輪で銀メダルを獲得した実績ある種目ながら、リオ五輪では出場を逃している。ワールドカップでのメダルは2012年10月以来、およそ6年ぶり。

雨谷一樹のコメント
予選から僅差の戦いで、1回戦勝てた(決勝進出を決めた)ことが一番大きい。決勝は自分としては今日一番の走りができた。世界選手権に向けてタイムをあげられるように頑張りたい。

トラックワールドカップ第6戦の男子チームスプリントで2位になった雨谷一樹、新田祐大、深谷知広 ©2019 JCF

●レース結果

男子チームスプリント
1 オーストラリア 43秒815
2 日本(雨谷、新田、深谷)44秒148
3 ポーランド 44秒202

男子チームパーシュート
10 日本(近谷涼、一丸尚伍、今村駿介、沢田桂太郎)4分03秒202

女子チームパーシュート
14 日本(中村妃智、吉川美穂、古山稀絵、橋本優弥)4分36秒733

NIPPO・ヴィーニファンティーニが3年ぶりにジロ・デ・イタリア参戦へ

NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネが5月に開催される三大ツールのひとつ、ジロ・デ・イタリアへのワイルドカードを獲得。2016年以来3年ぶりにイタリア最大のステージレースに出場することになった。

2019ジロ・デ・イタリアに出場するNIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ

イタリア最大のステージレース「ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)」を主催するRCSスポルト社が、1月25日に同レースへのワイルドカード(主催者招待枠)を発表し、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネが4枚のワイルドカードのうちの1枚を獲得。2015年、16年以来、3年ぶり3回目の出場が決ままった。ワイルドカードは、第二ディビジョンであるUCIプロコンチネンタルチームに与えられるもので、2019年は3つのイタリア籍チーム、そして2018年に引き続きイスラエルサイクリングアカデミーが獲得した。

ジロ・デ・イタリア2019 ワイルドカード獲得チーム
NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ(イタリア)
アンドローニジョカトリ・シデルメク(イタリア)
バルディアーニCSF(イタリア)
イスラエルサイクリングアカデミー(イスラエル)

2019年のジロ・デ・イタリアは、5月11日(土)にイタリア中部のボローニャで開幕し、全21ステージで構成される。3週間かけてイタリア全土を駆け抜けて、6月2日(日)にヴェローナで最終ステージを迎える。総走行距離は3,518.5km、厳しい山岳ステージは5つ設定されている。2019年で102回目の開催となり、長い歴史と伝統をまとったイタリアが世界に誇る美しくも過酷なレースだ。

また同時にRCSスポルト社は同社が主催する他のUCIワールドツアーレースへのワイルドカードを発表。NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネは3月9日に開催されるストラーデ・ビアンケ(イタリア/1.ワールドツアー)のワイルドカードも獲得した。

チームはスペイン・カルペでのトレーニングキャンプを終え、シーズン初戦は南米アルゼンチンで1月27日から2月3日まで開催されるブエルタ・ア・サンフアン(UCIアメリカツアー2.1)となる。
大門宏チームマネージャーのコメント
まずは主催者であるRCSスポルト社に対し、お礼を申し上げたい。また同社には、NIPPO岩田会長の新年挨拶としての本社訪問を快く受け入れて頂き、心から感謝している。しかも訪問した翌日(1月12日)にガゼッタ・デロ・スポルトの紙面であれだけ大きな記事を掲載していただいたことは、この新聞の影響力(日本の四大スポーツ新聞をはるかに超える規模)を知る自分にとっては衝撃的な出来事だった。大変失礼で意地悪な言い方かもしれないが、大きく紙面を飾った記事を見て、「でもジロ・デ・イタリアへの招待は許してね」という意味合いがこもった大サービスなのかと内心感じていた。

2015、16年に続き、3年ぶりのジロ・デ・イタリアの出場が叶ったことで、ファルネーゼヴィーニ社、ファイザネ社、デローザ社をはじめイタリアのスポンサー各社が全社員を挙げて歓喜している姿が思い浮び、本当にホッとしている。

特にファルネーゼヴィーニ社CEOのヴァンレンティーノ・ショッティ氏にとって、この2年間、ジロ・デ・イタリアに参加しないチームをサポートし続けることは決して穏やかではなかったと思う。 チームマネージャーのフランチェスコ・ペロージにとっても、この2シーズンはスポンサー探しで苦悩に満ちた仕事を強いられていたので、個人的には改めてイタリアのスポンサーにとって、ジロ・デ・イタリアへの出場がどれだけ重要な位置付けで大切なことか、彼らの側でつくづく痛感させられていた。

ジロ・デ・イタリアは過去2度、チームスタッフとして帯同したが、選手を支える立場のスタッフにとって、キャリアを積む最高の現場だと実感した。21日間、8台のチーム車両の走行距離は車によっては5000kmを優に超える。ほぼ毎日街やホテルを転々と移動するチームに随行し、得られる実体験は、なにものにも代えがたい。監督、メカニック、マッサー、広報、スポンサー関係者の方々、チームに関わる1人でも多くの日本人を随行させ、彼らの将来の活動に役立たせ、それが日本の自転車競技界の発展に貢献できることを願いたい。

日本のロードレースファンが最も注目していることは、日本人選手のメンバー入りが叶うのか…? という点だと思うが、まだシーズンが始まっていない今の段階では、コメントを控えたい。 今シーズン所属している日本人選手にとってヨーロッパ、アジアでのUCIポイントの獲得はあらゆる意味で至上命令。 ジロ・デ・イタリアを走ることになれば準備期間、回復期間含めて最低でも4ヶ月を犠牲にする必要がある。そのあたりのバランスが非常に難しい。

http://pressports.com/giro-ditalia/

NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ

大久保陣を8位へと送り込み連携強化…ニュージーランドサイクルクラシック第3S

KINAN Cycling Teamが参戦しているニュージーランドサイクルクラシック(UCIオセアニアツアー2.2)は1月25日に第3ステージを実施。152kmで争われ、チームはスプリントを託された大久保陣が最上位の8位でフィニッシュ。個人総合成績では、中島康晴が11位につけている。

ニュージーランドサイクルクラシック第3ステージ ©KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

大会は中盤戦へと突入。第1ステージで椿大志をリタイアで失ったものの、続く第2ステージではトマ・ルバが再三のアタックで見せ場を作った。中島は2日連続でスプリントに臨み、上位戦線に存在感を表している。

第3ステージは、テ・アワムトゥを発着するコース設定で、おおよそ8の字を描くようなルート。中盤にこのステージ唯一となる山岳ポイントを含む丘越えが待ち受け、いずれも距離が短いながらも5%前後の勾配の上りが断続的に登場。ここまではスタートからのアタック合戦が長く続く傾向にあるほか、風が強い区間だと集団が分断する場面が多い。そこに細かなアップダウンが加わって、選手たちの力を試すことになる。終盤は細かな上下はありつつもおおむね平坦基調。KINAN Cycling Teamとしてもスプリントはもとより、効果的な逃げや決定的なアタックにはしっかり対応していく姿勢で臨んだ。

レースはまず、30km地点までに5人の逃げグループが形成される。リアルスタート直後からのアタック合戦には新城雄大も加わったが、逃げに加わることはなくKINAN勢5選手はいずれもメイン集団に待機。逃げが決まって以降は、スプリントでのステージ争いに持ち込みたいチームとともに、集団前方で隊列を組んでレースを進める。

流れが一時的に変化したのは、63.6km地点に設定された山岳ポイントを目指しての上り。メイン集団のペースが上がり、先行する5人とのタイム差は一気に縮まる。山岳ポイントは逃げメンバーが確保するも、ほどなくして集団が吸収。代わって2選手が飛び出し、集団に対してリードを奪っていった。

KINAN勢はここも動じず、スプリンターチームとともに集団前方でレースを展開。逃げとメイン集団との差は最大で約3分となったが、フィニッシュまでの残り距離が40kmを切ったあたりからタイム差は縮小。集団有利の情勢となっていった。

勢いに勝ったメイン集団は、残り10kmを目前に逃げていた選手たちをキャッチ。スプリント勝負に向けて各チームが陣形を整えていく。KINAN勢は調子を上げてきた大久保でフィニッシュを狙っていくことに。トマの引き上げで好位置を確保し、他のメンバーもリードアウトに加わっていった。

残り700mで最終コーナーを抜け、フィニッシュへ向かっての上り基調。前方から加速した大久保はトップまでは届かずも上位戦線で勝負して8位。役割を果たした他のメンバーも、きっちりと走り終えている。

この大会で初めてスプリントを託された大久保だったが、アシスト陣との連携でまずは堅実にトップ10圏内で終えてみせた。最終局面へ持ち込むまでのリードアウトにまだまだ可能性は残されている印象で、残るステージも含めてスプリント連携の精度を高めていくことを目指す。

第3ステージまでを終えての総合では、中島が11位につけるほか、上位陣に近いタイム差で山本大喜が41位、トマも45位で続いている。

大会はいよいよ佳境を迎える。143.8kmで争われる第4ステージは、マウンガカワ・ヒルの頂上フィニッシュが待ち受ける。スタートから70kmを過ぎると次々と急坂が控え、107.3km地点で1回目のマウンガカワ・ヒルを登頂。そこから約36kmの周回コースを走り、最後は再びマウンガカワ・ヒルへ。最後の3kmは高度にして200m以上を一気に駆け上がる。総合成績を占ううえで大きなポイントになるクイーンステージ。KINAN Cycling Teamは好調のトマでの総合ジャンプアップを最大のミッションとしながら、中島や山本でも上位進出を狙っていく。

大久保陣

大久保陣のコメント
「第1、第2ステージとコンディション的に苦しんだが、徐々によくなってきて、みんなのサポートにも助けられながら今日はスプリントに臨むことができた。結果が出なかったことは残念だったが、長いシーズンを見据えながらスプリントまでの流れを固めていきたい。第5ステージでスプリントのチャンスが再びめぐってくると思うので、まずはそこまでに可能な範囲で修正していきたい。
個人的には調子はまだまだだが、強いチームの一員として走らせてもらっている以上、結果を出して信頼を得ていく必要があることは分かっている。スプリントに限らず、上りの厳しいステージでもアシストとして貢献できるよう走っていきたい」