パリの次にツール・ド・フランスが愛するポーの町とは

ツール・ド・フランス取材者日記第18ステージ。ルルドは世界中からキリスト教信者が集まるのでホテルにはこと欠きません。だからボクたち取材陣も「ルルドに行けばホテルはある」と頼り切っています。ここから40km離れたポーが105回の歴史があるツール・ド・フランスで70回も訪問しているので、必然的にルルドに宿泊する回数も多くなります。毎年2〜3泊はしているので、パリの滞在よりも多いですね。

ルルドで毎晩行われるミサ。生にすがる人たちがわずかな望みを求めて神にすがる光景に人生観が変わるほどの衝撃を受ける

いつもは駅近くのイビスホテルを利用していましたが、グロット(奇跡の泉がわき出る教会)の近くにある4つ星ホテルが2泊朝食付きで1万円弱で取れたので、イタリア系のホテルに泊まってみました。目の前のグロット通りが第19ステージのコースのようです。

これだけスタート地点に近いと困ったこともあります。クルマを駐車しているところがフェンスで取り囲まれて、出られないなんて事態になるんです。毎日ボクたち関係者はスタートの町に設定されたPPO(通過義務地点)にアクセスし、ここから役割や動き方によって駐車位置を指示されるんですが、ルルドはPPOがコースの向こう側に。ということはかなり面倒なことになるんです。

例えば皇居前からスタートするからといって、宿泊している東京駅八重洲口から入ろうとしてもダメ。首都高速の環状線に乗って新宿に向かい、新宿通りを使って四谷・半蔵門とたどっていかなければスタート地点に入れてもらえません。なんでこんな難しいことをするかといったら、フランス独特の町の作りに起因します。心臓部に教会があってマルシェがあって、かつて城郭があったところに環状線を備える。文化と歴史、伝統と宗教を理解しないと、このレースは会場までだって絶対にたどり着けません。

サルドプレスやチームが宿泊するホテルがある公園はフォーミュラカーの市街地サーキットでもある

で、連泊の気楽さがあってクルマ通勤なノリでルルドからポーへ。勝手知ったるサルドプレスに正午には乗り込んで、その他の原稿と最終日までに送稿する原稿の下書きをします。そんなときは選手が必死に逃げていてもテレビモニターなんか見もしません。結局ゴール手前で捕まるので。

大会もこの日が終わってあと3日。30年ほど取材していると最近はあっという間に大会終盤になってしまうことに気づく。以前は日本語を話す相手もいなく、とてもさみしくて早く日本に帰りたかったものだ。近年はSNSの普及で日本の自転車好きの人たちと交流できたりするので、単身で全日程を回っていても1人じゃないという頼もしさがある。

ツール・ド・フランスが終わると欧州の短い夏も終わりそうだ。あともう少し、頑張ればパリに着くかな。と、思って公式プログラムを見直したら、最終日にパリまでの800km陸路移動があるし。

ポーのサルドプレスは劇場。もう何十回も訪問している

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ピレネーのスキー場までサイクリストと上ってサイクリストと下る

ツール・ド・フランス取材者日記第17ステージ。前夜に宿泊した、大正時代のさびれた湯治場の唯一のいいところ。それはこの日のゴールまでとてもアクセスがいいところでした。いわゆる主催者が指定するオーコース(スタートからゴールまでの迂回路)の高速を降りたところにあったのです。だから一般道をピレネーに向けて南下すればゴールにたどり着けるのです。

F1並みのスタートグリッドにサルドプレスは大盛り上がり

ゴールとなるピレネーのスキー場までのアクセスは、アルプスのラルプデュエズのように交通規制はされていなかったので、一般サイクリストが必死で上る脇をかすめるように、接触しないように細心の注意を払ってクルマを走らせます。サイクリストを1人でも踏んだらツール・ド・フランス取材はやめる覚悟なので慎重に運転しています。

サンラリースランの上りは最初がとても厳しくて、マニュアル車はほぼ1速で登坂。サイクリストが道をふさぐたびに半クラッチで坂道発進。ひごろから筋トレしていないと確実に足がつります。

帰路は大渋滞となるのは必至。キリスト教の聖地ルルドにある、24時間フロント対応のホテルにしたので時間がかかっても安心だけど、できればすんなり下山したい。ゴール後に原稿を書いていると、次々に下山している車両がいるので、ボクも荷物をまとめて帰ることに。

コースでもなくゴールでもない、ピレネー山麓で原稿執筆

最初は飛ぶように下っていたのですが、途中で憲兵隊員に止められました。あと2台でふもとまで一瞬のうちにたどり着けるところだったのに。理由を聞けば、この時間は下り方面の進行はできないという命令書があるとのこと。それって計画段階の交通規制でしょと思ったけど、絶対に折れません。

ということで関係車両はすべてボクの後ろでスタック。上まで自転車で上っていたサイクリストもクルマの脇を続々と降りてきます。地元フランスチームのフォルテュネオとグルパマはサンラリースランのふもとにチームバスを駐めて、選手はゴールしたら15km自分で降りろという指示だったようで、ウインドブレーカーだけ羽織ったプロ選手の菅田も。表彰台に関係ないチームがよくやります。で、選手は笛を渡されて、接触を避けるためにピーピー鳴らしながら下ります。結構、笑える。

一般のサイクリストと一緒に下ってくるわけですが、やはり走り方なのか体つきなのか、ツール・ド・フランス出場選手だってひと目で分かりますね。 そんな光景を、融通のきかない憲兵隊員に1時間止められていたので観察していました。

サンラリースランからサントマリードカンパンに抜ける道。アスパン峠の南側にあったルート

ようやく解除になったあとはサンラリースランまで下り、アスパン峠の南にある狭い道を使って奇跡の泉がわき出るというルルドへ。

今回はホテルを変えて泉のわく洞窟近くにあるイタリア人経営のホテルへ。宿泊客は全員イタリア人です。21時には原稿を送れたので階下のレストランへ。さすがにイタリアというだけあって、パスタはちっと固めでおいしかったです。フランスのパスタはたいていゆですぎなんです。

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ジロ・デ・イタリア総合優勝を記念したピナレロ マリアローザ キャンペーン

ピナレロジャパンでは、ジロ・デ・イタリア第19ステージで今後伝説的に語り継がれるであろうチマコッピを含む80kmもの距離を独走で逃げてマリアローザを獲得したクリストファー・フルーム(スカイ)のジロ・デ・イタリア初制覇を記念したスペシャルなキャンペーン「ジロ・デ・イタリア #101 総合優勝 ピナレロ マリアローザ キャンペーン」を実施する。

フルームが獲得したマリアローザ

発表されたばかりのピナレロ2019モデルを成約した人にフルームのジロ・デ・イタリア初制覇を記念したスペシャルなセレブレーションTシャツを先着300人にプレゼント。

チームスカイ ジロ・デ・イタリア セレブレーションTシャツ

●キャンペーン概要
期間:2018/7/25~2018/8/6(Tシャツがなくなり次第キャンペーン締め切り日前でもプレゼントは終了)
対象:期間中に対象商品を成約した人(先着300名限定)
対象商品:ピナレロ 2019年度モデル
プレゼント賞品:チームスカイ ジロ・デ・イタリア セレブレーションTシャツ(サイズ指定はできません)
応募方法:対象商品の購入時にピナレロ販売店を通じてキャンペーン申し込み

ツール・ド・フランスでマイヨジョーヌを獲得したゲラント・トーマスを祝福するフルーム

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憲兵隊にコースインを拒絶され、大正時代の湯治場にチェックイン

ツール・ド・フランス取材者日記第16ステージ。この日は山岳ステージに加えて、距離が218kmと長いので、スタート時間がいつもよりかなり早い。日課のジョギングをしてからシャワーをすませると、窓から見えるアスタナ滞在ホテルのチームバスがない。すでにスタート地点に向けて出発しているのだ。

ひまわりって高さ2mほどあるので高いところから撮影しないと最前列の茎しか取れないのでご注意

ホテルのすぐ近くがコースだったので、ちょっと油断してしまいました。タイムテーブルを確認すると、もうすぐ広告キャラバン隊が通過する時間。取材陣にとって彼らの存在は結構ヤッカイなのです。できれば彼らに先行してコースインしてゴールに向かいたいのです。

そこで、スタート地点に向かわずにそのままコースに入ろうとしたのが間違いでした。たいていは入れてくれるんですが、この日のカルカッソンヌ憲兵隊はダメ。あのフェンス1枚越えればコースなのに。こういうときはどんなに口論しても絶対に入れてくれないので、次のアクセスルートに回ります。

ところがこの日は3回コースにアクセスしたんですが、どれもシャットアウト。若い女性憲兵隊員は判断がつかなかったらしく、上司に電話で問い合わせてもらいましたが、つたない返事に。

湯治場の滞在型レジデンス。キッチンと屋根裏にベッドルームがあって、1人で泊まっても数人で泊まっても8000円ほど

この日はクルマがすれ違えないほどの山道をつなぎ、とりあえずコースに合流しないようにしてゴールを目指しました。フランス中央部なら簡単なんですが、ピレネー山麓なので広い道がなく、距離が稼げません。いやあ、試練の1日でした。

トゥールーズから南のピレネー山麓にかけては見事なひまわり畑が丘の上まで広がっているんですが、そんなこともありすっかり楽しめました。選手への妨害行為が目に余るので、この日は憲兵隊が途中からコースインするのを許してくれなかったのかと思います。ひさしぶりにシビれました。

そしてこの日の宿は湯治場です。フランスの湯治場って完全にさびれた大正時代の感があって、あんまり好きじゃないんです。でも長期滞在型のキッチン付きのレジデンスは、ステューディオという呼び方なんですけど、屋根裏にダブルベッドの寝室があり、バスタブ付きの大きなサルドバン(浴室)があって、それなりに居心地いいです。でもこの町にはパンとピザを兼営したお店しかなく、そこで買い出しして部屋飲み。原稿を終えたあとにバスタブのお湯を満杯にして入浴しようと思ったのですが、深夜電力で給湯するタンクが途中で切れました。こんなときは朝風呂ですね。

さびれた大正時代の湯治場から中心街に行ってみたが、パンとピザ兼用のお店しかない

2回目の休息日の記者日記     第17ステージの記者日記

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大会も最終週…この快適なフランス一周の旅が終わっちゃうという哀愁

ツール・ド・フランス取材者日記休息日編。前日にゴールし、引き続き休息地となったカルカッソンヌは相変わらずツール・ド・フランスの臨戦モードです。すでに翌日のスタート地点の鉄柵などが置かれ、市民は思うようにクルマを動かすことができず困り果てた様子。GPSを起動させて目的地に向かおうとしても、重機ではないと動かせない重さのブロックが道の真ん中に置かれているので、ナビでは思うように進めません。この町の全体像を俯瞰(ふかん)しながらクルマを走らせました。

カルカッソンヌの旧市街

こうしてたどり着いたサルドプレスは一番乗り。外は30度くらいまで気温が上昇しているのに、カーテンを降ろした見本市会場はひんやりとしていて、長ズボンに履き替えないと寒いくらい。フランスは強烈な日差しを遮断する鎧戸があると、室内は思いのほか涼しいのです。だからエアコンのない家庭も多いんですよね。

画像データは通信環境のいいサルドプレスで処理や配信を済ませてしまい、残りの原稿などはホテルに帰ってか細いWi-Fiで送稿。この日の車の走行距離は16kmで、毎日300km走る日々の中でカラダと頭の両方がリラックスしできました。ツール・ド・フランスの休息日って選手のためでなく、すべての関係者のためにあるんだと信じています。

マンドを制したオマル・フライレが休息日にリラックスした姿で登場

カルカッソンヌは以前にホテル料金を奮発してシテと呼ばれる城郭の中に泊まったことがあるんですが、クルマの駐車がことのほか大変。のんびりと過ごして身体を休めることができたらそれでいいので、郊外型のチェーンホテルを選びました。すぐ近くにカジノ系のハイパーマルシェ、ジェアンがあって、レジも混雑していなかったので昼食兼用のディナーを買い出し。部屋のドアを開けっ放しにして、夕焼けが徐々に染まっていくのをながめつつ、原稿を書きつつ、質素なディナーを楽しんだのです。

もうすぐこのたびも終わりですね。日本は酷暑とのことですが、フランスは本当に快適です。もう少しだけこの旅を楽しみたいと思います。

海外旅行でよく迷子になる人はGPSデバイスの帰巣機能を使おう。そんな実証実験をしました。写真をクリックするとそのページに飛びます

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山本元喜が全日本ロード祝勝会…ファンと喜びを共有

全日本自転車競技選手権ロードの男子エリートで優勝した山本元喜を祝うイベントが7月20日、東京都稲城市のカフェ「CROSS COFFEE」で行われた。「全日本優勝おめでとう!KINAN Cycling Teamプレミアムトークショー!」と銘打たれ、キナンから山本元喜のほか、椿大志、中島康晴の3選手、加藤康則ゼネラルマネージャーが参加。応援してくれるファンとともに、ビッグな勝利を祝う機会が設けられた。

©︎KINAN Cycling Team / Midori SHIMIZU

会場となった「CROSS COFFEE」はチームのジャージサプライヤーである「Champion System Japan」が運営するサイクルカフェ。ウエアやシューズなどサイクリング用アパレルがセンスよく陳列された店内、さらには多摩川に近接という立地もありサイクリストの憩いの場となっている。そんな空間で催された祝勝会には平日にもかかわらず、多数のファンが駆け付け、Champion System Japan・棈木亮二代表、トニオ店長のあいさつに続き、参加者全員での乾杯で会はスタート。しばしの歓談で参加者同士の交流を深めた。

おいしい食事に舌鼓を打ちながら進行したトークショーでは、やはり全日本選手権の話題が中心。相次ぐ参加者からの質問では、ミーティングやレース中の連携など、チームの内情に迫るものも。レースの当事者である選手たちの言葉で「裏話」を聞くことができることこそ、このイベントの魅力となった。

改めて日本チャンピオンジャージをお披露目した山本は、レースを振り返って「7割の確率で大本命ではないかと感じるライバル選手がいた。まさか自分が勝てるとは思っていなかった」との本音を口にした。中島は「ベテランとして、若い選手が勝つことが喜びになっている。そして、ほかの選手たちも次こそはとの思いを持っているから心強い」。椿からは「信頼関係の勝利」と続く。そして、加藤GMが山本の優勝が決まってからも「怖さが先行してチームピットからなかなか出られなかった」ことをカミングアウトすると、店内は大盛り上がり。

チームのレース活動に大きな力を与えるChampion System社製品についても話は及び、2種類のタイプ(保湿性・速乾性)がありレース環境によって使い分けられること、疲労の原因となる紫外線をカットする能力の高さなどの機能性を紹介。また、ファンの間で話題になっている紺色のトレーニング用ジャージについて、選手の要望から生まれたものであるとの秘話も。会に参加したファンは一様に選手が着用するジャージに触れ、質感を確かめていた。

イベントの終盤には参加者全員によるじゃんけん大会、そして集合写真の撮影を行って、会はお開きに。閉会にあたって、加藤GMが「日本チャンピオンジャージを獲得できたのは、4年かけて作り上げたチームの集大成」と述べると、会場のファンからも「強さだけでなくチームの雰囲気や人柄も魅力だから応援したくなる」といった声も起こるなど、会の最後までお祝いムードに包まれていた。(Report:清水翠、Edit:福光俊介)

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