世界にはいろいろなロングライド(長距離サイクリング)イベントがある。3月3日と4日にイタリア中部で開催されるのは「ストラーデビアンケ」だ。イタリア語で「白い道」という意味で、未舗装路を含む丘陵コースを走破するのが特徴。白っぽい砂利道なので路面から白い埃が舞い上がる。それがレース名の由来だ。
3日にはこのルートで世界最高カテゴリーのプロレースがあり、翌日には5000人の参加者が白い道に挑む。プロと自分の実力を同じ物差しで測ることができるのが魅力。
イタリア中央部にあるローマよりもちょっと北。州都フィレンツェとともにトスカーナ州の代表的な古都であるシエナ。その周辺にはオリーブ畑の広がる美しい丘陵地があり、サイクリングするには絶好の環境だ。農作業などのために使用される道は、踏み固められているものの未舗装路。そんな道をつなぎ合わせるようにして舞台設定した自転車レースが、ストラーデビアンケだ。
プロロードレースとしてのストラーデビアンケは2017年からUCI(国際自転車競技連合)ワールドツアーという最高カテゴリーに昇格。主要大会の多くが100年以上の歴史を有するのに比べ、ストラーデビアンケは2018年で12回目の開催となる。男子レースは総距離184kmで、そのうち未舗装路は11カ所、合計63kmになる。レースはシエナからスタートし、周辺の丘陵地を走ってシエナに戻り、最後は激坂を上って町の中心となるカンポ広場にゴールする。
長距離サイクリング大会はイタリアでは「グランフォンド」と呼ばれる。一般参加のストラーデビアンケはジロ・デ・イタリアを主催するRCSスポルト社が運営する人気イベントで、引退したプロ選手らも参加した。要所に補給地点が設けられ、着順を争うトップ選手以外はマイペースでゴールを目指す。
2017年も5000人の参加者が砂利道に挑戦したのだが、この日は雨模様で参加者は泥まみれ。しかしゴール後は地元食材を使ったパスタがふるまわれ、参加者にも笑顔が戻った。こうしたロングライドイベントは、プロレースの激闘で使われるコースをゴールしたという達成感とともに、食や交流といった旅情も味わえるのが魅力。
ツール・ド・フランスの主催社ASOもプロレースとまったく同じコースを使った一般参加イベント「エタップ・デュ・ツール」を毎年開催している。日本からも参戦ツアーが催行するなどで足慣らしに挑戦する愛好者もいる。「自分が苦しんだコースをプロはとんでもないスピードで疾走していく。彼らのスゴさとともにツール・ド・フランスの過酷さを肌で感じることができる」と参加者。
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