休息日じゃなくて、これじゃ疲労日…ツール・ド・フランスで心身を癒す時間はない

ツール・ド・フランス取材者日記の休息日編。ベルギー国境のルーベからアルプスのアヌシーまでの長距離移動。その前日の第9ステージが終わってからランスまで200kmは南下していたので、この日は残りの580kmを走る必要がありました。最高速度130kmで突っ走るのも慣れなくて抜かれまくりでしたが、後半は一転して大渋滞に。ガソリン残量が少なくて、気が小さいボクはもうホントにドキドキ。

ラ・クルーザにあるホテル「モンターニュ」。2泊で120ユーロ

事故渋滞の高速道路を降りて、しばらくして見つけたスーパーマーケットの看板を目指して、さらに目的地を変更。田舎町にあったカルフールでようやく燃料を入れたんですけど、もうこの日はサルドプレスで仕事する時間がないので目的地をホテルに変更。

ところが頼りとした狭い道はまさかの土砂崩れで通行止め。岩だらけの林道があったのでスタックしながら迂回。そして、もうすぐホテルにたどり着くぞというときに空気圧の警告ランプが出て、ますます不安な気持ちに。フランス語のマニュアルを熟読したら、どうやら空気を入れ直せば解決しそうなので、心を落ち着かせてホテルにチェックインして原稿を2本。朝ごはんを最後に食事を取ってなかったので、午後9時にテラス席でサボワ料理。大ビール「グラン」を1杯だけにして、部屋に戻ってから残りの原稿を書く余力を残しておきました。

NBAバスケットのスーパースター、トニー・パーカーが休息日にツール・ド・フランスを訪問したそうです

グランリ(キンズサイズベッド)の清潔なシーツが心地よかったです。クルマが壊れていないという希望が持てたので、ちょっとだけ気を取り直し、長距離移動の疲れを取るために寝ることにしました。

この日の走行距離は結局600km超。祝杯をあげたかったが、まだクルマの安否が分からず

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アミアンを目指す途中でパリを通過。これからフランス一周かよっ!

ツール・ド・フランス取材者日記第8ステージ。あっという間に大会1週間が過ぎ去っていきました。ここまで順調で、なんの問題もありません。11カ月間、しっかりとカラダを鍛えてきたのが効果を発揮しているのだと実感しています。全日程を追いかけ始めた22年前は、本当にさみしい日々に耐えきれず、最終日を待ちこがれたものですが、最近は残り日程が名残惜しいです。おそらくこれはSNSの発達で、フランスにいながら日本のみなさんと気持ちを共有してできているからだと思います。

アミアン大聖堂 © CRT DIDIER RAUX

シャルトルを出発してこの日のゴール、アミアンまで。世界遺産の大聖堂を1日のうちに目撃できるなんてツール・ド・フランス記者冥利に尽きます。シャルトル大聖堂までの往復を軽くジョギングして、シャワーを浴びて、フランス革命記念日の飾り付けをしたテラスで朝食。

この日はいったんパリまでの高速道路。料金所でカード決済ができず、その昔なら焦ったと思いますが、こっちの人のやり方通り、後続で激怒している車両に向かって「だって、機会がダメなんだもん!」とお手上げポーズをして、モニターで指示を待ちました。

「マシンの右側に郵便ポストがあるでしょ。そこに現金を投げ込んでおいて」との指示。どこかのモニターで監視されているのか、ポストに現金を入れるとゲートが開いて通れるようになりました。別の手段では、後続車両の人に現金を渡して、その人のカードで決済してもらうという…。

気持ちよさそう。ボクもやってもらおう!

でパリ市街地を抜けていざ北上。ということは、これからフランス一周(泣)。

アミアンのサルドプレスはアイスホッケー場でしたが、氷が張ってなかったので寒くなくてありがたかったです。大会のモニターテレビの前に陣取らなくても、アリーナ中央に大型映像があって、どの席でもよく見えました。

そして市街地から3kmほどのホテルへ。ホテル周辺はレストランなどなにもなく、1kmほどのところにカルフールがあったので、カフェテリア利用かなと訪ねてみましたが、フランス革命記念日なので休業。スーパーそのものはやっていたので、長い行列に並んでこの日の夕食を調達したのです。

カルフールで調達したこの日のディナー

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さりげなく350kmの移動がありました…ひたすらシャルトルへ

ツール・ド・フランス取材者日記第7ステージ。快適なホテルだったので、この日はゴールのサルドプレスに急いで行かずに、部屋のデスクで原稿を執筆。午前11時にチェックアウトをして地下のガレージでゴール地点をGPS検索したら、「えっ! 距離350km。到着時間午後3時!」。前日のゴールから40kmしか離れていない町に宿を取ってしまったんですけど、大会は翌日のスタート地まで100kmほど東進していて、さらにレース距離が231kmほぼ一直線。

ラスト5kmからシャルトル大聖堂に向けてまっすぐの道。選手はどう見えるんだろう?

焦っても仕方ないので、心を落ち着かせて東へ。スタートの町を高速道路でパスすると、スタートを待たずに出発してきたチームバスが次々と登場。ボクは途中2回くらい休憩したので、各車それぞれ3回くらいパスした感じです。

ゴールはシャルトル。いつもの競馬場のところがゴールで、このあたりはシャルトルに泊まるときにジョギングしているのでよーく知っています。ウサギは原っぱにいて、かわいいんですけど、注意していないとウサギの掘った穴でねんざします。

この日は経費を浮かせるために郊外のHôtel Inn Design Chartres Resto Novo。ホテルズドットコムで41ユーロの支払い済みなんですけど、フロントでボクの名前を見つけられず。
「ブッキングドットコムですよね」
「いや、ホテルズドットコム」
「それ、結局同じです。でも見あたらないです」

シャルトル大聖堂は2度の失火によって右側の尖塔が重厚なロマネスク様式、左側が優美なゴシック様式に © C. Mouton – CRT Centre-Val de Loire

パソコンで予約状況のページを検索しているうちに、「あ、あった。エクスペディアですね」

よくシステムは分からないんですけど、フランスではどんな予約サイトを使っても最終的にエクスペディアに集約されるようです。

家族経営のホテルで、レストランもあったのでそこで夕食。ビールを飲みに来た人はいましたが、食事はボクだけで、ウエイトレスも庭に出て家族でおしゃべりをしたりしているので、こっちも完全リラックスでつくろげました。

翌日はゴールのアミアンまでのGPS入力を済ませて、走らなければいけない距離を確認した上で手洗い洗濯。朝のジョギングもいい感じで走れたので、元気百倍で第8ステージへ。

シャルトル大聖堂までジョギング。GPSデバイスはたぼの足跡が残せるだけでなく、迷子になったときに「スタートに戻る」が役立つ

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なんの気なしに予約したホテルがミシュラン掲載レストラン付き

ツール・ド・フランス取材者日記第6ステージ。ツール・ド・フランスがミュールドブルターニュを訪問したのは2011年、2015年に続いて3度目。ボクは全部行っていることになりますが、現地に到着するまでどんなところかまったく忘れています。サルドプレスに向かう最後の角を曲がって、見たことのある麦畑が視界に飛び込んできて、「ここか! ビュフェ料理がおいしいんだよな」とようやく記憶がよみがえります。

スタッフのランチ風景。彼らはしっかり仕事をこなしますが、楽しむことも忘れません

この日のサルドプレスはゴールとはまったく違う場所にある体育館。隣接する芝生の上にパラソルとチェアが並べられていて、エビとかビーフとかを鉄板で焼いてくれて、それらをシードルでいただきます。

この日のホテルはサルドプレスから25kmほどだったので、ちょっと油断してしまい、GPSの案内に従ってゴールをホストしたミュールドブルターニュの街中を突っ切るルートを選択。思いっきり大渋滞にはまりました。観客が路上駐車しているので相互通行の狭い道がすれ違いにくく、ゴールの丘の上から帰路を急ぐクルマが合流してなかなか進まず。

サルドプレスは体育館。壁を上ったら怒られますね。きょうはバックポケットのないサイクリングウエアで仕事中

こういったときは、いったんコースとは正反対の方向に脱出して、中心街を大きく迂回して目的地に向かったほうがいいです。もう22年もやっているのに学習機能がないです。平たん路はあまり渋滞しないのですが、こういった小さな町にゴールするときと、ミュールドブルターニュのように観戦ポイントが集中しているときに発生する事象です。

前日にF1ホテルで若いころの原点に戻り、日ごろの行いを反省したので、この日の夜はちょっといい感じのブリットホテル。小さな町の中心街にあるので、夜はどこに行こうかなと考えていて、チェックインしたらホテル内のレストランがミシュラン掲載店でした。

アペリティフでトラピストビール、ハウスワインをメインと一緒に楽しむつもりで、デザートもついて、お会計は30ユーロ

こんな田舎のホテルなのに、レストランがミシュランだ。しかもボクがいつも行くようなお店と料金はほぼ同じレベル。こんなおいしい料理を前にしてパソコンで原稿。ミシュランのレストランで原稿かよと怒られそうですが、ほとんどのテーブルがツール・ド・フランス取材陣なのでいいんです。「ツール・ド・フランスだから」というひと言で容認されます。

デザートはライスのキャラメルあぶり。このあと「フロマージュは?」、「カフェは」とか聞かれますが、ボクはいつもノンメルシーで、ラディション・シルブプレ(お会計を)というかわりに、部屋につけておいてと言えるのがホテル併設レストランのいいところです。

部屋もフロントの対応もとても気持ちよく、おいしいものを食べ、ベッドで疲れをいやすことができました。たまにF1ホテルに泊まるのも悪くないです。70ユーロほどの一般的なホテルですが、とても快適に感じるので。

ゆでたまごマシン。ホテルによって電熱線の強さが違うので、失敗する確率50%
こうしていったんちらかして、整理しながらバッグの中に収納するんです。最後まで着なかった服がないようにとか、忘れ物がないかとか

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カーペットを敷いただけのスケートリンクはさすがに寒い! ツール・ド・フランス日記

ツール・ド・フランス取材者日記の第3ステージ。心地よい海沿いのリゾートホテルもこの朝で最後。大会序盤は日本時間を引きずっているので午前3時に目が覚めてしまい、仕方なく原稿などを書きながら太陽が高くなるのを待ちます。シャワーの前にGPSを起動させてランニング。サッパリしてから朝食なんですが、こういったリゾートホテルは朝食が8時から10時までと遅く、スタートに間に合わなくなる可能性もあります。

外はかなり暑かったのでランニングウエアで来ちゃったんですが、さすがにアルプスのために用意した防寒具を取りに

2日間のお会計を済ませて100km離れたゴールのショレへ。サルドプレスと呼ばれるプレスセンターはまさかのパティノワール・ピシーヌの複合施設。前者はスケートリンク、後者はプールです。さすがに水の上で原稿は書けないので、この日のシゴト場は氷の上にカーペットを敷いたところに決定。外は結構暑くなっていたので入場時は気持ちよかったんですが、30分もしないうちにカラダの芯から冷えてきて、たまに外に出て暖を取る始末。

さすがの欧州記者もアルプスのために用意した防寒具を引っぱり出していましたが、それでも下半身は短パンじゃん! あまりにも寒くて、これでは原稿に集中できないと仕事仲間も退出しようとしていましたが、駐車場がコースに封じ込まれていて、レース後にフェンスを撤去しないと外にも出られない状態に。

チームタイムトライアルでトップタイムをたたき出したBMC © ASO

ボクはレース結果とマイヨジョーヌの行方を確認したのち、もうたまらず歩いてホテルに向かうことに。そうなんです。この日はなんとラッキーなことに歩いてすぐのところのカンパニールホテルを予約していたんです。

カンパニールはルーブルホテルグループの下から2番目のホテルなんですが、快適なのでボクは大好きです。作りが独特で、日本のアパートのように外に廊下があって、部屋はそれを回って入ります。オススメなのは必ず併設されているレストラン。取り放題のビュフェがあって、これにメインをつけて16ユーロほど。メゾンワインをつけて合計20ユーロほど。アンテラスと呼ばれるお庭の席もあるので、7月はとても気持ちいいのです。

で、この原稿もテラス席で書いています。パソコンを打っていても違和感ありません。部屋番号を伝えてあるので、酔っぱらったら「お代はつけておいて」とひとこと言えば部屋までたどり着けます。

カンパニールホテルはレストランが充実しているので、週に1回は予約するようにしています

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ツール・ド・フランスはスポーツであり冒険…表彰台を目指すバルデ

1985年を最後にツール・ド・フランスの総合優勝から遠ざかっているフランス勢。最も期待されるロマン・バルデ(AG2Rラモンディアル)が7月7日の開幕を前に、「過去に2度、表彰台に上っているが、今年もそれを目指す。チームとして強いので、達成できるように頑張りたい」と語った。

2018ツール・ド・フランスに出場するAG2Rラモンディアルの8選手

バルデはアルプス地方の出身で、山岳を得意とする。2016年総合2位、2017年総合3位。2015年から3大会連続でステージ1勝を挙げている。
「ツール・ド・フランスは1年をかけて計画的にトレーニングをして臨む大会だ。ボクたちはとても謙虚に準備をしてきた。1年の成果が試される。それはスポーツでもあり、人生における冒険だ」とバルデ。

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