一般参加できる日本初のアイスクロスダウンヒル大会は天候影響で急きょ中止

アイスクロスダウンヒル競技のシリーズ戦として世界各地で開催されているATSX大会の中で、一般参加者も挑戦しやすいATSX100が2月23日(土)に長野県の菅平パインビークスキー場で開催される予定だったが、21日の降雨の影響で中止となった。

ATSXシリーズとして最高峰の1000カテゴリーとなるレッドブル・クラッシュドアイス第2戦ユバスキュラ大会 ©Andreas Schaad/Red Bull Content Pool

大会は一般参加ができる日本初のATSX100レースとして注目され、24日(日)には競技普及のための体験会も予定されていた。両日とも大雨によるコースコンディション悪化により、中止の判断をせざるを得なくなったという。

●日本アイスクロスダウンヒル協会より
私たちも初めての国内レース展開による、アイスクロスダウンヒル競技の発展と選手育成ならびに少しでも多くの方に競技を知ってもらう機会として、準備してまいりました。
菅平という本州のなかで雪が少なく、かつ気温が低い環境において、コース設営は順調に進んでいたものの、予想外の大雨により、安全にレースを開催することは不可能という判断となりました。
皆様のなかには、初めてコースを滑ることを楽しみにされてた方はもちろん、このレースをきっかけに世界選手権参戦を考えていた方、ちょっと挑戦してみようと申し込まれた方など多くの期待に応えられず、運営側としも非常に苦しい判断となります。
来シーズンには、再度開催に向けて、活動してまいりますので、引き続き、よろしくお願いいたします。

Red Bull⽩⿓⾛が6月16日開催…参加募集は2月22日から

エナジードリンクブランドのレッドブルが、6⽉16⽇(⽇)に熊本県下益城郡美⾥町で、⽇本⼀の⻑さを誇る3333 段の⽯段を駆け上がるレース「Red Bull ⽩⿓⾛(レッドブル・ハクリュウソウ)」を開催する。

© Jason Halayko/Red Bull Content Pool

この⼤会は北海道から沖縄まで全国各地から多くの参加者が集まる人気レース。エキスパート部⾨で優勝すると褒賞として男⼥それぞれの優勝者の名前が、ゴール地点に建てられている⼤会記念碑にそのタイムとともに刻まれる。

⽇本⼀⻑い⽯段3333段を含む、総距離3333mの上り坂レースは2015年の初開催から5 年⽬を迎える。2018年同様、レース前⽇の6⽉15⽇(⼟)に⾼校⽣・⼤学⽣を対象とした1チーム4名によるチーム戦も開催される。6⽉16⽇(⽇)の個⼈戦への参加者999⼈と、6⽉15⽇(⼟)の学⽣限定チーム戦への参加33チーム132名を、2⽉22⽇(⾦)12時より募集開始。

●Red Bull ⽩⿓⾛の参加者募集サイト

3333段の⽯段は、1200年の歴史を持つ釈迦院の表参道の御坂に1980年から8年かけて作られたという。完成当時は⽯段を上空から⾒ると、まるで⽩⿓がうねり昇る姿に⾒えたため、記念碑には「⽩⿓が昇るが如し⽯段は3333 段で⽇本⼀」と刻まれている。

日本一の長さを誇る3333段の石段を駆け上がるRed Bull白龍走 © Hirotada Arimori / Red Bull Content Pool

第5回Red Bull ⽩⿓⾛
会場: 美⾥町 ⽇本⼀の⽯段 (熊本県下益城郡美⾥町坂本)
エントリー⽅法:redbull.com/hakuryusou で申し込む(2/22 12:00〜エントリー開始予定)
エントリー締め切り:5⽉24⽇(⾦) 学⽣限定・個⼈戦ともに定員チーム数、⼈数に達し次第締め切り
主催: Red Bull ⽩⿓⾛ 実⾏委員会
後援: 美⾥町
協⼒: Universal Field

■学⽣限定チーム戦
開催⽇時: 6⽉15⽇(⼟) 13:00スタート (受付 10:00-11:30)
内容:  ⽇本⼀の⽯段3333段を含む3333mを駆け上がるチームリレーのタイムレース。各ランナーにチップを付け、スタート通過からゴール通過のタイム計測。チーム合計タイムで順位を決定。カットオフタイムはなし。
特典: 完⾛証、佐俣の湯⼊浴券
表彰: チーム1〜3位、個⼈1〜3位
定員: 33チーム132人(1チーム4名)
参加資格: ⾼校⽣、専⾨学校⽣、⼤学⽣(未成年の場合は保護者の同意が必要)
参加費: 1チーム4444 円(税込み、スポーツ障害保険含む)

■個⼈戦
開催⽇時: 6⽉16⽇(⽇) (受付8:30-10:30)
12:00スタート(⼀般男⼥)、13:00スタート(エキスパート男⼥)
内容:  ⽇本⼀の⽯段3333段を含む3333mを駆け上がる⼀⻫スタートのタイムレース。各ランナーにチップを付け、スタート通過からゴール通過のタイムを計測。カットオフタイムは60分
特典: 完⾛証、佐俣の湯⼊浴券
表彰: 男⼦と⼥⼦それぞれの1〜3位
エキスパート男⼥1位の名前とタイムを⽯段の横に建つ⼤会記念碑に刻印
定員: 999⼈(男⼥先着順)
参加資格: ⼀般:16歳以上の健康な男⼥(未成年の場合は保護者の同意が必要)
エキスパート:男⼦(過去実績35分以内)、⼥⼦(過去実績45分以内)
参加費: 4444円(税込み、スポーツ障害保険含む)

© Jason Halayko/Red Bull Content Pool

吉田安里沙17歳。レッドブル・クラッシュドアイスは第1章が終わったばかり

女子高生ながらインラインスケート全日本選手権2位の実力を持つ吉田安里沙が過激なウインタースポーツ、レッドブル・クラッシュドアイスに挑んだ。初の海外連戦で常に紙一重の予選落ち。その中でなにかをつかみかけ、このスポーツを突き詰めていこうと決意を固める。

決勝進出にタイムトライアル順位でひとつ届かなかった吉田安里沙

17歳の高校2年生。特設された氷のスロープを、アイスホッケーあるいはバイクモトクロスのような防具に身を包んだ4人が一斉にスタートし、2位までが勝ち上がる。クォーターファイナル、セミファイナルと選手が強豪ばかりに絞り込まれ、生き残った4選手が頂点をかけてファイナルに挑む。

吉田は小学3年生からインラインスケートを始める。この世界のスーパースターである安床ブラザーズ(安床エイト、武士)の指導のもと、現在JASPA(アグレッシブインラインスケート全日本選手権)女子2位の実力者に。さらには女子高生でありながらインラインスケートのインストラクターもしている。師匠である安床兄弟からのすすめで、レッドブル・クラッシュドアイスに挑戦することになった。

吉⽥安⾥沙 © Lisa-Marie Reiter / Red Bull Content Pool

2018年12月にアジアで初開催となる横浜大会が実現し、それに合わせて参入を目指す選手らがトレーニングを積み重ねた。日本代表選考で吉田は、アイスホッケー選手の佐藤つば冴に次ぐ女子2位で初出場を決めた。そして本番ではこの世界の第一人者である山本純子とともに予選を突破。ファイナル1回戦で敗退したものの、高い順応性を見せつけた。

横浜大会の最終結果は15位。年が変わってシリーズ第2戦となるユバスキュラ(フィンランド)へ。さらにロシアのイゴラで規模の小さい大会にも参戦。そして最終戦のボストンにすべてを懸けた。

「ロシアのイゴラとユバスキュラは氷面がボコボコだったのに対して、ボストンは氷がきれいなのにビックリしました。氷を見ただけでテンションが上がりました。普段からやっているインラインスケート寄りのコースだったので、滑っていて楽しかったです」と吉田。

しかし予選のタイムトライアルであと一歩の差で本戦に進めない。4人で一斉にスタートする本戦に出場することは、経験値の少ない吉田にとっては貴重な練習を兼ねる。それがタイムカットで経験することさえ阻まれる。

ユバスキュラは結局25位。ボストン(米国)では21位。最終的に世界選手権2018-19シーズンの女子総合18位という記録だけを残した。

吉田安里沙は初出場の横浜大会で予選を突破。日本女子選手で2人だけというファイナル進出を遂げた ©Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

「氷の上での練習はなかなかできませんが、それだけにその部分はまだ伸びしろになるんじゃないかなと思います。普段のインラインスケートと靴が変わるだけで、まったく違う動きが求められるので、(好成績を修めるのは)簡単じゃないと思います」

「この遠征で参戦した3つの大会すべてLCQ(本戦出場を目指す敗者復活戦)一歩手前で予選落ち。これが今の自分の実力なんやなってのが凄く分かりました」と自身のツイートでも自己分析。自分が出場できなかったレースを見ていて悔しさがこみ上げたという。それでも遠征を続けていくうちに確かな感触をつかむことができるようになり、最終戦ボストンでは一番いい滑りができたという。

「もっとこの世界で戦えるように、この遠征で学んだことを生かしてこれからも練習頑張っていきたいと思います!」

山本純子(左)と吉田安里沙

世界で最も過酷な400m走「RED BULL 400」が5月18日に大倉山ジャンプ場で開催へ

最高斜度37度の壁を駆け上がれ! 世界17カ国で開催される「RED BULL(レッドブル)400」が2017、2018年に続いて日本で行われることが決まった。2019年5月18日(土)に北海道札幌市の大倉山ジャンプ競技場で開催されることになり、その参加者募集が2月16日に始まった。

ゴールは視線の先にある © Suguru Saito / Red Bull Content Pool

個人フルディスタンス男女それぞれの勝者は7月にカナダのウィスラーで開催されるRED BULL 400世界選手権に招待される。

K点の壁では心拍数がほぼMAX

世界で最も過酷な400m走と言われるレースは、スタートから100mを過ぎたあたりからスロープの斜度が30度を超え、立ったまま登ることが困難になりはじめる。その後に待ち構える最高斜度37度に達するK点の壁では心拍数がほぼMAXに。高さ3mを超えるジャンプの踏み切り台とのギャップを埋めるために設置されたスロープをクリアして最後の100mへ。

立ったままでは登れない最大斜度37度のスロープ © Suguru Saito / Red Bull Content Pool

【RED BULL 400エントリー情報】
・個人フルディスタンス400m男子
・個人フルディスタンス400m女子
・男子400mリレー(男子4名)
・オープン400mリレー(男女混合または女子のみの4名)
・学生対抗400mリレー(4名全員が高校生・大学生・専門学校生、男女問わず)
・自衛隊隊員対抗400mリレー(4名全員が自衛隊員、男女問わず)
各カテゴリー定員に達し次第受け付け終了

【参加資格】16歳以上の健康な男女。20歳未満は保護者の承諾が必要。
【参加料】
・個人フルディスタンス(一般) 6000円/人
・個人フルディスタンス(学生) 3500円/人
・学生対抗リレー 1万円/チーム
・その他リレー 1万4000円/チーム
(税込み・スポーツ傷害保険含む) 【問い合わせ】Red Bull 400 大会事務局
070-3622-0001(平日10:00~18:00)info@deporte.jp
【協賛】SALOMON
【ルール】スキージャンプ競技場のスロープを一番上まで駆け上がるタイムレース
【定員】1000名
【参加特典】
・イベントロゴ入りオリジナルTシャツ
・イベントロゴ入りオリジナルナップサック
・完走メダル(完走者のみ)
・ランチ付き
・無料ボディーケアサービス(スポーツマッサージ/鍼灸)

レッドブル400の詳細・エントリーページ

レッドブル400の参戦記をレポートしてくれた反中祐介さん © Suguru Saito / Red Bull Content Pool

【GARMIN ForeAthlete 935 インプレ後編】ラン用デバイスを登山や自転車で使ってみた

ランニング用ウォッチのForeAthlete(フォアアスリート)935はランニングフォームの解析に役立つだけではなく、搭載されたGPSと光学式心拍計を駆使してさまざまなアウトドアアクティビティに活用できる。インプレ後編ではサイクリングと登山に使ってみた。

実走中の高低マップ。まずは標高1494mの峠をクリア。獲得標高は現在829m

最高機種なのであらゆるアクティビティに使える

数あるスポーツウォッチの中で持久系スポーツやアウトドアライフを充実させたいという目的で選択するなら、このForeAthlete 935のように心拍計とGPS機能を兼ね備えたモデルがいい。手首で計測できる光学式心拍計はわずらわしさがなく、継続的に練習するぞというモチベーションを長く維持させてくれる。胸にセンサーベルトを着ける心拍計のほうが正確なデータが取得できるといわれるが、一般向けには手首計測のほうがおすすめである。

そしてトレーニング成果をGPSによって取得し、それを心拍の変化と照らし合わせることで自分の苦手としている部分が分かるかも知れないし、さらなるステップアップのための指針になるはずだ。

西上州のぶどう峠。デバイス上に頂上までどれくらいか表示されるので本当に心強かった
パソコンのgaminconnect.comサイトで地図に通過点を打ち込んでいき、登山コースを作成する
丹沢の塔ノ岳までの登山コースを作成。予想タイムを入力しておくとそれに対する先行/遅延がデバイスで分かる
パソコンでコースを作成したらチャージングケーブルでデバイスに転送しておく

ForeAthlete 935はGPS/GLONASS/みちびき衛星に対応しているので、高層ビルに囲まれた都心部や谷間など環境が厳しい場所でも正確な位置を捕捉することが可能だ。ランニング用ウォッチでありながら気圧計が内蔵されていて、高度情報をリアルタイムで表示することもできる。ラン、自転車、水泳、トライアスロンのみならずハイキング、ボート、ゴルフ、スキー、SUPなどのアクティビティにも対応している。

屋外でのGPS衛星信号補足は最高レベルだ。ランニングで直径10mの環状交差点(ロータリー)をグルッと回ってみて、走り終わった後にスマホのGamin Connect Mobileアプリに取り込み、パソコンのgaminconnect.comサイトで確認してみると、実走ルートが三角形になっていた。10秒ほどでロータリーを1周したのでおそらく3秒ごとに現在位置を捕捉して記録していくのだろう。

スタートしてぶどう峠まで12.67kmを走行。所要時間は1時間24分15秒
設定時間よりも大幅に遅れているが、ここまで激しい上りだったので下りで巻き返せばいい

このツラい上りがあとどれくらいで終わるかが分かる!

サイクリングの活用方法の1つとしては、定番コースをGPSで記録し、タイム計測して練習成果をはかることが挙げられる。Garmin Connectサイトでコースを作成することもできるので、それをGSPウォッチに送り込んで記録計測することは意外と簡単。トレーニングでもいいし、景色を楽しむサイクリングでもいい。

今回は山岳サイクリストの聖地といわれる西上州の上野村にある2つの峠をパスする全長75kmのコースを事前にGarmin Connectサイト地図で作成し、それをGSPウォッチに送って実走することに。その先の高低差はどうなっているのか、峠の頂上やゴールまではあとどのくらいか、ゴールの到着時間は何時何分かなどが表示される。さらには目標タイムを設定しておけば、それに対してどのくらい遅れているのか先行しているのか、つまりパーソナルなペースメーカーになってくれるのである。

緑が予定コース。黒が実走コース。ゴールまであと66.6kmだ
この日2つ目の峠に突入する前にコンビニで補給。なんとかギリギリ体力が続くかなあ?
この日2つ目の十石峠に到着。最新デバイスの性能をいかんなく発揮して楽しくサイクリング

パソコンのGarmin Connectサイトでコース作成をしてみよう。「コース」という項目の歯車マーク(設定の意味)をプルダウンすると「コースの作成」という項目があるのでこれを選択する。Googleマップが出現するのでスタート地点を設定し、走行予定の道路をたどってゴールまで赤く表示されるルートを引く。その作業が完了したら名前を付けて「保存」する。高低表も自動的に地図下に表示されるので、上り坂の難易度が分かるのがうれしい。

作成が終わったら「デバイスへの送信」をクリックする。もちろんその前にデバイス(本体)とGarmin Connectのペアリングを済ませ、Bluetooth機能を立ち上げておく必要がある。パソコンならBluetoothのほかにANT+やデバイス充電時に使用するUSBチャージングケーブルで同期ができる。デバイスへの送信が済むと、本体画面にコースの名前が表示されるので、それを選択して出発とともにスタートボタンを押す。それと同時にGPSを補足してデータを取り始めるので、走ったあとは実績を確認することができる。

GPSによって現在位置が特定されていくのだから、作成した地図上のゴールまでの残り距離や予想到着時間が算出される。それがこの機能のメリットだ。つまり「峠まで」「ゴールまで」あとどのくらいかというのが把握できるのだ。こうしてコースを走破したら、それが実績としてGarmin Connectに記録されるので、毎年参加するイベントやお気に入りのルートでペース配分に不安を抱くことはないだろう。

西上州サイクリングの実績をスマホのGamin Connect Mobileアプリでチェック
西上州サイクリングの実走コースをパソコンのgaminconnect.comサイトでチェック
直径10mのロータリーを10秒ほどで走ってみるとこんな感じだった
塔ノ岳登山ルートも作成してスマホのGamin Connect Mobileアプリで確認

冒険の思い出がデータとして残るのがうれしい

実際にやってみるとこれがじつにいい。青色の高低マップは走った部分が緑色に変化していくので、峠の頂上まであとどのくらい上ればいいかが把握できる。これまで「あのコーナーを曲がれば頂上かな?」なんて淡い期待を何度も裏切られた経験があるので、これは安心。その先の情報が分かれば体力のコントロールも容易にできる。

丹沢の塔ノ岳登山でも地図を作成して使ってみたが、高低マップは同様にかなり使える。さらに、登山やハイキングモードでは積算の獲得標高が表示されるようになるので、これまでどのくらい上ったか、あとどのくらい上ればいいかがグラフと数字でチェックできる。インプレ記者は泳げないのでスイムには使えなかったが、内蔵される加速度センサーによって泳法を特定し、ストローク数やターン回数、休憩時間などがデータ取得できるらしい。 ForeAthlete 935はもはや単なるランニング用ウォッチではなく、マルチスポーツに対応する最新デバイスなのである。

登山モード。スタートからの距離、所要時間を表示。立ち止まっているのでスピードは0
ラップは距離と時間で自動的に区切ることができる。ペース変化をあとでチェックするときに便利
登山時の無理ないペースメークのために心拍数を常にチェックする
実走ルートの高低差の推移をデバイス上で確認する。これは下山時のもの
塔ノ岳までの実走ルートの高低差をデバイス上で確認する。やっぱり上りはキツい
登山時の心拍レベル。登山は緑色のゾーン3あたりで上るのがいいと思う

●Garmin特集ページへ

ガーミン GARMIN 光学式心拍センサー搭載モデル Fore Athlete935 Yellow 日本正規品 100174615

価格:62,424円
(2019/2/15 13:43時点)

あとに続く道を作っておきたい…レッドブル・クラッシュドアイスに挑んだ鈴木雅仁

元プロアイスホッケー選手、35歳の鈴木雅仁がレッドブル・クラッシュドアイス最終戦ボストン大会に参戦。83位という成績を残し、2018-19世界選手権シリーズで男子総合35位になった。

レッドブル・クラッシュドアイス最終戦ボストン大会で場進出を阻まれた鈴木雅仁

高校時代はインターハイ3連覇、大学でインカレ4連覇。アジアリーグでは日本、中国、韓国のチームに所属し、12シーズンで4回の優勝、米国NHLのトライアウト経験があるアイスホッケー界のエリートだ。昨シーズンまで韓国のアニャンハルラに所属していたが、一時は歩行困難になるほどのケガによりチームを離脱。新たな活躍の場としてレッドブル・クラッシュドアイスに挑戦した。

ボストン大会に日本からは、横浜で決勝に進出した山本純子、安床武士、山内斗真、吉田安里紗に加えて、横浜大会後にヨーロッパで開催されたATSX500、ATSX250、ATSX100の大会を転戦し、ポイントを獲得して出場権を獲得した鈴木が加わる。

ただし予選となるタイムトライアルでは2本ともミスでタイムが伸びない。LCQと呼ばれる敗者復活戦に最後の望みをかけて出走。最初のスタートはうまく決められたが、エッジが氷面に嫌われて後退。最後まで挽回できずに4人同走の4着で1回戦敗退した。

「やはりちょっと悔しいですけど、これが今の現実です。条件が整えばまた参加したいですが、フェンウェイパークという100年以上の歴史がある野球場で走れたということがいい思い出になると思います。ありがとうございます」と鈴木は公式インタビューで感謝の言葉を伝えた。

鈴木雅仁は2019年1月のATSX250オーストリア大会で4位になった ©Red Bull Content Pool

完敗の原因を「筋肉が弱いですね」と冷静に分析する。しかしそれは仕方ないことだ。プロのアイスホッケー選手として韓国リーグで戦っているときに、太ももの内側にある内転筋を断裂。普通の生活ができるようになったのは直前のことだ。

内転筋が切れてからも無理やりプレーをしていたというが、失意のうちに韓国から帰国し、リハビリに専念することを余儀なくされた。ところがリハビリの途中に今度は坐骨神経痛に見舞われ。歩行も困難になってしまう。

そんなとき、以前から興味があったレッドブル・クラッシュドアイスが横浜で開催されるニュースが舞い込んだ。

「いいタイミングでした。まあチャレンジしてダメだったらスポーツはあきらめようと思っていました」

練習会に参加し、徐々にアスリートとしてのキレを取り戻し、本大会の出場を果たすことになる。ただし初挑戦の横浜大会は本人としてふがいない成績に終わる。

アイスクロス・ダウンヒルは数年前から知っていたし、結構早い段階から興味もあった。

「ですけれど、アイスホッケー選手としてチームと契約していたし、やはりハイリスクです。もしケガをしたら企業もチームもそんな選手を雇うわけにはいかないですから」

ボストン大会の直前に行われた大会では日本勢男子で初めてファイナルに進出し、4位という好成績を修めた。だから最終戦のボストンにかける意気込みは強かった。それだけにファイナルを逃したことが悔やまれる。メジャーリーグの伝統ある野球場はファイナルが行われた大会2日目は盛り上がっていた。こんな最高の雰囲気の中を走りたかったのはいうまでもない。

「走りたかったですね。スタートがいいのは何戦か参加していくうちにまずまずだと分かっていた。あとは安定した走れないのが課題です」

練習時間がやはり強豪選手に比べて圧倒的に少ないという。練習できる環境に自分の生活を持っていけていない。アイスホッケー時代の貯金で遠征費を捻出し、スポンサー探しをするがそう簡単にはいかない。

「他選手は定職についてる人ばかりですが、ボクは無職。現実としてこのスポーツでプロアスリートとなれないのはわかっています」

鈴木雅仁はLCQ(敗者復活戦)で敗退し悲願のファイナル進出ならず

アイスホッケーほどスタミナが必要ではない。重要なのはそれよりもスキル、そしてそれを磨き上げる練習環境だ。当然、日本に常設アイストラックはない。

日本でアイスホッケーをやっている選手たちの現状も厳しいという。大学アイスホッケー部の所属選手も行き先を失い、社会人としては競技と離れた道を選択せざるを得ない。

「でも、これからの生き方ってもしかしたら違うかもしれません。クラッシュドアイスで若いうちからこれだけ世界中の選手と仲良くなれば、もしかしたらまた違ったチャンスに出会うことができ、これまでにない可能性がある。ボクは絶対そう思っています」

2018年10月に長男が誕生。ボストン大会の時点でまだ4カ月だ。 「父親として夢をあきらめたって言いたくはないですよ。ただ選手としてのボクはこの先、それほど長くないので、今は後身にいろんなこと残してあげられるように頑張っていきたい」

鈴木雅仁 ©Lisa-Marie Reiter / Red Bull Content Pool