自由気ままなロングライド“いなヴェロ”にキナン選手参加

自転車の街としておなじみの三重県いなべ市全域を舞台として、サイクリストが主役のビッグイベント「DENSO Presents いなべヴェロフェスタ2019 with KINAN Cycling Team(いなヴェロ)」が10月27日に開催された。イベント名の通り、KINAN Cycling Teamが2019年もゲスト参戦。市内各地での走行はもちろん、エイドステーションからのラジオ出演、ファンサービスと、選手たちは大忙しの1日を過ごした。

いなべヴェロフェスタ2019 ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

毎年5月のツアー・オブ・ジャパン(TOJ)では、KINAN Cycling Teamのホームステージとして選手たちを後押しするいなべ市。レース開催にとどまらず、今回のようなライドイベント、学校での自転車安全教室の実施など、年間を通してサイクリングを軸とした街おこしに力を入れる。なかでもこの「いなヴェロ」は街の全域を活用し、市内の人気スポットや特産品を販売するショップなども参画する一大イベント。

それだけにサイクリストに向けたホスピタリティも充実。「みんなに優しいロングライド」をコンセプトとし、走行距離やコース、通過するポイントに制限を設けず、参加者自身でルートセッティングできる“ライダーファースト”が特徴。参加ライダーたちを待ち受けるチェックポイントを15カ所設定し、そのうち5つは“いなべの食”を堪能できるエイドステーションを兼ねる。

加えて、世界的な自動車部品メーカー「デンソー」の大安製作所が“スペシャルポイント”となり、同県北勢地域のグルメイベント「美し国みえグルメフェア」「キッズヴェロフェスタ」と併催。そのほかにも、チェックポイント独自の「味のおもてなし」や、サイクリストの多くが知るところとなった三岐鉄道三岐線のサイクルトレインが西藤原駅から乗車可能であるなど、午後3時のフィニッシュタイムまで無限にいなべのよさを満喫できるロングライドとなった。

そんな“走って”“食べて”“楽しんで”の1日に2019年もKINAN Cycling Teamの選手たちがゲスト参加。山本元喜、椿大志、大久保陣、山本大喜、雨乞竜己、新城雄大の6選手が参加者とともにスタートラインから街のいたるところへと出発。この日ばかりはレースではなかなか見られないリラックスムード。みんなとともにエイドで補給をしたり、記念撮影に応じるなど、いつも以上にファンサービスにも力を入れた。

このイベントでは、「キナンdeスタンプラリー」と称して、選手たちを見つけてスタンプをゲットすると抽選でIRCタイヤ(1万3000円相当)が当たる特別企画も実施。参加者は一様にサイクリングを楽しみつつ、KINANメンバーの“探索”にも熱が入っていたよう。

また、この日はパーソナリティー役に徹した中島康晴を筆頭に、選手たちが地元ラジオ局「いなべFM」にもたびたび出演。コースに繰り出したメンバーによるチェックポイントからのレポートのほか、中島による参加者へのインタビューなど、その臨場感をリスナーへダイレクトに伝えることにも努めた。

約800人の参加者に恵まれた“いなヴェロ”。「KINANの選手たちに会えると聞いて参加を決めた」「有名店の味を確かめたくて」といった声や、「TOJのコースを体験できることをモチベーションに」など、参加動機はさまざま。それも、「自由気ままなロングライド」だからこそ。今年から市の中心部に地位する「北西市民会館」が主会場となったことで、走行ルートや立ち寄るチェックポイントのセレクトに幅が生まれたことも、イベントの成功の大きな要因となった。

●いなべヴェロフェスタ2019のホームページ

松﨑琢仁が個人タイムトライアル最速…ツール・ド・フランスさいたま

7回目の開催となるツール・ド・フランスさいたまクリテリウムは10月27日、さいたま新都心周辺の特設サーキットで個人タイムトライアルを開催し、予選大会から勝ち上がった松﨑琢仁(サイタマサイクルプロジェクト)が4分16秒27のトップタイムをたたき出した。

個人タイムトライアルの最速タイムをたたき出した松﨑琢仁(サイタマサイクルプロジェクト) ©Yuzuru SUNADA

ジュニアクラスでロードと個人タイムトライアルの全日本チャンピオンなった津田悠義(EQADS)は 4分18秒86。アマチュア・オーバー40枠で出場を果たした福原大は同20秒03、アマチュア・ジュニアクラスの佐藤伊織(プロジェクトアスリーチャー)は同21秒07と活躍が際立った。

オーバー40枠で出場を果たした福原大 ©Yuzuru SUNADA
廣瀬博子(ペダリスト)はヒルクライムレース年代別優勝の常連 ©Yuzuru SUNADA

女子クラスでは、ジュニア女子ポイントレースの世界チャンピオン、内野艶和(福岡・祐誠高)が4分46秒99でトップ。

パラサイクリングはカテゴリーや障がい程度の係数を反映しないネットタイムだけが計測され、木村和平(パイロットは倉林巧和)が4分18秒93、杉浦佳子が同53秒79で走った。

 ©Yuzuru SUNADA
2020東京パラリンピックを目指す藤井美穂 ©Yuzuru SUNADA

●ツール・ド・フランスさいたまクリテリウムのホームページ

新城幸也がツール・ド・フランスさいたまで初優勝

7回目の開催となるツール・ド・フランスさいたまクリテリウムは10月27日、さいたま新都心周辺の特設サーキットでクリテリウムメインレースを開催し、バーレーン・メリダの新城幸也が終盤に単独アタックを成功させ、ツール・ド・フランス総合優勝のエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス)、ブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝のプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ビスマ)を振り切って優勝した。

新城幸也がマイヨジョーヌのエガン・ベルナルとマイヨロホのプリモシュ・ログリッチェを振り切って優勝 ©Yuzuru SUNADA

日本勢がメインレースで優勝したのは初めて。新城はシーズン序盤に大ケガを負ったが、終盤戦にレース復帰。世界選手権にも出場し、この日は積極果敢な走りを見せつけて、悲願の優勝を果たした。

山岳賞ジャージのロマン・バルデ、世界ランキング3位のヤコブ・フグルサング ©Yuzuru SUNADA

支えてくれた人の顔が浮かんだ…新城幸也

残り2周で世界ランキング3位のヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)のスパートに反応した新城。先頭交代をしたときに後続との差を確認し、かなりの差があるとみて一気にアタック。フグルサングもあっという間に引き離していく。

「アタックが早すぎたので、うわー、ゴールまで長いなと後悔しましたよ」(新城)

遠藤の大歓声の中で残り1周を独走し、猛追してきたマイヨジョーヌのベルナル、マイヨロホのログリッチェを振り切ってガッツポーズで優勝した。

「安堵感とうれしさと一緒に、順番は覚えていませんが、支えてくださった多くの人たちの顔がたくさん、頭に浮かびました」と新城。

マイヨジョーヌのエガン・ベルナルと新城幸也 ©Yuzuru SUNADA

そしてわずかに及ばなかったベルナル。

「楽しかったし、コースもとても気に入った。観客のみなさんの雰囲気もとてもよかったですし、最終的に表彰台に上がれたので満足です」

来年の参戦予定をコメントするには時期が早いと言うが、「グランツールのどれか、ジロ・デ・イタリア、ツール・ド・フランス、ブエルタ・ア・エスパーニャのどれかで2019年と同じような成績を残したい」と語った。

ブエルタ・ア・エスパーニャのマイヨロホを着用するプリモシュ・ログリッチェ ©Yuzuru SUNADA

そして常にレースを主導し、最後は3位に食い込んだログリッチェ。

「素晴らしかったです。スキージャンプ選手時代に長野に来ているので来日は2回目ですが、観客のみなさんが熱く応援してくださったことが、とてもよかった」

並み居る海外の強豪を制してスプリントレースで優勝した黒枝は、「まだ若いので、2024年のパリ五輪などでメダルを取れる選手になりたいと思う」と決意を語った。

新城幸也がエガン・ベルナルとプリモシュ・ログリッチェを制して初優勝 ©Yuzuru SUNADA

クリテリウムメインレース
優勝:新城幸也(ツール・ド・フランスジャパンライダー)
2位:エガン・ベルナル(イネオス)
3位:プリモシュ・ログリッチェ(ユンボ・スマ)
ポイント賞:マッテオ・トレンティン(ミッチェルトン・スコット)
山岳賞:ロマン・バルデ(AG2Rラモンディアル)
敢闘賞:ヤコブ・フグルサング(プロチーム)
新人賞:エガン・ベルナル(イネオス)
チーム賞:ミッチェルトン・スコット
日本人チーム賞:チーム右京

優勝の新城幸也を中央に左が2位エガン・ベルナル、右が3位プリモシュ・ログリッチェ ©Yuzuru SUNADA

チームタイムトライアルレース
優勝:シマノレーシング

チームタイムトライアルはシマノレーシングが優勝。左から個人ロードのナショナルチャンピオンジャージを着る入部正太郎、一丸尚伍、中井唯晶 ©Yuzuru SUNADA

スプリントレース
優勝:黒枝咲哉(シマノレーシング)

スプリントレース決勝で黒枝咲哉が沢田桂太郎を制して優勝 ©Yuzuru SUNADA

●ツール・ド・フランスさいたまクリテリウムのホームページ

ツール・ド・フランスの精鋭が日本伝統の空手に挑戦

ツール・ド・フランスさいたまクリテリウムはレース前日の10月26日(土)、さいたま新都心にあるさいたまスーパーアリーナで「ツール・ド・フランス2020ルートプレゼンテーション」、「チームプレゼンテーション」、「さいたま市内交流会」を開催。イネオスのミハウ・クビアトコウスキーらが空手に、ツール・ド・フランス総合優勝のエガン・ベルナルらがサッカーに挑戦した。

伝統的な日本の空手に挑戦した(左から)新城幸也、リリアン・カルメジャーヌ、ミハウ・クビアトコウスキー、マッテオ・トレンティン、マルセル・キッテル氏 ©Yuzuru SUNADA

空手に挑戦したのはクビアトコウスキー、 トタル・ディレクトエネルジーのリリアン・カルメジャーヌ、ミッチェルトン・スコットのマッテオ・トレンティン、バーレーン・メリダの新城幸也、そして大会アンバサダーのマルセル・キッテル氏。

キッズレースに参加したマルセル・キッテル氏やエガン・ベルナル ©Yuzuru SUNADA

空手の始まりとして「礼」を指導してもらい、さらに「中段突き」。そして最後は「板割り」。自転車のトップ選手にケガをさせてはいけないという配慮からか、発泡スチロール割りとなったが、選手からは「板がよかったなあ」という言葉も。「帰国してから本格的に練習したい」という選手も。

チームプレゼンテーションに登壇したイネオスチーム ©Yuzuru SUNADA

また開催地さいたま市は浦和レッズと大宮アルディージャというJ1サッカー2チームが拠点とすることから、ツール・ド・フランス出場選手のベルナル、AG2Rラモンディアルのロマン・バルデ、ユンボ・ビスマのプリモシュ・ログリッチェ、アスタナのヤコブ・フグルサングが挑戦した。

この前日イベントはすべて観覧無料だった。

フランスの食材を味わうことができるさいたまるしぇを訪問したロマン・バルデ(中央)とマルセル・キッテル氏 ©Yuzuru SUNADA

この日選手らは夕方から前夜祭に参加。レースデーとなる27日は12時50分からスプリントレースの予選ラウンドが、13時30分からタイムトライアルが、そして14時55分からメインレースが開催される。

●ツール・ド・フランスさいたまクリテリウムのホームページ

新城幸也とクリストファー・フルームが病院訪問 ©SSC

売り切れ人気のネコ柄アイテムが防風ジャケットで復活

サイクリングアパレルの7ITA(セブンアイティーエー)は秋冬ウエアが好評。中でも人気のロングスリーブジャージがネコ柄アイテム。すぐに売切れてしまった7ITA Daydreaming Catが、防風ジャケットで復活した。取り扱いはセブンバイシクル

7ITAデイドリーミングキャット・ウィンタージャケット(ホワイト) 2万3100円

秋冬ウエアはこれが最終入荷分、再入荷はないという。特にXLやSは入荷数が少ないので、今ある商品も早期品切れが予想される。価格は2万3100円(税込み)。

7ITA Daydreaming Cat

好評のネコ柄シリーズ、2019年はフロントに散歩するネコ、バックにはボーっとしたり昼寝したり、伸びをしたりするネコと、おもちゃやエサなど楽しい雰囲気を醸し出している。

ジャケット本体には主に北欧のディーラー向けに開発された新素材を採用、保温性・防風性ともに高く厳冬期も強力にユーザーを守る。従来のWindfree素材に比べて少し厚手で、真冬の本格的ライドが初めての方にも安心感がある。

カジュアルなルックスでアフターライドでもおしゃれに着こなせる。
フロント・フルジッパー、3バックポケット。0-10℃対応。

●セブンバイシクルのホームページ

悪魔おじさん4年連続の来日…地球環境を真剣に考える

悪魔おじさん(エル・ディアブロ)の呼び名で世界中の自転車ファンに知られるドイツのディディ・センフトさんが2019年もツール・ド・フランスさいたまクリテリウムを応援するために来日した。10月25日、フランクフルト発の全日空224便で、定刻より10分遅れとなる午後3時過ぎに羽田空港に到着。同26日と27日にさいたま新都心駅周辺の大会会場に出没する計画。

10月25日午後に羽田空港に到着した悪魔おじさん。4回目の来日を果たした

「さいたま大会がツール・ド・フランスのエッセンスを持ち込んで展開するイベントである限り、私も来日するのである。日本のみなさんにすこしでも本場の雰囲気を味わってほしいです」と悪魔おじさん。

大会両日は、クリテリウムコースに隣接する2019サイクルフェスタ会場をベースとして活動。ブースA-25「悪魔おじさん“DIDI”のパネル展示 byクリーン工房」を訪れると出会えるチャンスがある。同ブースでは「ツール・ド・フランス名物、悪魔おじさんのパネル展示およびポストカード無料配布」を実施。

フランクフルトからの直行便で羽田空港に到着
今回の荷物は多少多め

大会を盛り上げるとともに、低炭素社会の実現に向けた取り組みの大切さを啓蒙する役割もこなす。

さいたま市は

環境省補助事業である、地域と連携したCO2排出削減促進事業『COOL CHOICE』のバッジを胸に貼るのもその姿勢の表れだ。

「自然環境の大切さを世界中の人が再確認し、未来へと続く美しい地球を守るため、ヤリをふりかざすのです」と来日第一声。

羽田空港でいきなりハイテンションの悪魔おじさん

●2019サイクルフェスタのホームページ