雨乞竜己が東海シクロクロス2018-2019第7戦で独走優勝

東海地区各県を転戦するシクロクロスシリーズ「東海シクロクロス」2018-2019シーズンの第7戦が1月27日、愛知県一宮市の大野極楽寺公園で開催され、最上位カテゴリーであるC1カテゴリーにKINAN Cycling Teamの雨乞竜己が出場。ねらい通りのレース運びをし、2018年に続き同コースでの2連覇を果たした。

東海シクロクロス2018-2019第7戦で雨乞竜己が優勝 ©KINAN Cycling Team / Midori SHIMIZU

大野極楽寺公園の特設コースは芝生、舗装、砂利、階段とさまざまなパートが入り混じる難コース。長い直線もあり、ロードレースとシクロクロスとの並行選手にも上位をねらいやすいコースといわれる。

KINAN Cycling Teamはこの冬シクロクロスに主眼を置く雨乞が、最上位カテゴリーであるC1カテゴリー(60分)に参戦。前節の愛知牧場(1月13日)では、機材トラブルによりリタイアしていて、今回は立ち直りを図るレースでもある。レース前には「昨年勝っている好きなコースなので2連覇したい」と意気込み、存在感を示すにはこれ以上ない舞台が用意された。

そして迎えたレースでは、前方グリッドからのスタートを生かしてダッシュを試みる。同シリーズの上位ランカーとともに、序盤は5選手の先頭パック形勢。そのなかでも、雨乞を含む3選手が先頭ポジションを争い、激しい出入りが繰り返された。

パートによってはコース取りが展開に影響を与えると見られていたが、やがて先頭に立った雨乞はレースの流れに合わせて走行ラインを適宜チョイスしていく。階段セクション付近では、バイク乗降がタイムロスにつながると見るや、その脇を乗車したままクリアしていくなど、アグレッシブに進んでいく。ねらい通りにライバルとのタイム差を広げていき、スタートから30分を迎えるころには2位から約20秒のリードを奪った。

レース後半は余裕の走りとなった雨乞だが、攻めることはやめず後続との差をグングン広げていく。1周目のラップタイムによって設定される周回数は今回、11周と定められたが、フィニッシュを迎えるころには後続と1分以上のタイム差に。

完全な独壇場とし、会場に駆け付けたファンの目を奪ったその走り。最後の直線はコース脇に立つファンとハイタッチをしながらのウイニングライド。オープン参加だったものの実質1位だった2018年に続き、得意とするコースで完勝となった。

レース後には「ねらったポイントでライバルに差をつけられたことがよかった」と勝因を語った雨乞。表彰式では多くの人たちからの拍手と歓声を受け、表彰台の最上段で笑顔を見せた。

雨乞にとってKINAN Cycling Teamのジャージでは初の本格参戦となったシクロクロスシーズンだが、いよいよ“本職”であるロードレースへ目を向ける。今シーズンのシクロクロス参戦はこれで終え、ロードの調整へと移っていく。(Text: 清水翠、Edit: 福光俊介)

雨乞竜己

雨乞竜己のコメント
「シクロクロスは試走でのルート分析がとても重要。ねらい通りに先頭に出て、ねらったポイントで差をつけられてよかった。差が開いてからはシケインなどは慎重に越えつつも、直線では積極的に踏み込んでいった。
シーズン終盤は結果が出せなかったが、終わりよければすべてよし。自身のシーズン最終戦を優勝で締めくくることができてよかった」

ニュージーランド サイクルクラシックはルバ総合5位、最終Sは大久保陣8位

KINAN Cycling Teamの2019年初戦、ニュージーランド サイクルクラシック(UCIオセアニアツアー2.2)は、1月27日の第5ステージをもって閉幕。個人総合ではトマ・ルバが5位として、UCIポイント15点を獲得。また、このステージはスプリントでの争いとなり、大久保陣が8位でフィニッシュしている。

ニュージーランド サイクルクラシック第5ステージ ©KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

23日に開幕した大会は、大久保や中島康晴がスプリントでステージ上位をうかがったほか、前日の第4ステージではトマが5位でフィニッシュ。総合争いが動くと見られたクイーンステージでまずまずの走りを見せ、チーム力を示してきた。

そしていよいよ最終日。第5ステージは、大会の拠点都市であるケンブリッジを発着点とする143.3km。スタート後、1周8kmの第1周回を8回まわり、進路をケンブリッジ方面へと戻しつつ同じく8kmの第2周回へ。ここも8周回して、ケンブリッジのフィニッシュ地点を目指す。平坦基調のステージに臨むにあたって、チームはトマの総合成績を確定させることを大前提としつつ、大会を通じて調子を上げてきた大久保を軸としたスプリントにもトライしていくことを確認した。

こうして始まったレースは、アタックが散発しつつも決定的な動きがないまま進行。KINAN勢は集団内に位置して序盤を過ごす。第1周回に入り、一時的に大人数が先行した際には中島が前方のチェックに動いたが、集団が容認することはなく再び一団に。スタートから50kmを迎えようかというタイミングで、ようやく4人の逃げが決まった。

以降も総合上位陣が絡む追走グループが形成されたが、リーダーチームのエヴォプロサイクリングを中心にメイン集団がレースをコントロール。先頭とのタイム差を2分15秒前後でキープし、第2周回でも着々と距離を消化していった。

この間、淡々とレースを進めたKINAN勢は、5人がまとまって展開。少しずつポジションを前へと上げていきながら、スプリント態勢を整えていった。

メイン集団は残り30kmを切ったあたりからスピードアップを図り、逃げる選手たちとのタイム差を縮めていく。完全に射程圏内へと捕らえ、やがて労せず吸収。勝負はスプリントにゆだねられた。

大久保での上位進出を狙うKINAN勢は、トマのポジションキープに始まり、山本大喜、新城雄大もリードアウトに加わる。そして中島の引き上げから大久保を加速させる構え。残り1kmは急斜面を下りながら最終の左コーナーへ。そして残り600mから一気に駆け上がり、フィニッシュへ飛び込む変則的なレイアウト。

このコース設定により集団前方が大混戦となる中、大久保は前方を押さえてスプリントを開始。最後はコンディションの差もありオーストラリア勢らの後塵を拝すも、8位とまとめてみせた。このほか、トマ、中島、新城と続き、しばらくして山本もフィニッシュラインを通過した。

これらの結果から、最終的にトマが前日からの個人総合5位を確定させた。UCIポイント15点をチームにもたらすとともに、シーズン初戦としてはまずまずの成果を収めた。シーズン初戦を終えた選手たちは一様に、長いシーズンを見越して調子を上げていくとともに、連携強化を図っていく必要性を実感。ニュージーランドでの5日間は収穫と課題を十二分に得た、刺激的なツアーとなった。

戦いを終えたチームは近日中に帰国し、トレーニングやイベント出演などをこなしていく予定。なお、次戦についても早い段階で公表できる見通しとなっている。

大久保陣

大久保陣のコメント
「スプリントまで持ち込むところは予定通りだったが、(変則レイアウトの)残り1kmは脚にきてしまっていた。目標としていた表彰台には届かなかったが、(8位に入った)第3ステージとは違った収穫が得られたので、さらに高めていきたい。
今大会はコンディション面で苦しんでしまい、スプリントにトライできたとはいえ表彰台に届かなかったあたりは反省点。まずは結果を出したい。チームの雰囲気がよく、どの選手も実力・経験ともに申し分ないので、その中でエーススプリンターを任せてもらえるよう取り組んでいきたい」

トマ・ルバのコメント
「個人総合5位という結果は悪くない。前日の上りにしても、チームで取り組んだスプリントにしても、日々状態は高まってきている。とはいえ、今日のステージも完ぺきとは言えないし、シーズン初めでもあるので今後のトレーニングで強化していきたい。個人的には春のレースでしっかり結果を残したいと考えている。次のレースを楽しみにしている」

最難関のニュージーランド第4ステージでトマ・ルバが5位

ニュージーランド サイクルクラシック(UCIオセアニアツアー2.2)は、1月26日に第4ステージを実施。今大会最難関ステージとなったこの日はトマ・ルバが5位でフィニッシュ。個人総合でも5位につけ、順位アップに成功している。

ニュージーランド サイクルクラシック第4ステージでトマ・ルバが5位 ©KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

この大会の開幕以降、スプリントや要所でのアタックで存在感を示してきたKINAN Cycling Team。プロトン(集団)内での位置取りも含め、他チームからも一目置かれる立場となっていることをチーム全体が実感している。

そして迎える第4ステージは、難所のマウンガカワ・ヒルの頂上に設けられたフィニッシュを目指す143.8km。おおむね平坦基調の前半を経て、中盤からは起伏の激しい区間へ。74.5km地点にこの日最初の山岳ポイントが設けられて、その後は次々とアップダウンがやってくる。107.3km地点で1回目のマウンガカワ・ヒルを上り終えると、約36kmの周回へ。そして、最後に2回目のマウンガカワ・ヒル登坂が待ち受ける。登坂距離は約3km。平均勾配が6%で、頂上に近づくにつれて急勾配になっていく。

この大会のクイーンステージに臨むにあたってKINAN Cycling Teamは、好調のトマで勝負することを確認。残る4人のメンバーがアシストに従事し、重要局面でトマを前方へと送り込む役割を務める。

レースは、リアルスタートから20kmを過ぎたタイミングで数人が上りを利用して飛び出し、やがて8人による逃げグループを形成する。KINAN勢はこの動きに乗じず、メイン集団に待機。5選手がまとまって集団前方に位置し、重要な局面に向けて態勢を整えていく。この間、逃げグループとメイン集団は、最大で3分ほどのタイム差で推移した。

この日最初の山岳ポイントを迎えるあたりから、逃げと集団との差は縮小傾向に。逃げメンバーの協調体制が保たれず、追撃姿勢を見せ始めた集団とのタイム差は縮まっていく一方。これに合わせるかのように、KINAN勢も集団内でのポジションを固めて、次なる展開へと備えていく。

そんなメイン集団の情勢に変化が生まれたのは、100km地点を目前としたタイミング。繰り返しやってくる急坂区間に、人数が絞り込まれていく。KINAN勢もトマを前方へと送り出してアシストの役割をまっとう。序盤から逃げていた選手たちは吸収され、個人総合で首位に立つアーロン・ゲート(ニュージーランド、エヴォプロサイクリング)を含む2人が新たに先頭へ。トマは単騎となって第2グループで1回目のマウンガカワ・ヒルを上った。

フィニッシュを目指して進む約36kmの周回では、逃げる2人に対して14人ほどのメイン集団が追う構図。人数をそろえるチームが主に集団を牽引し、KINAN勢で1人残ったトマは虎視眈々とチャンスをうかがう。先を急ぐ先頭2人に対し、集団はわずかながらタイム差を縮めていく。そして、マウンガカワ・ヒルの上りに入って集団から数選手のアタックが生まれる。

この変化に懸命に食らいつき、前を目指すトマ。勢いに勝るライバルの先行こそ許したが、粘って上位戦線にとどまる。先頭では、集団から飛び出した選手が逃げていた2選手をパス。そのままフィニッシュへと向かっていった。

トップまではわずかに届かなかったトマだが、最終盤の絞り込みでしっかりと上位進出を固め、最後は5位でフィニッシュ。ステージ1位との差は12秒だった。

このステージでの結果が総合成績に大きく反映され、トマは個人総合でも5位に浮上。首位を守ったゲート選手との総合タイム差は1分31秒だが、同2位以降トップ10圏内は数秒単位の僅差となっており、最終結果が出るまでは予断を許さない状況が続いている。

なお、トマの上位進出を支えた大久保陣、山本大喜、中島康晴、新城雄大の4人もフィニッシュラインを通過。問題なく次のステージへと進出する。

ニュージーランド伝統のツアーは、残すところ1ステージ。大会の拠点都市であるケンブリッジを発着とする143.3km。スタート後、1周8kmの第1周回を8回まわり、進路をケンブリッジ方面へと戻しつつ同じく8kmの第2周回へ。ここも8周回して、ケンブリッジのフィニッシュ地点を目指す。平坦基調の1日は、スプリント勝負になる可能性が高い。KINAN Cycling Teamは、トマの総合成績を確定させることを大前提としつつ、大会を通じて調子を上げてきた大久保を軸としたスプリントにもトライしていく姿勢だ。

トマ・ルバのコメント
「ステージ優勝を狙って臨んだ。終盤は14人がリーダージャージを含む2人の逃げを追う展開となり、消耗を避けながら勝負どころを見極めていった。大事な局面でライバルのアタックを許してしまったのは自分のミス。

シーズン初戦の結果としては悪くない。ベストコンディションではないし、チームとしての動きについてもまだまだ話し合う必要がある。今後も連携を深めていきたい。明日もハードで、平坦ステージとあって自分向きではないが、できるだけのことはやって大会を終えたい」

大久保陣を8位へと送り込み連携強化…ニュージーランドサイクルクラシック第3S

KINAN Cycling Teamが参戦しているニュージーランドサイクルクラシック(UCIオセアニアツアー2.2)は1月25日に第3ステージを実施。152kmで争われ、チームはスプリントを託された大久保陣が最上位の8位でフィニッシュ。個人総合成績では、中島康晴が11位につけている。

ニュージーランドサイクルクラシック第3ステージ ©KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

大会は中盤戦へと突入。第1ステージで椿大志をリタイアで失ったものの、続く第2ステージではトマ・ルバが再三のアタックで見せ場を作った。中島は2日連続でスプリントに臨み、上位戦線に存在感を表している。

第3ステージは、テ・アワムトゥを発着するコース設定で、おおよそ8の字を描くようなルート。中盤にこのステージ唯一となる山岳ポイントを含む丘越えが待ち受け、いずれも距離が短いながらも5%前後の勾配の上りが断続的に登場。ここまではスタートからのアタック合戦が長く続く傾向にあるほか、風が強い区間だと集団が分断する場面が多い。そこに細かなアップダウンが加わって、選手たちの力を試すことになる。終盤は細かな上下はありつつもおおむね平坦基調。KINAN Cycling Teamとしてもスプリントはもとより、効果的な逃げや決定的なアタックにはしっかり対応していく姿勢で臨んだ。

レースはまず、30km地点までに5人の逃げグループが形成される。リアルスタート直後からのアタック合戦には新城雄大も加わったが、逃げに加わることはなくKINAN勢5選手はいずれもメイン集団に待機。逃げが決まって以降は、スプリントでのステージ争いに持ち込みたいチームとともに、集団前方で隊列を組んでレースを進める。

流れが一時的に変化したのは、63.6km地点に設定された山岳ポイントを目指しての上り。メイン集団のペースが上がり、先行する5人とのタイム差は一気に縮まる。山岳ポイントは逃げメンバーが確保するも、ほどなくして集団が吸収。代わって2選手が飛び出し、集団に対してリードを奪っていった。

KINAN勢はここも動じず、スプリンターチームとともに集団前方でレースを展開。逃げとメイン集団との差は最大で約3分となったが、フィニッシュまでの残り距離が40kmを切ったあたりからタイム差は縮小。集団有利の情勢となっていった。

勢いに勝ったメイン集団は、残り10kmを目前に逃げていた選手たちをキャッチ。スプリント勝負に向けて各チームが陣形を整えていく。KINAN勢は調子を上げてきた大久保でフィニッシュを狙っていくことに。トマの引き上げで好位置を確保し、他のメンバーもリードアウトに加わっていった。

残り700mで最終コーナーを抜け、フィニッシュへ向かっての上り基調。前方から加速した大久保はトップまでは届かずも上位戦線で勝負して8位。役割を果たした他のメンバーも、きっちりと走り終えている。

この大会で初めてスプリントを託された大久保だったが、アシスト陣との連携でまずは堅実にトップ10圏内で終えてみせた。最終局面へ持ち込むまでのリードアウトにまだまだ可能性は残されている印象で、残るステージも含めてスプリント連携の精度を高めていくことを目指す。

第3ステージまでを終えての総合では、中島が11位につけるほか、上位陣に近いタイム差で山本大喜が41位、トマも45位で続いている。

大会はいよいよ佳境を迎える。143.8kmで争われる第4ステージは、マウンガカワ・ヒルの頂上フィニッシュが待ち受ける。スタートから70kmを過ぎると次々と急坂が控え、107.3km地点で1回目のマウンガカワ・ヒルを登頂。そこから約36kmの周回コースを走り、最後は再びマウンガカワ・ヒルへ。最後の3kmは高度にして200m以上を一気に駆け上がる。総合成績を占ううえで大きなポイントになるクイーンステージ。KINAN Cycling Teamは好調のトマでの総合ジャンプアップを最大のミッションとしながら、中島や山本でも上位進出を狙っていく。

大久保陣

大久保陣のコメント
「第1、第2ステージとコンディション的に苦しんだが、徐々によくなってきて、みんなのサポートにも助けられながら今日はスプリントに臨むことができた。結果が出なかったことは残念だったが、長いシーズンを見据えながらスプリントまでの流れを固めていきたい。第5ステージでスプリントのチャンスが再びめぐってくると思うので、まずはそこまでに可能な範囲で修正していきたい。
個人的には調子はまだまだだが、強いチームの一員として走らせてもらっている以上、結果を出して信頼を得ていく必要があることは分かっている。スプリントに限らず、上りの厳しいステージでもアシストとして貢献できるよう走っていきたい」

ニュージーランド サイクルクラシック第2ステージでルバが再三の攻撃

キナンサイクリング(KINAN Cycling Team)が参戦するUCIオセアニアツアー「ニュージーランド サイクルクラシック」は1月24日、第2ステージを実施。129kmで争われたレースで、チームは中島康晴の12位が最上位。レース中盤と終盤にはトマ・ルバがアタックでメイン集団から一時リードを奪うなど、再三見せ場を作った。

ニュージーランド サイクルクラシック第2ステージで補給を受けるトマ・ルバ ©KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

前日の第1ステージでは、中島が10位フィニッシュ。レース前半に椿大志をリタイアで失ったものの、残った5選手でレースを組み立て、強風と狭い道幅のコースに対応。上位争いのスプリントに中島を投入したあたりにも、チームの連携に手ごたえをつかんでいる。

第2ステージはケンブリッジを出発し、南東へ。約80kmほど進んだところを境に北西へと針路を変え、レイク・カラピロに設けられたフィニッシュへ向かう。序盤と中盤に中間スプリント、中盤と後半に山岳ポイントが控えているほか、細かいながらもアップダウンが続くレイアウト。ところどころ道幅が狭くなるほか、レース後半には急坂セクションが待ち受けるなど、距離こそ短めだが一筋縄ではいかないコース。チームとしては、激しい出入りとなることを想定し、展開次第で逃げやスプリント、どちらでも対応できる情勢を作り出すことを確認した。

7.5kmのニュートラル区間を経てリアルスタートが切られると、逃げ狙いのアタック合戦に山本や新城が加わり、レースをリードしようと試みる。いずれの攻撃も決まりこそしなかったものの、プロトン全体を活性化する効果的な動きとなる。20km地点を目前としたところで中島が他選手と接触し落車したものの、大事には至らずすぐにレースへ復帰している。

繰り返し発生したアタックと吸収は、スタートから50kmを過ぎてようやく落ち着きを見せることになる。地元ニュージーランド勢を中心に形成された先頭グループにトマがジョインすることに成功。6人がレースを先行する流れとなった。

それでも、集団との差は大きくならなかったこともあり、トマは消耗を避けるため集団へ戻る判断。これによりKINAN勢は5人全員がメイン集団に待機し、レース後半へと入っていった。

2カ所の山岳ポイントを過ぎると、いよいよ終盤の連続する急坂セクションへ。KINAN勢も徐々に集団内のポジションを上げていきながら、重要な局面に備える。逃げていた選手たちはフィニッシュまで残り20kmを切ったところで吸収。次の動きに向けプロトンに緊張感が生まれる。

その均衡をトマが破る。残り15kmを切った直後の急坂を利用してアタック。ニュージーランド人選手とともに集団との差を広げていく。この2人の攻撃が決まったかに思われたが、短い上りと下りが連続する中で数人単位での追走が続々と生まれる。これらを新城がチェックに動く場面もあったが、結果的にメイン集団とギャップを縮まり、逃げることは許されなかった。

その後はスプリント態勢へ移ったプロトン。KINAN勢は前日に続いて中島がスプリントにトライ。山本や新城が好ポジションまで引き上げて中島を前方へ送り出すことを狙ったが、最終局面の急加速に追随するのが精いっぱい。上位戦線に踏みとどまったが、ステージ順位は12位だった。

そのほか、トマと山本がメイン集団に残ったほか、新城と大久保もフィニッシュラインを通過。この結果、第2ステージを終えた段階での個人総合成績は、中島が9位。前日の上位陣の一部がこの日遅れたこともあり、順位を1つ上げることとなった。2日連続でスプリントに挑んだ中島だけでなく、上りで攻撃的な走りを見せたトマや山本も好調をアピールしている。

翌25日から大会は中盤戦へ突入。テ・アワムトゥを発着点とする第3ステージは、152km。おおよそ8の字を描くようなコース進行で、中盤にこのステージ唯一となる山岳ポイントを含む丘越えが控える。その後は細かな上下はありつつもおおむね平坦基調。KINAN Cycling Teamとしては、引き続き中島のスプリントを念頭に置きつつ、調子のよいトマと山本でも上位をうかがっていく姿勢で臨む。

トマ・ルバ

トマ・ルバのコメント
「フィニッシュまで集団のままでいけば自分にはチャンスがめぐってこないと感じていた。残り10kmを前にしたタイミングでのアタックは、スプリントを意識してレースをコントロールするチームの隙を見てのトライ。残念ながら今日は成功させることができなかった。
正直調子がいいとも悪いとも言えない感じなのだけれど、上りの感覚は1月にしてはまずまずではないかと思っている。この時期は寒いフランスや日本と比べると、ニュージーランドはうらやましいくらい(笑)。レーススピードの速さや大会のクオリティを考えると、われわれにとってこの先のシーズンにつなげられるツアーになると感じている」

キナンが伝統のニュージーランドサイクルクラシックでアジアトップの真価発揮へ

国内外を転戦し5年目のシーズンを迎えるKINAN Cycling Team。2019年の幕開けは、南半球・ニュージーランドで迎える。1月23日に開幕するニュージーランドサイクルクラシック(UCIオセアニアツアー2.2)に参戦し、1年の好スタートを狙っていく。

ニュージーランドサイクルクラシックに参加するキナンチーム ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

2019年で32回目を迎えるこの大会が行われるのは、同国北島中西部のワイカト地方。最大の都市であるオークランドから約150km南に位置するケンブリッジを拠点に、全5ステージ・総距離700.6kmで争われる。なお、同地は1月18日から20日まで、UCIトラックワールドカップが開催されていて、ニュージーランドにおけるサイクルスポーツの中心地の趣き。

例年、スピード感のあるハイレベルのレースが展開される傾向にあり、今回も4ステージは平坦コースにカテゴライズ。いずれもスプリント勝負となることが予想される。

一方で、第4ステージは2つの丘越えを経て、最後に待ち受けるマウンガカワ・ヒルの頂上フィニッシュを目指して一気の上り。最後の3kmは高低差にして200mを駆け上がるレイアウトとなっていて、総合争いにおける最重要ステージとの見方が強い。

KINAN Cycling Teamはシーズン初戦にあたり、椿大志、大久保陣、山本大喜、トマ・ルバ、中島康晴、新城雄大と、スピードレースへの対応力のある6選手をセレクト。スプリントで頼りになる大久保と中島を軸に、レース展開に合わせて逃げや集団内でのレース構築を椿、山本、新城が担う。そして、総合争いはトマを中心にトライ。いずれのステージでも勝負に加わることが計算できる布陣を敷き、上位進出を図っていく。

チームは21日に現地入りし、開幕前日にあたる22日は午前中に最終調整のトレーニングを実施。約2時間、レースコースの試走を兼ねてのライド。そして、午後にはチームプレゼンテーションに臨み、大会関係者や現地の人たちから歓迎を受けた。

なお、大会には5カ国から19チームがエントリー。過去の個人総合優勝者には、ロビー・マキュアン(オーストラリア、1995年優勝)のほか、現役のトップライダーであるジョージ・ベネット(ニュージーランド、現ユンボ・ヴィスマ所属、2011年優勝)などが名を連ねる、伝統と格式あるニュージーランド唯一のUCI公認ステージレース。KINAN Cycling Teamとっては初となるUCIオセアニアツアー参戦だが、2018年のUCIアジアツアーチームランキング1位であることが現地でも広く知られており、注目度も上昇中。その真価が、シーズン初戦から問われることになる。

23日に行われる第1ステージは、ケンブリッジからリーミントンまでの132.5km。スタート直後のニュートラル区間を経て、67kmの周回コースをおおよそ2周。フィニッシュ手前400mで最終の左コーナーが待っており、ここでのポジショニングやコーナーリングが勝負を分けることになりそうだ。レーススタートは、現地時間午前10時(日本時間午前6時)。フィニッシュは現地時間午後1時25分頃と見込まれている。

ニュージーランド サイクルクラシック(UCIオセアニアツアー2.2)
出場選手
椿大志(Hiroshi TSUBAKI)
大久保陣(Jin OKUBO)
山本大喜(Masaki YAMAMOTO)
トマ・ルバ(Thomas LEBAS)
中島康晴(Yasuharu NAKAJIMA)
新城雄大(Yudai ARASHIRO)

レーススケジュール
第1ステージ 1月23日
ケンブリッジ-カイパキ-ロトオランギ-レミントン 132.5km

第2ステージ 1月24日
ケンブリッジ-ロトオランギ-プケアトゥア-レイク・カラピロ 129km

第3ステージ 1月25日
テ・アワムトゥ-パラウェラ-ファレパパ・サウス-コラコヌイ-ファレパパ・サウス-コラコヌイ-ワイケリア-テ・カワ-ポクル-テ・アワムトゥ 152km

第4ステージ 1月26日
ケンブリッジ-プケモレモレ-リッチモンド・ダウンズ-ホビントン・ムービーセット-カラピロ・ロード-マウンガカワ・ヒル-テ・ミロ-マウンガカワ・ヒル 143.8km

第5ステージ 1月27日
ケンブリッジ・サーキット 143.3km