チーム名変更のキナンレーシングが新ウェブサイト公開

2022年シーズンからKINAN Racing Teamと名称を変更する同チームが公式ウェブサイトのURL変更をした。新シーズンを前に先行公開として、12月20日に新URLに切り替わった。

●KINAN Racing Team 公式ウェブサイト

主なコンテンツ
NEWS-REPORT…レースレポート、イベント参加レポート
           -FEATURE…最新のチーム情報、各種告知
           -GALLERY…レース写真、イベント写真
           -PARTNERS…スポンサー・サプライヤー企業情報、タイアップ情報
           -RIDER…所属選手最新情報
           -SOCIAL…チームに関連する話題のSNS(Twitter、Facebook、Instagram)投稿
TEAM-チーム情報、シーズンレース数・勝利数、所属選手一覧(選手データ、出場全レース結果など)
RACES-出場予定・出場済レース一覧
PARTNERS-スポンサー・サプライヤー企業一覧、各社へのリンク
CONTACT-チームへのコンタクトフォーム
STORE-KINAN Racing Teamオフィシャルウェブショップ

これまで通り、ビジュアルにこだわったインパクト十分の内容でチーム動向を知らせていく。各コンテンツとも、2022年に入ってから新シーズン情報へと移行していく。

新URL運用にともない、各種SNSのアカウントも変更された。
Twitter @KINANRacingTeam
Facebook KINANRacingTeam
Instagram @kinanracingteam

KINAN Racing Teamの2022シーズン体制はプラス1の13人

KINAN Racing Teamが2022シーズンの所属選手・スタッフを12月10日に発表した。1名増の13選手で戦い、2021年からの継続は10選手。新加入は仮屋和駿、小出樹の2選手に加え、元競輪選手の鈴木宏幸が選手復帰し、トラックパートの一員として走る。鈴木はサイクルインストラクターとして、チーム関連施設であるKINAN春日井サイクルターミナルを拠点に自転車安全教室の講師や啓発活動、競技普及などの取り組みも兼務。

新加入選手を加えた全13選手の内訳は、日本人11人、スペイン人・フランス人がそれぞれ1人ずつで、平均年齢は29歳。アンダー23カテゴリーの若手有望株から実績十分のベテランまでがそろい、経験やこれまで培ったスキルをビッグレースでの結果に結びつけていきたいという。

これまで以上に多彩な顔ぶれでの編成が進んでいることもあり、選手の特性や専門性を生かしたレース出場やメンバー選考ができるメリットもチームとして実感。ロードレースに主眼を置きつつ、荒井佑太や福田真平、鈴木といったトラック競技をメインとする選手たちへのサポートにも力を入れていく。

2年続く新型コロナウイルス感染症の影響によりレース活動の制限がある中で、チームは2021年シーズンにロード・トラック合わせて5勝を挙げたほか、マルコス・ガルシアがマウンテンバイク・マラソン種目でスペイン代表に選出されるなど、随所で選手個々の能力やチーム力を発揮することができた。2022年も国内外の社会情勢を見ながら、レース活動をしていく。

メインスポンサー「株式会社キナン」の本拠である熊野地域を舞台に開催されるツール・ド・熊野でのタイトル獲得が最大の目標。主戦場であるUCIアジアツアーはもとより、ジャパンサイクルリーグ(三菱地所JCLプロロードレースツアー)への継続参戦、各種活動への参加、サイクルイベントや地域貢献による自転車競技の普及など、日本の自転車界の活性化を目指した取り組みにも積極的に参画していく。

山本元喜 ©Syunsuke FUKUMITSU
花田聖誠 ©Syunsuke FUKUMITSU
マルコス・ガルシア ©Syunsuke FUKUMITSU
山本大喜 ©Syunsuke FUKUMITSU
福田真平 ©Syunsuke FUKUMITSU
トマ・ルバ ©Syunsuke FUKUMITSU
中島康晴 ©Syunsuke FUKUMITSU
新城雄大 ©Syunsuke FUKUMITSU
畑中勇介 ©Midori SHIMIZU
荒井佑太 ©Syunsuke FUKUMITSU
小出樹 ©Syunsuke FUKUMITSU
仮屋和駿 ©Syunsuke FUKUMITSU

●キナンレーシングチームのホームページ

中島康晴ラストイヤーへ…新城に肩を並べるUCIレース実績

KINAN Cycling Team(2022年よりKINAN Racing Team)が所属する中島康晴と2022年の契約更改した。中島にとって2022年シーズンがプロライダーとしてのラストイヤーとなることも12月8日に明らかになった。

スリランカTカップ2018個人総合優勝 ©Syunsuke FUKUMITSU

中島は2007年のプロ入りからヨーロッパをベースにレース活動を行い、その後アジア・日本と競技活動の幅を広げた。2017年のKINAN Cycling Team加入後は、世界各地で培った経験を軸に、平坦でのレースではスプリントに、山岳や丘陵地でのレースでは逃げや堅実なアシストでチームに貢献している。

ロードレース界きってのトーク力やユーモアセンスを生かし、多数のファン獲得のみならず、サイクルイベントでの進行役、テレビ解説など、競技外での取り組みでもロードレースの普及や活性化に寄与。KINAN Cycling Teamではその多才なキャラクターを高く評価し、2021年からチームキャプテンに任命し、スポークスパーソンとしても活躍の場を用いてきた。

ツール・ド・台湾2019ポイント賞

ここまで15年のプロキャリアで、UCI公認の国際レースでは9勝。昨今の社会情勢により日本国内が主となっているレース活動においても、2021年は3度の表彰台確保と、巧みなレースセンスは衰えを知ることがない。

中島自らの意志でキャリア最終シーズンと位置付ける2022年も、これまでと変わらず、経験・実績とも申し分なしの第一人者としてレースに臨み、結果を求めていく。最後の1年をビッグイヤーとするべく、強い意気込みで新たなシーズンを迎えたいという。

おおいた いこいの道クリテリウム2021で3位に ©Syunsuke FUKUMITSU

中島康晴(なかじま やすはる)/Yasuharu NAKAJIMA
1984年12月27日生まれ 福井県出身
●キャリア
2007 NIPPO梅丹本舗・エキップアサダ
2008 梅丹本舗GDR
2009 EQA梅丹本舗・グラファイトデザイン
2010 NIPPO
2011-2016 愛三工業
2017- KINAN Cycling Team

●UCI国際レース優勝実績ならびに主要データ
2009 熊本国際ロードレース
2011 ツール・ド・シンカラ 第4ステージ
2011 ツアー・オブ・ハイナン 第2ステージ
2012 ツアー・オブ・シンカラ 第6ステージ
2014 ツアー・オブ・タイランド 個人総合
2014 ツアー・オブ・イーストジャワ 第1ステージ
2015 ツアー・オブ・タイランド 個人総合
2018 スリランカ Tカップ 第1ステージ
2018 スリランカ Tカップ 個人総合
UCI国際レース ステージレース個人総合 3勝
(現役日本人選手のステージレース個人総合優勝経験者は3人。新城幸也3勝、増田成幸2勝)
UCI国際レース勝利数 2位タイ
(現役日本人選手として、1位は新城幸也の14勝。2位は増田成幸と中島の9勝)
UCI国際レース総合スプリント賞 3回獲得
(日本人選手現役最多)

中島康晴

「#ナカジは私が育てた」と言ってくれるあなたにメッセージ

応援してくださるファンのみなさま、支えてくださっている関係者のみなさま、いつもありがとうございます。2022年シーズンをもって自転車競技選手としての一線を退くことを決め、最後の契約更改をいたしました。本来はシーズン終盤での発表が通例ですが、コロナ禍においても多くの方に感謝をお伝えしたいと思い、1年残したこのタイミングで発表をさせていただくこととしました。2007年から世界を駆け抜けた16シーズンにも及ぶ競技生活の最後をアジアトップクラスのKINANチームで迎えるのは本当に幸せなことだと感じています。

中島康晴 ©Syunsuke FUKUMITSU

長い競技生活の中で、多くのチームメイト・スタッフやファンのみなさまと喜びや悲しみを分かち合ってきました。若い時は自分が結果を残したいと走っていましたが、ケガや挫折を経験する中で支えてくださるみなさまに恩返しをしたい、喜んでもらいたいという考えに変わりました。それが非常に厳しいロードレースの中であと一歩を踏み出す勇気となり、沿道から幾度となく大きな力を与えてもらった声援のおかげで勝利に恵まれるようになりました。これまでの勝利はすべて、みなさまと共にあります。

また、困難な状況下でも大会やイベント開催に携わってくださる方々も同様です。本当にありがとうございます。これまで一度でもお世話になったすべての関係者、一度でも応援してくださった方々は、“中島を育ててくれた方”だと感じています。最後の1年はこれまで以上にさまざまな活動を通して、自転車のすばらしさを多くの方に伝えていきます。特にサイクルトレインなど、全国に広がる自転車推しの街を盛り上げていきたいので、関係者のみなさま、ぜひお声がけください!

この発表が決まってから、さまざまな方の顔が脳裏に浮かびました。すべての方に感謝を伝えたいと筆を執りましたが、膨大な量でここには収まりきらず…やはりお会いして伝えたいです。「#ナカジは私が育てた」とおっしゃってくださるあなたや、このつたない文章を最後まで読んでくださったお一人おひとりに、勝利と感謝をお伝えできることを目標に2022年シーズンを迎えたいと思います。

新生“KINAN Racing Team”で迎えるラストシーズンも、これまでと変わらない大きな声援をよろしくお願い申し上げます。(KINAN Cycling Teamキャプテン 中島康晴)

キナンレーシングチーム改称…石田哲也がGM兼監督に

KINAN Cycling Teamは2022年シーズンから、KINAN Racing Team(キナンレーシングチーム)と改称し、UCIコンチネンタルチーム登録と国内外でのレース活動を行っていく。12月1日に発表した。

2015年のチーム発足以来、KINAN Cycling Teamとして活動してきたチームは、全日本選手権やアジア選手権での優勝者輩出、UCIアジアツアーチームランキング1位獲得など、数々のタイトルに恵まれた。

直近の2シーズンは、新型コロナウイルスという未曽有のパンデミックに世界中が混乱した中にありながら、チームはスタンスを変えることなく、目の前にある課題を克服し、レースでの走りに生かしてきた。

©Syunsuke FUKUMITSU

幾多の困難を乗り越え、戦う集団へとより成長していくことを狙いとしながら、日本のファンやこれからレース観戦を楽しもうという人にもチームの取り組みをイメージしてもらえるよう、メインスポンサーであるキナン・角口賀敏会長が発案して、KINAN Racing Teamへと改称することになった。

チームはこれまで主戦場としてきたUCIアジアツアーはもとより、ジャパンサイクルリーグ(三菱地所JCLプロロードレースツアー)でのレース参戦や各種活動、サイクルイベントへの参加にも重きを置き、日本のサイクルロードレースの普及や活性化に寄与していきたいという。

©Midori SHIMIZU

チーム発足以来ゼネラルマネージャー(GM)を務めてきた加藤康則が2021年シーズンで退任し、2022年シーズンより石田哲也が監督兼務で就任する。

©Syunsuke FUKUMITSU

KINAN Cycling Team応援感謝セール12月10日正午より

チーム発足から7年間、KINAN Cycling Teamを応援してくれた感謝を込めて、チームオフィシャルウェブショップが「KINAN Cycling Team応援感謝セール」を実施する。

目玉商品は、2種類の福袋。その名も「KINAN Cycling Teamプレミアム福袋」。レプリカジャージver.(販売価格1万5000円)と選手仕様ジャージver.(3万円)が登場。これらジャージが確実に含まれるほか、定価購入から最大50%オフとなる組み合わせのアイテム数種類が入る。

毎年人気のカレンダーも発売が決定。2022年バージョンは、2021年の名場面をチョイスし、チームの強さを再認識できるデザインとなっている。

販売は12月10日(金)正午から12月25日(土)まで。いずれも限定販売につき、品切れ次第販売終了となる。さらに、2022年が明けて早々には、これまで好評を博したさまざまなアイテムがセール品としてラインナップする予定。

●KINAN Cycling Teamオフィシャルウェブショップ

©Syunsuke FUKUMITSU

森口寛己がKINAN AACA CUP最終戦V…シーズン総合でも1位

東海地区のロードレースシリーズ「iRC Tire Presents KINAN AACA CUP」の2021年シーズン最終戦が11月20日、岐阜県海津市・国営木曽三川公園長良川サービスセンター特設コースで開催された。ロードレースシーズンも終盤に差しかかりながらも多数の選手が参加。メインレースの1-1カテゴリーには、ホストを務めたKINAN Cycling Team8選手を含めた39人が出走。逃げ集団から抜け出し、スプリント勝負の一騎打ちに持ち込んだ森口寛己(Jin Cycling Team)が山本元喜を差し込み先着し、1-1カテゴリー初勝利を飾った。

KINAN AACA CUP 2021 第9戦は森口寛己が優勝 ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

最終戦も4つのカテゴリーと2つのキッズカテゴリーのレースが行われた。長良川を眺める特設コースはシンプルなレイアウトゆえに選手間の駆け引きが要求され、いずれのカテゴリーも選手同士の思惑がぶつかり合う。

最高気温20℃を記録した長良川地域では思わずウォーマーを脱ぐ選手が出るほどの快晴。1-1カテゴリーでは暑さからボトル交換を要求する選手も頻繁に見られた。ホストを務めるKINAN Cycling Teamからは、山本元のほか、花田聖誠、山本大喜、福田真平、中島康晴、新城雄大、畑中勇介、荒井佑太の8選手が出走。

レースは2周目完了間際から動きがあり、荒井を含む7人が逃げを目論む。5周目で集団にキャッチされるもこの動きをきっかけにレースは徐々に活性化。

KINAN AACA CUP 2021 第9戦 ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

決定的な動きが生まれたのは11周目。KINANメンバーが先頭を固め仕掛けていくと10名の逃げ集団が形成される。メンバーは森口に加え、川崎嘉久(Nerebani)、中山竜一(豊田工科高)、野上太一(天狗党)、寺田吉騎(Asia cycling academy)、満上亘(マメオチチ)、津田悠義(CCF)、KINAN Cycling Teamからは山本元、山本大、中島が入る。

足並みの揃ったメンバーは周回を重ねるごとにメイン集団からタイムギャップを稼いでいき、逃げきりを目指す。残り3周を切ると、寺田や山本元ら飛び出しを試みる動きが見られるが、いずれも吸収され最終周回へともつれ込んだ。

KINAN AACA CUP 2021 第9戦 ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

残り1kmを切って切れ味鋭いロングスパートを仕掛けたのは山本元。前節でも同様の勝ちパターンに持ち込むが、これに森口ただひとり反応。

最後は、両者のスプリント対決は最終ストレートを2番手からまくりあげた森口が先着。見事1-1カテゴリーでの初優勝を飾った。

KINAN AACA CUP 2021 第9戦 ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

大きな盛り上がりを見せたこのレースをもって2021年の「iRC Tire Presents KINAN AACA CUP」が終了。感染拡大防止のため、やむを得ず開催中止となる期間もあったが、6レースを開催。いずれの大会もカテゴリー問わずアタックの応酬が繰り広げられ、レースクオリティーの高さを示した。2022シーズンも東海エリアのみならず全国各地からステップアップを目指すサイクリストのが期待される。

このほか、レース外のプログラムとしてビギナー向けの「ロードレース入門講座」の講師を花田と中島が務めたほか、毎回好評のキッズスクールでは山本元を中心に参加者全員で筋力トレーニングにトライ。選手たちが取り組むオフシーズンのトレーニングを披露した。また、チームサプライヤーであるシリーズ協賛のiRC Tireほか、隼(ATHLETUNE)、FUSIONがブースを出展しレースや日頃のライドに役立つアイテムのPRを行なった。

iRC Tire Presents KINAN AACA CUP 2021 第9戦 1-1カテゴリー(102km)結果
1 森口寛己(Jin Cycling Team)
2 川崎嘉久(Nerebani)
3 満上亘(マメオチチ)
4 野上太一(天狗党)
5 寺田吉騎(Asia cycling academy)

シリーズポイントランキング(2021年最終)
1 森口寛己(Jin Cycling Team) 768pts
2 大前翔(愛三工業レーシングチーム) 640pts
3 井上亮(Magellan Systems Japan) 576pts
4 川崎嘉久(Nerebani) 512pts
4 福田圭晃(Velo Club Corbas) 512pts
4 中川拳(愛三工業レーシングチーム) 512pts

山本大喜がJCL年間総合優勝…JCL那須塩原クリテリウム

国内サイクルロードレースのプロチームによるリーグ戦「三菱地所JCLプロロードレースツアー」は、発足初年度の最終戦として那須塩原クリテリウムが11月7日に行われ、KINAN Cycling Teamはレース後半に主導権を握ると、中島康晴を3位に送り込み表彰台を確保。前日の大田原ロードレースで年間総合トップを確定させていた山本大喜は7位とまとめて、リーダージャージにふさわしい走りを披露した。

優勝の沢田桂太郎(スパークルおおいたレーシングチーム)に続いて4位中島康晴らが集団フィニッシュ ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

2021年シーズンから始まったシリーズのフィナーレを飾るのは、栃木県那須塩原市・JR那須塩原駅前のメインストリート。過去にも国内シリーズ戦の開催実績のあるコースは、1周1.8kmで、ヘアピンコーナーが3カ所に加え、鋭角コーナーも多数待ち受けるテクニカルなレイアウト。実質オールフラットで、ハイスピードコースの印象。過去には逃げ切りとなったケースもあり、レース内での駆け引きも見ものとされた。

ここまで快調に戦い続けてきたKINAN Cycling Teamは、前日のメンバーからトマ・ルバと中島をチェンジ。スプリントも視野に入れたオーダーで挑むこととなった。そのほかは、シリーズ個人リーダーの山本大、山岳リーダーの山本元喜に加え、花田聖誠、新城雄大、畑中勇介の6人。

レース距離が短いこともあり、リアルスタート直後から攻撃的なレース展開に。次々と発生するアタックはいずれも決まらず、KINAN勢もときおり前線に顔を見せながら、動き出しのチャンスを図った。

終盤にレースをコントロールするキナン勢 ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

そのまま中盤まで進行したが、後半に入って動いたのがKINANメンバーだった。残り10周回を迎えたのを合図に、6選手がひとまとまりとなって集団牽引を開始。急激なペースコントロールに、集団後方では脱落する選手が続出。残り5周を切ろうかという頃には集団は20人ほどとなり、そのままスプリント勝負へと移っていくことが濃厚に。KINAN勢は役目を終えた花田が後方へと下がったが、5選手を残して数的優位な状況を作った。

ハイスピードを維持したまま迎えた最終周回。ここまでくるとさすがにスプリント狙いのチームが主導権争いに加わり、集団内は混沌となる。一気に加速したスパークルおおいたレーシングチームのトレインを中島がチェックした状態で最終のストレートへと姿を現した。

各チームのエーススプリンターが並んだ最後の勝負は、スパークルおおいたレーシングチームの沢田桂太郎に軍配。懸命に食らいついた中島は3番目にフィニッシュラインを通過し、表彰台の一角を確保。今節はこのレースに賭けて臨んだことが奏功した。

優勝争いの後ろでは、山本大が7位でレースを完了。すでに前日に年間総合トップを確定させていたが、この日もトレイン牽引やリードアウトで貢献。上位フィニッシュも果たして、初代JCL王者らしい走りを見せた。

山本大喜がリーダージャージを守り抜いた ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

また、同じくこの日は集団のペーシングで流れを作った山本元は山岳賞を獲得。KINAN Cycling Teamは個人タイトル2つを手に入れ、チーム力を証明した。

各地を転戦し熱戦を展開してきたシリーズは、全10戦を終えて初年度のレースを終了。一戦ごとに洗練されていくオーガナイズやレベルの高まりを感じさせた優勝争いなどは、国内レースシーンの進化を印象付けるものとなった。そして何より、最終節でついに有観客レースが戻ることとなり、会場全体が活気に満ちたものに。シーズンを締めくくるとともに、来季への期待を膨らませる好況のもと2021年を終えた。

那須塩原クリテリウム(45km)結果
1 沢田桂太郎(スパークルおおいたレーシングチーム) 1時間4分35秒
2 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン) +0秒
3 中島康晴(KINAN Cycling Team) +1秒
4 石原悠希(チーム右京 相模原)
5 本多晴飛(VC福岡) 
6 孫崎大樹(スパークルおおいたレーシングチーム) +7秒
7 山本大喜(KINAN Cycling Team) +2秒
10 新城雄大(KINAN Cycling Team) +6秒
16 畑中勇介(KINAN Cycling Team) +1分27秒
17 山本元喜(KINAN Cycling Team) 
DNF 花田聖誠(KINAN Cycling Team) 

山本大喜が総合優勝のレッドジャージ、兄の元喜が山岳賞のレッドジャージを最終獲得 ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

JCL各賞リーダージャージ表彰(KINAN Cycling Team分)
●イエロージャージ(個人ランキングトップ)
山本大喜(KINAN Cycling Team)
●レッドジャージ (山岳賞)
山本元喜(KINAN Cycling Team)

山本大喜のコメント
「(シーズンを通しての活躍について)今年は今までにないくらい練習に取り組んだことと、多くの方々の支えのおかげで結果につながったシーズンになった。特に、ツアー・オブ・ジャパンの富士山ステージ(第1ステージ)で3位に入ったことが自信につながった。

山本大喜

(初代JCL年間王者に輝いて)9月の秋吉台カルストロードレースで勝って個人ランキング首位に立ったことで、少しずつリーダージャージを意識しながら走るようになった。リーグ全体がファンを増やすことやロードレースの普及を目指している中で、個人的には強い選手が現れることが一番効果のあることだと考えていたので、だったら自分が一番になって強さを印象付けようと思った。その点では狙い通りになった。

成長を感じられた1年だったが、それでも力の面でトマや増田成幸選手(宇都宮ブリッツェン)と比べるとまだまだ。国内レースでトップを走る選手たちにはまだまだ追いつけていないと思っているので、来年も今年のような取り組み方で力を伸ばしていきたい。ゆくゆくはみんなから強いと認めてもらえるようなベテラン選手になりたいので、その意味では今が一番重要な時期だと感じている」