ジロ・デ・イタリアにエベネプール、ログリッチ…出場選手発表

第106回ジロ・デ・イタリアが5月6日から28日まで開催され、現世界チャンピオンのレムコ・エベネプール(23)=ベルギー、スーダル・クイックステップ=、プリモシュ・ログリッチ(33)=スロベニア、ユンボ・ビスマ=らが出場する。4月27日に主催者が出場選手リストを公表した。

2022ジロ・デ・イタリア第20ステージ ©Fabio Ferrari/LaPresse

前年の覇者ヒンドレーは欠場、日本勢なし

前年の覇者ジャイ・ヒンドレーは欠場。過去の総合優勝者は2020年大会を制したテイオ・ゲイガンハートのみ。イネオスグレナディアーズはゲラント・トーマスも加わった。

2013年と2014年に総合2位となったリゴベルト・ウラン、2017年総合4位のティボー・ピノ、2020年に15日間首位を守ったハオ・アルメイダらがマリアローザをねらう。

2023ジロ・デ・イタリア日程

5月6日(土) 第1ステージ コスタデイトラボッキ 19.6km(個人タイムトライアル)★
5月7日(日) 第2ステージ テラーモ〜サンサルボ 201km
5月8日(月) 第3ステージ バスト〜メルフィ 216km★★
5月9日(火) 第4ステージ ベノーサ〜ラーゴラチェーノ 175km★★
5月10日(水) 第5ステージ アトリパルダ〜サレルノ 171km★
5月11日(木) 第6ステージ ナポリ〜ナポリ 162km★
5月12日(金) 第7ステージ カプーア〜グランサッソ・ディタリア 218km★★★
5月13日(土) 第8ステージ テルニ〜フォッソンブローネ 207km★★
5月14日(日) 第9ステージ サビニャーノ・シュルルビコーネ〜チェゼナ 35.0km(個人タイムトライアル)★★★
5月15日(月) 休養日
5月16日(火) 第10ステージ スカンディアーノ〜ビアレッジョ 196km★
5月17日(水) 第11ステージ カマイオーレ〜トルトーナ 219km★
5月18日(木) 第12ステージ ブラ〜リボーリ 179km★★
5月19日(金) 第13ステージ ボルゴフランコ・ディブレア〜クランモンタナ 207km★★★
5月20日(土) 第14ステージ シエッレ〜カッサーノマニャーゴ 193km★
5月21日(日) 第15ステージ セレーニョ〜ベルガモ 195km★★★
5月22日(月) 休養日
5月23日(火) 第16ステージ サッビオキエーゼ〜モンテボンドーネ 203km★★★
5月24日(水) 第17ステージ ペルジーネバルスガーナ〜カオルレ 195km
5月25日(木) 第18ステージ オデルツォ〜バルディゾルド 161km★★★
5月26日(金) 第19ステージ ロンガローネ〜トレチメディラバレド 183km★★★
5月27日(土) 第20ステージ タルビジオ〜モンテルッサーリ 18.6km(個人タイムトライアル)★★★
5月28日(日) 第21ステージ ローマ〜ローマ 135km

★は難易度

2023ジロ・デ・イタリア区間距離が最終のものに修正

2023ジロ・デ・イタリア公式サイトが各ステージの競技距離を最終のものに修正した。これまでは発表時の暫定距離だったが、コースを検証して安全性などを確保したルートを確定。改めて各ステージの正式な距離を通達することなく修正した。

2023ジロ・デ・イタリアのコース

5月6日(土) 第1ステージ コスタデイトラボッキ 19.6km(個人タイムトライアル)★
5月7日(日) 第2ステージ テラーモ〜サンサルボ 201km
5月8日(月) 第3ステージ バスト〜メルフィ 216km★★
5月9日(火) 第4ステージ ベノーサ〜ラーゴラチェーノ 175km★★
5月10日(水) 第5ステージ アトリパルダ〜サレルノ 171km★
5月11日(木) 第6ステージ ナポリ〜ナポリ 162km★
5月12日(金) 第7ステージ カプーア〜グランサッソ・ディタリア 218km★★★
5月13日(土) 第8ステージ テルニ〜フォッソンブローネ 207km★★
5月14日(日) 第9ステージ サビニャーノ・シュルルビコーネ〜チェゼナ 35.0km(個人タイムトライアル)★★★
5月15日(月) 休養日
5月16日(火) 第10ステージ スカンディアーノ〜ビアレッジョ 196km★
5月17日(水) 第11ステージ カマイオーレ〜トルトーナ 219km★
5月18日(木) 第12ステージ ブラ〜リボーリ 179km★★
5月19日(金) 第13ステージ ボルゴフランコ・ディブレア〜クランモンタナ 207km★★★
5月20日(土) 第14ステージ シエッレ〜カッサーノマニャーゴ 193km★
5月21日(日) 第15ステージ セレーニョ〜ベルガモ 195km★★★
5月22日(月) 休養日
5月23日(火) 第16ステージ サッビオキエーゼ〜モンテボンドーネ 203km★★★
5月24日(水) 第17ステージ ペルジーネバルスガーナ〜カオルレ 195km
5月25日(木) 第18ステージ オデルツォ〜バルディゾルド 161km★★★
5月26日(金) 第19ステージ ロンガローネ〜トレチメディラバレド 183km★★★
5月27日(土) 第20ステージ タルビジオ〜モンテルッサーリ 18.6km(個人タイムトライアル)★★★
5月28日(日) 第21ステージ ローマ〜ローマ 135km

★は難易度

トヨタがジロ・デ・イタリアと契約延長…2023年から2025年まで

自動車メーカーのトヨタが自転車レースのジロ・デ・イタリア、そのeバイク部門のジロEと2023年から2025年までのパートナーシップ契約延長を発表した。

ジロ・デ・イタリアとパートナー契約を延長したトヨタ ©Fabrizio Corradetti/LaPresse

トヨタは、5月6日から28日まで行われる第106回ジロ・デ・イタリアに協賛。大会の投入するのは全電動化シリーズで、50台の新しいトヨタbZ4X、トヨタbZの初期モデルを含む50台以上の車両がレースに帯同する。

トヨタbZ4Xs ©Fabrizio Corradetti/LaPresse

ジロ・デ・イタリアを主催するRCSは2019年から開催レースでトヨタを使用している。

トヨタRAV4 ©Fabrizio Corradetti/LaPresse

●ジロ・デ・イタリアのホームページ

ジロ・デ・イタリア公式バイクとなったコルナゴはどんなブランドなのか

イタリアの自転車メーカー、コルナゴがジロ・デ・イタリアのオフィシャルバイクとなった。自転車競技界最強のエディ・メルクスや現世界ランキング1位タデイ・ポガチャルが愛用する自転車の歴史をまとめてみた。

コルナゴ私邸のエントランスにある雨水桝はブランド象徴のクローバー型

自転車競技の歴史を書きつづってきたイタリアブランド

2008年に調べたデータだが、それまでの40年間で合計140のプロチーム、2500人の選手に機材供給。累積7000勝を挙げてきたコルナゴブランド。語り尽くせぬほどのエピソードのなかで、記憶にとどめておきたいものをここに紹介。

いろんな選手に関わってきたが、
メルクスのために働けたのが大きな喜び。
1年で26本もフレームを作ったことがある。
ブリュッセルの自宅から朝早くやってきて
すぐに持ち帰ってくれたものだ……。

創業者エルネスト・コルナゴ。すべての転機は落車骨折

エルネスト・コルナゴは1932年に農家の長男として誕生。11歳のときに地元カンビアーゴの工場で働き始め、そこで初めての溶接を経験した。

1945年11月25日には大手自転車メーカーとして知られたミラノの工房グロリアの見習いとなる。その翌年には選手としてレース活動を始めている。

小柄な体格ながら将来性あふれる有望な選手だった。15歳のときにロードレースで初勝利。以後、コッパ・カルディローラを含め13勝を挙げるのだが、それがエルネストの選手としての全実績だ。

コルナゴのニコラ・ロジンCEO。セッレロイヤルやフィジークを統率してきた経営者だ ©LaPresse

それというのも20歳を目前としたミラノ〜ブセットのレース中に落車。左足を骨折してしまい、60日間をギブスで過ごし、競技生活断念せざるを得なくなった。

しかしこのギブス生活を強いられているとき、グロリアでホイール組み作業を教えてもらうことになった。翌年にはグロリアを出て、カンビアーゴの小部屋を借り、自転車製造修理の下請け業を始める。コルナゴの歴史はここに始まるのだった。

堅実なメカニックとして自転車界で修業を積んだ

1954年、正式に自らの名前を冠した店をオープンする。

そんなコルナゴの名前が自転車界で有名になったきっかけは、ニベアチームのプロ選手だったフィオレンツォ・マーニとの出会いだった。

マーニはその当時、供給された自転車が身体に合わなかったため、足の故障に苦しんでいた。ある日、使用していた自転車を持ってカンビアーゴを訪れるのだが、エルネストがクランクを調整すると、数日後にはマーニの足の痛みが消えうせたという。

スター選手は一瞬にしてこのメカニックの腕のよさを見抜いた。

マーニの要請でエルネストはチームメカニックとしてジロ・デ・イタリアに帯同するようになる。

エルネストはこうしたメカニックとしての活動をするかたわら、自転車作りにも継続して情熱を注ぎ続けた。1958年にはコルナゴバイクに乗ったルイージ・アリエンティがローマ五輪のトラック競技で優勝する。これがコルナゴにとって初のビッグレースでの優勝だった。

ペイント職人が塗装ガンでいたずら書きしたエルネスト・コルナゴ氏。2021年にコルナゴ社を勇退

伝説となるクローバーマークの誕生

1959年には幼なじみのジョルジオ・アルバーニのすすめで、1973年まで所属することになるモルテーニのメカニックとして迎えられる。ジャンニ・モッタやミケーレ・ダンチェッリらスーパースターを陰で支える役どころをこなす。

さらに1964年からはイタリアナショナルチームのメカニックとして数年を過ごす。1966年にはモルテーニのジャンニ・モッタがジロ・デ・イタリアで優勝するのだが、それを陰で支えたのもエルネストだった。

1970年3月19日。ミケーレ・ダンチェッリがミラノサンレモを制したのち、クローバーマークをブランドのシンボルに採用した。以来そのマークを見ればイタリア人ならコルナゴとひと目で分かるほどの孤高の存在となる。

自転車競技史上最強の男との運命的出会い

1971年にモルテーニは自転車競技界最強の選手といわれるエディ・メルクスを迎える。この出会いはエルネストにとって、そして同時にコルナゴというブランドにとって非常に重要なものだった。

コルナゴ社の会議室にあるテーブル脚はカーボン製のバトンホイールだった

エルネストは多くの選手に関わってきたが、メルクスのために働けたのが大きな喜びだったという。フレームのサイズにシビアだったメルクスのために1年で26本もフレームを作ったことがある。

メルクスは1972年10月25日、メキシコシティで最先端の新素材を使用したコルナゴ製の超軽量マシンでアワーレコードの新記録を達成した。このとき使用されたリブ入りフレームはすぐに市販モデルに取り入れられるのだが、以来他メーカーが驚くほどの画期的イノベーションを次々と市場に投入していった。(続く)

ロレックスからスピンアウトしたチューダーがジロ・デ・イタリア公式時計に

スイスの時計メーカー、チューダーが2023年からジロ・デ・イタリアとその姉妹レースのオフィシャルタイムキーパーとなった。2月16日にイタリアのミラノで発表され、UAEツアー(2月20〜26日)から活動を開始する。

2022ジロ・デ・イタリアの個人タイムトライアル ©Marco Alpozzi/LaPresse

チューダーはスイスのファビアン・カンチェラーラが指揮するUCIプロチーム、チューダーサイクリングのスポンサーとしても知られる。その指導哲学はスイスらしさを取り入れた人間中心のアプローチで、スイスの企業や組織と提携してチームを強化していく。次世代のチャンピオンを生み出すために開発チームを立ち上げている。

時計メーカーとしてのチューダーは、1930年代にロレックスの創始者ハンス・ウィルスドルフが立ち上げたディフュージョンブランド(廉価ブランド)。80年以上にわたるチューダーの技術と哲学が込められているダイバーズウォッチが人気。

●チューダーのホームページ

ローマの名所トレビの泉が1日限りでピンク色になった理由は

イタリアの首都ローマで最も人気のある観光スポット、トレビの泉が1月27日にピンク色にライトアップされた。これ以外にもイタリア各地の合計40カ所がピンク色に染まった。そのわけは…。

ローマのトレビの泉がピンク色に ©Roberto Monaldo / LaPresse

大会の象徴がどうしてピンク色になったか?

イタリア最大の自転車レース、ジロ・デ・イタリアを主催するRCSスポルトが観光名所のライトアップ作戦を行ったことをミラノで発表した。5月6日に開幕する23日間のステージレース、ジロ・デ・イタリアの100日前カウントダウン企画だ。実のところは恒例イベントで、近年は毎年行われている。

第1ステージのスタート地点、コスタデイトラボッキ ©LaPresse

大会は全21ステージで争われるため、各ステージのスタートとゴールの街の象徴であるモニュメントをピンク色に浮かび上がらせた。第20ステージと第21ステージのみ1カ所。

大会の愛称は「コルサローザ」で、ピンクのバラ色の道という意味。だからイメージカラーはピンク色を採用した。

第9ステージのゴール、チェゼナ ©LaPresse

ジロ・デ・イタリアではその日終わって首位に立った選手にバラ色のジャージ、マリアローザが与えられ、翌ステージにそれを着用してレースをするという伝統がある。大会の象徴がどうしてピンク色になったか? それは主催者だったスポーツ新聞「ラ・ガゼッタデルスポルト」の紙の色がピンク色だからだ。

第13ステージのスタート地点、ボルゴフランコ・ディブレア ©LaPresse

実はこの理由、世界最大の自転車レース、ツール・ド・フランスと全く同じ。ツール・ド・フランスのかつての主催者、スポーツ新聞のレキップ(黎明期はロト)の紙の色が黄色。そのため首位選手が着用するジャージは黄色に。フランス語でマイヨジョーヌと呼ばれるようになった。

2022ジロ・デ・イタリアを制したジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) ©Marco Alpozzi/LaPresse