ツール・ド・熊野は山岳決戦…グアルディオラが45秒差で最終日へ

和歌山県と三重県にまたがる熊野地域で開催されているステージレース、ツール・ド・熊野は6月2日に第2ステージが行われた。この日は三重県熊野市と御浜町を舞台に、熊野の山岳コースをめぐる大会最難関のステージ。3つの山越えで争われたレースは序盤からサバイバル化。キナンサイクリングはサルバドール・グアルディオラの5位がチーム最上位。ステージ優勝と個人総合上位浮上を懸けて攻撃を仕掛けたキナン勢だったが、あと一歩のところで勝利に届かず。残る1日で上位進出にトライすることとなった。

ツール・ド・熊野第2ステージ ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

前日、和歌山県新宮市で行われた第1ステージでは、レース途中の落車による影響でトンネル区間に立てられたフェンスが倒壊。復旧が不可能との判断から、レースは途中でキャンセルに。その後2周半のパレード走行を行って、地元の人たちや大会主催者に敬意を表した。総合成績についてはおおむね2日前のプロローグから引き継がれ、キナンでは中島康晴がトップから4秒差の個人総合25位につける。それ以外の選手も数秒差で続いており、チームが目指す個人総合優勝に向け、好ポジションにつけているといえる。なお、このトラブルにトマ・ルバが巻き込まれたが大きな影響はなく、残るステージも予定通り戦う。

着々と進行している大会は、いよいよ正念場を迎える。第2ステージは、109.3kmの本格山岳ステージ。大会の目玉でもある2級山岳「丸山千枚田」を通過後、一度下って、次に目指すは最大の難所である1級山岳・札立峠。その後の長い下りを経て、再び丸山千枚田へ。毎年2回目の丸山千枚田の上りで総合争いが最重要局面を迎えており、2018年も王座をねらう選手たちが激しく動くものと予想された。キナンとしても、クイーンステージに臨むにあたり、上位進出を果たすべくチーム力をフルに生かし戦うことを前夜のミーティングで確認した。

熊野市の中心部をパレード後に正式スタートが切られたレースは、早くからアタックの応酬。キナン勢は山本元喜がファーストアタックに反応するが、リードを奪うことはできない。その後も数人が前方をうかがっては集団が追いつく流れが繰り返されたが、5km地点を過ぎたあたりで9人の逃げグループが形成される。キナンからは中島が加わったほか、有力チームが確実に選手を送り込み、早くも各チームの思惑が見え隠れする。

この逃げグループに前回覇者のホセヴィセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックスパワータグ)が入ったこともあり、メイン集団は逃げグループをしばし射程圏内にとどめる。丸山千枚田の登坂1回目を目前に、キナン勢が集団前方を固め、ペーシングを開始した。

丸山千枚田1回目の登坂が始まると、キナン勢がコントロールする集団と逃げグループとのタイム差が縮まっていく。その勢いのまま、集団は総合優勝候補が含まれる追走グループへと変化。しかし、一気に人数が絞られたことや、このグループに選手を送り込んだチームの意図がそれぞれに異なることもあり、協調体制とはならない。後方から加わった選手も含め、追走グループは11人。この中にキナンからはルバ、マルコス・ガルシア、グアルディオラが入る。やがて迎えた札立峠の上りではトマがこのグループを牽引し、頂上を前に先頭に合流する。一方で、上りを進むにつれて登坂力の差が明白となり、新たな先頭グループが形成されることとなる。

こうした展開から数的優位な状況を作り出したいキナン勢だったが、ルバにチェーントラブルが発生。スピードを上げようとした際にチェーンロックさせてしまい、足止めを余儀なくされる。レースに復帰し前方を目指したが、追いつくことはかなわなかった。

札立峠の上りで1人が飛び出したが、頂上通過後の下りでとらえ、代わって中島がペースアップ。これをきっかけに、中島が他チームの選手たちの消耗をねらったアタックを繰り返す。キナン勢はルバの脱落こそあったものの、グアルディオラとガルシアを主要な選手たちがそろうグループに待機させ、次なる展開へと備える。

波状攻撃を展開した中島は、単独先頭で2回目の丸山千枚田へ。上りに入ると後続の動きも活性化。1人が飛び出すと、そのまま中島をパス。役割を果たした中島に代わり、グアルディオラとガルシアが勝負に出たいところだが、他選手の厳しいマークもあり、思うように追走態勢に入ることができない。頂上通過後、下りでもタイム差を縮めることができず、約20秒差のままフィニッシュまで約10kmとなった。

グアルディオラとガルシアを含む追走グループから、2名が立て続けにアタックしたが、キナン勢2人は続くことができない。主にガルシアがグループを牽引し、最終局面はグアルディオラの勝負強さに賭ける姿勢を見せたが、結果的に先行した3選手までは届かず。そのままステージ上位争いとなり、上り基調の最終局面を前方でこなしたグアルディオラは、このグループで2番手でフィニッシュ。ステージトップからは33秒差の5位。ガルシアは少し遅れてフィニッシュラインを通過し、ステージ8位で終えた。

このステージで総合成績が大幅にシャッフル。キナン勢もトップ10に2人送り込み、グアルディオラが総合タイム差45秒で5位につける。ガルシアは同じく57秒差の8位。そのほか、中島、新城、山本、ルバもフィニッシュして、6人全員で最終ステージへと駒を進めている。また、チーム総合では37秒差の2位としている。

第20回の記念大会として行われているツール・ド・熊野も、残すはあと1ステージ。クジラで有名な太地半島での最後の戦いが待ち受ける。2018年から周回後半に、道の駅「たいじ」前の国道42号線を数百メートル通過する新ルートを採用。1周10.5kmを9周回、パレード区間をのぞいて104.3kmで争われる。昨年のこのステージでは逃げ切りが決まったが、スプリント勝負になることも多く、スピードマンが主役となるチャンスのステージでもある。

キナンは個人・チームともに総合成績アップをかけた最後の1日となる。どちらも上位陣が僅差とあり、各チームが総攻撃を繰り出すことは間違いない。そうしたなかで、ホームチームとして“地の利”を生かすことができるか。この大会のために尽力してくれた多くの関係者の、日頃から応援してくれる人の思いも乗せて、チームは戦いへと挑む。

ツール・ド・熊野 第2ステージ結果(104.3km)
1 入部正太朗(シマノレーシング) 2時間45分52秒
2 マーク・デマール(オランダ、チームUKYO) +1秒
3 ベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +15秒
4 ベンジャミ・プラデス(スペイン、チームUKYO) +33秒
5 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team)
6 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン) +35秒
8 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +44秒
17 中島康晴(KINAN Cycling Team) +3分51秒
23 新城雄大(KINAN Cycling Team) +5分29秒
27 山本元喜(KINAN Cycling Team) +7分23秒
49 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +15分28秒

個人総合時間賞
1 入部正太朗(シマノレーシング) 2時間46分35秒
2 マーク・デマール(オランダ、チームUKYO) +7秒
3 ベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +25秒
4 ベンジャミ・プラデス(スペイン、チームUKYO) +44秒
5 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +45秒
6 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)
8 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +57秒
16 中島康晴(KINAN Cycling Team) +4分2秒
23 新城雄大(KINAN Cycling Team) +5分59秒
26 山本元喜(KINAN Cycling Team) +7分35秒
63 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +15分41秒

ポイント賞
1 入部正太朗(シマノレーシング) 25pts
5 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) 12pts
10 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) 8pts

山岳賞
1 マーク・デマール(オランダ、チームUKYO) 24pts
2 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) 12pts
6 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) 3pts

チーム総合
1 セントジョージコンチネンタル 8時間24分51秒
2 KINAN Cycling Team +37秒

サルバドール・グアルディオラ

サルバドール・グアルディオラのコメント
勝つことだけに集中して全力を尽くした。ツアー・オブ・ジャパンを経て、われわれはより強くなっているから、レースレベルが高いこの大会でも勝つチャンスは十分にあると感じていた。ただ、レースは勝つこともあれば負けてしまうことだってある。いまはとにかく、次の勝利に向かって気持ちを切り替えるしかない。明日は全員の力をそろえて勝ちにいく。私たちならできるし、成功すると信じている。

トマ・ルバ

トマ・ルバのコメント
マルコスやサルバドールとともに逃げていた9人を追う状況となり、札立峠の途中でスピードを上げようというタイミングでチェーンロックさせてしまった。約30秒足止めとなってしまい、そのまま前に追いつくことができなかった。もちろん残念ではあったが、チームに貢献できるよう気持ちを切り替えて、明日のステージを意識しながらフィニッシュを目指した。今日は戦術的なミスがあったことを認めなくてはならない。明日に向けて切り替えて、再び全員でトライしていく。サルバドールやマルコスの総合成績アップのチャンスにかけて走りたい。

中島康晴

中島康晴のコメント
(トップで登坂を開始した丸山千枚田2回目の上りについて)強い向かい風の影響もあって、もう少し逃げてチームメートにつなぎたかったが、それができなかったことが悔しい。それでも、地元のレースで多くの応援を背に受けて走ることができたのはうれしかった。今日は悔しい結果に終わったが、明日はまたチャンスがやってくると思う。最後までチーム一丸となって戦いたい。

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ツール・ド・熊野第1ステージは選手の安全確保のためレース途中でキャンセルに

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ツール・ド・熊野第1ステージは選手の安全確保のためレース途中でキャンセルに

第20回記念大会のツール・ド・熊野は、6月1日の第1ステージからロードレースステージがスタート。この日は和歌山県新宮市の赤木川清流コースででの113.2kmのレースが実施された。スタート直後こそ順調に進行したレースだったが、中盤を前にコースのトンネル内に設置されたフェンスが倒壊。コミッセール、オーガナイザー、チームマネージャーのミーティングにより、選手の安全確保を第一としてステージがキャンセルとなった。

ツール・ド・熊野第1ステージ ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

前日のプロローグでは、0.7kmの個人タイムトライアルが行われ、キナンサイクリングでは中島康晴の25位がチーム最上位。落車に見舞われた新城雄大をのぞき、5選手がトップから5秒以内につけ、今後のステージへの期待をふくらませている。先のツアー・オブ・ジャパンからの連戦となるマルコス・ガルシアやトマ・ルバ、サルバドール・グアルディオラは好調を維持。この大会に合わせてきた山本元喜も調整が順調であることを証明している。

この日は、2017年3月に新庁舎となった新宮市役所前をパレードスタート。しばらくのニュートラル走行で同市熊野川町へ。実際のレースは赤木川沿いの16.3kmをおおよそ7周回する113.2kmで争われる予定だった。コースは細かなアップダウンこそあるものの、例年このステージはスピード感に満ちたレースとなり、スプリント勝負となることも多い。キナンとしては、この先に続く本格山岳ステージを視野に入れつつも、チャンスとあれば逃げやスプリントでの上位進出をねらってスタートを迎えた。

メインスポンサー「キナン」のお膝元とあり、新宮市役所からの出発ではプロトン(集団)の最前列に位置したキナンメンバー。晴れやかに出発し、レースが行われるサーキットコースまでを移動した。そして迎えた本番、1周目から山本らが果敢に先頭をうかがう動きを見せる。しばしの出入りが続いたのち、飛び出した1人を集団は積極的には追わず、単独逃げの状態となる。

キナン勢は2周目の前半に中島が集団から抜け出し、そのままの勢いでトップをいく選手に合流。逃げが決まったかに思えたが、集団ではこの周回に設けられた山岳賞をねらってスピードアップを図る選手が次々と現れる。こうした状況もあり、中島は集団へ戻ることを選択。山岳ポイントへの上りを前に集団は1つに戻った。

ふりだしに戻った3周目、集団から新城がアタック。もう1選手が加わり、2人逃げの態勢を築いていく。ところが、集団とのタイム差を広げようかというタイミングで、コースに含まれるトンネル内で落車が発生。複数の選手が巻き込まれるとともに、左右の車線を隔てていたフェンスが倒壊。これにより、選手とコース内の安全を確保するためレースがストップとなる。

選手たちはレース再開を待ったものの、倒壊したフェンスは修復不可能と関係者が判断。コミッセール、オーガナイザー、チームマネージャーによるミーティングが行われ、このステージがキャンセルされることが決定。認められたのはレースストップ前、2周回目に設けられた山岳賞のみとなり、その他の総合成績はプロローグから引き継がれることとなった。

この決定後、開催地の人たちや観戦に訪れたファンへのサービスとして、出走ライダーによる2周半のパレード走行が行われ、ホストチームであるキナンが途中まで先導役を務めた。

思わぬハプニングに見舞われた大会だが、仕切り直しの一戦が翌2日にやってくる。三重県熊野市が舞台となる第2ステージは、109.3kmの本格山岳ステージ。大会の目玉でもある激坂「丸山千枚田」を通過後、一度下って、次に目指すは最大の山岳ポイント札立峠。長い下りを経て、2回目の丸山千枚田へ。毎年ここで総合争いが最重要局面を迎えており、2018年も王座をねらう選手たちが激しい争いを繰り広げることが見込まれている。今大会のハイライトとなることは必至。

キナンとしてもこのステージでの戦いを見すえて準備を進めてきた。今大会の頂点に立つためには絶対に落とすことのできない1日。いかにして戦うのか、そして誰で勝負にいくのか、チームにこれまでにない注目と期待が寄せられる中でのレースとなる。

ツール・ド・熊野 第1ステージ結果(113.2km)
レースキャンセル

個人総合時間賞
1 阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン) 50秒
2 カーデン・グローヴス(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +1秒
3 黒枝士揮(愛三工業レーシングチーム)
4 秋田拓摩(シマノレーシング)
5 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +2秒
6 大久保陣(チームブリヂストンサイクリング)
25 中島康晴(KINAN Cycling Team) +4秒
36 山本元喜(KINAN Cycling Team) +5秒
45 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +5秒
63 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +6秒
66 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +6秒
108 新城雄大(KINAN Cycling Team) +23秒

ポイント賞
1 阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン) 10pts

山岳賞
1 畑中勇介(チームUKYO) 2pts

チーム総合
1 宇都宮ブリッツェン 2分34秒
11 KINAN Cycling Team +10秒

新城雄大

新城雄大のコメント
スタートから(山本)元喜さんと自分とで動くことができていて、そうした中から自分が3周目に逃げを決められた。スプリントポイントがかかっていた周回でもあったので、そこまでしっかり逃げられれば、その後は集団が容認してくれるだろうという期待をしながら攻めていた。それだけに、レースが止まってしまったことは残念。一方で、疲労が残ることはないので、“本番”である明日に向けて準備を整えていきたい。前日の落車の影響はまったくない。第2ステージは、山岳でクライマーのケアをしながら、勝負どころに向けて活性化する動きを見定めていきたい。

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20回記念のツール・ド・熊野開幕…キナンが総合Vに向けてスタート

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20回記念のツール・ド・熊野開幕…キナンが総合Vに向けてスタート

キナンサイクリングの本拠・熊野地域を舞台に開催されるUCI公認のステージレース、ツール・ド・熊野(UCIアジアツアー2.2)が5月31日に開幕。ホストチームとしてシーズン最大目標の戦いをスタートさせた。大会初日はプロローグとして0.7km個人タイムトライアルを実施。チーム最上位は中島康晴の25位。悲願の個人総合優勝に向けて、6人の選手たちが一歩を踏み出した。

ツール・ド・熊野のプロローグを激走 ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

ツール・ド・熊野は2004年にユネスコ世界遺産に登録された「紀伊山地の霊場と参詣道」に含まれる熊野地域を舞台に、プロローグを含む全4ステージで開催される。プロローグの個人タイムトライアル以降は、3つのロードレースステージを設定。UCI(国際自転車競技連合)公認の国内ツールの1つとして年々注目度が高まっていて、2018年は第20回の記念大会となった。

この節目の大会で、キナンは個人総合優勝者の輩出を至上命題として戦う。2017年はマルコス・ガルシアが個人総合3位、チーム総合1位、トマ・ルバが第2ステージ優勝と好成績を修めたが、2018年はそれ以上の結果を目標に、長きにわたって準備を進めてきた。なによりメインスポンサー「キナン」のお膝元でのレース。主催は同社内に設けられるNPO法人「SPORTS PRODUCE 熊野」。そしてキナン社が大会のオフィシャルスポンサーを務める。

多くの関係者の期待と夢を乗せたチームは、この大会に向けてガルシアとルバのほか、山本元喜、サルバドール・グアルディオラ、中島康晴、新城雄大の6人を選出。先のツアー・オブ・ジャパンで個人総合優勝を果たしたガルシアは2冠に向けた戦いに。山本以外はツアー・オブ・ジャパンに続くビッグレースへのメンバー入りとなっている。

オープニングのプロローグは、新宮市内の市田川沿いをおおむね「コ」の字に走るレイアウト。スタートからハイスピードで攻め、ほぼ中間地点に位置する2つの90度コーナーをいかにスムーズにクリアするかが勝負のポイント。例年、優勝争いは50秒前後で決まっている。キナン勢は、中島、ルバ、ガルシア、グアルディオラ、山本、新城の順で出走。チーム最上位は中島の25位。雨脚がたびたび変化する中、ステージ優勝タイムから大きく遅れることなく走り切った。なお、チーム最終走者の新城は濡れた路面でスリップし落車したが、大事には至らず翌日以降も予定通り出走する。

緒戦を終えた選手たちは夜のオープニングセレモニーに出席。チームからは、全選手を代表して新城が選手宣誓を務めている。

6月1日に行われる第1ステージは2017年3月に新庁舎となった新宮市役所前をパレードスタートしたのち、同市熊野川町の赤城川沿いの16.3kmをおおよそ7周回する113.2kmで争われる。細かなアップダウンこそあるものの、スピード感に満ちたレースになることが予想される。キナンとしては、この先に続く本格山岳ステージを視野に入れつつも、チャンスとあればこのステージでも果敢にトライをしていくことになる。

ツール・ド・熊野 プロローグ結果(0.7km個人タイムトライアル)
1 阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン) 50秒78
2 カーデン・グローヴス(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +1秒09
3 黒枝士揮(愛三工業レーシングチーム) +1秒18
4 秋田拓摩(シマノレーシング) +1秒18
5 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +1秒38
6 大久保陣(チームブリヂストンサイクリング) +1秒42
25 中島康晴(KINAN Cycling Team) +3秒84
36 山本元喜(KINAN Cycling Team) +4秒40
45 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +4秒69
63 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +5秒77
66 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +5秒84
108 新城雄大(KINAN Cycling Team) +22秒66

個人総合時間賞
1 阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン) 50秒
2 カーデン・グローヴス(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +1秒
3 黒枝士揮(愛三工業レーシングチーム)
4 秋田拓摩(シマノレーシング)
5 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +2秒
6 大久保陣(チームブリヂストンサイクリング)
25 中島康晴(KINAN Cycling Team) +4秒
36 山本元喜(KINAN Cycling Team) +5秒
45 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +5秒
63 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +6秒
66 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +6秒
108 新城雄大(KINAN Cycling Team) +23秒

ポイント賞
阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン) 10pts

チーム総合
1 宇都宮ブリッツェン 2分34秒
11 KINAN Cycling Team +10秒

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ツール・ド・熊野にキナンのガルシアなど6選手…総合優勝を目指す

和歌山県と三重県にまたがる熊野地域を舞台としたステージレース、ツール・ド・熊野が5月31日から6月3日に開催され、キナンサイクリングから6選手が出場する。チームにとってホームである熊野地域で行われる4日間のステージレースはシーズン最大の目標であり、目指すはもちろん個人総合優勝者の輩出となる。2015年のチーム発足から「熊野制覇」に挑みながらも、厚く高い壁に跳ね返されてきた。2018年は4度目の正直となるか。

ツール・ド・熊野に出場するキナンサイクリングの6選手

2018年は第20回の記念大会で、節目の年にホームチームが勝利できるかにも期待と注目が集まっている。大会はチームのメインスポンサー「キナン」角口賀敏会長が理事長を務める「SPORTS PRODUCE 熊野」が主催。キナンチームにとっては固い絆と縁で結ばれているレースでもあるという。4日間のレースは、2004年にユネスコ世界遺産に登録された「紀伊山地の霊場と参詣道」に含まれる熊野古道の周辺道路を使用。大会初日の31日はプロローグとして0.7kmの個人タイムトライアルが設定され、最初のリーダージャージ着用者を決める。

6月1日の第1ステージからはロードレースステージを実施。113.2kmで争われ、細かなアップダウンと道幅の狭いトンネル、テクニカルなコーナーなどが選手たちをふるいにかけていく。109.3kmに設定される第2ステージは、風光明媚な熊野名物の「千枚田」をレース前半と後半に1回ずつ上り、中盤には最大の山岳ポイントである札立峠を通過。難攻不落のクイーンステージであり、上りだけでなく狭く急なダウンヒルもコースの特徴。例年ここでの戦いから総合争いの形成が見えてくる傾向にある。

最終の第3ステージはクジラで有名な太地半島での104.3km。2018年から一部コースがアレンジされ、国道42号線沿いに位置する道の駅「たいじ」の敷地内を通過するルートへ。美しい海が眼前に広がり、太地港からの上りやテクニカルなダウンヒルなどを経て、大会はフィナーレを迎えることになる。

ホストチームとして臨むキナンはこの大会に山本元喜、マルコス・ガルシア、サルバドール・グアルディオラ、トマ・ルバ、中島康晴、新城雄大の6選手を招集。2017年に個人総合3位となったガルシア、2017年の第2ステージを制したルバ、同じく2017年個人総合7位で終えた山本元など、この大会との相性のいい選手がそろうとともに、熊野での戦い方を知る選手たちがセレクトされた。

5月に入り、上旬のスリランカTカップでは中島が、大会直前のツアー・オブ・ジャパンではガルシアがそれぞれ個人総合優勝と、勢いに乗るキナン。他のメンバーも調子を上げていて、個人はもとよりチーム力を示す絶好の機会となる。プロローグ終了後に行われる開会式では、出場選手を代表して新城が選手宣誓を務める予定。オーガナイザーのみならず、地元の人々による運営や大会成功を目指し尽力する、まさに「おらが街のサイクルイベント」。すっかり国内UCIレースとしての地位を確立したこの大会にキナンはタイトル獲得をかけて戦う。


ツール・ド・熊野
5月31日(木) プロローグ(新宮) 0.7km個人タイムトライアル
6月1日(金) 第1ステージ(赤木川清流) 113.2km
6月2日(土) 第2ステージ(熊野山岳) 109.3km
6月3日(日) 第3ステージ(太地半島) 104.3km

ツール・ド・熊野の公式サイト

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