日本バイシクル・オブ・ザ・イヤー2022はアンカーRP9

ブリヂストンサイクルのアンカーPR9が日本バイシクル・オブ・ザ・イヤー2022を受賞した。日本ブランドとして初めての受賞。ピークスが運営するスポーツバイク専門メディア、バイシクルクラブの山口博久編集長らが選考した。

バイシクルクラブの2021年1月号から2022年1月号までに掲載されたロードバイク(2022年モデル)を中心に、フルモデルチェンジしたモデル、ブランニューモデルを中心にリストアップし、日本バイシクル・オブ・ザ・イヤー選考委員の投票により10モデルをノミネート。2021年11月下旬に全車種を集めて行われた選考試乗会を経て、No.1が決定した。

<日本バイシクル・オブ・ザ・イヤー 2022ノミネートされた10モデル>
・アンカー・RP9
・ビアンキ・スペシャリッシマディスク
・カレラ・フィブラディスク
・サーベロ・R5
・チャプター2・トア
・ルック・795ブレードRSディスク
・メリダ・スクルトゥーラ チーム
・オルベア・オルカエアロ
・ピナレロ・ドグマF
・ヨネックス・カーボネックスHRディスク

日本バイシクル・オブ・ザ・イヤーとは

選考委員(写真右から)山口博久(バイシクルクラブ/ピークス)、難波賢二(自転車ジャーナリスト)、田村明寛(FRAME/自転車創業)、吉本司(自転車ジャーナリスト)、浅野真則(自転車ジャーナリスト)、菅洋介 (自転車ジャーナリスト)、ハシケン(自転車ジャーナリスト)、安井行生(La route/ハーモニクス)、岩田淳雄(バイシクルクラブ/ピークス)

日本バイシクル・オブ・ザ・イヤー実行委員会主催で、その年の自転車No.1を決めるアワード。実行委員会は、自転車ジャーナリストや自転車メディアの代表者などの選考委員で構成され、スポーツバイクユーザーがよりスポーツバイクを楽しむための話題づくりを目的として、毎年アワードを開催している。

<選考方法> 
選考に際して、9人の選考委員の持ち点は各10ポイント。それをいくつのモデルに分配しても構わないが、1モデルへの配点は最高3ポイントまで。各モデルの得点を集計し、最高得点を得たモデルを日本バイシクル・オブ・ザ・イヤー2022と決定。 

日本バイシクル・オブ・ザ・イヤー2022受賞:アンカーRP9

アンカー・RP9

●製品名 アンカー・RP9
●価格 121万円(DURA-ACE MODEL)、 49万5000円(フレームセット) ※税込
●スペック
フレーム:プロフォーマット、 HMカーボン+T1100カーボン
フロントフォーク:プロフォーマット、 HMカーボン+T1100カーボン
コンポーネント:シマノ・デュラエースDI2
ホイール:DTスイス・ARC1100ダイカット50
タイヤ:ブリヂストン エクステンザ・R1X 700×25C
サイズ:440、 490、 510、 530

<選考委員による評価総括> 
5回目の開催となる日本バイシクル・オブ・ザ・イヤー。日本ブランドとしてベスト10にノミネートしたのも初めてのアンカーRP9が、さらに海外ブランドとの激戦を制しての初受賞。この評価の理由として大きかったのは、「軽快な反応性を生む硬さをもちながら、脚への優しさも感じるバランスのよさ」(ハシケン)、「脚当たりのよさと世界トップレベルの性能をここまでバランスさせたフレームは少ない」(安井行生)、「高い次元で速さと乗り心地のよさを最適化できる夢のような時代がきた。RP9はその象徴だ」(山口博久)というように、選考委員たちのコメントの随所に現れている、速さだけではない“走りの質の高さ”。

また、RP9を開発したアンカーのバックグラウンドにあったのは、東京2020オリンピックを目指したトラックバイクの開発で培った技術。そういう意味でRP9は、単に「優秀なロードバイク」であるだけでなく、日本の自転車競技界あるいはスポーツ界という大きな枠組みのなかでもエポックメイキングなバイクとして後世に名を残したといえる。 

日本バイシクル・オブ・ザ・イヤー 2022の詳細ページ
アンカーRP9の紹介ページ

バイシクルクラブ新編集長に生え抜きの山口博久が就任

自転車月刊誌のバイシクルクラブの編集長に山口博久が2022年1月5日付けで就任した。それとともに、2022年1月20日発売のバイシクルクラブ 3月号からリニューアルされる。

バイシクルクラブの山口博久編集長

就任した山口は、バイシクルクラブに20年以上携わっていて、国内外のレースからツーリング、自転車の走行環境といった社会問題に関する取材まで幅広く体験してきた。今後はこうした知見をもとに、かねてより担当していたWEBコンテンツやSNS、映像などのデジタルコミュニケーションをさらに加速させ、メディアの枠を越境したブランド、バイシクルクラブとしてECやイベントなど幅広く「自転車の楽しさ」を届けていきたいという。 

ロゴも刷新、創刊時のものに限りなく近く

1985年創刊のバイシクルクラブが使用していたロゴをオマージュし、ヨーロピアンなロゴへ変更する。映像やSNSなど、デジタルコンテンツを中心としたコミュニケーションへチャレンジし、変化していく中でも、創刊当時から約40年変わらず提案し続けている「自転車の楽しさ」への想いを込めている。

リニューアルコンセプトはRide to the end of the world -WITH YOU

バイシクルクラブ

サイクリストとつながる「クラブ活動」として、ファンや業界と一緒に築き上げていく楽しいバイシクルクラブブランドを目指し、5つをさらに強化して取り組んでいく。 

1. 昨今、アウトドアアクティビティを楽しむ層が増え、キャンプとの組み合わせなど自転車の遊び方は多岐に及んでいる。今まで以上に新規層へ向けた趣味同士のかけ合わせによる新ジャンルを開拓。 
2. 自転車趣味を楽しむうえで「あったらいいな」と思うイベントやバイシクルクラブ限定の商品開発を強化し、趣味のさらなる充実を実現。 
3. 自転車をキーワードに、媒体の垣根を超えたイベントやメディア露出を通した広報活動を展開。女性ターゲットにも焦点を当て、アプローチを広げることでさらなる業界活性化を目指す。 
4. 地域との取り組みやアドベンチャーツーリズムを推進し、日本中に自転車の似合う風景「バイシクルランドスケープ」を広める。 
5. ロードバイクに限らず、グラベルロード、ツーリングバイク、MTB、ミニベロと多岐にわたる自転車趣味の世界をとどける。 

バイシクルクラブ新編集長に生え抜きの山口博久

「自身の体験として自転車に乗り続けたことで、体調不良も改善でき、さらに若いときに諦めたレース活動への復帰もできました。もちろん、自転車の魅力は家から出れば気軽に旅気分を味わえる移動手段、機能美を愛でたり機械をいじる愉しみ、アウトドアを楽しむグラベルロードやMTBなど無限にあります。それぞれのフィールドで感じられる自転車の魅力、新たな発見を読者のみなさまへ直接お伝えする、そんな自転車専門メディア『バイシクルクラブ』へ進化していきます」(山口博久)

山口博久の略歴>
1998年、自転車専門メディア『バイシクルクラブ』へ配属。近年は『バイシクルクラブ』WEBやSNSを担当し、デジタル発信にも従事。20年来自転車専門メディアに携わるなかで、自身もレース活動を行い、国内トップカテゴリーのレース、全日本選手権ロードレースやシクロクロスに参戦。海外のグランフォンド世界選手権に出場するなど、国内外のレースを経験。ほか、シェア・ザ・ロード活動などを通して自転車全般に精通する。

コロナ後は自転車通勤激増でこれまで以上に注意が必要

NPO自転車活用推進研究会が自転車専門誌のバイシクルクラブと共同で、新型コロナウイルスの感染拡大対策の一つとして増えつつある自転車利用の現在と、コロナ収束後の自転車利用を予測し、どのような対策が必要かを模索するためのアンケートを行った。

2020年5月15日12時から5月19日24時までの間に1652件の回答があった。

今回のアンケートは自転車愛好家を中心としたデータで、さらに詳しい分析をするにはまだ時間が必要で、全貌を把握するにはもう少し時間がかかるという。ただ、単純に以下2つの質問から、コロナ蔓延前と経済活動再開後での交通手段の比較を集計すると、明らかな自転車へ通勤・通学へのシフトがみられた。

・コロナウイルス蔓延前の通勤、通学の主な交通手段はなんですか?
自転車利用率 全国37.6%  東京37.6%

・今後、経済活動が再開した場合、通勤や通学の主な交通手段はどうされますか?
自転車利用率 全国50.9%  東京54.3%

この結果から、公共交通機関から3密を避けられる自転車利用へシフトする人口が存在するといえる。ただ、今回のアンケート結果は30~40歳代を中心としていて、学生など10~20歳代の動向も追加で調べる必要があるという。

ここで東京を取り上げたのは、各都市を比較して自転車利用率の上昇が高いからだとも。普段から自転車利用が比較的多い大阪や愛知などに比べ、いままで東京は道路事情、駐輪場や会社の制度など通勤に自転車を利用する条件がそろっていないために、自転車通勤しにくいかった傾向がある。ただ、この時代の変化で自転車の利用が注目され、急激な変化が起きようとしている。

あくまでも愛好家のデータだが、増加する可能性は高い。
安全で快適な通行空間の整備は喫緊の課題だ
(自転車活用推進研究会小林成基)

特に東京のデータに顕著ですが、自粛解禁のタイミングでコロナ前に比べ電車通勤が約17%減り、自転車が同じくらい増えるという結果は恐怖を感じる。自転車の健全な活用を推進する立場としてはたいへんにうれしいことだが、この急激な変化で「健全」を維持することは至難とも思えるからだ。

東京の1日あたりの電車利用者はJR、地下鉄だけみても、京浜東北線約1500万人、山手線約1580万人、中央総武線約1950万人、東京メトロ9路線で約742万人、都営4路線で約282万人、私鉄を含めこれらと重複が多いのだが、人口の4倍にも当たる延べ約6000万人もの人が電車を利用していることになる。

今回のアンケートで、男性の40、50代の回答者が多いので、これらの路線の乗客で該当する割合を計算すると、約14%に当たる。実に約840万人。1日に20時間稼働しているから、単純計算では1時間に約42万人、その17%は約7万人である。そんなにも多くの人が新たに自転車通勤を始めたとしたら……。このデータは自転車愛好家のアンケートをベースにしているという前提なので、おおげさかもしれないが、想像を絶する明日がやってくるかも知れない。

海外の都市で、急増する自転車通行に備えて車線を変更したり、専用通行帯を整備し始めているのは、需要爆発が見えてきているからだ。パンデミック(世界的な感染拡大)は街の自転車にも伝播しつつある。シンプルでわかりやすいルールの徹底、そして安全で快適な通行空間の整備は喫緊の課題だと言えよう。

●NPO法人自転車活用推進研究会のホームページ
●バイシクルクラブの詳細ホームページ