VRならコロナウイルスでもミラノ〜サンレモは止まらない

ミラノ〜サンレモは新型コロナウイルス感染拡大を受けて3月21日に開催するレースの延期を余儀なくされたが、大会主催者RCSスポルトが黙っていなかった。同日の11時から18時まで(CET=中央ヨーロッパ時間)、ガーミンエッジとタックスとコラボしてミラノ〜サンレモの最後の57kmに挑むユニークな仮想サイクリング体験を楽しむことができる。

自宅にいながら春を告げるレース、ミラノ〜サンレモの最後の57kmを体験する機会を主催者が仮想世界として、現在困難な状況にいる世界中のサイクリストに提供した。RCSスポルトが3月17日(日本の18日)、ガーミンエッジとタックスと提携して作成されたミラノ〜サンレモ・バーチャルエクスペリエンスの発売を発表した。

このエキサイティングなコラボレーションは、現代の技術の力を通じて自転車ロードレースのモニュメントの一つを体験する機会を提供する。

VR体験で必要になるのはガーミンエッジサイクルコンピュータ(エッジ520、エッジ530、エッジ820、エッジ830、エッジ1000、エッジ1030など)。ルートにアクセスするため参加者はガーミンコネクトポータルに接続(アクセスは無料)。ミラノ〜サンレモ・バーチャルエクスペリエンスグループに参加し、グループのカレンダーから3月21日をクリックする。

参加者はミラノ〜サンレモとまったく同じ上りの負荷などが組み込まれたトラックをサイクルコンピュータにダウンロードする。これがスマートトレーナーとリンクされてペダルに画面通りの負荷を与えるというものだ。

タックスデスクトップアプリのユーザーは自分のプラットフォームにトラックをインポートし、衛星地図モードで自分のコンピュータ、タブレットやスマートフォンにインストール。モニターを前にしてペダルをこげばミラノ〜サンレモの仮想体験をさらに没入型にすることができる。

ミラノ〜サンレモの最後の57km

ミラノ〜サンレモの終盤には1982年に導入されたチプレッサと1961年からのポッジョ・ディ・サンレモがある。チプレッサの長さは5.6km超、平均勾配は4.1%。チプレッサを登った選手はフィニッシュラインまで9kmの地点でポッジョの上りに突入する。上りは3.7kmの長さで、平均勾配は4%未満。頂上の直前に8%の坂がある。

下りはヘアピンで、ターンの連続と非常にテクニカル。下り終わると2kmのまっすぐな大通りに突入しサンレモの街へ。残り850mで最後のターンとなるラウンドアバウト交差点で左に曲がり、残り750mでホームストレートで決着する。

ミラノ〜サンレモ、ティレーノなど3レースの延期決定

イタリアの自転車レースを運営するRCSスポルトは、ティレーノ〜アドリアティコ(3月11〜17日)、ミラノ〜サンレモ(3月21日)、イルジロ・デ・シチリア(4月1〜4日)のイタリアで開催される3レースを当初の予定では開催できないことを明らかにした。

2019ティレーノ〜アドリアティコ第3ステージ ©LaPresse/Fabio Ferrari

RCSスポルトはストラーデビアンケとストラーデビアンケ女子エリートの延期を決定していて、これと同様に3レースの新たな開催日程を割り当てるようにイタリア自転車競技連盟を介して、国際自転車競技連合に要求した。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、レースを円滑に開催する適切な認可が関係当局から得られないとして、RCSスポルトが相次いで主催レースの延期を決断した。

3月4日にはイタリア閣僚会議の通知を受け、公衆衛生の保護と関係者全員の安全をするために、大会の中止か延期の決断を迫られていた。

●ミラノ〜サンレモのホームページ

ミラノ〜サンレモやティレーノは延期開催が最後の望み

イタリアの閣僚理事会の決定が2020年3月4日に通達され、ミラノ〜サンレモなどの自転車レースを運営するRCSスポルトは、3月8日に予定されていた一般参加イベント、グランフォンド・ストラーデビアンケを中止したことを即日発表した。

第110回ミラノ〜サンレモはアラフィリップが優勝 ©LaPresse/Marco Alpozzi

プロレースのストラーデビアンケ(3月7日)、ストラーデビアンケ女子エリート(3月7日)、ティレーノ〜アドリアティコ(3月11〜17日)、ミラノ〜サンレモ(3月21日)、イルジロ・デ・シチリア(4月1〜4日)に関して、RCSスポルトは今後数日間で最新情報と詳細を伝えたいという。5日の朝にシエナ県との会合を開いて、延期開催を視野にイタリア当局と調整していく。

イタリア語で「白い道」という意味のストラーデビアンケ ©LaPresse – Fabio Ferrari

イタリアでは新型コロナウイルスの感染拡大を受け、コンテ首相が国内全ての学校を閉鎖することを4日に決めた。一方、国際自転車競技連合(UCI)は「いかなるレースも中止しない」と発表した。RCSスポルトはミラノ〜サンレモなどの伝統レースを中止ではなく、延期する方向を模索する。

●ミラノ〜サンレモのホームページ

ミラノ〜サンレモなど新型肺炎懸念で開催中止を協議

イタリア北部でのコロナウイルスの流行により、イタリアのミラノ〜サンレモティレーノ〜アドリアティコが中止される可能性がある。

ミラノ〜サンレモの終盤は紺碧の地中海リビエラ海岸を走る ©LaPresse/Fabio Ferrari

「3つの春の自転車レース、ストラーデビアンケ、ティレーノ〜アドリアティコ、ミラノ〜サンレモのイベントの円滑な開催を実現するために懸命に調整している」と主催するRCSスポルトが2月24日に声明を発表した。

「開催に向けてRCSスポルトは当局と絶えず連絡を取っていて、彼らと協力してスポーツイベントを実施するための最も適切なすべての措置を講じていく」とした。

ラ・プリマヴェーラ(春のクラシック)と呼ばれるミラノ〜サンレモは3月21日(土)に開催予定だ。しかし、新型肺炎によりイタリア国内で4人が死亡し、150人以上の感染が確認された後、ロンバルディア州とヴェネト州の12以上の町や村が現在検疫中だという。

ミラノ〜サンレモ開催がキャンセルされた場合、世界大戦以来の事態となる。1907年に初開催された同大会は、第一次世界大戦途中の1916年、第二次世界大戦終わりの1944年と1945年のみ中止された。

ティレーノ〜アドリアティコ第4ステージ ©LaPresse/Fabio Ferrari

大会主催者はレースを行った場合のさまざまなリスクを懸念していて、「イタリアの状況は今のところ非常に複雑だ」と開催中止の可能性を示唆し、プランBとしての延期大会も念頭に置いていないという。3月11日から17日まで開催される予定のティレーノ〜アドリアティコについても中止を検討している。

イタリア政府がミラノ空港を閉鎖することになれば主催者はイベントを中止する義務があるという。ただし、5月9日から31日まで行われる予定のジロ・デ・イタリアは、流行のさらなる悪化が懸念される現状でも、中止を決定するには時期尚早であるとした。

●ミラノ〜サンレモのホームページ

ジロ・デ・イタリアと姉妹レースが出場全チームを発表

イタリアのRCSスポルトが主催大会のジロ・デ・イタリアティレーノ〜アドリアティコミラノ〜サンレモストラーデビアンケのワイルドカード(主催者推薦)を含む出場全チームを1月16日にミラノで発表した。

ジロ・デ・イタリア第19ステージ ©Fabio Ferrari / LaPresse

ジロ・デ・イタリア(5月9〜31日)

UCIワールドチーム19、ワイルドカード3、全22チーム、1チームは8人編成

●UCIワールドチーム
AG2Rラモンディアール(フランス)
アスタナ(カザフスタン)
バーレーン・マクラーレン(バーレーン)
ボーラ・ハンズグローエ(ドイツ)
CCC(ポーランド)
コフィディス(フランス)
ドゥクーニンク・クイックステップ(ベルギー)
EFエデュケーションファースト(米国)
グルパマFDJ(フランス)
イスラエル・スタートアップネイション(イスラエル)
ロット・スーダル(ベルギー)
ミッチェルトン・スコット(オーストラリア)
モビスター(スペイン)
NTTプロ(南アフリカ)
イネオス(英国)
ユンボ・ビズマ(オランダ)
サンウェブ(ドイツ)
トレック・セガフレード(米国)
UAEエミレーツ(UAE)
●ワイルドカード
アンドローニジョカトリ・シデルメク(イタリア)
バルディアーニCSFファイザネ(イタリア)
ビーニザブKTM(イタリア)

プリモシュ・ログリッチェがティレーノ〜アドリアティコ第4ステージで積極果敢な走りを見せる ©POOL/BETTINI/LaPresse

ティレーノ〜アドリアティコ(3月11〜17日)

UCIワールドチーム19、UCIプロチームランキング上位1、ワイルドカード4、全24チーム、1チームは7人編成

●UCIワールドチーム
AG2Rラモンディアール(フランス)
アスタナ(カザフスタン)
バーレーン・マクラーレン(バーレーン)
ボーラ・ハンズグローエ(ドイツ)
CCC(ポーランド)
コフィディス(フランス)
ドゥクーニンク・クイックステップ(ベルギー)
EFエデュケーションファースト(米国)
グルパマFDJ(フランス)
イスラエル・スタートアップネイション(イスラエル)
ロット・スーダル(ベルギー)
ミッチェルトン・スコット(オーストラリア)
モビスター(スペイン)
NTTプロ(南アフリカ)
イネオス(英国)
ユンボ・ビズマ(オランダ)
サンウェブ(ドイツ)
トレック・セガフレード(米国)
UAEエミレーツ(UAE)
●UCIプロチーム1位
トタル・ディレクトエネルジー(フランス)
●ワイルドカード
アンドローニジョカトリ・シデルメク(イタリア)
バルディアーニCSFファイザネ(イタリア)
ガスプロム・ルスベロ(ロシア)
アルケア・サムシック(フランス)

ミラノ〜サンレモの終盤は紺碧の地中海リビエラ海岸を走る ©LaPresse/Fabio Ferrari

ミラノ〜サンレモ(3月21日)

UCIワールドチーム19、UCIプロチームランキング上位2、ワイルドカード4、全25チーム、1チームは7人編成

●UCIワールドチーム
AG2Rラモンディアール(フランス)
アスタナ(カザフスタン)
バーレーン・マクラーレン(バーレーン)
ボーラ・ハンズグローエ(ドイツ)
CCC(ポーランド)
コフィディス(フランス)
ドゥクーニンク・クイックステップ(ベルギー)
EFエデュケーションファースト(米国)
グルパマFDJ(フランス)
イスラエル・スタートアップネイション(イスラエル)
ロット・スーダル(ベルギー)
ミッチェルトン・スコット(オーストラリア)
モビスター(スペイン)
NTTプロ(南アフリカ)
イネオス(英国)
ユンボ・ビズマ(オランダ)
サンウェブ(ドイツ)
トレック・セガフレード(米国)
UAEエミレーツ(UAE)
●UCIプロチーム
トタル・ディレクトエネルジー(フランス)
サーカス・ワンティゴベール(ベルギー)
●ワイルドカード
コレンドン(ベルギー)
ガスプロム・ルスベロ(ロシア)
アルケア・サムシック(フランス)
ビーニザブKTM(イタリア)

イタリア語で「白い道」という意味のストラーデビアンケ ©LaPresse – Fabio Ferrari

ストラーデビアンケ(3月7日)

UCIワールドチーム17、UCIプロチーム1、ワイルドカード5、全23チーム、1チームは7人編成

●UCIワールドチーム
AG2Rラモンディアール(フランス)
アスタナ(カザフスタン)
バーレーン・マクラーレン(バーレーン)
ボーラ・ハンズグローエ(ドイツ)
CCC(ポーランド)
ドゥクーニンク・クイックステップ(ベルギー)
EFエデュケーションファースト(米国)
グルパマFDJ(フランス)
イスラエル・スタートアップネイション(イスラエル)
ロット・スーダル(ベルギー)
ミッチェルトン・スコット(オーストラリア)
モビスター(スペイン)
イネオス(英国)
ユンボ・ビズマ(オランダ)
サンウェブ(ドイツ)
トレック・セガフレード(米国)
UAEエミレーツ(UAE)
●UCIプロチーム
サーカス・ワンティゴベール(ベルギー)
●ワイルドカード
アンドローニジョカトリ・シデルメク(イタリア)
バルディアーニCSFファイザネ(イタリア)
B&Bホテルズ・ビタルコンセプト(フランス)
コレンドン(ベルギー)
アルケア・サムシック(フランス)

アラフィリップが第110回ミラノ〜サンレモをゴール勝負で制す

距離291kmで争うシーズン最初のクラシックレース、ミラノ〜サンレモが3月23日にイタリアで開催され、ドゥークニンク・クイックステップのジュリアン・アラフィリップ(フランス)が優勝した。

第110回ミラノ〜サンレモはアラフィリップが優勝 ©LaPresse/Marco Alpozzi

110回目の大会にしてフランス勢の優勝は14回目。地元イタリアは51回、ベルギーは20回で、それに次ぐもの。アラフィリップはシーズン7勝目で、2位のアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)の5勝に差をつけた。ミラノ〜サンレモは直近の12年で12人の優勝者を生んだことになり、アラフィリップは80人目の優勝者リストにその名を刻んだ。

ミラノ〜サンレモの終盤は紺碧の地中海リビエラ海岸を走る ©LaPresse/Fabio Ferrari

イタリアに春を告げるレースは「プリマベーラ(春)」と呼ばれる伝統の1戦。ミラノをスタートし、最長距離の291kmを走って地中海ビリエラ海岸にあるサンレモを目指す。最後のポッジオの丘で世界チャンピオンのペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグリーエ)、2年前の覇者ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、スカイ)、AG2Rラモンディアルのオリバー・ナーセン(ベルギー)、そしてアラフィリップら10選手に絞り込まれた。

勝利の行方はサンレモ市街のゴール勝負となり、アラフィリップがサガンらを制して初優勝。同じ主催者が開催するストラーデビアンケとミラノ〜サンレモを連覇したのは2008年のファビアン・カンチェラーラ(スイス)、2017年のクウィアトコウスキーに続く3人目。

アラフィリップが後続のペテル・サガンをうかがう ©POOL/BETTINI/LaPresse
チームメートの勝利を喜ぶ(左から)ゼネク・スティバル(チェコ)、フィリップ・ジルベール(ベルギー)、ベルギーチャンピオンのイヴ・ランパールト、同イタリアのエリア・ヴィヴィアーニ ©Gian Mattia D’Alberto / LaPresse

「ボクは勝つためにここに来た。今日のチームメートの働きのおかげで勝利できたことを誇らしく思う」とアラフィリップ。

「最後の勝負のために、チームメートの献身を念頭に置いて乗っていた。ポッジオでスピードアップした後、ゴールまでの下り坂で足の疲れを回復させた。でもライバル達の脚質を考えて、最後はかなり複雑な展開になるだろうと思った。マッテオ・トレンティンのスピードがかなり速かったので、そのギャップを埋めるために努力した。その後、冷静に走り、ペテル・サガンの後ろに位置した。マテイ・モホリッチがスプリントを開始したとき、すぐに彼の車輪に追従する必要があることを知っていた。彼が20m離れたらゲームオーバーだっただろう。最も素敵な方法で勝利をつかんだ。単純にうれしい」

優勝のアラフィリップを中央に左が2位オリバー・ナーセン、右が3位ミカル・クウィアトコウスキー ©LaPresse/Marco Alpozzi