フェランプレヴォがツール・ド・フランスファムで初出場・初制覇

フランスのポーリーヌ・フェランプレヴォ(ヴィスマ・リースアバイク)が2025年7月26日から8月3日まで行なわれたツール・ド・フランスファムで総合優勝した。最終日の第9ステージでも優勝し、その実力を見せつけた。

ツール・ド・フランスファム最終ステージ、マイヨジョーヌを着用したフェランプレヴォが制し、総合優勝を決めた © A.S.O./ Pauline Ballet

アルプスのマドレーヌ峠で主導権を握った翌日、マイヨジョーヌを着たフェランプレヴォはデミ・フォレリング(2位)とカタジナ・ニエウィアドマ(3位)を抑えて初のツール・ド・フランスファム優勝を果たした。

ツール・ド・フランスファム第9ステージ © A.S.O.

シャンパーニュ出身のフェランプレヴォは、この最終ステージでも優勝を果たしたため、ゴールラインで両手を2倍に上げることができた。レースは終盤に6人に絞り込まれた集団の中で、フェランプレヴォはフィニッシュまであと6.7kmの地点でアタック。2度目のステージ優勝を果たし、最終的にもマイヨジョーヌを手にした。

マイヨジョーヌのポーリーヌ・フェランプレヴォ © A.S.O.

後継者を祝福するためにシャテルを訪れたジャンニー・ロンゴ(1987年、1988年、1989年)に続き、女子ツール・ド・フランスを制した2人目のフランス人女性となった。

ツール・ド・フランスファム第9ステージはスイスアルプスでの戦い © A.S.O.
ツール・ド・フランスファム第9ステージで優勝を争う第1集団にフェランプレヴォ(先頭から2人目)も加わった © A.S.O.
ツール・ド・フランスファム第9ステージ © A.S.O.
アンナ・ファンデルブレッヘンが第9ステージで意地を見せて敢闘賞 © A.S.O.

●総合成績
1位 ポーリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、ヴィスマ・リースアバイク)29時間54分24秒
2位 デミ・フォレリング(オランダ、FDJ・スエズ)3分42秒遅れ
3位 カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)4分09秒遅れ

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)ポーリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、ヴィスマ・リースアバイク)
マイヨベール(ポイント賞)ロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームSDワークス・プロタイム)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)エリーズ・シャベイ(スイス、FDJ・スエズ)
□マイヨブラン(新人賞)ニンケ・フィンケ(オランダ、チーム ピクニック・ポストNL)

ツール・ド・フランスファムの4賞。左から山岳賞のエリーズ・シャベイ、総合優勝のフェランプレヴォ、新人賞のニンケ・フィンケ、ポイント賞のロレーナ・ウィーベス © A.S.O.

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フランスのアイドル、フェランプレヴォが独走勝利で総合1位に

第4回ツール・ド・フランスファムの最難関ステージ、シャンベリー〜マドレーヌ峠間の111.9kmで第8ステージが8月2日に行われ、チーム ヴィスマ・リースアバイクのポーリーヌ・フェランプレヴォ(フランス)が優勝。総合成績でも初めて首位に立った。大会は3日までで総合優勝に王手をかけた。

フェランポレヴォがマイヨジョーヌを獲得 ©A.S.O.

ジャニー・ロンゴ以来となる史上2人目のマイヨジョーヌ

フェランプレヴォは女子レースのツール・ド・フランスファムで個人総合1位のマイヨジョーヌを着用した初のフランス選手になった。同大会の前身である1980年代のツール・ド・フランスフェミニンを含め、1989年7月23日にジャニー・ロンゴが最後に優勝して以来、36年と10日ぶりのマイヨジョーヌ着用となる。ロンゴはマイヨジョーヌ着用日数(36日)の記録保持者であり、マイヨジョーヌを着用した唯一のフランス選手だった。

フランスのアイコン的存在フェランポレヴォがアタック ©A.S.O.

五輪マウンテンバイクの金メダリストであるフェランプレヴォ、誰にも止められない勢いで恐ろしい最後の登り (18.6 km、8.1%) を駆け上がり、自身初のツール・ド・フランス優勝を果たし、レース終にマイヨジョーヌを身につけた。

ロード界でも元世界チャンピオン、シクロクロスやマウンテンバイクでも何度も世界を制してきた逸材は2025年にロード選手としてカムバックした。33歳のこのフランス選手は、頂上まであと12kmの地点でサラ・ジガンテ(AGインシュランス・スーダル)の鋭いアタックに追従し、3 km地点でこのオーストラリア選手を引き離した。

マイヨジョーヌや山岳ジャージを持つ選手がフェランポレヴォを追う ©A.S.O.

その後、レース途中でバーチャルマイヨジョーヌだったエビータ・ムジックを含む先行選手集団の最後の生き残りを捉え、残り5kmでニアム・フィッシャーブラックを置き去りにした。ジガンテは1分45秒差で2位となり、総合順位でフェランプレヴォに2分37秒差となる2位になった。2023年の覇者デミ・フォレリングは総合成績で3分18秒遅れ、2024年のカシア・ニエヴィアドマは3分40秒遅れ。フィニッシュ前日の時点で3分以上遅れている。

フェランポレヴォがアルプスで逃げた ©A.S.O.

フランスのアイコン的存在だがツール・ド・フランスは初出場

わずか数カ月前にレースに復帰したばかりのフェランプレヴォだが、総合優勝に向けて大きな一歩を踏み出した。最終日のスイス・シャテルでマイヨジョーヌを守れば、1989年のロンゴ以来となるフランス人優勝者となる。

フェランポレヴォが独走優勝して総合でもトップに ©A.S.O.

ポーリーヌ・フェランプレボがMTB世界選手権で二冠獲得

クロスカントリーオリンピック(XCO)の世界チャンピオンとなり、アルカンシエルを着用したフェランプレボ ©Bartek Wolinski / Red Bull Content Pool

2025ツール・ド・フランスは記録づくめ! モンヴァントゥーの視聴率は65%

2025年7月5日から27日までフランスを一周するコースで開催された第112回ツール・ド・フランスが高いテレビ視聴率で盛り上がりを見せたと、主催するA.S.O.が8月1日に発表した。

モンヴァントゥーは最後のこのコーナーがきつい ©A.S.O.

欧州のテレビ視聴者
約1億5000万人

2025ツール・ド・フランス第13ステージ ©A.S.O.

●生放送のテレビ視聴時間
7億時間超

2025ツール・ド・フランス第11ステージ ©A.S.O.

●フランスでのテレビ放送
フランス・テレビジョンがスタートからゴールまで全ステージをフルカバー
放送時間は100時間超

ベン・ヒーリーが2025ツール・ド・フランス第10ステージでマイヨジョーヌ ©A.S.O.

平均視聴率42.6%(2024年から7ポイント増)
15〜34歳の視聴者・視聴率39.8%(2024年から7.6ポイント増)

2025ツール・ド・フランス第21ステージはモンマルトルを3回上るコースになった ©A.S.O.
アレンスマンのこのシーンがインスタで3600万ビュー
TIKTOCでこのシーンが3300万ビュー
シャンプッサンの落車シーンがfacebookで1730万ビュー
3賞ジャージのタッチがXで520万インプレッション

【ツール・ド・フランス旅日記 episode23】シャンゼリゼでセ・フィニ!

パリのエッフェル塔を見た人は多いはずですが、フランス一周の果でエッフェル塔を見たことことがある人はそれほどいないと思います。「180人の選手たちが何週間も山岳地帯を走り、そして最後に突如として世界有数の大都市の街路に出るんだから、それってスゴくない?」とマイヨジョーヌも証言しています。

コントルド広場からエトワール凱旋門を望む

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【ツール・ド・フランス第21S】ポガチャルが2年連続4度目の総合優勝
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ムーランルージュのダンサーがフレンチカンカンで選手たちを応援

パリ・シャンゼリゼのフィナーレにふさわしい最終バトル

フランスを5000kmかけて一周して、なにごともなくパリに着いたときのうれしさ。町が近づくとついついエッフェル塔を探してしまい、それを見つけると感慨が込み上げてきます。ボクは泣きませんけどね。

モンマルトルの上り。2025ツール・ド・フランス第21ステージ ©A.S.O.

ツール・ド・フランスの最終到着地ってやっぱりパリで、そして舞台はシャンゼリゼでなくてはいけません。2024年は五輪開催のため史上初めてパリではなくニースにゴールしましたが、それはツール・ド・フランスにふさわしくなく、ボクのキャリアをその年に最後にしたいとは思いませんでした。

パリまであと200km。この日も10kmの朝ランをして出会ったひまわり畑
最終日前日の朝は、日本ではありえないアンテラスでのごはん。空気が乾いていて最高に気持ちいい

選手がパリに凱旋したときに込み上げてくる思いを共有するために全日程の取材にこだわり続けました。もしかしたらパリ・シャンゼリゼのフィナーレはモンマルトルの丘を上るこの50周年記念サーキットが花道になり、新たな時代が幕を開けるような気がします。

そして自分自身としては…。34歳のときに「62歳で続けているかな」とかまったくイメージしたこともありません。無事に怪我なく、体調を1日たりとも壊すことなく、紙面に穴を開けることなく27回目のフランス一周の旅が終わりました。

コンコルド広場のオベリスク。1989年の初取材のときから常にフィナーレの象徴だった

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【ツール・ド・フランス第21S】ポガチャルが2年連続4度目の総合優勝

第112回ツール・ド・フランスは最終日となる7月27日、マントラビル〜パリ・シャンゼリゼ間の132.3kmで第21ステージが行なわれ、タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ・XRG)が2年連続4度目の総合優勝を達成した。

いよいよシャンゼリゼの50周年スペシャルサーキットが始まる。2025ツール・ド・フランス第21ステージ ©A.S.O.

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右から総合優勝のポガチャル、総合2位と山岳賞2位のヴィンゲゴー、総合3位と新人賞のリポヴィッツ。2025ツール・ド・フランス第21ステージ ©A.S.O.

最後のモンマルトルの丘でアタックしたファンアールトが区間優勝

チーム ヴィスマ・リースアバイクのワウト・ファンアールト(ベルギー)が3回上るモンマルトルの丘の最後の周回でアタックし、そのまま独走でゴール。シャンゼリゼでの優勝は2021年に続くもので、大会通算では10勝目。

ヴェルサイユ宮殿を2025ツール・ド・フランス第21ステージは通過 ©A.S.O.
2025ツール・ド・フランス第21ステージ ©A.S.O.
ポイント賞のミラン。2025ツール・ド・フランス第21ステージ ©A.S.O.
ムーランルージュではキャバレーのダンサーが選手たちを応援。2025ツール・ド・フランス第21ステージ ©A.S.O.
ルーヴル美術館のピラミッド広場を通過。2025ツール・ド・フランス第21ステージ ©A.S.O.
2025ツール・ド・フランス第21ステージはモンマルトルを3回上るコースになった ©A.S.O.
シャンゼリゼにゴールしてうれしさがこみ上げる ©A.S.O.

●ステージ成績
1位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、チーム ヴィスマ・リースアバイク)3時間07分30秒
2位 ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、XDS・アスタナ チーム)19秒遅れ
3位 マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)19秒遅れ

●総合成績
1位 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ・XRG)76時間00分32秒
2位 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、チーム ヴィスマ・リースアバイク)4分24秒遅れ
3位 フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)11分00秒遅れ

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ・XRG)
マイヨベール(ポイント賞)ジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ・XRG)
□マイヨブラン(新人賞)フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)

モンマルトルの上り。2025ツール・ド・フランス第21ステージ ©A.S.O.

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【ツール・ド・フランス旅日記 episode22】ディレクション・ドゥ・パリ! いざパリへ

ディレクション・ドゥ・パリ! 進行方向についにPARISの表示が。GPSの音声ガイドでも今回初めて耳にしました。ツール・ド・フランスの旅日記もいよいよフィナーレです。

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パリの前夜はフランスの片田舎でのんびり過ごしたい

ツール・ド・フランスが左回りで後半戦の勝負どころがアルプスのときはA6高速で、ピレネーのときはA10高速でパリを目指します。結局どちらもポルトオルレアン(オルレアン門)でパリ環状線に突入するんですけどね。今回はアルプスなので例年ならブルゴーニュ地方のマコンとかボーヌとかで力尽きるので、最後の晩餐としてエスカルゴとブルゴーニュワインで打ち上げをします。

今回は頑張ってパリまで200kmのところまで接近。A6高速沿いで、一面の麦畑の中にある安宿ですが、やわらかな風が心地よく、パリの喧騒に包まれた最後の夜よりもフランスの最後をくつろぐために大切にしている時間です。

最後のアルプスの朝ごはんはせっかくなのでアンテラス

それにしてもフランスは空が広い。地平線まで続く道。立ち止まって周囲を見渡すと水平の180度よりちょっとだけ角度が大きいようにさえ感じます。だからツール・ド・フランスを追いかけていると、おおよそ地球の大きさが把握できます。

このシゴトをしているおかげで、フランスの絶景を目の当たりにすることができました。コルシカ島のボニファシオ、天空の城コルド・シュール・シエル、干潮のときにしか通過できないパッサージュ・デュ・ゴワ。恥ずかしいので絶叫さえしませんでしたが、地上に生きていることに身震いがする思いでした。

明日はパリ。今回はモンマルトルの丘を3回上るコースなのでゴールがかなり遅くなるはず。ベルサイユのホテルから午後9時までに来てくれと言われているので、お昼過ぎにチェックインしてからコンコルド広場に向かいます!

真冬の格好でテラス席に出たボク以外は一人もいません
最終日前日にパリまで200kmのホテルに。田園風景の中にたたずむ伝統的で落ち着いた宿場です

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