2025ツール・ド・フランス開幕地のトップが挙げた大会招致することのメリット

2025ツール・ド・フランスは開幕からの3日間と大会4日目のスタート地をフランス最北部のオー・ド・フランス地域圏に舞台設定した。この地域における自転車文化から自転車を利用した観光事業まで、そして自転車が市民に与える恩恵などをこの地域のトップが語った。

第4ステージのスタート、アミアン ©Hauts-de-France Tourisme-Laurène Philippot
フランソワ・ドゥコステ―ル(オー・ド・フランス地域圏議会 文化・遺産・地域言語および国際関係担当副議長) ©Hikaru Ogawa / Atout France

フランスでは自転車と観光が表裏一体の蜜月

2025年7月5日に開幕する第112回ツール・ド・フランス。第1ステージはリールメトロポールを発着とする185km。7月6日の第2ステージはロワンプランクからブローニュシュルメールまでの212km。7月7日の第3ステージはバランシエンヌからダンケルクまでの178km。そして7月8日の第4ステージでアミアンメトロポールを出発する。ここまでがオー・ド・フランス地域圏だ。

アラス ©Hauts-de-France Tourisme -Anne sophie Flament
シャンティイ ©Hauts-de-France Tourisme-Vincent Colin

オー・ド・フランス(Hauts-de-France)の「オー」はオートクチュール(高級洋服)のオーと同じで、「高い」という意味。高低差でも「高い」ところをさすが、地図上の上、つまり「北」もオーと呼ばれるので、北フランスという意味がある。

ソンム湾 ©Hauts-de-France Tourisme-Stéphane Bouilland

欧州にある4つの首都、フランスのパリ、ベルギーのブリュッセル、オランダのデンハーグ、英国のロンドンをつなぐルートの十字路に位置するリール、大聖堂で有名なアミアンなどの大都市が戦いの舞台となり、多くのレースファンがやってくるのみでなく、それを迎える市民も今から選手たちがやってくるのを楽しみにしているという。

第2ステージのゴール、ブローニュシュルメール ©Hauts-de-France Tourisme-Benoit Bremer
ブラン・ネ岬 ©Hauts-de-France Tourisme – Fabien Coisy

地元の人たちはどんな接し方で自転車を活用し、それをそれぞれの生活に取り入れて快適化しているのだろうか? オー・ド・フランス地域圏のフランソワ・ドゥコステ―ル副議長に話を聞くと、自転車専用レーンの整備、サイクルツーリズムの促進、そして2025年に開催されるツール・ド・フランスへの期待感を3つのワードとして口にした。

第3ステージのスタート、バランシエンヌ ©Hauts-de-France Tourisme – Anne Sophie Flament
第3ステージのゴール、ダンケルク ©Hauts-de-France Tourisme-Frédérik Astier

「フランスの多くの都市で自転車専用レーンが整備されており、これが日常的な移動手段として自転車の利用を促進している。また、ユーロヴェロルートという大規模な自転車ルートを整備し、自転車観光客を受け入れるホテルの認証制度も構築している」

エスタミネ ©Hauts-de-France Tourisme-Anne Sophie Flament

フランスにおける自転車インフラの整備

「フランスの多くの都市では数十年前から自転車専用レーンが整備されている。都市整備の際には必ず自転車レーンが作られ、これにより自転車が快適で日常的な移動手段の一つとなっている。また、安全性を確保するために、自転車レーンは車が走る道路と完全に分離されているのが特徴」

クレールマレ ©Hauts-de-France Tourisme-

サイクルツーリズムの成長

「フランスでは近年サイクルツーリズムの機運がこれまで以上に高まっている。1つの具体策として、ユーロヴェロルートという大規模な自転車ルートが注目されている。このルートは約100kmにおよび、観光客がその途中で町や田舎を見学しながら走ることができる。また、自転車観光客を受け入れるホテルの認証制度があり、自転車の修理や保管ができる設備を提供している」

アラン・ジェスト(アミアン・メトロポール議長) ©Hikaru Ogawa / Atout France
エステル・レオ―(オー・ド・フランス地方観光局 広報・マーケティングディレクター) ©Hikaru Ogawa / Atout France
クリストフ・デュフォセ、シャトー・ド・ボーリュー オーナーシェフ(ミシュラン2つ星、グリーンスター) ©Hikaru Ogawa / Atout France

「ツール・ド・フランスもたまにやってくるけど、このエリアには石畳の道が舞台となる伝統のパリ〜ルーベが毎年開催されている。それはもうフランスの自転車文化の象徴だ。2025年はツール・ド・フランスの開幕地として4つのステージを展開する。自転車専用道の整備環境、バカンスを利用したサイクリング、そしてペダルを漕ぐ頂点に位置するツール・ド・フランスは常にリンクする。市民にさまざまな恩恵をもたらしてくれるのは確かだ」

クレシー・アン・ポンティユーの森 ©Hauts-de-France Tourisme-Stéphane Bouilland
ルーヴル・ランス ©Hauts-de-France Tourisme -Nicolas Bryant
アンリ・マティス美術館 ©Hauts-de-France Tourisme-Xavier Alphand
ノシカ水族館 ©Hauts-de-France Tourisme-Anne Sophie Flament
ルーベのラ・ピシーヌ美術館 ©Hauts-de-France Tourisme – Nicolas Bryant
サン・ヴァレリ・シュル・ソンム ©Hauts-de-France Tourisme – Stéphane Bouilland
トゥケ・パリ・プラージュのビーチ 
エリクールのテリル(ぼた山) ©Hauts-de-France Tourisme-Fabien Coisy
国際フランス語博物館 
リールのグランプラス ©Hauts-de-france Tourisme – Stéphanie Gheeareart

辻啓のツール・ド・フランス写真展が東京サイクルデザイン専門学校で開催

2024年のツール・ド・フランスを題材にした写真展「Yellow Journey」をフォトグラファーの辻啓が開催する。会場は2023年と同じ、東京サイクルデザイン専門学校ギャラリー「HOLE IN THE WALL」。期間は2024年11月26日(火)から12月1日(日)まで。期間中は本人が毎日在廊予定。

ツール・ド・フランスを題材にした辻啓写真展「Yellow Journey」

入場無料。来場記念プレゼントとしてポストカード(先着順)をプレゼント。また、会場では2025年度の壁掛けカレンダーと卓上カレンダー「Greatest Cycling Race by Kei Tsuji」を販売予定。

Greatest Cycling Race by Kei Tsuji

「今年も写真展を開かせていただくことになりました。東京サイクルデザイン専門学校のご厚意により、昨年と同様の同校内ギャラリーにて6日間の開催となります」と同カメラマン。

「タイトルの通り題材となるのは7月のフランスを黄色く染めたツール・ド・フランスで、前年の倍以上となる50枚以上の写真パネルの展示を予定しています。さらにツール総合優勝者ポガチャルが所属するUAEチームカラーのコルナゴV4RSも展示します。入場無料、ポストカードのプレゼントあり、渋谷駅と原宿駅から徒歩9分という好ロケーションですので、お気軽にお立ち寄りください。開催期間中は辻啓が毎日在廊します。会場にてお会いできることを楽しみにしています」

ツール・ド・フランスを題材にした辻啓写真展「Yellow Journey」

【写真展概要】
辻啓写真展「Yellow Journey」
期間:2024年11月26日(火)〜12月1日(日)
時間:13時〜18時(11月30日と12月1日のみ19時まで)
会場:東京サイクルデザイン専門学校 ギャラリー「HOLE IN THE WALL」

逃げるログリッチをギルマイがゴール直前で逆転…ツール・ド・フランスさいたま

ツール・ド・フランスさいたまクリテリウムの第10回記念大会が2024年11月2日にさいたま新都心駅周辺で行われ、7月のツール・ド・フランスでポイント賞を獲得したアンテルマルシェ・ワンティのビニヤム・ギルマイ(エリトリア)が初優勝した。

ギルマイ(中央)が逃げ続けたログリッチ(右)を逆転して優勝 ©A.S.O. Yuzuru Sunada

レースは終盤にレッドブル・ボーラ・ハンスグローエのプリモシュ・ログリッチ、DSMフィルメニッヒ・ポストNLのロマン・バルデ(フランス)、バーレーンビクトリアスの新城幸也が抜け出した。降りしきる雨のなかでログリッチが独走へ。しかし後続集団がフィニッシュ目前までに追い上げ、最後はギルマイが得意のスプリントで勝利した。

さいたまスーパーアリーナ ©A.S.O. Thomas Maheux
カベンディッシュが日本を走る ©A.S.O. Thomas Maheux
ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム ©A.S.O. Thomas Maheux
さいたまスーパーアリーナを貫通するレースコース ©A.S.O. Thomas Maheux
ベン・オコーナー ©A.S.O. Yuzuru Sunada
ツール・ド・フランス最多勝を更新したカベンディッシュのナンバーカードは35 ©A.S.O. Thomas Maheux
さいたま市の清水勇人市長がスターター ©A.S.O. Thomas Maheux
ログリッチのファンが待ち受ける ©A.S.O. Thomas Maheux
毎回恒例のさいたま市内交流会は埼玉大学で合気道と邦楽琴を体験 ©A.S.O. Yuzuru Sunada
杉浦佳子が個人タイムトライアルを走る ©A.S.O. Yuzuru Sunada
合気道を真剣に学ぶログリッチ
埼玉大学合気道部に入門した新城幸也、プリモシュ・ログリッチ、マーク・カベンディッシュ
パリパラリンピックの金メダルを首からかけてパレード走行に参加した杉浦佳子

女子のツール・ド・フランスファムは最果てからアルプスに一直線

2025年に開催される女子ロードレースのツール・ド・フランスファムが、10月29日にパリの国際会議場で男子のツール・ド・フランスに先駆けて発表された。レースは7月26日から8月3日までの全9ステージ。ツール・ド・フランスは7月5日から27日までなので、開催日が2日間重なる。

2025ツール・ド・フランスファムのコース

レースは2024年の8ステージから9ステージにボリュームアップ。男子レースはフランス全土を一周するが、女子は一直線に国土を貫通する。北西部のブルターニュ地方で開幕。第2ステージでは「地の果て」という意味のフィニステール県ブレストを訪れ、ここから東に向かって進む。レース後半は中央山塊、そしてアルプス山脈での戦いとなる。

カタジナ・ニエウィアドマがラルプデュエズを上る ©A.S.O. Thomas Maheux

2025ツール・ド・フランスファムのコース

7月26日(土) 第1ステージ バンヌ〜プリュムレック 79km★
7月27日(日) 第2ステージ ブレスト〜カンペール 110km
7月28日(月 第3ステージ ラガシリー〜アンジェ 162km
7月29日(火) 第4ステージ ソミュール〜ポワティエ 128km
7月30日(水) 第5ステージ ジョネマリニーフチュロスコープ〜ゲレ 166km★★
7月31日(木) 第6ステージ クレルモンフェラン〜アンベール 124km★★★
8月1日(金) 第7ステージ ブールガンブレス〜シャンベリー 160km★
8月2日(土) 第8ステージ シャンベリー〜サンフランソワロンシャン・マドレーヌ峠 112km★★★
8月3日(日) 第9ステージ プラシュラルリー〜シャテル 124km★★★
★は難易度

ツール・ド・フランスファムのディレクター、マリオン・ルス(中央)がコースとなる自治体関係者と記念撮影 ©A.S.O. Maxime Delobel
2025ツール・ド・フランスのコースプレゼンテーション ©A.S.O. Etienne Coudret

フランス国土を忠実に巡る2025ツール・ド・フランス…勝負どころは悪魔の棲む山

2025年7月5日に開幕する第112回ツール・ド・フランスのコースが10月29日にパリで発表された。コースは黎明期のようにフランス国土の六角形をおおまかにたどる。難所のピレネーが前半、アルプスが後半。最大の勝負どころは第16ステージ、プロバンスにあって悪魔の棲む山と恐れられるモンバントゥー。

2025ツール・ド・フランスのコース

最初の10日間はアタッカー、後半戦は総合実力者の出番

総距離3320km。個人タイムトライアルが2ステージ。最初の休息日は例年なら大会10日目だが、7月14日のフランス革命記念日にあたるため、2025年は大会11日目。選手は開幕から10ステージを一気にこなすことになる。

獲得標高は5万1550mで、中央山塊、ピレネー、アルプス、ジュラにタイム差がつきやすい山頂ゴールが設定されている。参加22チーム、選手総数は176人。

2025ツール・ド・フランスのコース発表会に登場したマーク・カベンディッシュ ©A.S.O. Etienne Coudret
2025ツール・ド・フランスのコースプレゼンテーション ©A.S.O. Etienne Coudret
2025ツール・ド・フランスのコースを発表した大会ディレクターのクリスティアン・プリュドム ©A.S.O. Etienne Coudret
2025ツール・ド・フランス第10ステージ
2025ツール・ド・フランス第12ステージ
2025ツール・ド・フランス第14ステージ
2025ツール・ド・フランス第18ステージ
2025ツール・ド・フランス第19ステージ

●2025ツール・ド・フランスのコース
7月5日(土) 第1ステージ リールメトロポール〜リールメトロポール 185km
7月6日(日) 第2ステージ ロワンプランク〜ブローニュシュルメール 212km★
7月7日(月) 第3ステージ バランシエンヌ〜ダンケルク 178km
7月8日(火) 第4ステージ アミアンメトロポール〜ルーアン 173km★
7月9日(水) 第5ステージ カン〜カン 33km(個人タイムトライアル)
7月10日(木) 第6ステージ バユー〜ビアノルマンディー 201km★
7月11日(金) 第7ステージ サンマロ〜ミュールドブルターニュ 194km★★
7月12日(土) 第8ステージ サンメアンルグラン〜ラバル 174km
7月13日(日) 第9ステージ シノン〜シャトルー 170km
7月14日(月) 第10ステージ エネザ〜ルモンドア 163km★★
7月15日(火) 休日
7月16日(水) 第11ステージ トゥールーズ〜トゥールーズ 154m
7月17日(木) 第12ステージ オシュ〜オタカム 181km★★★
7月18日(金) 第13ステージ ルダンビエユ〜ペラギュード 11km(個人タイムトライアル)★★
7月19日(土) 第14ステージ ポー〜リュション・シュペルバニェール 183km★★★
7月20日(日) 第15ステージ ミュレ〜カルカッソンヌ 169km★
7月21日(月) 休日
7月22日(火) 第16ステージ モンペリエ〜モンバントゥー 172km★★★
7月23日(水) 第17ステージ ボレーヌ〜バランス 161km
7月24日(木) 第18ステージ ビフ〜クーシュベル 171km★★★
7月25日(金) 第19ステージ アルベールビル〜ラプラーニュ 130km★★★
7月26日(土) 第20ステージ ナンチュア〜ポンタルリエ 185km★
7月27日(日) 第21ステージ マントラビル〜パリ・シャンゼリゼ 120km
★は難易度

悪魔の棲む山モンバントゥー
2025ツール・ド・フランスの勝負どころとなるモンバントゥーの高低図

2025ツール・ド・フランスのコース発表は10月29日午後7時から

2025ツール・ド・フランスと女子レースのツール・ド・フランスファムのコースが10月29日・現地時間午前11時からパリで発表される。 欧州の夏時間は10月27日に終わるので、日本はプラス8時間となり午後7時から。 大会公式サイトとSNSでライブ視聴できる。

2025ツール・ド・フランス最初の3日間

2025年の第112回ツール・ド・フランスは、フランス北部のリールメトロポールとそれを取り囲むオードフランス地域圏で開幕する。すでに第1ステージから第3ステージまでのコースが発表されていて、第4ステージのスタートがアミアンメトロポールになることまでが明らかになっている。

大会は2025年7月5日から27日まで。パリ五輪が開催された2024年は史上初めてパリではなくニースで終幕したが、2025年は例年通りにパリにフィニッシュする。