雨乞竜己・中西健児参戦のトラックパーティー マディソンで前日のリベンジ

トラックパーティー2018インオータム サイクルエンターテイメント・イズ(NIPPO presents TRACK PARTY 2018 in AUTUMN 〜CYCLE ENTERTAINMENT IZU〜)の2日目。キナンサイクリングから出場している雨乞竜己と中西健児は、前日DNFと悔しい結果となったマディソンで完走を果たした。もう1種目のエリミネーションでは雨乞竜己が16位、中西健児が11位となり、初のトラックパーティーの全日程を終えた。

トラックパーティー2018 インオータム サイクルエンターテイメント・イズ第2戦 ©︎KINAN Cycling Team / Kensaku SAKAI

トラックパーティーの2日目は10月14日(日)に伊豆ベロドロームで開催された。前日とはうって変わって暖かな日差しに包まれた伊豆ベロドローム。屋外のフードエリアでは初日に行われた「まぐろ解体ショー」でさばかれたまぐろのアラ汁が振る舞われ、同時に開催されていたサイクリングイベントの参加者などで午前中から多くの人たちでにぎわっていた。ベロドローム内も前日より多くの観客に加え、日本競輪学校の生徒たちも観戦に訪れ、さらなる熱気の中でプログラムが進行。また、この日の「バンクウォーク」では、アテンダント役に中野浩一が登場。“世界の中野”によるバンクウォークだけに、競輪オールドファンの姿が多数見られた。

オープニングランからこの日のプログラムをスタートした雨乞と中西。前日と比べて多めの笑顔で観客にあいさつ。リラックスした様子に今日のレースに向けた期待が高まった。

マディソンでは前日の反省から、メイン集団にラップされた後の対応を重視。格上選手たちの走りに合わせ、ラップされる回数を減らしていく作戦だ。レースは、前日の同種目で3連覇を果たしたオーストラリアン・サイクリング・アカデミーの連勝を阻止しようと、有力チームが積極的に動いていく展開。苦戦を強いられるキナンだったが、メイン集団にくらいつく場面が何度も見られた。また、選手交代もタイミングが合わずにスルーしてしまう場面こそあったが、前日よりも力強い放り投げを見せるなど、ペア2回目となるマディソンを完走で終了し、前日のリベンジを果たした。

注目された優勝争いは、オーストラリアン・サイクリング・アカデミーが前日同様に圧倒的なレース運びで4連覇を達成。国内勢はCS Slingerの新村穫が最終局面で先行し、1着フィニッシュで一矢を報いた。

マディソンにおける選手交代は、2人のタイミングを合わせるだけでなく、他チームの選手が入り乱れる中で放り投げが可能なスペースの読みや、放り投げの効果を最大化するようにバンク上側で投げて駆け下りでの加速の効果も得るなど、レース経験が物を言う種目でもある。前日に明白となった課題を一夜にして修正したキナンの2人。ペアとしての可能性を感じさせる2日間のコンビネーションだった。

続いてはエリミネーションに出走した2人。前日はレース序盤でエリミネートされてしまった雨乞は今回、粘りを発揮したいところだったが、早い段階で除外される結果となった。エリミネート周回で最後尾となった選手が除外される競技特性は、一見単純なルールのように感じられるが、集団後方での選手間での駆け引きなど、この種目の奥深さが見え隠れする。そんな中で中西は集団前方を確保し、前日よりも積極的な姿勢を見せる。前日にレイモンド・クレダー(チームUKYO)のチェックに苦しんだが、この日は逆の立場に。集団最後尾から前の選手の死角に入りつつ、フィニッシュラインでの一瞬のハンドル投げで生き残るなど、随所に技ありの走りを見せた。最終結果は雨乞が16位、中西が11位とし、2日間の競技を終えた。

優勝争いは、前日の勝者であるキーランド・オブライエンを含むオーストラリアン・サイクリング・アカデミーと、ブリヂストンサイクリングが2人ずつ残して終盤へ。大歓声の中で迎えた最終局面だったが、窪木一茂(ブリヂストンサイクリング)が力尽き、2日連続でオーストラリアン・サイクリング・アカデミー勢のワン・ツーフィニッシュとなった。

トラックパーティーでは両日ともに、全種目終了後に再度出場選手がトラックに登場し、観客にお別れのあいさつ。記念のグッズをファンにプレゼントしながら、バンクをゆっくりとめぐった。

ピストバイクでの初レースだった雨乞と、トラック競技の経験を持つ中西と、それぞれに異なる境遇ながら、世界の強豪と肩を並べて2日間戦い抜いた。すべてのプログラムを終えた両選手はホッとした表情でインフィールドへと戻ってきた。(Report:酒井健作、Edit:福光俊介)

雨乞竜己

雨乞竜己のコメント
2日目は前日のマディソンでの課題をクリアすることを目標に走った。まずは走りきること(笑)。ラップされた後にどう集団に戻るかなど、当面の目標はクリアできた。ピストに乗り始めて数日ということで、今回の目標設定は間違っていなかったと思う。ただ、エリミネーションは恐らく自分の得意な部類のレースだと思うのですが、不完全燃焼、あっけなく終わってしまった感じ。
とはいえ、2日間無事に終わることができてホッとしたというのが正直な感想。いきなりトップレベルを体験できたのはすごくいい経験で、刺激にもなった。この機会を与えてくださった大会関係者やチームに感謝している。ロード最優先だが、これを機にピストにも挑戦していきたい。

中西健児

中西健児のコメント
1日目の反省点を生かしてマディソンでは協力して完走することができた。ピストバイクに乗るのは久々だったが、2日間ともにレースを楽しむことができてよかった。

トラックパーティーにキナンの雨乞竜己と中西健児が参戦

トラックパーティー2018インオータム サイクルエンターテイメントイズ(NIPPO presents TRACK PARTY 2018 in AUTUMN 〜CYCLE ENTERTAINMENT IZU〜)にキナンサイクリングから雨乞竜己と中西健児が出場。大会初日となる土曜日のレースでは、雨乞・中西ペアで初めて挑んだマディソン種目でDNFとなり、エリミネーション種目では雨乞が14位、中西が8位となった。

トラックパーティー2018 イン オータム -サイクルエンターテイメント イズ- DAY 1 ©︎KINAN Cycling Team / Kensaku SAKAI

トラックパーティーは2020年東京オリンピック・パラリンピック自転車競技の開催地となる伊豆ベロドロームを舞台に、2017年に日本初の屋内フェス型サイクルイベントとしてスタートしている。2018年春に2回目の開催を経て、今回で3回目の開催となる。国内外の一流選手を集めたトラックレースをメインに、ダンスショーやDJイベントが会場を盛り上げ、屋外ではファミリーフードフェスや子供向け体験イベントなどのアトラクションコンテンツが充実。

メインとなるトラックレースではケイリン・マディソン・エリミネーションと初心者でも分かりやすい種目が選ばれていて、近年注目を浴びているチームパシュート種目も加えられて、トラック競技の初心者や家族連れでも楽しめるサイクルイベントとなっている。またトラック内のインフィールドエリアにはお酒や食事を楽しみながら間近でレースを観戦でき、出場選手とも交流できるVIPエリアが設置されるなど、海外のトラックイベントと同じ雰囲気を体験することもできる。

10月13日(土)と14日(日)の2日間で開催されるトラックパーティーに、キナンからは雨乞と中西の2名が参戦。2人1組で選手交代を繰り返しながらポイント周回での獲得ポイントを争うマディソンと、各周回の最後尾選手がレースを離脱し、最後に残った選手が勝者となるエリミネーションに出場した。

秋の訪れを感じさせる冷たい風が吹く初日ではあったが、会場内はレースの開始を待つ観客の熱気で半袖でも汗ばむほど。屋外のフードエリアでは「まぐろ解体ショー」が行われるなど、待ち時間も飽きさせない工夫がされていた。一方、屋内のイベントはVIPエリアの観戦者を対象にした「バンクウォーク」からスタート。アテンダントを務める選手たちの説明を受けながら観客がバンクを半周し終わると、続いてトラックパーティーの開始を告げるダンスショー。ちょうどそのころ、キナンの2人も会場へ。初めてのトラックパーティーに少し緊張気味の笑顔を見せた。そして出場選手全員による「オープニングラン」が始まると、雨乞と中西も大きなコールとともにバンク内に登場。プロの競輪選手や女子選手達は観客に笑顔で手を振りながら周回していくが、2人は少しはにかみながらの走りとなった。

2人が挑む最初のレースはマディソン。1周250mのトラックを60周回(15km)するこの種目は、10周回毎にポイント周回が設定され、フィニッシュラインの通過順位によって与えられるポイントの合計獲得数で順位が決まる。またこの種目は2名でペアを作るチーム戦となっており、走行中に選手交代をしながらレースを進めていく。ブリヂストンサイクリングや、トラックを主戦場とするCS Slingerといった国内有力勢に加え、海外からもこの大会のマディソン2連覇中のオーストラリアン・サイクリング・アカデミーやアメリカナショナルチームなどが集結し、ハイレベルの戦いに。トラックパーティー初参戦かつ初めてのマディソン種目に挑むキナン勢2人がどのように戦うか期待が高まる中でスタートが切られた。

レースは序盤から優勝候補筆頭のオーストラリアン・サイクリング・アカデミーとブリヂストンサイクリングが先行し、キナンは集団後方で展開していく。最初のポイント周回までに他チームが選手交代を繰り返していく中、キナンも選手交代にトライする。マディソンの選手交代は基本的にはレース中の選手が交代選手にタッチすれば成立するが、通常はレース中の選手が交代選手の手をつかんで前方へ放り投げる形で交代していく。これにより交代選手は自分の力以上に加速する事が可能となりレース集団のペースも上がっていく。キナンの2名はタイミングが合わずに交代に失敗するシーンがあり、また放り投げの加速がなかなか上がらない状況で徐々にメイン集団から取り残されてしまい、1回また1回とレース集団にラップされてしまう。結果としてはラップ回数が規定数を超えた段階でレースから除外され、初めてのマディソン挑戦はDNFとなった。

なお、6回のポイント周回のうち4回を先頭で通過したオーストラリアン・サイクリング・アカデミーが合計45ポイントを獲得する圧巻の走りで優勝し、この大会3連覇を達成。レース後、残念そうな表情を見せた雨乞・中西の両選手ではあったが、翌日の同種目に向けた課題も見えていた様子で、次への期待が膨らんだ。

続いて両選手はエリミネーション種目に出場。36周回(9km)で行われたこの種目は、2周回ごとに最後尾の選手がレースから除外(エリミネート)、最後に残った選手が勝者となる。

序盤、屈強なトラック選手たちが集団前方を占める中で雨乞と中西の2人は集団中ほどから後方の位置で周回を重ねていく。手練の選手の中には、意識的に集団後方に位置して体力を温存しつつ、エリミネート周回のみ前方へと上がる動きを見せるが、経験の少ない2人にとって集団後方は危険な位置取り。危ない場面が続く中でレース開始から早々のタイミングで雨乞がエリミネートされる。残る中西はなんとか粘りつつ周回を重ねるが、周回を追うごとに経験の差が出た印象。トラック競技でオランダのナショナルチャンピオンに輝いた経験もあるレイモンド・クレダー(チームUKYO)とともに集団最後尾に位置した中西だったが、先行するレイモンド選手のチェックもあり、ポジショニングに苦戦。そのままエリミネート周回を迎え、レースを離脱することとなった。

レースはオーストラリアン・サイクリング・アカデミーのキーランド・オブライエンが優勝し、先に行われたマディソンと合わせて初日2冠。チームメートのリー・ハワードも2位となり、オーストラリア勢が上位を占めた。最終結果は、中西が8位、雨乞が14位。

初参戦のトラックパーティー初日を終えたキナンの2人。特に雨乞にとってはピストバイクでの初レース。それが国内だけでなく海外の強豪選手との手合わせとなり、悔しい結果になってしまったが、第2日に向けた課題を2人の間で共有しつつ帰路についた。(Report:酒井健作、Edit:福光俊介)

雨乞竜己

雨乞竜己のコメント
初めてのトラックレースで、ピストバイクも3、4回乗っただけでレースに参加させてもらったのですが、かなり刺激的であり、怖くもあった。マディソンの選手交代も他の選手が入り乱れる状態で怖かったところもあり、1回はパスしてしまった場面もあった。エリミネーションは位置取りが利く競技なので、個人的に好きな競技なのですが、今日は悔しい結果に終わってしまった。マディソンについては、今日のレースで競技特性をつかむことができ、同時に反省点も見えたので、その部分を改善して次に臨みたいと思う。

中西健児

中西健児のコメント
マディソンは前日の公式練習を含めて3回の練習で本番に挑んだ。今日のレースではDNFとなってしまったが、反省点は見えているので明日は1周でも多く走って完走を目指したいと思う。エリミネーションでは、エリミネート周回でレイモンド選手に終始チェックされて、あれはもう嫌でしたね(笑)。自らまずい展開にしてしまった。明日のエリミネーションではリベンジしたい。

トラックパーティーはエンタメ性あふれる魅力的な自転車イベント

「トラックパーティー2018イン・スプリング〜サイクルエンターテインメント伊豆」が5月12日に静岡県伊豆市の伊豆ベロドロームで開催され、国内外のトラック強豪選手が登場。2020東京五輪・パラリンピックのトラック競技会場は満員の盛況で、選手らもノリノリ。熱いバトルを終えれば最後まで応援してくれた観客に選手らが記念グッズを手渡すなど内容の濃い1日になった。

伊豆ベロドロームが満員になった

世界選手権スプリント優勝のマシュー・グレーツァー(オーストラリア)。ケイリン女子の世界チャンピオン、ニッキー・デグレンデル(ベルギー)。競輪の短期登録選手として来日している男女の強豪選手がスタートラインに立つ。日本勢も負けていない。世界選手権ケイリン銀メダリストの河端朋之。ガールズケイリン第一人者の小林優香など、2017-2018シーズンのトラックW杯などで上り調子の強化指定選手らが総登場した。2年後の東京五輪でメダルを争うに違いないトップレーサーが伊豆ベロドロームに集まったのである。

世界の強豪選手が登場したケイリン
トラック走路内にVIP席が用意され、飲食を楽しみながら観戦できる

もともとは欧州で開催される冬場の室内トラック競技「6日間レース」をイメージして始まった。レースと興行が一体化して、インフィールドでおいしい食事と飲み物を楽しみながらレース観戦する席もある。外周の観客席でも最前列に陣取れば、種目によっては選手が目の前の手すりにつかまってスタートを待つなんて臨場感もある。これはもうまさにパーティーだ。

巧妙にプログラムされたレースと音楽ライブ。正午から始まったイベントはあっという間に最終レースの午後7時を迎え、フィナーレとなるエリートケイリン男子で渡邉一成がトップフィニッシュすると会場の興奮は最高潮に達した。
「日本で行われるトラックパーティーなので、日本選手が頑張らないと面白くない。だから気合いを入れて走りました!」と渡邉。
「世界選手権でも日本選手が活躍しています。さらに強くなるようにもっともっと応援してください」と大盛り上がりの観客に向けてアピールした。

世界選手権スプリント優勝のマシュー・グレーツァー

そしてフィナーレは出場選手が記念グッズをフェンス越しに観客に手渡して回るというサプライズも。最後まで会場に残ったファンにとってはうれしいプレゼントだ。選手も観客も一体となってバトルに集中し、興奮の頂点を共有する。音楽とライティングによる派手な演出は、ライブ会場のようなノリ。新たなスポーツイベントとして定着した感がある。これまでトラックパーティーは年に一度の開催だったが、2018年は秋もに開催することが予定されている。しかも2日間。10月13日(土)・14日(日)の予定だという。

トラックパーティー

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トラックパーティーSPRINGが5月12日に静岡県の伊豆ベロドロームで開催

トラックパーティー2018 SPRINGが5月12日に静岡県伊豆市の伊豆ベロドロームで開催され、国内外のトラック強豪選手が登場する。2020東京五輪のトラック競技会場となる室内250m板張りバンクで、本場欧州さながらの自転車文化を盛り上げるイベントとして企画された。ショーアップされたレースが終日繰り広げられて盛り上がりそうだ。

トラックパーティーは入場無料に加えて、最寄りの修善寺駅や三島駅、伊東駅から無料バスを運行するなどで気軽に楽しむことができる週末イベント。有名店参加のフードフェスや、ちびっ子大好きなストライダー体験など子ども大人も楽しめるイベントが盛りだくさん。

トラック内に設けた特設シートで食事やドリンクを楽しみながら間近でレースを観戦できる有料VIPエリアは新しいスポーツ観戦の仕方、スポーツホスピタリティの入り口として人気。すでに1万円のプレミアムVIPラウンジは完売。5000円のVIPラウンジのみ販売中。

開場は10時。トラック競技開始14時。閉場19時。

●トラックパーティー2018 SPRINGのホームページ

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