ナイキの厚底シューズは一般ランナーもはきこなせるか?

2020年新春の箱根駅伝で陸上長距離界に衝撃が走った。アディダスと契約する青山学院大やアシックスの早稲田大を含めてほとんどの出場選手がナイキ社製の厚底シューズで激走。10区間のうち7区間で新記録が誕生する高速レースとなったからである。

マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)でも場選手たちの多くがピンク色のナイキ社製シューズを履いていた

アディダスは今回の箱根駅伝で青学大の出場選手に履いてもらうため、ナイキのズームエックス ヴェイパーフライ ネクスト%に対抗するモデルを開発。超軽量化をモットーとした従来路線を覆し、かかと部分を厚底化。こうして誕生したtakumi sen 6を青学大のスクールカラーであるエバーグリーンに装飾して2019年末にリリースした。

ところが、驚異的な大会新記録で2年ぶり5度目の総合優勝を遂げた青学大の10選手が使ったのはナイキ社製の厚底シューズだったのだ。

MGCでも上位3選手がナイキの厚底シューズ

2019年9月15日に開催された、2020東京五輪マラソン日本代表を選考するマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)でも場選手たちの多くがピンク色のナイキ社製シューズを履いていたことにも注目が集まった。当時新製品だったズームエックス ヴェイパーフライ ネクスト%である。

「新製品はこれまで以上にクッション性が高まり、脚を守ってくれる。後半に向けて(体力を)ためやすくなった。アッパーも水を吸っても重くならなくなった」と大迫傑選手は証言している。(2019年9月17日取材)

大迫選手も初めて厚底モデルを履いたときは、「もちろん違和感がありました」という。「それは自然と順応できていった。慣れたらはきやすいシューズだなと思います」

MGCで五輪代表に内定した富士通の中村匠吾選手とトヨタ自動車の服部勇馬選手、Hondaの設楽悠太選手らもその性能に言及している。(2019年9月30日取材)

「最新モデルのズームエックス ヴェイパーフライ ネクスト%は強度の高い練習をしても、翌日の疲労度が抑えられます。実際にMGCでも最後のスパートをするタイミングまでしっかり脚を残せて、その特徴が生かせた」とMGC優勝の中村選手は証言。

「もちろん練習もしっかりと積んできたことはありますけど、シューズの性能がプラスに働いたと感じています。これからも使い続けたいなと思います」(中村選手)

一般ランナーの間では、「アフリカ大陸出身選手に見られるフォアフット(前足部)から着地する走法に適したシューズではウワサされることも多いが、中村選手によれば、「個人的な意見ですが、着地はあんまり関係ないかなと思います」とコメントした。

「ボクはフォアフット走法ではありませんが、着地のしかたが変わるというものではなく、フォームを改善したようなこともないです」(中村選手)

MGCで2位になり、東京五輪代表に内定した服部選手も、「ズームエックス ヴェイパーフライ ネクスト%はフィット感があることと、撥水性があるのがいい。夏マラソンでは給水やスポンジなどの水分でシューズがグチャグチャになってしまうけれど、それがないのがいい点だと思いました」と語っている。

初代のヴェイパーから愛用していて、トラックからマラソンまでズームエックス ヴェイパーフライ ネクスト%を幅広く活用しているという設楽選手は、「レースを走ったときのダメージは、これまでのシューズと比べたら全然ないです。もともとシューズにはあまりこだわらないので、提供されたものをはくだけで十分です。どうだった?と聞かれてもあんまり分かんないです」とコメント。

それでも2018年の東京マラソンで16年ぶりに日本新記録を打ち立てた実績はナイキシューズとともにあったことは見逃せない。

市民ランナーにもおすすめできるモデルなのか聞いてみた

2019年の箱根駅伝ではナイキ社製の厚底シューズの性能は目を見張るものがあった。当時の最新モデル、ズーム ヴェイパーフライ 4% フライニットが着用率トップ。大会5連覇を狙った青学大は契約のアディダスを使用し、連覇を断たれる2位となった。その年の7月には最新版ズームエックス ヴェイパーフライ ネクスト%が発売。そして2020年新春の駅伝シーズンではニューカラーとして薄いグリーンとオレンジのグラデーションモデルが登場。ニューイヤー駅伝を含めてテレビ画面で際立った存在となった。

「シューズの性能がプラスに働いたと感じる。これからも使い続けたい」とMGC優勝の中村匠吾

「はきこなせる、はきこなせないといわれるけど、だれでもはきこなせると思います。今回のMGCでも中村選手や服部選手など上位選手はすべてはいています。この商品が優れているから履いて、口コミで広がっている。設楽選手やボクがはいているからというのではなく、ホントにいいものはいいという世界です」(大迫選手)

その一方で、速く走るためにカーボン製のプレートが入っているので、脚へのダメージは意外とあって疲れやすいという特徴も。大迫選手もジョグは下位グレードのジームペガサスを愛用する。さらにトラック練習の時はスパイクシューズで質の高い走りを目指すという。

「一般ランナーにひとつアドバイスすることがあるなら、トップモデルはある程度マイル(耐用距離)が決まっていて、練習時から無駄遣いできないので、ペガサスターボやズームフライなど下のモデルをはいて、傾斜に慣れていくのがいいと思います」(大迫選手)

一般ランナーが厚底シューズを購入する際のアドバイス

「トップモデルは耐用距離があるので、練習用のシューズと併用するなどうまく使いこなすことがオススメです。ボクはスピード練習のとき、週に1回ほど使用して、それでも2カ月ほど使えます。一般の人は毎日使うとかではなく、本番前の足慣らしにはいて、そして気持ちよく本番に投入してほしい」(中村選手)

服部選手は最新モデルの性能を最大限に引き出すためには「しっかり練習すること」とポイントを挙げる。

「この靴を履いたら速くなれるというものはありません。自分自身もそうですが、まずはしっかりとトレーニング、しっかり練習。走るのは自分ですからね」

MGC2位の服部勇馬、後方が3位の大迫傑

練習ではナイキ・フリー、ポイント練習ではズームエックス ヴェイパーフライ ネクスト%しか使っていないという設楽選手は、「だれがはいているとかではなく、自分で試着して自分で決めるといいです」とアドバイス。

同じ持久系有酸素スポーツの自転車ロードレースでも同様の衝撃的機材が脚光を浴びた歴史がある。1989年のツール・ド・フランスで米国のグレッグ・レモンが投入したDHバーだ。それまではトライアスロンの米国選手が自転車パートで使用する機材だったが、それを欧州が主戦場となるロードレースにレモンが投入。ツール・ド・フランス最終日の個人タイムトライアルで逆転優勝することになり、以来DHバーは世界標準となったのである。

圧倒的に有利になる厚底シューズについては国際団体から規制がかかる可能性もあるという。かつての競泳のレーザーレーサーのように使用禁止となるかは、今後の議論次第である。

●大迫傑インタビュー

クルマに追いつかれるまで逃げるラン大会参加者募集中

世界70カ所以上のコースで同時にスタートするランニングイベント、Wings for Life World Run(ウィングス・フォー・ライフ・ワールドラン)が2020年5月3日(日)のUTC協定世界時午前11時にスタート。日本では20時に新潟県南魚沼市で開催され、その参加者募集が始まった。

クルマに追いつかれたらランフィニッシュ ©Lukasz Nazdraczew for Wings for Life World Run

スタート30分後にキャッチャーカーが出動

このイベントは脊髄損傷治療法の発見に取り組む研究に対して資金援助を行う非営利団体Wings for Life財団をサポートするために行う。参加費の全額と同額をWings for Life財団に研究助成費として寄付する。

設定されたコースを走ってキャッチャーカーが追いかけてくる「フラッグシップ・ラン」と、アプリを使って所定のコース、または自分の好きな場所で走る「アプリ・ラン」の2カテゴリーがある。

日本では2015年と2016年にフラッグシップ・ランを開催した。Wings for Life World Run 2019には全体で12万人以上が参加し、350万ユーロ(約4億1400万円)がWings for Life財団の支援に使われている。

南アフリカ大会 ©Craig Kolesky for Wings for Life World Run

2年連続で日本人女子が世界チャンピオンに

Wings for Life World Runは何万人のランナーが世界各地で一斉にスタートするだけでなく、スタートから30分後にキャッチャーカーと呼ばれる追跡車がスタートから走りだし、参加者たちを追いかけるユニークなイベント。キャッチャーカーは最初ゆっくり走り、時間を追うごとに徐々にスピードをあげていく。キャッチャーカーに追い抜かれた時点で参加者はレースが終了となり、世界で最後に追い抜かれた参加者に世界チャンピオンの称号が与えられる。2015、2016年と2年連続で女子の部は日本人が世界チャンピオンに輝いている。(2015年:渡邊裕子さん56.33 km、2016年:吉田香織さん65.71 km)

背後から迫るキャッチャーカーから必死で逃げる参加者 ©Jason Halayko for Wings for Life World Run

Wings for Life World Run(ウィングス・フォー・ライフ・ワールドラン)
日程:2020年5月3日(日)
スタート:20:00(UTC協定世界時午前11時)
開催場所:新潟県南魚沼市
コース:新潟県南魚沼市内の、魚野川を囲む周回約30kmのループコース。
コースマップは公式サイトで後日公開予定。
給水:約5kmごとに設置予定
距離看板:1.0kmごとに設置予定
記録計測:総走行距離と走行時間のみ記録。ラップタイムの計測はなし
表彰:日本レース賞男女1位、グローバル・レース賞男女1位
優勝賞品
●グローバル・レース賞はオーストリアへの週末旅行招待(同伴者1名可)※航空券、その後の移動手段、宿泊施設(主催者が決定)が含まれます。
●日本レース賞は翌年開催のWings for Life World Run希望開催地に招待(同伴者1名可)(対象開催地は世界各地)
募集人数:先着順3000人(一般+車いす)
参加資格:大会当日満18歳以上。ハンドバイク不可・生活用車いす可
参加費
●早割価格11月29日(金)〜1月11日(土)3000円(税込)
●通常価格1月12日(日)〜5月3日(日)19:00まで 4000円(税込)
※参加費の全額と同額をWings for Life財団に寄付
申込先公式サイト

オーストラリアのメルボルンで ©Brett Hemmings for Wings for Life World Run

カテゴリー:
<フラッグシップ・ラン>
13か国で開催予定のイベントで、設定されたコースを他のランナーたちと一緒に、キャッチャーカーに追いつかれるまで走ります。
<アプリ・ラン>
アプリを用いて、所定のコースまたは好きな場所で、離れた場所のランナーたちと走ることができます。備考:伴走が必要な方(視覚障がい者など)は事前に事務局へご連絡下さい。伴走者の参加料は必要ありません。
天災、事件、事故等の理由により、大会を中断・中止する場合があります。その場合参加費の返金等はありませんので予めご了承ください。
主催:Wings for Life World Run 実行委員会
共催:南魚沼市(予定)
後援:新潟県(予定)

オーストリアのウィーンで ©Matthias Heschl for Wings for LIfe World Run

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航空券や宿は自分で手配する人のホノルルマラソンパック

航空券・ホテルは自身で手配してホノルルマラソンに参加する人のためのマラソンパックを国際興業が用意した。スタート地点への送迎、クローク、ゴール地点でのリフレッシュサービスなどがある。大会の開催日は2019年12月8日(日)。参加料は1万5000円。

■マラソンパックの内容:
シェラトン・プリンセス・カイウラニのツアー専用ラウンジ利用
[開設日時]
12/5(木)13:00~18:00
12/6(金)・7(土)・9(月)9:00~18:00
12/8(日)13:00~18:00
日本語新聞や情報誌、コーヒー、お菓子を用意。ラウンジではツアースタッフがオプショナルツアー、レストラン情報など滞在中の相談を受ける。チェックインまでの待ち時間や自由時間に利用すると便利。

ヨガ体験
[日時]12/6(金)17:00~18:00
*場所は現地で案内
ハワイのさわやかな風の中、ヨガで心身ともにリラックス。未経験者も気軽に参加できる

クロークサービス
[日時]12/7(土)9:00~17:00
[場所]シェラトン・プリンセス・カイウラニのツアー専用ラウンジ
レース当日の着替えやタオルなどを預かり、大会当日サービステントでお渡しする

スタート地点への送迎
[日時]12/8(日)3:00~3:30ごろ
*確定時間は現地で案内
シェラトン・プリンセス・カイウラニからスタート地点への送迎バス(片道)を利用できる

ゴール地点のサービステントのご利用
[日時]12/8(日)7:00~15:00
[内容]
●ゴール後のリフレッシュサービス(軽食、ドリンク、おしぼり、アイシング用の氷など)
●クロークサービス(前日にお預かりした荷物の引き渡し)
●家族や仲間の走行状況検索サービス
●休憩スペース
●フィニッシャータイムテーブル

申し込み方法
予約フォームから申し込む。受付後、回答メール(振込みの案内)を送信
■締切日:2019 年 10 月 25 日(金)
*定員になり次第締め切る
■取消料:11 月 5 日(火)以降に取消しの場合、100%の取消料がかかる