クスがブエルタ・ア・エスパーニャ初優勝に王手…ビンゲゴーとログリッチがアシスト役

第78回ブエルタ・ア・エスパーニャは2023年9月16日、マンザナレスエルレアル〜グアダラマ間の208kmで第20ステージが行われ、総合1位のセップ・クス(米国)がチームメートで同2位のヨナス・ビンゲゴー(デンマーク)、3位のプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)と一緒にゴールし、初の総合優勝を確実にした。

クスをアシストするビンゲゴー(左)とログリッチ(右) ©Luis Angel Gomez/SprintCyclingAgency©2023

プリモシュとヨナスが仕事してくれるなんて想像できなかった(クス)

「とてもホッとしている。あともう少しだね。序盤は逃げた選手たちを完璧にコントロールできていた。ロベルト・ヘーシンクとディラン・ファンバーレがステージの90%を引っ張っていた」とクス。

セップ・クス。ツール・ド・フランスでの観客との接触で負傷した顔面の絆創膏もようやく外した ©Luis Angel Gomez/SprintCyclingAgency©2023

「長くて大変な1日だったけど、彼らが1日中そこにいてくれた。彼らには本当に脱帽だ。彼らは素晴らしかった。そして、アッティラ・バルテルが最後の上りでいてくれて、プリモシュ・ログリッチが最後の上りと平地で私のために多くの仕事をしてくれた。ヨナス・ビンゲゴーもそうだった。それは私が想像したこともなかったことだ。2人のチームメイトと一緒に山岳ステージの最後の1kmであんなにリラックスできたのはとても特別な瞬間だった。本当に素晴らしいよ。まだ実感できていない」

プールス(右)がエベネプールを制して優勝。コボの薬物使用で繰り上がり勝利となった2011年第15ステージ以来の2勝目 ©Rafa Gomez/SprintCyclingAgency©2023

プールスが今度はリアルなステージ勝利

この日は最後の山岳レースとなり、山岳賞トップのレムコ・エベネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)らが第1集団を形成。最後はバーレーンビクトリアスのワウト・プールス(オランダ)が抜け出し、猛追したエベネプールから間一髪で逃げ切った。

プールスは2011ブエルタ・ア・エスパーニャの第15ステージで2位だったが、このステージの勝者で総合1位でフィニッシュしたスペインのコボが、不正薬物使用で失格になったことで記録上の繰り上がり優勝。それ以来の勝利となった。

だれもがセップ・クスの活躍を喜んだ ©Rafa Gomez/SprintCyclingAgency©2023
総合優勝を確実にする第20ステージのスタート前のクス ©Luis Angel Gomez/SprintCyclingAgency©2023
真紅のマイヨロホを着用するクス ©Luis Angel Gomez/SprintCyclingAgency©2023
総合優勝を確実にしてビンゲゴー(右)と喜びを共有するクス ©Tommaso Pelagalli/SprintCyclingAgency©2023

●4賞ジャージ
マイヨロホ(個人総合成績)セップ・クス(米国、ユンボ・ビスマ)
マイヨベルデ(ポイント賞)カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)
マイヨルナレス(山岳賞)レムコ・エベネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)
□マイヨブランコ(新人賞)フアン・アユソ(スペイン、UAEエミレーツ)

セップ・クスが総合2位ビンゲゴー(左)、同3位ログリッチ(右)に祝福されながらゴール ©Rafa Gomez/SprintCyclingAgency©2023

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【ツール・ド・フランス現場雑感】山小屋の部屋からモンブランが見える!?

アシスト役を務め続けたプールスが35歳で夢を叶えた

第110回ツール・ド・フランスは7月16日、レジェ・レ・ポルトデュソレイユ〜サンジェルベ・モンブラン間の179kmで第15ステージが行われ、バーレーンビクトリアスのワウト・プールス(オランダ)が初優勝。

スカイでアシスト役を務めたプールスが自分の勝利のために走る ©A.S.O. Pauline Ballet

総合成績では首位ヨナス・ビンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ビスマ)が10秒遅れの総合2位タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)のアタックを封じ込め、リーダージャージのマイヨジョーヌを守った。

激闘を続けるポガチャル(左)とビンゲゴー ©A.S.O. Pauline Ballet
アレクセイ・ルツェンコが先行する ©A.S.O. Pauline Ballet
ワウト・プールス(中央)がソレルとファンアールトとともにトップに ©A.S.O. Pauline Ballet
プールスが第15ステージで独走 ©A.S.O. Pauline Ballet

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)ヨナス・ビンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ビスマ)
マイヨベール(ポイント賞)ヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)
□マイヨブラン(新人賞)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)

2023ツール・ド・フランス第15ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet

冷蔵庫で冷やしたビールを飲むなんてめったにない

世界有数のリゾート地、アルプス。1年に2、3日ほどボクもこの心地いい場所に滞在することができます。おりしもフランスは7月14日の革命記念日から本格的なバカンス時期に。クルマがひしめきますが、なんとなく養われた嗅覚でツール・ド・フランスのコースから離脱する一般車両を回避するルートを選択。ゴールから大回りとはなりましたが、渋滞することなくアンヌマスの隣町にある連泊ホテルに生還しました。

部屋の窓から右上にモンブランが見える

アルプス初日を無事にクリアしたのですから、夕食はお金を出してもしっかりしたところへ。歩いていけるところに見つけた来々軒のイメージしかありませんでした。ところが行ってみたら、体育館ほどの広大な店舗は午後9時近かったこともあってほぼいっぱい。それを見た瞬間に5000円を出すことに戸惑いが生じ、隣りにあるマクドナルドに変更。

2023ツール・ド・フランス第15ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet

部屋にはまだいただいたワインや食前酒などがいっぱいあるので、それを消化しないといけませんからね。

翌日は川沿いのダートを8kmランニングし、いつものようにシャワーを浴びてさっぱりしてから朝食に。この日はスタートに行かず、そしてゴールも高速道路を使えば1時間ほどなので、あまり早く出ても時間を持て余すなとお部屋でちょっとのんびりしてから出発。

サンジェルべのクラフトビール

まずはサンジェルべ・モンブランへ。さらにホテルのあるシャモニー方面へ。宿泊先の山小屋はオーナー夫婦もいる部屋貸しです。トイレとシャワーが共同で、それでも2泊で150ユーロなので結構な金額。ただし部屋の窓を開け放つと草原があって、そこに洗濯物のシーツが干してあるんですが、その向こうにはモンブランが。

2023ツール・ド・フランス第15ステージはアルプスへ ©A.S.O. Pauline Ballet

なかなか雲が切れないのでいい写真が撮れなかったのですが、このエリアに別荘や山小屋が多いのは、他の山に隠れることなくモンブランが見えることなんですね。 周囲に飲食店やスーパーはありません。キッチンは滞在者なら無料で使えるので、まずはいつもなら洗面所で水を流して冷やすだけのビールを冷蔵庫で冷やし、お湯を作って非常食のご飯にかければまずまずの夕食になることでしょう。

サイクリストが絶景を背景に記念写真を撮っていた

この日のサンジェルべは2016年に来たときもクラフトビールを飲ませてくれましたが、今回も瓶ビールを持たせてくれました。フランスに来て、冷蔵庫で冷やしたビールを飲むことは稀なんです。

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