せっかくのベルギーなのでビールの多様性と自転車競技の人気に迫る

ツール・ド・フランス取材者日記はブリュッセル2日目。2010年にオランダのロッテルダムをスタートしたときは大会2日目にベルギーのブリュッセルへ。町の中心にあるイビスホテルに泊まりましたが、周囲は移民の人たちが拠点とするエリアで、あまり治安がよくなく、ホテルの人からも「クルマは地下駐車場へ」とのご案内。駐車料金もバカにならない額なので、今回は郊外のホテルを選択したというわけです。

ビラージュの「この町のワインコーナー」がビールでした。さすがベルギー

2018年10月末にコース発表されて、すぐに予約したのがこのカンパニールホテル。フランスの大手ホテルチェーン「ルーブル」のブランドで、部屋はまずまずでバスタブがあることも多く、そしてなによりもレストランが併設されているので、週に1回はカンパニールに宿泊して、どこかに食べに出かけることなくくつろぐようにしています。

ところが、このブリュッセル郊外にあるホテルは、レストラン設備はあるのにディナーはやっていないんです。観光としては不便なこともあり、不人気なんですね。いやあ、まいった。1泊5000円と、カンパニールにしては破格の安さだなと思って予約したんですが。

ということでこの日も、ビール飲み屋はあるけどレストランがない街中に繰りだして、ケバブ屋さんを探すことに。

1日にして有名選手になったテウニッセンがマイヨジョーヌ姿に
ウサギちゃんはネコより撮るのが難しいことが分かりました

こういうときの頼みはケバブ屋。中東出身の経営者なので信仰する宗教の慣例として週末も営業しています。おいしい肉料理にポテトを添えてテイクアウトできたんですが、イスラム教なのでお店にお酒が置いていない。しかたなく別の売店でベルギービールを購入。この日の夕食は部屋飲みで1000円で済ませました。

スタート地点に設営される関係者の社交場は、「村」という意味のビラージュと呼ばれます。ここには協賛メーカーのブースが並び、地元特産物がふるまわれています。「この町のワインコーナー」もあってクルマを運転しない関係者だったらいくらでも飲めるんですが、ブリュッセルではワインではなくベルギービールでした。緯度が高く、ブドウが収穫できないからベルギーは多様性のあるビール文化が成熟したんですよね。

7月7日はスペインのサンフィルミン祭りなので、スペイン選手やスタッフがそろいのバンダナを首に巻いて登場します

ブリュッセルの交通機関はすべて無料に

ベルギーは自転車競技も盛んなので、開催地が力を入れるのは当然。開幕から2日間をホストしたブリュッセルは公共交通機関がすべて無料に。市が全額を負担しているということでした。 この日の第2ステージは大会唯一のチームタイムトライアル。国際自転車競技連合のコミッセールがタイムトライアルバイクを車検していきます。

タイムトライアルバイクの車検

チームメカニックが列をなして待っているので、テキパキとタイムトライアルバイクをチェックしてくれるんですが、検車済みのシールとか貼らないでそのままメカに返すんですね。メカはチームピットまで戻るんですが、出走までまだ2時間あります。いいんだろうか、こんなやり方で。

自転車は一度に2台しか運べないので、各チームは4人が車検場まで持ち込むことに

3日目はフランス国境の町がスタートとなり、いよいよフランスに入国。今夜はベルギービールを楽しみます。

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当日でもOK!現地空港Wifiカウンターで受け取れる!【SakuraMobile海外Wifi】

地味に30周年の取材者日記、スタートしました

ツール・ド・フランス取材者日記。2019ツール・ド・フランスはマイヨジョーヌ100周年エディ・メルクスの初制覇から50周年の節目ですが、ボクにとっても30年。じつは初取材が1989年なのです。4年で卒業できなかったフランス文学科の落ちこぼれが、いつの間にかフランス語を使わねばならぬこの旅がライフワークとなっていました。

初日のスタート前に記念撮影する広告キャラバン隊。その元気がいつまで続くかな…

経費は自分持ちなので極力切り詰める

1997年からは東京中日スポーツの現地記者として単身で全日程を取材。当時はインターネット黎明期で、使い始めたばかりのメールで送稿したり、デスクに電話をかけたり。日本の読者さんとコミュニケーションするなんて手段はなく、ただただ孤独をかみしめながら最終日のパリを目指したものです。

さすがに現地サルドプレスでもボクより年上は数えることしかいなくなると、寄る年波を打破するために追加料金7万3000円でビジネスクラスに変更。エールフランスは出発30時間を切って空席があるとネットやアプリで簡単に変更できるのです。そして機内にはマイクロカレントとマッサージャーを持ち込んで快適に移動。

パリに到着してイビスホテルに投宿。クルマとポケットWiFiは翌日に受け取った方が1日だけ経費が節約できます。

大会通信システムからポケットWiFiに初挑戦

マイクロカレント(微弱電流)の家庭用治療器でヒーリングタイムを作ることにした

グッスリと眠れた心地よさで、ポケットWiFiの受け取り場所に行ったものの、だれもいません。しかもターミナル3なんていう、ふだん使わない場所だし。たまたまホテルから近いのでいいんだけど、いろいろ問い合わせたらあと30分で来るらしいです。

お花を持ってだれかを待っている人います。ボクも待ってるんですけど…。しばらくしてブロンドのきれいな女性が到着ゲートから現れたので、待っていた男性がお花を渡していました。しかしボクの待ち人は現れず。

仕方なくターミナル2まで戻ってツーリストインフォメーションに行くと(ポケットWiFiはインフォメーションで渡してくれるんです)、「ターミナル3はだれもいないわよ」と笑顔でボクが借りるべきトラベルWiFiを手渡してくれました。

フランスのTravel Wifiはツーリストインフォメーションで受け取ることができる。返却時は専用パックに入れてポストに投函するだけ

これまでサルドプレスで大会期間中8万円払って接続していたんですが、ポケットタイプの性能が向上したので変更しようと思ったのがきっかけ。日本の業者さんは6万円ほどの見積もりでしたが、2万円ですみました! しかも1日最大5GBの高速通信です。

フランス車は免税で新車購入できます

免税で購入した自分名義の新車。赤ナンバーは免税という印だ

次はルノー・ユーロドライブへ。今回も免税で新車買いました。クリオのマニュアル車で、ガソリンです。受付の女の子が「エサンスだから気をつけてね」っていうから、「ディーゼルじゃなくてガゾリンだよね」と確認したら、「そう。えーとキュウジュウゴとかキュウジュウハチ」(ガソリンスタンドでの表示です)。おい、日本語話せるんかよw

ブリュッセル郊外、Vilvoorde(ビルボールデ)という町

受け取ったクルマで3時間ほどして、ブリュッセルのサルドプレスへ。山岳賞のウールクレールのTシャツとカスケット、ブリュッセルのカスケットをもらったので、ほしい人いますか? 一連のセッティングが終わったらプレゼント応募方法を考えます。

宿泊は郊外にあるカンパニールホテルで、この日から3連泊。夕食に出るのが遅くなっちゃったので、小さな町にはバーしかなく、初日からまさかのケバブをアンポルテ(テイクアウト)。夕食ひとつでも宗教を感じます。

パレロワイヤル宮殿前がチームバスの駐車場

翌日はツール・ド・フランス開幕日。時差のため、いい感じで早寝早起きです。またこの生活が始まりました。ホテルから早朝ランニングで走り始めたら道路にかわいいウサギちゃんがピョンピョン。戻ってお風呂に入って、相変わらず朝食はボクだけアンテラス。こんなに気持ちいいのにこっちの人はなんで外で食べないんだろう? でもかなり着込んでますけどね。 初取材から30年、全日程を単身で追いかけて23年。孤独を感じたこともありましたが、今ではSNSで日本の人たちが毎日応援してくれます。2019年も全ステージのレポートを現地からお届けします。質問や要望はツイッター@PRESSPORTSでお気軽に。

©ASO/Thomas MAHEUX

ツール・ド・フランスでもらったもの、プレゼントします

2019年から山岳賞のスポンサーになったスーパーマーケット「Eルクレール」のTシャツ

●EルクレールのTシャツとカスケット(キャップ)のセットを1名に
競合ブランドのカルフールに代わって2019年から山岳賞のスポンサーとなったEルクレール。スーパーマルシェ(スーパーマーケット)よりもさらに巨大なイペールマルシェ(ハイパーマーケット)としてフランスでは各地にあります。プレゼントアイテムはかなりデカいTシャツとカスケットです。
●応募方法: tdf2019present(アットマーク)pressports.com あてに「Eルクレールのプレゼント希望」とタイトルをつけて、本文にお名前(当選者発表で掲載するためニックネーム可)を明記して送信して下さい。
(アットマーク)部分を「@」に変えて下さい。
●応募期間:2019年7月7日から10日まで(日本時間)
●当選者の発表:2019年7月末に当ホームページで発表し、応募メールアドレスにご連絡し、プレゼント品の発送先などをうかがいます。当選メール不達の場合は当選無効とさせてもらいます。pressports.comを「受信可」に設定お願いします。応募いただいた個人情報は当選者の連絡のみに使用し、お渡し完了後はすべて破棄します。


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細かすぎるツール・ド・フランス現地観戦テクがデイリーで遷移するように改修

「ツール・ド・フランスを旅するテクを教えます」と題した取材者日記が、第1ステージからページ下段の矢印を押していくとステージを1つずつ追って最後まで読めるようになりました。

この日は連泊なので手洗いのお洗濯

「ツール・ド・フランスを旅するテクを教えます」という連載コラムは、2018ツール・ド・フランスを取材しながら、フランス全土を移動しながら旅したエピソードをまとめたものです。レースレポートは別にして、ツール・ド・フランスを現地で追いかけるための「細かすぎる」ノウハウが23日間にわたって紹介されています。

第1ステージからページ下段の矢印を押していくとステージを1つずつ追って最後まで読めるように

「ツール・ド・フランスを旅するテクを教えます」第1ステージ

ツール・ド・フランスはパリまでたどり着けなければ最下位にだってなれない

ツール・ド・フランス取材者日記最終回。
その昔、列車は夜になると前後にランタンの明かりを点したという。最後尾につけるのは赤色のランタンで、いわゆるテールランプのことだ。フランス語では「ランタンルージュ」と呼ばれている。ツール・ド・フランスでランタンルージュといえば最後尾、つまり個人総合成績で最下位の選手のことだ。例年シャンゼリゼに凱旋する最終ステージのスタート前に、ちょっとした伝統行事が行われる。最下位選手が赤いランタンを持たされてカメラマンのポーズに応じたりするのだ。

シャンゼリゼに選手たちが到着した瞬間を見計らってフランス空軍が凱旋門からコンコルドにかけて飛行 © ASO

ツール・ド・フランスでは最下位だってある意味で勲章だ。遅れたのにはちゃんとした理由がある。エースのために全力で集団を引っ張って体力を使い果たしたとか、ホイールを提供して道ばたでたたずんでいたとか。つまりある意味できっちりと仕事をしなくちゃ遅れないのだ。

そして決定的なことには、シャンゼリゼにたどり着かなければ最下位には絶対になれないということ。つまり最下位はリタイアじゃなくて完走だ。選手にとってシャンゼリゼに到着することが、ひとつの大きな勲章であり、カメラマンにランタンルージュを持たされてポーズを取ったりしていても、その心の中はまばゆいばかりの自尊心がきらめいている。

1836年7月29日、ナポレオンの命によって建設されたエトワール凱旋門が完成した日、英国のゲラント・トーマスが凱旋 © ASO

1987年に東京中日スポーツ派遣記者として全ステージを追いかけるようになり、毎日欠かさず送稿したのが現地の取材者日記「マイヨノワール」だ。ツール・ド・フランスではないが、かつて最下位選手が着させられた黒いジャージをイメージして、先代の担当デスクがつけてくれた表題だ。

ツール・ド・フランス最終日はシャンゼリゼで選手たちのゴールを見届けたあと、ボクはたいていメトロで6駅離れたプレスセンターまで徒歩で戻って最後の原稿を打つ。あらかた書き上げたころには他の記者はほとんどいない。パリのゴールはいつも最下位。たまたま着ていた黒いジャケットがあたかもマイヨノワールみたいだ。(終わり)

マイヨジョーヌのトーマスを祝福するフルーム © ASO

第20ステージの記者日記

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この最高に気持ちいい瞬間が体感できるのも最後かな

ツール・ド・フランス取材者日記第20ステージ。800km以上離れたパリへの移動だが、この日のために摂取する栄養と疲労回復のための睡眠を十分にとることを心がけたので、それほど大変ではありませんでした。それでも最高速度制限130kmを何時間も維持するのは相当のストレス。とにかく無事に最終到着地まで走ればいいので、速度は抑えめで、フランス人運転のクルマに抜かれまくります。

フランスの空は広い!

200km地点でボルドーへ。高速道路が渋滞しているようでGPSで市街地を通る指示に従って街中を走る。ようやく高速に乗った先で料金所の渋滞があるようで、ここで一般道へ。ところがボルドーからポワティエまでまっすぐに行くN国道があるんですね。2車線で最高速度は110km。日本の高速道路のようで、こっちのほうがボクには適していました。もちろん無料。

こうして土曜日の夜は、かつて開幕地になったり、最終日前日の個人タイムトライアルが行われた未来都市フチュロスコープへ。ネット予約サイトで直前に安価で1部屋が売りに出ていたので予約しました。身障者用にシャワールームがバリアフリーになったお部屋ですね。

パリまでの809kmはさすがに途中のポワティエ郊外で1泊

今回のツール・ド・フランス取材の旅も、この日がフランスの田舎で過ごす最後のひととき。夕食後、太陽が沈みかけるまで外で乾いた空気を感じるために散歩に出かけました。あー、この気持ちいい瞬間が体感できるのも今年は最後で、これからあと何回味わえるんだろう。

今年は結構グッスリと睡眠でき、朝も毎日ジョギングでその町の魅力を堪能。そして最後の日の朝もパリまでの残り330kmを走りきってゴールしました。

パリに到着。いつもの路上パーキングにクルマを駐めてジュシザリベ!

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ここまでやるんだ! ツール・ド・フランス…聖地にチームバス乗り込む

ツール・ド・フランス取材者日記第19ステージ。カトリックの聖地であるルルドってどんなイメージがありますか? ろうそくを点して練り歩くミサが幻想的とか、一度は訪れてみたいピレネー山麓の観光名所とか。ボクたちツール・ド・フランス関係者にとっては、絶対にホテルに困らない町として重宝しています。そしてボクにとってここは、自戒の町として毎年必ず訪れるようにしています。

ここは普段、敬虔なカトリック教徒がろうそくを掲げてミサの行進をするところだ

キリスト教の聖地ルルドはベルナデットという少女が不治の病を治すという奇跡の泉を発見した町です。以来、世界中から生死の境をさまよう人たちが、最後に神にすがるために訪れます。杖や車椅子なんてものではなく、ベッドで運び込まれる人もいます。家族に病人がいる人は土産店で聖母マリアをかたどったペットボトルを買い、水をくんで遠い国まで運んでいきます。そのシーンは人生観が変わるほど衝撃的。健康でいることのありがたさを実感し、自分の生活を戒めるためにボクは毎年ルルドに宿を取っているのです。

そんなカトリック教会の真正面にチームバスが問答無用で乗りつけたのには、驚きというよりも見事さを感じました。日本で言えば大相撲の土俵を自転車で乗り回すような感じです。ある意味でツール・ド・フランスってここまでするんだと、改めてそのスゴさを実感したのです。

ベルナデットが聖なる泉を見つけた場所にイタリア人選手が祈りを捧げにやってきた

大会も第3週になると、すべての関係者はちょっと感傷的になってしまいます。過酷だけど、最高に楽しくて、世界有数の観光大国をあますことなく旅する23日間。日本人のボクにとっては、快適なフランス滞在もあと少し。ピレネーの最後の山岳ステージでは乾いた風がそよぐ原っぱに寝転がってみました。本当に気持ちいいなあ。

この日はゴールからすぐ近くの小さな村に宿泊。以前滞在して気に入ったところです。教会の前に広場があって、それに面したホテルのテラス席で夕ごはんを楽しむ。でも原稿書いてます。リラックスしてごはんを食べればいいんだけど、貧乏性なんですね。この旅もいよいよ終わりへ。明日は800km離れたパリに向かいます。

ゴールの町の人たちはおそろいウエアでボクたちを歓迎してくれる

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