「ここまでまだ決勝に進出していないのでそこを目指したい。カナダで開催される最終戦ということで出場選手のレベルは高いので、予選でしっかりと走って次につなげていきたい」。全4戦で争われるレッドブル・クラッシュドアイス。最終戦が3月11日にカナダのエドモントンで開催され、全戦を戦ってきた山本純子が決戦を前にした8日、現地で熱く語った。
「すごくスピードが出るコースなのでコントロールしながら滑りたいと思います。前半はスピードが出るのでそのスピードを落とさないようにする。後半は障害物が連続するので忙しいパートになる。前半と後半とで滑り方が変わってくるでしょうね」
試走を終えた山本が氷点下に冷え込んだコースサイドでコメントしてくれた。予選前に走る回数は限られているので、そこでどんな身体の動きをしたらいいかを試しながら走っているという。
「私としてはスピードが出るほうがいいですが、嫌いなコースではないです。テクニカルなコースはそれはそれで考える楽しさがあります」
今シーズン、いろんな大会で経験してきたことすべてが出せればいいなという思いがある。練習を終えた山本のパンツはシーズンを通して使っているもので、3大会で膝のあたりはもうボロボロだ。「もうひとつ持っているので本番では替えようかなと思っています。練習は転んでもいいかなと思って」と笑顔で釈明する。前回に膝を打って擦過傷を負ってしまったが、大きなケガにはいたらなかったのが幸いだった。
6日夜に北海道から入って翌日から練習を始めた。2015年に開催されたエドモントン大会にも出場しているものの、コースは大きく変わっているという。
「土地に関して慣れているというよさはありますが、コースは大きく変わっていて、今年のセントポールの大会と前半が似ていたり、前回のエドモントン大会に似ているというよりも今年の大会の集大成となっていると思います。今年はコース作成時に寒すぎて(設営が)よくできなかった部分があったようで、コースの一部で氷が荒れているころもありました。でもそれはどの大会でも一緒なので」
もともとはアイスホッケー選手だ。平昌冬季五輪の時はフィンランドに遠征中で、限られた競技しかテレビで見られなかったが、女子のアイスホッケー緒戦はちょうどいい時間にスウェーデン戦を見ることができた。
「私はどちらかというと技術的なこと、気持ちの持っていき方に関心があって、五輪で活躍した選手がインタビューなどでコメントする体の使い方などを興味深く聞いていました」
このスポーツのポイントを以下のような言葉で語ってくれた。
「求められるのは対応力と分析力。経験とかもあるんですけど、スタミナだけでいくっていうよりもいろんな種類の障害物がある中でどうやって滑ればいいか。スピードだけじゃなくて身体の動かし方とかを限られた練習の中で見つけて、それを本番で出せるということが求められていると思います」
そして最後に夢を語った。
「映像でクラッシュドアイスを見てくれている日本の人もいるんですけど、北米やヨーロッパでやっているスポーツというイメージが強いので、私が出場することで日本の人にも親近感を持ってもらって、楽しいスポーツであることをたくさんの人に知ってもらいたい」
山本純子(やまもと じゅんこ)
1982年6月25日生まれ(35)
出身=長野県軽井沢町、現住所=北海道苫小牧市
職業=会社員
戦績
2016-17シーズン総合10位。オタワ(カナダ)4位は自身最高位
2015-16シーズン総合11位
アイスホッケーチーム 大東開発ネクサス所属。7歳でアイスホッケーを始め、2011年全日本女子アイスホッケー選手権大会での優勝経験を持つ。2010年2月に北海道札幌で開催のレッドブル・クラッシュドアイス日本選考会(女性部門)で優勝、同年カナダで開催されたレッドブル・クラッシュドアイス ケベック大会に出場。その年はファイナルには駒を進められなかったが翌年には決勝トーナメントに初進出。2015-16年は総合11位、2016-17シーズンの最終戦オタワ大会で初めてファイナルに出場し、自己ベストの4位でゴール。北海道の苫小牧市で女子アイスホッケーチームの苫小牧ネクサスでプレーを続けるかたわら、ローカルのケーブルテレビ局でアイスホッケーのレポーターも務めている。
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