聖年2021年のブエルタ・ア・エスパーニャは聖地にゴール

2021年8月14日から9月5日まで開催される第76回ブエルタ・ア・エスパーニャのコースが2月11日、開幕地として発表されているブルゴスで明らかにされた。

多くの巡礼者が目指すサンチャゴデコンポステーラがゴールとなった ©PHOTOGOMEZSPORT2020

初日は建造800周年のブルゴス大聖堂の周辺で開催。最終日は首都マドリードではなく、シャコベオ(ヤコブ)の聖年を迎える巡礼地の終着サンチャゴデコンポステーラにゴールする。

開幕地ブルゴスのフォーラムでソーシャルディスタンスを取りながら最小限の参加者で行われた ©PHOTOGOMEZSPORT2020
開幕地となるブルゴスに拠点を置くチームから選手もわずかに出席した ©PHOTOGOMEZSPORT2020

2021ブエルタ・ア・エスパーニャ日程
8月14日(土) 第1ステージ ブルゴス(個人タイムトライアル) 8km
8月15日(日) 第2ステージ カレルエガ〜ブルゴス 169.5km
8月16日(月)第3ステージ サントドミンゴ・デ・シロス〜エスピノサ・デ・ロスモンテロス 203km★★
8月17日(火) 第4ステージ エルブルゴ・デ・オスマ〜モリナ・デ・アラゴン 163.6km
8月18日(水) 第5ステージ タランコン〜アルバセテ 184.4km
8月19日(木) 第6ステージ レケナ〜アルトデラモンターニャ・デ・クリェラ 159km★
8月20日(金) 第7ステージ ガンディア〜バルコン・デ・アリカンテ 152km★★★
8月21日(土) 第8ステージ サンタポラ〜ラマンガ・メノル湖 163.3km
8月22日(日) 第9ステージ プエルトルンブレラス〜アルト・デ・ベレフィケ 187.8km★★★
8月23日(月) 休養日
8月24日(火) 第10ステージ ロケタスデマル〜リンコン・デラ・ビクトリア 190.2km★★
8月25日(水) 第11ステージ アテケラ〜バルデペーニャス・デ・ハエン 131.6km★★
8月26日(木) 第12ステージ ハエン〜コルドバ 166.7m★★
8月27日(金) 第13ステージ ベルメス〜ビリャヌエバ・デラ・セレナ 197.2km
8月28日(土) 第14ステージ ドンベニト〜ピコ・ビリュエルカス 159.7km★★★
8月29日(日) 第15ステージ ナバルモラル・デラ・マタ〜エルバラコ 193.4km★★★
8月30日(月) 休養日
8月31日(火) 第16ステージ ラレド〜サンタクルズ・デ・ベザナ 170.8km
9月1日(水) 第17ステージ ウンケラ〜ラゴス・デ・コバドンガ 181.6km★★★
9月2日(木) 第18ステージ サラス〜アルツ・デル・ガモニテイル 159.2km★★★
9月3日(金) 第19ステージ タピア〜モンフォルテ・デ・レモス 187.8km★★
9月4日(土) 第20ステージ サンゼンゾ〜モスカストロ・デ・エルビレ 173.6km★★
9月5日(日) 第21ステージ パドロン〜サンチャゴデコンポステーラ(個人タイムトライアル) 33.7km
★は難易度

厳しい山岳ステージは第2週に多い ©PHOTOGOMEZSPORT2020. Oscar Pereiro

●ブエルタ・ア・エスパーニャのホームページ

死ぬまでに泊まってみたいホテル。聖地巡礼の宿で欧州文化も実体験

1万円以下でも最高の気分にひたれるフランスの宿泊施設ベスト3。最後は大手予約サイトで「破格の安さじゃん」となにげなく部屋を確保したところ。たどり着いてみるとその豪華さとともに、ちょっとびっくりな経験をして、図らずも欧州文化を肌で感じることができた。

立派な建物が四方を取り囲み、静かな中庭を作り上げている

四半世紀のツール・ド・フランス取材で宿泊したホテルはのべ800。その中で記憶に残るのはたいてい「見つけにくい」宿泊施設という共通項がある。今回紹介するところもカーナビに住所を入力しただけでは案内されず、その町のスーパーに飛び込んで地元の人に道順を教えてもらった。

2015年のツール・ド・フランス第13ステージはミュレからロデズまで。フランス中南部のこのあたりは宿泊容量がそれほどなく、出場選手や関係者も遠く離れた町に点在するケースが多い。ボクもホテル確保は難儀したが、翌ステージのスタートに向かった小さな集落に予約サイトで部屋を見つけた。サンコームドルト(Saint-Come-d’Olt)という町で、中世の建物が残る落ち着いたところだった。

青い看板は聖地サンティアゴデコンポステーラへの巡礼宿という印だ

ロデズのプレスセンターで原稿を書いていると、「7時までにレセプションに来てね」という電話がかかってきたので、仕事を中断して急ぐことに。Wi-Fiがあることは確認済みだったので、ホテルの部屋で原稿を書けばいい。ところがサンコームドルトの集落に到着してもこの日の宿、エスパスランコントル・アンジェールメリシ(Espace rencontre Angèle Mérici)を示すものはなにもなかった。

スーパーマーケットの「プチカジノ」を見つけ、レジのおばさんにたずねると、この先の小高い丘の中腹にあるとのことで、道順を教えてくれた。ありました。レンガ造りの4階建て。建物がグルッと中庭を取り囲み、教会のような尖塔もある。料7%引きのクーポンを使って62.37ユーロ(約8000円)にしてはかなり立派すぎる。

中に入るとオフィスのような部屋があり、執務をしていた男性がキーをくれた。「7時から“メス”があるからね」と声をかけてくれる。ヘッ? メスってフランス語なんだっけ?などと首をかしげながら部屋に上がると5人部屋のシングルユースだ。水回りもきれいで、エアコン完備。建物を一周してみると中庭の反対側の館はオーナーが住んでいるようだ。自給自足の菜園には散策路があって、ヤギとニワトリを飼っている建物もあった。

ヤギやニワトリなどの家畜ものんびりと暮らす

この宿泊施設の敷地はこの丘全体という感じだ。改めて道路に面した門扉まで足を運ぶと「コンポステーラまでの重要拠点」と「おすすめの宿」というプレートがあった。夕食の時間に食堂に行くと、他の宿泊者がお盆を持って並び、住み込みの修道女がスープや食事を盛りつけてくれた。ようやく分かったのだがここはカトリックの巡礼宿なのだ。さっきの“メス”は英語のミサのことか。ルパ(晩餐)は一緒のテーブルでワインを回してもらいながら食べる。
「キミもカトリックで、聖地を目指しているんだろ」と質問攻め。「あ、うーん。はい」

スペイン北西部にあるサンティアゴデコンポステーラまでの巡礼路はいくつかあるが、この町を通るのはフランス中央部に位置するル・ピュイを出発する最も有名なコースだ。東ヨーロッパのポーランド、ハンガリー、ドイツ、オーストリア、スイスからの巡礼者はみなこの道を歩く。

聖母マリアの偉大な聖地ル・ピュイアンブレは2017ツール・ド・フランスも訪問し、休息日となっているからツール・ド・フランスに興味のある人はその荘厳な景観をテレビで目撃するはず。ここからサンティアゴデコンポステーラまでは1522km。歩くと65日を要する。美しい中世の町コンクをはじめ、フィジャック、カジャルク、モワサックなどを通る。

修道女が晩さんを盛りつけてくれた

この巡礼宿にお世話になった翌朝、次のスタート地点を目指してクルマを走らせていると、道すがらにひたすら西を目指して歩く巡礼者たちを多く見かけた。彼らは夏休みを利用して巡礼を敢行しているのだが、自動販売機なんかひとつもない丘陵地を重いバックパックを背負って歩き続ける。もちろん命の水と食べ物は背負っているだろうが、こうしてたどり着いた巡礼宿がどれほどくつろぎを与えてくれるかは計り知れない。きっとシャワーのお湯が心地よく、質素な食事だっておいしくいただけるはずだ。

クルマを利用して取材を続けるツール・ド・フランスもある意味は巡礼に近いものがあり、その日にたどり着いた清潔なベッドに心の芯からホッとするときがある。だから歩いてたどり着いた巡礼者は「地上に生きていること」を痛感するほどの感慨があると思う。そんな宿泊施設がネットで簡単に予約できてしまうのも驚きだった。

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