東京五輪出場枠をかけて日本短距離陣がトラック世界選手権へ

世界選手権トラック競技大会が2月27日から3月3日までポーランドのプルシュクフで開催され、日本から史上最強軍団が派遣される。同大会での成績は2020東京五輪の国別出場枠に大きくかかわる。外国人コーチを起用して直近の国際大会で3位以内を連発する日本短距離陣だけに、その先にあるのはだれも手にしたことのない金メダルしかない。

2018トラック世界選手権の男子ケイリンで2位になった河端朋之(左) ©Takenori WAKO/JCF

トラック競技だけ開催国出場枠がない!

2020東京五輪で自転車競技はトラック、ロード、MTB、BMXの4競技が行われるが、この中でトラックのみが開催国出場枠がない。そのため2018年7月6日から2020年3月1日までの世界選手権、ワールドカップシリーズ、各大陸選手権での成績により、各国・地域に出場枠が割り当てられ、2020年3月2日に発表される。

世界の強豪国は現在、東京五輪出場を目指してその得点争いに集中しているわけだが、そのなかでも世界チャンピオンを決める世界選手権は配点が高いので最も重要となる。日本勢もここで着実に上位の成績を修め、取れるだけの東京五輪枠を確保していきたいのだ。

男子チームスプリントの雨谷一樹、新田祐大、深谷知広 ©2019 JCF

自転車競技の五輪メダルは過去に銀1、銅3個。すべてトラック短距離男子による獲得だ。2004年のアテネ、2008年の北京は外国人コーチの功績によりメダルをゲット。ところがその後は契約問題がこじれて日本人コーチを起用する時代もあった。しかし東京五輪を見すえて実績のある外国人指導者と契約。短距離ヘッドコーチはブノア・ヴェトゥ、同コーチはジェイソン・ニブレット、中距離ヘッドコーチはイアン・メルビン。すべて五輪メダル請負人だ。

しばらく低迷を続けた日本短距離陣も近年は着実にパワーアップ。世界の強豪が集まるワールドカップでも3位までの表彰台に食い込み続けている。つまり現時点で東京のメダル圏内に日本選手はいるのである。

トラックワールドカップ第6戦の男子チームスプリントで2位になった雨谷一樹、新田祐大、深谷知広 ©2019 JCF

注目の種目はチームスプリント

短距離男子で最も注目すべき種目はチームスプリントだ。3選手が1周ずつ先頭を分担し、3段ロケットのように脱落していき、最後の選手のゴールタイムで優劣をつける。アテネ五輪では日本自転車競技史上最高の銀メダルを獲得した得意種目である。

この種目の最終的な国別ランキングで8位までに入れば一気に3選手が東京五輪に出場できる。しかもその3選手は個人スプリントとケイリンに、それぞれ最大2選手がかけ持ち出場することができるというルールもある。1月に開催されたトラックW杯第6戦で日本は雨谷一樹、新田祐大、深谷知広を起用して2位。7年ぶりの表彰台をゲットして上り調子だ。

またケイリンでは同5戦で新田祐大が3位、6戦で河端朋之と女子の太田りゆが2位。さらに1月のアジア選手権ケイリンでも脇本雄太が優勝している。

これまで実績がなかった中長距離陣も躍進。複合競技のオムニアムで橋本英也と梶原悠未がアジア王者に。W杯でも成績を残しているだけに楽しみだ。

アジア選手権女子マディソンで優勝の梶原悠未(左)と古山稀絵 ©2019 JCF
アジア選手権男子オムニアムで橋本英也が優勝 ©2019 JCF

●日本自転車競技の五輪メダル
1984ロサンゼルス 坂本勉(スプリント)銅
1996アトランタ 十文字貴信(1㌔タイムトライアル)銅
2004アテネ 長塚智広・伏見俊昭・井上昌己(チームスプリント)銀
2008北京 永井清史(ケイリン)銅

●世界選手権日本代表選手
脇本雄太(JPCA JPCU福井)
河端朋之(JPCA JPCU岡山)
新田祐大(JPCA JPCU福島)
深谷知広(JPCA JPCU愛知)
雨谷一樹(JPCA JPCU栃木)
小林優香(JPCA JPCU福岡)
太田りゆ(JPCA JPCU埼玉/ブリヂストンサイクリング)
近谷涼(ブリヂストンサイクリング)
一丸尚伍(シマノレーシング)
橋本英也(JPCU岐阜/ブリヂストンサイクリング)
今村駿介(中央大/ブリヂストンサイクリング)
沢田桂太郎(日本大/ブリヂストンサイクリング)
中村妃智(日本写真判定)
古山稀絵(日本体育大)
橋本優弥(鹿屋体育大)
梶原悠未(筑波大)
吉川美穂(Live GARDEN Bici Stelle)

東京五輪自転車ロードレースのコースは大國魂神社参道を貫通

第32回オリンピック競技大会(2020/東京)の最初の決勝種目は、開会式翌日の7月25日(金)に行われる自転車競技の男子ロードレース。注目のスタートは日本ならではの映像を世界に発信することになりそうだ。

武蔵国の総社である大國魂神社はなんと1900年の歴史があるという

自転車競技ロードレースは男子/女子ともに、東京都府中市をスタートし、多摩川にかかる是政橋までがニュートラル区間。予定では橋の上から競技開始となり、富士山の裾野を目指す。

パレード走行とも言われるニュートラル区間はほとんどが府中市。なかでも京王線府中駅前の繁華街である馬場大門のケヤキ並木を通過するのは見どころがある。この並木道は大國魂神社の参道でもあるが、コースは神社大鳥居の下をそのまま通って、普段は歩行者しか通行できない境内の参道を行く。

東京五輪自転車ロードレースの開催を契機に、市民に自転車の魅力を知ってもらい、大会のレガシーとして自転車を活用した市民の健康増進を推進していきたいと意気込んでいるからだ。

平安時代に植樹されたという馬場大門のケヤキ並木
府中駅前の馬場大門ケヤキ並木がパレードコース
馬場大門ケヤキ並木から神社を望む。選手たちはこの大鳥居をくぐって参道に入る

江東区豊洲地区をメイン会場とする東京五輪だが、府中市は自転車競技以外にもサッカー、ラグビー、近代五種が東京スタジアム(味の素スタジアム)で、バドミントン、近代五種、車いすバスケットボールが武蔵野の森総合スポーツプラザで行われる。

さらに府中市はラグビーワールドカップ2019日本大会の試合会場でもあって、これらの大会開催を契機に、スポーツタウンとしてのさらなる推進を図る。同時に同市の魅力を世界に発信していきたいという。

そのためには市民と協同して全市を挙げてオリンピックやラグビーワールドカップの成功に向けた取り組みを推進していくと意気込んでいる。

自転車競技ロードレース(男子/女子)のニュートラル区間
●スタート=武蔵野の森公園(府中市)
武蔵野の森公園→人見街道720m→基督教大裏門(左折)→東八道路3.1km→前原交番前(左折)→小金井街道2km(右折)→桜通り600m→ケヤキ並木北(左折)→馬場大門のケヤキ並木・大國魂神社参道800m(右折)→200m(左折)→府中街道1.7km→是政交番前(右折)
●オフィシャルスタート=是政橋

「下車」の看板があるが、東京五輪の競技日だけは選手たちの自転車乗り入れが許可される
大國魂神社のこの参道を五輪出場選手たちが走行するってスゴい!
随神門の前で直角に右折し、一般道へと向かう
自転車ロードコースのパレード区間は府中市がパンフレットを制作し、ひろく市民に告知している
府中市は東京五輪ロード開催をきっかけに、市民に自転車の魅力を知ってもらおうとさまざまな取り組みを企画している

しまなみ海道と富士山周遊コースで今春にサイクリングバスツアー実施へ

観光バスのトランクルームに専用キャリアでスポーツバイクを収納し、気持ちのいいサイクリングルートまでバス移動して楽しむという国際興業のサイクリングバスツアーが2019年春に催行を予定している。

前回実施で好評だった「しまなみ海道」と、2020東京五輪ロードレースの舞台として盛り上がる「富士山周遊」の2コースを4月と5月に実施する計画で、現在はそれぞれの地域で支援をしてもらう関係団体と日程や細部の打ち合わせ中。

しまなみ海道は往復夜行の弾丸ツアー。金曜夜に東京駅と新宿駅を出発し、土曜日に広島県尾道市から愛媛県松山市まで走り、土曜夕方に帰路へ。日曜早朝に新宿と東京に戻ってくる。

2コースの実施日は近日中に発表の予定。

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外国人観光客1億人を目指すフランスがスポーツイベントで日本とタッグ

フランス観光開発機構のクリスチャン・マンテイ(Christian MANTEI)総裁が、日本国観光庁と日本政府観光局との観光協力に関する覚書署名式に出席するために来日。9月19日に行われたその調印式に先立って、マンテイ総裁は親交の深いアラン・デュカスが東京にオープンさせたこだわりのチョコレートファクトリー、ル・ショコラ・アラン・デュカス東京工房に現れ、チョコレート製造の様子がガラス越しに見えるティーサロンで取材に応じた。

クリスチャン・マンテイ総裁(左)とアラン・デュカス氏

日本は毎年のように訪問しているというマンテイ総裁。このティーサロンを会場に選んだ理由を「私はチョコレート好きで毎日食べているから」と切り出した上で、「多大なる情熱をもって才能を発揮し続けるデュカス氏のチョコレート工房は、フランスの話をするのにうってつけの場所だから」と続けた。

コルシカ島出身。キャリア初期より複数の観光関連の企業を立ち上げ、ワインツーリズム高等評議会事務局長を兼務。レジヨンドヌール・オフィシエ勲章を受勲している。世界ナンバーワンの観光大国フランスをけん引する要職にあって、スポーツが観光産業にもたらす重要性を力説する。

「フランスと日本はこれから数年にわたって大きなスポーツイベントが交互に開催される。これまで以上に日仏が親密になるきっかけとなる」

2018年夏にはフランスで女子サッカーU20ワールドカップが開催され、日本が優勝しているが、2019年には女子フル代表のワールドカップが同じフランスで行われる。そして2019年には日本でラグビーのワールドカップが開催される。フランスは優勝候補の筆頭だ。
「決勝ではぜひ日本とフランスの対戦が見てみたいです」

フランス観光開発機構(Atout France)のクリスチャン・マンテイ総裁

「フランス政府は観光促進のためにインフラ投資を常に心がけている。観光的産業にかける金額は毎年140億ユーロ(約2兆円)、大きなスポーツイベントがある年はこれに追加して25億円ユーロを投資している。スポーツイベント・イコール・メディアなんです。スポーツイベントを行うことによって世界じゅうにその内容が報じられる。そして世界中からスポーツ観戦に来る人たちはこの国の素晴らしさを目撃する。フランス各地のライフスタイルに興味を持ってくれる人も多いと思う」

2020年の東京五輪の次はパリ。観光大国フランスはそれを契機に1億人の外国人観光客誘致を目指している。五輪開催までにホテル、博物館、スポーツ施設など既存建造物への再投資や準備が進む。

1018年は観光客9000万人を達成したが、問題点も山積し、それをクリアしていくのも課題だという。
「例えば特定観光地への一極集中という問題。これはフランスに限らず世界中で問題化していること。1億人を達成したとしてももっとクオリティの高い旅行が求められる時代になるかもしれません」

(左から)田端浩・日本国観光庁長官、清野智・日本政府観光局理事長、クリスチャン・マンテイ フランス観光開発機構総裁

日本とフランスがさらに観光分野でタッグ
日仏交流160周年を契機とし、日本国観光庁(JTA)、日本政府観光局(JNTO)及びフランス観光開発機構(Atout France)は、日仏両国において観光分野が両国国民の相互理解および友好を促進するために重要であるとの共通認識を踏まえ、当事者間の協力を強化することを確認し、覚書に署名した。

三者はすでに2013年6月7日、日仏間観光協力に関する共同声明に署名していて、今回の覚書は協力のさらなる強化を確認するもの。覚書は3年間継続し、2018年から2020年までに三者が観光交流の促進のために実施する予定の代表的な事業を共有した。

2019年にラグビーワールドカップ、2020年にオリンピック・パラリンピック競技大会が日本で開催されることに続き、2023年にラグビーワールドカップ、2024年にオリンピック・パラリンピック競技大会がフランスで開催されることを踏まえ、三者は両国間の観光客往来の増加に寄与すべく、各スポーツイベントを活用したプロモーション事業を互いに実施し、その経験を共有することを確認した。

クリスチャン・マンテイ(Christian MANTEI)
アトゥー・フランス(Atout France)/フランス観光開発機構総裁
ワインツーリズム高等評議会事務局長
レジヨンドヌール・オフィシエ勲章受勲

1991年フランス観光開発機構の前身である「経済利益団体(GIE)メゾン・ド・ラ・フランス(Maison de la France)」のマーケティング・インフォメーション部長に就任。5 年後、副総裁に任命される。
1997年「パリ市観光・会議局」局長に就任。
2002年「Parishotel.com」のアソシエイト・ディレクターおよび「CMCコンサルティング・観光エンジニアリング事務所」代表に就任。
2004年「国際博覧会Expo 2004」の副運営委員長に就任。同年、観光素材提供を目的に設立された 「フランス観光エンジニアリング局 (Agence française de l’ingénierie touristique , AFIT)」の局長となる。
2005年「フランス観光エンジニアリング局」、「全国観光観測所(Observatoire National du Tourisme,ONT)」ならびに「山岳観光調査整備機関(service d’Etudes et d’Amenagement Touristique de la Montagne, SEATM)」の合併で創設された「オディット・フランス(観光に関する開発・ エンジニアリング観測所 ODIT France)」の総裁に就任。
2008年12月29日 「経済利益団体(GIE)メゾン・ド・ラ・フランス(Maison de la France)」を「アトゥー・フランス/フランス観光開発機構」へ刷新するための立役者となる。
2009年6月17日「メゾン・ド・ラ・フランス」と「オディット・フランス」の合併で創設された「アトゥー・フランス/フランス観光開発機構」の総裁に就任する。

東京五輪新種目のBMXフリースタイル・パークで西昂世が初の日本一

BMXフリースタイル・パーク競技の日本一を決める「第2回全日本BMXフリースタイル・パーク選手権大会」が岡山市役所本庁舎・特設会場で開催された。

男子エリート優勝の西昂世 ©2018 JCF

男子エリートは西昂世(にしたかせ)が96ポイントで優勝。大和晴彦が92.5ポイントで2位に入った。2017年優勝の中村輪夢は決勝でパンクするなどのトラブルで91.5ポイントの3位だった。

女子エリート優勝の大池水杜 ©2018 JCF

女子エリートは、今季のワールドカップで日本人として初優勝を果たした大池水杜(おおいけみなと)が87ポイントで優勝し、2017年に続いて2年連続のタイトルを獲得した。2位に丹野夏波(83.5ポイント)、3位に西川麻衣(55ポイント)が入った。

男子エリート優勝、西昂世のコメント
今回はパンクのトラブルが多いコースで、自分も練習中にパンクしていた。決勝ではそのリスクを回避して、ジャンプの着地面にしっかりと合わせる走りを心がけたのが優勝につながった。ただ全日本選手権に向けて練習してきた技も出せて、ちょっとしたミスはあったがベストは尽くせたと思う。

男子エリート優勝の西昂世 ©2018 JCF

男子エリート優勝の西昂世(中央)。左は2位の大和晴彦、右は3位の中村輪夢 ©2018 JCF

女子エリート優勝、大池水杜のコメント
昨年は女子エリートが1人だけで男子に交ざっての大会だったが、今大会はレースとフラットランドから女子選手がエントリーしてくれて女子エリートが成立した。そこで勝てたことがうれしかった。現状世界ランク3位にいると聞いているので、このままワールドカップも頑張って世界選手権でも表彰台に乗れるようにしていきたい。

女子エリート優勝の大池水杜 ©2018 JCF

女子エリート優勝の大池水杜(中央)。左は2位の丹野夏波、右は3位の西川麻衣 ©2018 JCF

東京五輪ロードコース発表…富士山を目指す雄大なコース設定

第32回オリンピック競技大会(2020/東京)の自転車競技ロードレースコース(男子/女子)が東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会から8月9日に発表された。

富士山と富士スピードウェイ ©Tokyo 2020

武蔵野の森公園をスタート会場とし、東京都・神奈川県・山梨県・静岡県を通り、富士スピードウェイにゴールする。総距離はパレード走行区間10kmを含む男子約244km、女子約147km。獲得標高は男子約4865m、女子約2692mとなる。

男子は大会1日目の7月25日(土)11時にスタート。女子は2日目の26日(日)13時にスタート。世界のトップレーサーがゴールの富士スピードウェイを目指す。東京から日本の象徴である富士山麓を目指すレースとなり、その映像は世界中に東京2020オリンピックの開幕を印象づける!男女ともに起伏の激しい難易度の高いコースとなった。

武蔵野の森公園 ©Tokyo 2020

道志みち ©Tokyo 2020

富士山と山中湖 ©Tokyo 2020

富士スピードウェイ ©Tokyo 2020

男子ロードレースの高低図  ©Tokyo 2020

女子ロードレースの高低図 ©Tokyo 2020

東京オリンピック自転車競技ロードレース(男子)コース詳細
東京オリンピック自転車競技ロードレース(女子)コース詳細
「サバイバルな展開に」別府史之。「記憶に残るコース」小池都知事

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