籔田寿衣がBMXスーパークロスワールドカップ第7戦U23初優勝

BMXレーシング種目のワールドカップシリーズ第7戦が10月30日にトルコのサカリアで開催され、女子U23カテゴリーの籔田寿衣(大阪体育大)が、自身初の優勝を果たした。

籔田寿衣(先頭)がBMXスーパークロスワールドカップ第7戦のU23クラスで初優勝 ©日本自転車競技連盟

前週からトルコのサカリアで開催されているワールドカップシリーズ後半戦。2週にわたって開催され、日 本チームは第5、6戦ではU23カテゴリーで優勝を含む男女計4つの表彰台を獲得し、いい流れで残り2戦に臨む形となった。

日本チームのメンバーは変わらず、U23カテゴリーに男子2選手、女子5選手、そしてエリート女子には、東京オリンピック日本代表の畠山紗英(日本体育大)が参戦した。

籔田寿衣(中央)が接戦を制した ©日本自転車競技連盟
BMXスーパークロスワールドカップ第7戦のU23クラスで初優勝した籔田寿衣(中央) ©日本自転車競技連盟

U23男子は中井飛馬のシリーズ総合1位が確定

第5、6戦同様に、参加者60名と今大会最大のクラスとなったU23 男子は、現在シリーズポイントをリードしている中井飛馬(日本体育大)が、前週に続き安定した走りで準決勝を1位で決勝へ進出。

先頭を走る中井飛馬。UCI BMXスーパークロスワールドカップ第7戦 ©日本自転車競技連盟

決勝は2位から追う展開となり、第2コーナーで先頭の選手の横に並ぶも、立ち上がりでの加速に苦しみ失速。ゴール直前でも順位を一つ落とし4位でフィニッシュした。これまで4戦連続で上った表彰台は逃したものの、シリーズポイントでは最終戦を残して1位が確定した。

<中井飛馬 コメント>
先週の第5、6戦からの改善点も含めて、いい流れで決勝まで進めましたが、決勝ではラインの判断ミスで先頭の選手を交わすことができず、悔しい1戦となりました。シリーズタイトルが確定して、一つプレッシャーは減りましたが、シーズン最終戦をベストな形で終えられるよう、最後まで集中を切らさずに挑みます。

<大会結果 男子 Under23>
優勝:Bertagnoli Pietro (イタリア)
2位:Colsenet Mateo(フランス)
3位:Bogaert Mathijn(ベルギー)
4位:中井飛馬(日本体育大)
44位:増田優一(大阪体育大)

U23女子は第6戦の丹野夏波に続いて籔田が優勝

男子同様にメンバーは変わらず、日本から5選手を送り込んだU23女子クラス。今大会は第5戦で2位を獲得した籔田と、第6戦で優勝した丹野夏波(早稲田大)が決勝へ進出した。

決勝ではスタートを決めた籔田が第1コーナーに先頭で進入。立ち上がりで内側のラインから来た丹野が一瞬前に出るも、ジャンプセクションで再び籔田が先頭に立ち、丹野はジャンプセクションでのミスで順位を落とした。

先頭を走る籔田寿衣 ©日本自転車競技連盟

最終コーナーを先頭で回った籔田は、フィニッシュラインで東京オリンピックラトビア代表の ペテロソンヌに並ばれて写真判定にもつれ込んだ。結果、0.008秒差で籔田が勝利、第6戦の丹野に続き、日本人2人目となるワールドカップ表彰台の頂点に立った。丹野は6位で決勝を終えた。

籔田寿衣がインタビューを受ける ©日本自転車競技連盟

<籔田寿衣 コメント>
第5戦でも表彰台を獲得できましたが、今日の決勝ではスタートからトップを走れ、さらに優勝という結果を残せてとてもうれしいです。 国内も含めて1年ぶりの優勝だったので、これまでのトレーニングの成果を実感でき、取り組みにも自信がつきました。 明日は最終戦が残っていますが、シリーズタイトルでも現在4位でトップ3を狙える位置にいるので、ベ ストを尽くしてきます。

BMXスーパークロスワールドカップ第7戦のU23クラスで初優勝した籔田寿衣(中央) ©日本自転車競技連盟

<大会結果 女子 Under23>
優勝:籔田寿衣(大阪体育大)
2位:Petersone Vineta(ラトビア)
3位:Brindjonc Lea(フランス)
6位:丹野夏波(早稲田大)
10位:酒井亜樹(桃山学院教育大)
11位:西村寧々花(Gan Trigger)
18位:野村凪沙(Ace Race Australia)

畠山紗英は久々の決勝進出もエリート女子で8位

第5、6 戦は決勝に進めず悔しい結果となった畠山だったが、第7戦では準決勝を3位で通過し、第2戦イタリア大会以来の決勝進出となった。決勝では先頭集団で第1コーナーに進入したが、内側のラインから来た選手と接触し失速した。その後リズムを取り返すことができず、8位でフィニッシュした。

決勝に進出した畠山紗英。UCI BMXスーパークロスワールドカップ第7戦 ©日本自転車競技連盟

<畠山紗英 コメント>
先週の大会では悔しいレースが続き、今日までの数日間で細かい修正や戦略を変えてレースに入りました。スタートから最初のコーナーまでの距離が短く、インコースからのスタートが有利なコースレイアウトですが、今日はアウトコースから攻める戦略がうまくはまり、決勝まで進めたことは満足しています。 明日は今シーズン最後のレースですが、自分のパフォーマンスに集中し、自信をもって準備したいと思い ます。

<大会結果 女子 Under23>
優勝:Smulders Laura (オランダ)
2位:Stancil Felicia(米国)
3 位:Pajon Mariana(コロンビア)
8位:畠山紗英(日本体育大)

丹野夏波がBMXワールドカップ第6戦U23で日本人女子初優勝

2021 UCI BMX スーパークロス ワールドカップ第6戦が10月24日にトルコのサカリアで開催され、女子U23カテゴリーで丹野夏波(早稲田大)が日本人初優勝。男子U23でも中井飛馬(日本体育大)が前日の第5戦に続いて2位になった。

BMXワールドカップ第6戦で優勝した丹野夏波(中央) ©日本自転車競技連盟

晴天のベストコースコンディションで開催された前日の第5戦から大きく変わり、終日雨天の中で第6戦が 開催された。滑りやすい路面状況下でクラッシュが相次いだが、日本チームは計4選手が決勝へ進出した。U23カテゴリーでは、第3戦と4戦で中井が優勝しているが、女子では丹野が初優勝を飾った。

丹野夏波がBMXワールドカップ第6戦を走る ©日本自転車競技連盟

Under23男子は中井が2日連続で2位

第5戦で2位に入っている中井は、準決勝を全体の3位で通過し決勝へ進出。前日同様に決勝ではスタートから先頭争いを繰り広げ、2番手からトップに立つチャンスを狙うも、先頭を行くスイスのエーバハードもミスのない走りで逃げ切り優勝。中井は惜しくも2日連続の2位となった。

中井飛馬(先頭) ©日本自転車競技連盟 

同クラスの増田優一(大阪体育大)は準決勝まで勝ち進むが、あと1人およばず全体の10位で第6戦を終えた。ワールドカップシリーズ6大会を終えて、現在中井はシリーズランキング1位をキープしている。

<中井飛馬 コメント>
決勝では前日同様の展開となり、抜かすタイミングを見ていましたが、堅いブロックに対応できず悔しいレースとなりました。しかし、悪天候の中でも勝ち進むプロセスを得られことは、今回U23クラスに参加する目的の1番の要素だったので、前日も含めてポジティブにとらえています。次週の第7−8戦では、現在リードしているシリーズタイトルを勝ち取るプレッシャーの中でもしっかりまとめられることを目標に挑みたいと思っています。

U23男子で2位になった中井飛馬(左) ©日本自転車競技連盟 

<大会結果 男子 Under23>
優勝:Aeberhard Loris(スイス)
2位:中井飛馬(日本体育大)
3位:Colsenet Mateo(フランス)
9位:増田優一(大阪体育大)

Under23女子で丹野が独走で初優勝

日本から参戦している全5名が準決勝まで勝ち進み、前日決勝へ進出した丹野と籔田寿衣(大阪体育大)に続いて、ジュニア日本チャンピオンの西村寧々花(Gan Trigger)が勝ち上がり、計3名 が決勝へ進出した。

612番が丹野夏波 ©日本自転車競技連盟

決勝は丹野と籔田が好スタートを決め、先頭争いで第1コーナーに進入。丹野は外側から抜け出し先頭で第1コーナーを立ち上がった。籔田は他の選手と接触し転倒、そこへ西村を含む3名が絡む形となった。レースは丹野の独走状態となり、日本人女子初となる優勝を獲得した。クラッシュから復帰した籔田と西村は、それぞれ4位と5位になった。

籔田寿衣 ©日本自転車競技連盟 

<丹野夏波 コメント>
前日の決勝ではラインミスもあり勝ちきれなかったので、今日の決勝では攻める気持ちでトップを狙っていきました。後続の転倒にも助けられましたが、ジュニア以降国際大会では初の優勝となりうれしいです。昨年の東京オリンピック選考終了後から、気持ちの切り替えに苦戦しBMXに打ち込めない日々が続いて いましたが、今大会を目標に再挑戦して結果を出せたので、次週の第7−8戦も含めて自信を持って次に進 みたいと思います。

BMXワールドカップ第6戦で優勝した丹野夏波を中央に左が2位ブルフォール・タリヤ(スイス)、右が3位ブランジョン・ラー(フランス) ©日本自転車競技連盟

<大会結果 女子 Under23>
優勝:丹野夏波(早稲田大)
2位:Burford Thalya(スイス)
3位:Brindjonc Lea(フランス)
4位:籔田寿衣(大阪体育大)
5位:西村寧々花(Gan Trigger)
9位:酒井亜樹(桃山学院教育大)
11位:野村凪沙(Ace Race Australia)

エリート女子は畠山が決勝を逃す

前日の第5戦ではあと一歩で決勝進出とならなかった畠山紗英(日本体育大)は、第6戦で決勝を目指した。準決勝では6位から追い上げる展開となり、第2コーナーで相手選手の内側ラインを狙うも、車体同士が接触してしまい失速。 決勝進出は逃し、12位となった。

畠山紗英 ©日本自転車競技連盟 

<畠山紗英 コメント>
午前中に行われた公式練習ではスタートもいい感触でレースに臨めました。しかし、準決勝では後方からの展開となってしまい、少し焦りから仕掛けるポイントも早まり思い通りの走りができませんでした。同会場で残り2戦残っているので、今大会からフィードバックを活かせる形で次戦に挑みます。

<大会結果 エリート女子>
優勝:Smulders Laura(オランダ)
2位:Stancil Felicia(米国)
3位:Claessens Zoe(スイス)
12位:畠山紗英(日本体育大)

佐々⽊元3連覇、中川きらら初…全⽇本BMXフラットランド

第5回全⽇本BMXフリースタイル選⼿権が9⽉26⽇に岡山市で開催され、フラットランド種⽬エリートクラスで男子は佐々⽊元(鎌ケ⾕巧業)が3連覇、女子は中川きらら(佐賀東⾼)が初タイトルを獲得した。

全日本チャンピオンの中川きらら(左)と佐々⽊元 ©日本自転車競技連盟

感染対策を徹底した商業施設で観衆も盛り上がった

全⽇本BMXフリースタイル選⼿権にフラットランドが種⽬追加されて2021年で3年⽬。2020年に引き続き、岡⼭県岡⼭市のイオンモール岡⼭の未来スクエア特設会場で⼤会が開催された。 関係者・運営スタッフを含む全参加者が72 時間以内のPCR検査を受け、2020年以上に感染拡⼤予防対策を施しながら実施。⼀⽅で、商業施設の中⼼に設けられた会場にはしっかりゾーニングされた⼀ 般客席も設けられ、ソーシャルディスタンスをとった観客から⾒守られながら、2021年のチャンピオンが決定した。

全日本チャンピオンの佐々⽊元 ©日本自転車競技連盟

世界選手権2位の佐々木が実力を発揮

全19⼈がエントリー(うち2名はDNS)した男⼦エリート。9⽉25⽇の予選を通過した8名で 決勝が⾏われた。注⽬は予選を同率1位で通過した佐々⽊と森崎弘也(トゥインクルコーポレーション)。さらに、7⽉の公式戦で優勝した早川起⽣(fourthirty)が予選5位と出遅れ、決勝での挽回が期待されていた。

決勝は世界⼤会さながらのハイレベルな戦いとなる中、6⽉の世界選⼿権で2位に輝いた⽇本代表・佐々⽊が、⾼難度の技で安定の⼒を⾒せつけ⼤会3連覇を果たした。早川はグループAから表彰台に⾷い込んだものの2位。森崎は⼒強い⼤技を連発したが、ミスが響き3位となった。

3位になった森崎弘也 ©日本自転車競技連盟

「世界⼤会よりレベルが⾼いこの⼤会で優勝できて安⼼している。そのくらい⽇本で勝つことはプレッシャーであり⼤事なこと。結果には満⾜している」と佐々木。
「前回⼤会は、早川選⼿の圧倒的なライディングをみて直前でプラン変更し僅差で負けてしまったこともあり、今回はあらかじめ⾃分のライディングを貫こうと決めていた。今年は⾃分のスキルアップのために時間を割いてきた。来年はさらに成⻑できると思うので、世界⼀を狙う」

2位の早川起⽣ ©日本自転車競技連盟

優勝:佐々⽊元(鎌ケ⾕巧業)91.5pt
2位:早川起⽣(fourthirty)88.25pt
3位:森崎弘也(トゥインクルコーポレーション)86.50pt

優勝の佐々⽊元を中央に、左が2位早川起⽣、右が3位森崎弘也 ©日本自転車競技連盟

選手数が増えた女子クラスは中川が新時代に一歩

⼤会2連覇中の⽯﨑光紗季の出場はなく、新たな顔ぶれで⾏われた⼥⼦エリート。決勝を制したのは中川だ。前回⼤会で⾒せたファンキーチキンからフロントヤードにノーハンドを加えた新技で、⼤会初優勝を飾った。

7⽉に⾏われた公式戦では中川が表彰台に1⼈で上がったが、今⼤会は3名がエントリー。久々に⼥⼦エリートの表彰台を埋め尽くした。ガールズクラスの急成⻑も含め、新たな⼥⼦シーンを感じさせる⼤会となった。

全日本チャンピオンの中川きらら ©日本自転車競技連盟

「1位になれてうれしい。でも最後に⼀番やりたかった技が決められなくて悔しい。次の⼤会でメイクできるように練習を頑張りたい」と中川。
「前回は戦う相⼿がいなかったが、今回はみんなと戦えたこともとてもうれしかった」

優勝の中川きららを中央に、左が2位伊藤聖真、右が3位井上真利亜 ©日本自転車競技連盟

優勝:中川きらら(佐賀東⾼)72.00pt
2位:伊藤聖真(関⻄⼤倉⾼)66.25pt
3位:井上真利亜 54.25pt

●大会配信(YouTube)

松下巽が3年ぶり2度目、酒井亜樹が初…全日本BMXレーシング

第38回全日本自転車競技選手権BMXレースが9月26日に新潟県上越市で開催され、エリート男子は松下巽(全日空商事)が3年ぶり2度目の、エリート女子は酒井亜樹(DEUX ROUES ELITE TEAM)が初の優勝を飾った。

酒井亜樹が丹野夏波を抑えて優勝 ©日本自転車競技連盟

38回目となるBMXレース種目の全日本自転車競技選手権が、上越市BMX場で2005年以来、16年ぶりに開催された。新型コロナウイルスにより全日本選手権の開催延期や開催地変更が続く中、国内自転車競技では9月19日に開催されたフリースタイル・パーク種目に続いて、2大会目となる全日本選手権開催となった。

関係者・運営スタッフを含む全参加者に対するPCR検査実施など、2020年以上に感染拡大予防対策を施した会場で2021年のチャンピオンが決定した。

BMXレーシングの全日本チャンピオン。左から松下巽、酒井亜樹、西村寧々花、坂望加 ©日本自転車競技連盟

男子エリートはベテランの松下が2回目の優勝

あいにくの降雨により、近年まれに見る荒れたコースコンディションでの開催となった。決勝は全15名から予選を勝ち上がった7名で行われ、7名中5名が転倒する波乱の中、松下が2018年以来となる2度目の全日本タイトルを獲得した。

2位には自身初の全日本表彰台となる菊池雄(SMITH OPTICS)が入り、松下同様にベテラン勢の活躍が目立った大会となった。

松下巽を中央に左が2位菊池雄、右が3位深川匠 ©日本自転車競技連盟

「厳しいコンディションの中でのレースでしたが、調子もよかったので結果的に優勝としてタイトルを獲得できたことはうれしい」と松下。
「悪天候の中でも終始レースを盛り上げる演出に後押しされ、今大会の開催実現に感謝している」

女子エリートは酒井亜樹が丹野夏波を制す

女子はエリートとジュニアが混走で開催された。2020年大会では2位となった酒井が、前年覇者である丹野夏波(早稲田大)を抑え、自身初のエリート全日本タイトルを獲得した。酒井は2018年にジュニアタイトルを獲得している。

酒井亜樹が初の全日本チャンピオンに ©日本自転車競技連盟

「全日本は特別な大会なので、優勝はとてもうれしい」と酒井。

{昨年2位だった悔しさから練習を頑張ってきたので、エリートでのタイトルを獲得できて自信にもつながった。もっともっと上を目指して、国際大会でも活躍できるようトレーニングに励みたい」

坂望加が男子ジュニアで優勝

男子ジュニアは5名のエントリーのため、3レースの合計ポイントで争われた。全レースで転倒者が多発する展開が続いた中、2020年に2位を獲得している坂望加(Factory Answer)が1位・2位・2位とコンスタントにまとめ、ジュニアチャンピオンに輝いた。

「昨年は2位でタイトルを逃したので、レースはしっかり走りをまとめてチャンピオンジャージを獲得できてうれしいです。来年からはエリートクラスなので、そこでも勝負ができるように、準備を積んでいきたい」

坂望加が男子ジュニアでトップを走る ©日本自転車競技連盟

西村寧々花、昇格した女子ジュニアでも実力を発揮

女子ジュニアは3名のエントリーで、エリートと混走で実施された。チャレンジカテゴリーで2015年から負けがない西村寧々花(GAN TRIGGER)が、2021年はジュニアカテゴリーへ上がり、決勝ではエリートと混走の中でも全体で3位に入り、ジュニアチャンピオンとなった。

「憧れであったチャンピオンジャージの獲得はとてもうれしい。慣れない雨レースでプレッシャーもあったが、決勝では自分の走りをまとめることができた。これからも連覇を伸ばしていきたい」

女子ジュニア優勝の西村寧々花(右)。左が2位野村凪沙 ©日本自転車競技連盟

男子エリート
優勝:松下巽(全日空商事)
2位:菊池雄(SMITH OPTICS)
3位:深川匠(NoLogo Racing Japan)

女子エリート
優勝:酒井亜樹(DEUX ROUES ELITE TEAM)
2位:丹野夏波(早稲田大)
3位:瀬古遥加(iRC TIRE)

男子ジュニア
優勝:坂望加(Factory Answer)
2位:長島凌(Pure japan)
3位:早川敦哉(NoLogo Racing Japan)

女子ジュニア
優勝:西村寧々花(GAN TRIGGER)
2位:野村凪沙(Ace Race Australia)
3位:岡本彩桜(バンピーパス)

中村輪夢連覇、内藤寧々初V…全日本BMXフリースタイル選手権

第5回全日本BMXフリースタイル選手権のパーク種目エリートクラスが9月19日、岡山県岡山市の旧内山下小学校内特設会場で開催され、男子は東京五輪代表の中村輪夢(ウイングアーク 1st)が3年連続4回目、女子は内藤寧々(第一学院高)が初優勝した。

初タイトルを獲得した内藤寧々 ©Naoki Gaman / Japan Cycling Federation

新型コロナウイルスにより全日本選手権の開催延期や開催地変更が続く中、国内自転車競技で は2021年初となる全日本選手権の開催となった。

エリート男子は12選手が出場 ©Naoki Gaman / Japan Cycling Federation

第1ラン最下位の中村が第2ランで最高得点をマーク

台風14号の影響によりスケジュールが順延したため、男子の予選は実施せず、エントリーした12選手による決勝のみでの開催となった。決勝は各選手から高難度のトリックが繰り出される中、大会2連覇中の中村は、1ラン目のバイクトラブルにより12位スタート。それでも2ラン目にはミスのないライディングで91.00点を出し、大会3連覇、自身4度目となる日本一のタイトルを獲得した。

中村輪夢のトリック ©Naoki Gaman / Japan Cycling Federation

「1ラン目でのバイクトラブルは、東京オリンピックでミスをしたトリックと同じだったこともあり、正直焦る気持ちがあった」と中村。

「プランが崩れた状態から2ラン目で各トリックを決められたことは、今シーズンの課題でもあったので満足している。次の国際大会のめどはたっていないが、いつ出番が来ても結果を出せるようにトリックの開発を含めて準備していきたい。最後に無観客開催ではあったが、次の挑戦へ向けたスタートとなる今大会の開催実現に感謝している」

中村輪夢が3年連続4回目の全日本チャンピオンに ©Naoki Gaman / Japan Cycling Federation

15歳の内藤が五輪代表大池を僅差で上回った!

女子は、2020年の13−15 歳クラス覇者で、2021年よりエリートカテゴリーへと上がった内藤が、大会4連覇中であり国内シーンを牽引している大池水杜を1.33点上回る得点を出し、女子では最年少となる15歳での国内チャンピオンとなった。

大池は東京オリンピックでメイクできなかった新技「バックフリップ・クロスアップ」に挑戦したが転倒し、スコアを伸ばせず大会連覇がストップした。

BMXフリースタイルパークに参加した女子選手 ©Naoki Gaman / Japan Cycling Federation

「今大会直前の1週間に実施した合宿で習得に取り組んだトリック、Turn Whip(エアーターン・テイルウィップ)を、前回参戦した大会では失敗してしまったが、今日は2ランともに成功したことがうれしかった」と内藤。

「そしてこれまでエリートカテゴリーを目指してきて、初の全日本でタイトルを取れたことにビックリしている。 次は課題である本番でのパフォーマンス発揮をより磨いて大会で活躍したい」

日本チャンピオンジャージを着る内藤寧々と中村輪夢 ©Naoki Gaman / Japan Cycling Federation

2位の大池は、「自分のミスによる結果のため、悔しい気持ちはあるが、後輩の選手がステップアップしてきたことはうれしい」という。

「2ラン目で勝つための安全なルーティーンを選ぶこともできたが、他のライダーの走りからチカラをもらい、東京オリンピックでできなかったトリックに挑戦することを選んだ。次のパリオリンピックに向けて再出発となるが、負けるつもりはないので練習に励みたい」

榊原爽と畠山紗英…大親友でライバルが東京五輪BMXで再会

SAYAとSAEは1999年生まれの同級生。毎年開催されるBMX世界選手権では日本代表として、年齢別クラスで2人のどちらかが世界チャンピオンになってきた。ライバルだけど仲良し。SAYAこと榊原爽(さや)はその後、オーストラリア国籍を取得。SAEこと畠山紗英(さえ)は日本の第一人者に。2人は2020東京五輪BMXレーシングでそれぞれの国の代表選手として再会した。

榊原爽(左) © Jarno Schurgers / Red Bull Content Pool 畠山紗英(右) © Kunihisa Kobayashi / Red Bull Content Pool

2人のどちらかが世界タイトルを獲得してきた幼少期

BMX世界選手権には16歳までの年齢別にカテゴリーが設定される。17歳からジュニア、そして19歳になる年からエリートというチャンピオンシップカテゴリーになるが、日本勢は年齢別カテゴリーでは常に世界の頂点を争っている強豪国だ。2008年に日本代表として参戦した榊原が世界選手権初優勝。畠山が2009、2011、2012年と同タイトルを獲得。榊原は2010年に2勝目、さらに2013年から2015年まで3連覇。つまりこの年代の女子クラスでは日本勢がタイトルをほぼ獲得してきた。その黄金世代が21〜22歳となって東京五輪を迎えたのである。

ショートフィルム撮影のためドレス姿で走る榊原 © Andy Green / Red Bull Content Pool

榊原は父が英国人で母が日本人。生まれたのはオーストラリアのゴールドコーストだが、2歳の時から6年ほど東京都府中市に住んでいた。兄の魁(かい)がBMXをしていて、それを追いかけるように楽しみ始めた。

 17歳になる前に国籍を決める必要がありました。兄は国を挙げてスポーツ選手を支援するオーストラリアを選んでいて、私もオーストラリアに決めました」

スタートダッシュで攻める畠山(右) © Jarno Schurgers / Red Bull Content Pool

万全のサポートを受けられるハイパフォーマンスチームはBMX選手として男女各2人という狭き門にもかかわらず、兄妹はともに選抜された。残念ながら魁がレース中に重傷を負い現在もリハビリを続けているが、榊原は兄のためにも頑張ると五輪代表の座を射止めた。2018年にはワールドカップ初優勝。東京五輪での金メダル候補と言われるまで実力を伸ばしてきた。

「BMXを始めたのは日本なので、その場所に戻って五輪選手として走れるのってすごいストーリー。畠山ちゃんは5歳からずっと友達でありライバルなので、東京五輪で対決するのが楽しみです」

榊原爽と兄の魁(右) © Brett Hemmings / Red Bull Content Pool

2019年10月に五輪会場となる有明アーバンスポーツパークで開催されたテスト大会を制したのは榊原だ。しかし畠山も負けていない。2020年はシーズン開幕直前に手の骨折。国際大会に参戦できず、その後コロナ禍となった。地元の神奈川県寒川町に建設されたスタートゲートで、在学する日本体育大と日本自転車競技連盟が連携して動作解析。新しい練習方法も取り入れた。コロナの状況に応じて拠点をスイス、フランス、スペインと移しながら、練習に打ち込んだ。5月のワールドカップシリーズでは日本人初となる3位に。

「あまりライバルと言う意識を持ったことはないですが、あげるとすれば同世代で戦ってきたメンバーを意識する」とSAE。

榊原と畠山が出場するBMXレーシングは有明アーバンスポーツパークで7月29日に予選、30日に決勝レースが行われた。畠山は予選の最初のレースで落車負傷し、翌日の準決勝に進出できず。榊原は準決勝で敗れ、9位という成績。それぞれの五輪初出場が終了し、また新たな目標に向かって仕切り直しすることになる。

オーストラリア代表の榊原爽 © Jarno Schurgers / Red Bull Content Pool

 ◆榊原爽(さかきばらさや) 1999年8月23日、オーストラリア・ゴールドコースト生まれ。身長17cm。五輪初出場

畠山紗英 © Kunihisa Kobayashi / Red Bull Content Pool

 ◆畠山紗英(はたけやまさえ) 1999年6月7日、神奈川県生まれ。身長162cm。日本女子選手として五輪初出場