沖縄の西表島(いりおもてじま)にのみ生息する国指定特別天然記念物イリオモテヤマネコが発見された4月15日はイリオモテヤマネコの日。近年は観光客増などでこの希少種が交通事故の犠牲となるなどの問題があり、アウトドアフットウエアブランドのKEEN(キーン)が環境保全プロジェクトをスタートさせた。
左から戸川久美さん、仲程長治シネマトグラファー、キーン・ジャパン竹田尚志代表、竹中康進さん
米国ブランドのシューズメーカー。屋根のないところすべてを「KEENと共に楽しむ場所」と考え、アウトドアを楽しむための多様な商品を開発・販売するとともに、さまざまな社会貢献活動を展開している。東京都港区に本社を置く日本法人のキーン・ジャパンは、西表島の豊かな自然と文化を「明日」に継承していこうと、同地を訪問するひとりひとりができることを考え、行動していくプロジェクト「Us 4 IRIOMOTE」を「イリオモテヤマネコの日」に合わせて本格スタートさせた。
イリオモテヤマネコ 写真提供:環境省西表野生生物保護センター
西表島の明日のためにできる4つのこと。「知ろう」「守ろう」「話そう」「残そう」
西表島で自然保護に取り組む人たち、文化を継承する人たちとともに「知ろう」「守ろう」「話そう」「残そう」の4つのキーワードを軸に、「明日」のために、ツーリスト一人ひとりができることを考え、行動してゆく、「Us 4 IRIOMOTE」(アス・フォー・イリオモテ)プロジェクトを発足し、企業、団体の枠組みを超えた展開をしていきたいという。
Us 4 IRIOMOTEの由来 Us=明日・私たち、4=4つ。西表島の明日に私たちができる、4_つのこと。 Us 4 IRIOMOTEにおける4つのキーワード 「知ろう」「守ろう」「話そう」「残そう」。 西表島の自然や生態系・文化を「知る」ことからはじめ、アクションを起こして「守り」、みんなで「話し」、未来に「残し」ていく。
Us 4 IRIOMOTEの活動に活用される『UNEEK EVO』
UNEEK EVO “IRIOMOTE”パック。1万3000円(税別)。カラーは左からPetrified Oak/Raven、Star White/Raven、Blue Mirage/White
2本のコードと1枚のソールで編み上げられたオープンエア・スニーカー『UNEEK(ユニーク)』に、エンジニアードニットを取り入れた最新モデル『UNEEK EVO(ユニーク エヴォ)』を2019年4月12日(金)より発売。イリオモテヤマネコの柄をモチーフにした”IRIOMOTE”パックの売り上げの10%をUs 4 IRIOMOTEに活用する。
Us 4 IRIOMOTEオリジナルマイボトル&Tシャツ
Tシャツ、3500円(税別) 5イラスト
ホワイト・ブラック・オリーブ 3色展開
長場雄イラストレーターが手がけるキービジュアルを配したチャリティグッズを制作。売り上げの一部がUs 4 IRIOMOTEに活用される。2019年4月下旬よりKEENオフィシャルサイトおよびSORA石垣店で販売。(取り扱い店は増える可能性も)
動物・自然保護を展開する団体を支援
絶滅危惧種イリオモテヤマネコを守る「JTEFトラ・ゾウ保護基金 やまねこパトロール」 Us 4 IRIOMOTEの活動:パトロール隊員を増員、地域住民への啓蒙活動を実施。交通事故防止対策をパワーアップする。 国の天然記念物で、絶滅危惧種に指定され、世界で西表島だけに生息する希少種イリオモテヤマネコは、種の存続ぎりぎりの100頭ほどと推測されている。入島者の増加に伴い、交通量が増え、それと比例するようにイリオモテヤマネコの交通事故も増加している。2018年は事故件数9件と、過去最悪を更新した。 「やまねこパトロール」は、野生動物保護のために活動するNPO「JTEFトラ・ゾウ保護基金」の西表島支部とし活動を展開。イリオモテヤマネコを事故から守るため夜間パトロールを実施し、ドライバーへの注意喚起やヤマネコが路上に餌付く原因となる小動物の死骸除去など、地道な活動を行っている。
西表島ドキュメンタリー映画、2020年公開予定
西表島 ©Choji Nakahodo
仲程長治氏が切りとる、うつくしい西表島の景色 土が香り、自然の生命を感じる力強いこれらの写真は、写真家・仲程長治(なかほどちょうじ)氏の作品。現在、同監督によるドキュメンタリー映画を制作中。美しい西表島の四季を通し、島の文化を継承する石垣金星・昭子夫妻をはじめ、島の文化や自然を守る人びとを追うドキュメンタリー映画。(2020年公開予定)
郷土史家・伝統芸能継承者の石垣金星さん 染織家の石垣昭子さん 仲程長治シネマトグラファー
イリオモテヤマネコとは 沖縄県西表島のみに分布する夜行性のヤマネコ。1972年国の天然記念物に指定され、1977年には特別天然記念物に指定された。体長約50cm~60cmで体重約3kg程度。1965年4月15日に動物文学者の戸川幸夫氏らが発見し、1967年に新種として認定された。 分布状況主に、島の低地部の湿地、河川・沢沿いをよく利用し、マングローブ林、農耕地周辺にも現れる。生息数約100~109頭(2005~2007年第4次総合調査より)
4月15日は「イリオモテヤマネコの日」 沖縄の西表島にのみ生息する国指定特別天然記念物イリオモテヤマネコ発見50年を記念し、同町は2015年9月25日、専門家がイリオモテヤマネコを新種と公表したのが1965年4月15日だったことから、4月15日を「イリオモテヤマネコの日」と制定すると発表。
認定NPO法人JTEFトラ・ゾウ保護基金の戸川久美理事長
戸川久美 認定NPO法人JTEFトラ・ゾウ保護基金理事長 国指定特別天然記念物イリオモテヤマネコの発見者である動物文学者戸川幸夫の次女。子どもの頃、父が日本政府に依頼され自宅で2年半ほどイリオモテヤマネコと共にくらす。2009年に現組織を設立し、絶滅に瀕するトラ、ゾウ、イリオモテヤマネコの現地の保全対策、違法取引防止、国内での普及活動に尽力する。2015年イリオモテヤマネコ発見50年目に、西表島・上原にJTEF西表島支部やまねこパトロールを設立し、現地在住の高山事務局長を中心に地域からのヤマネコを核とした島の保全活動に取り組んでいる。
環境省の竹中康進自然保護官 キーン・ジャパンの竹田尚志代表
【KEENについて】 KEEN(キーン)は、2003年に誕生した米国オレゴン州ポートランドに本拠を置くアウトドアフットウエアブランド。「サンダルは、つま先を守ることができるのだろうか?」このシンプルな疑問をきっかけに、KEENの歴史は幕を開けた。つま先を衝撃から守るトゥ・プロテクション機能(つま先の保護機能)を搭載した、革新的なサンダル『NEWPORT(ニューポート)』の登場は、スポーツシューズの世界に革命をもたらし、KEENの名を瞬く間に世界中に広めた。 アウトドアライフのために生まれたKEENには、自分たちが暮らし、遊び、働く場所を守る責任があるといい、2003年の創立以来、1800万米ドル(約20億円)を、志を共にする世界中のNPOへ寄付してきたのもこのため。地球のすべての場所を、見つけたときよりも美しくして去る。世界を少しでもポジティブに変える。この活動をキーン・エフェクトと呼び、「Giving Back:社会への還元」、「Taking Action:市民活動支援」、「Reducing Impact:環境負荷の低減」をテーマにしている。 「完璧ではないかもしれません。でも私たちは、この星によりよい未来を作る力があることを信じています」● KEENのホームページ
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