雨乞竜己・中西健児参戦のトラックパーティー マディソンで前日のリベンジ

トラックパーティー2018インオータム サイクルエンターテイメント・イズ(NIPPO presents TRACK PARTY 2018 in AUTUMN 〜CYCLE ENTERTAINMENT IZU〜)の2日目。キナンサイクリングから出場している雨乞竜己と中西健児は、前日DNFと悔しい結果となったマディソンで完走を果たした。もう1種目のエリミネーションでは雨乞竜己が16位、中西健児が11位となり、初のトラックパーティーの全日程を終えた。

トラックパーティー2018 インオータム サイクルエンターテイメント・イズ第2戦 ©︎KINAN Cycling Team / Kensaku SAKAI

トラックパーティーの2日目は10月14日(日)に伊豆ベロドロームで開催された。前日とはうって変わって暖かな日差しに包まれた伊豆ベロドローム。屋外のフードエリアでは初日に行われた「まぐろ解体ショー」でさばかれたまぐろのアラ汁が振る舞われ、同時に開催されていたサイクリングイベントの参加者などで午前中から多くの人たちでにぎわっていた。ベロドローム内も前日より多くの観客に加え、日本競輪学校の生徒たちも観戦に訪れ、さらなる熱気の中でプログラムが進行。また、この日の「バンクウォーク」では、アテンダント役に中野浩一が登場。“世界の中野”によるバンクウォークだけに、競輪オールドファンの姿が多数見られた。

オープニングランからこの日のプログラムをスタートした雨乞と中西。前日と比べて多めの笑顔で観客にあいさつ。リラックスした様子に今日のレースに向けた期待が高まった。

マディソンでは前日の反省から、メイン集団にラップされた後の対応を重視。格上選手たちの走りに合わせ、ラップされる回数を減らしていく作戦だ。レースは、前日の同種目で3連覇を果たしたオーストラリアン・サイクリング・アカデミーの連勝を阻止しようと、有力チームが積極的に動いていく展開。苦戦を強いられるキナンだったが、メイン集団にくらいつく場面が何度も見られた。また、選手交代もタイミングが合わずにスルーしてしまう場面こそあったが、前日よりも力強い放り投げを見せるなど、ペア2回目となるマディソンを完走で終了し、前日のリベンジを果たした。

注目された優勝争いは、オーストラリアン・サイクリング・アカデミーが前日同様に圧倒的なレース運びで4連覇を達成。国内勢はCS Slingerの新村穫が最終局面で先行し、1着フィニッシュで一矢を報いた。

マディソンにおける選手交代は、2人のタイミングを合わせるだけでなく、他チームの選手が入り乱れる中で放り投げが可能なスペースの読みや、放り投げの効果を最大化するようにバンク上側で投げて駆け下りでの加速の効果も得るなど、レース経験が物を言う種目でもある。前日に明白となった課題を一夜にして修正したキナンの2人。ペアとしての可能性を感じさせる2日間のコンビネーションだった。

続いてはエリミネーションに出走した2人。前日はレース序盤でエリミネートされてしまった雨乞は今回、粘りを発揮したいところだったが、早い段階で除外される結果となった。エリミネート周回で最後尾となった選手が除外される競技特性は、一見単純なルールのように感じられるが、集団後方での選手間での駆け引きなど、この種目の奥深さが見え隠れする。そんな中で中西は集団前方を確保し、前日よりも積極的な姿勢を見せる。前日にレイモンド・クレダー(チームUKYO)のチェックに苦しんだが、この日は逆の立場に。集団最後尾から前の選手の死角に入りつつ、フィニッシュラインでの一瞬のハンドル投げで生き残るなど、随所に技ありの走りを見せた。最終結果は雨乞が16位、中西が11位とし、2日間の競技を終えた。

優勝争いは、前日の勝者であるキーランド・オブライエンを含むオーストラリアン・サイクリング・アカデミーと、ブリヂストンサイクリングが2人ずつ残して終盤へ。大歓声の中で迎えた最終局面だったが、窪木一茂(ブリヂストンサイクリング)が力尽き、2日連続でオーストラリアン・サイクリング・アカデミー勢のワン・ツーフィニッシュとなった。

トラックパーティーでは両日ともに、全種目終了後に再度出場選手がトラックに登場し、観客にお別れのあいさつ。記念のグッズをファンにプレゼントしながら、バンクをゆっくりとめぐった。

ピストバイクでの初レースだった雨乞と、トラック競技の経験を持つ中西と、それぞれに異なる境遇ながら、世界の強豪と肩を並べて2日間戦い抜いた。すべてのプログラムを終えた両選手はホッとした表情でインフィールドへと戻ってきた。(Report:酒井健作、Edit:福光俊介)

雨乞竜己

雨乞竜己のコメント
2日目は前日のマディソンでの課題をクリアすることを目標に走った。まずは走りきること(笑)。ラップされた後にどう集団に戻るかなど、当面の目標はクリアできた。ピストに乗り始めて数日ということで、今回の目標設定は間違っていなかったと思う。ただ、エリミネーションは恐らく自分の得意な部類のレースだと思うのですが、不完全燃焼、あっけなく終わってしまった感じ。
とはいえ、2日間無事に終わることができてホッとしたというのが正直な感想。いきなりトップレベルを体験できたのはすごくいい経験で、刺激にもなった。この機会を与えてくださった大会関係者やチームに感謝している。ロード最優先だが、これを機にピストにも挑戦していきたい。

中西健児

中西健児のコメント
1日目の反省点を生かしてマディソンでは協力して完走することができた。ピストバイクに乗るのは久々だったが、2日間ともにレースを楽しむことができてよかった。

トラックパーティーにキナンの雨乞竜己と中西健児が参戦

トラックパーティー2018インオータム サイクルエンターテイメントイズ(NIPPO presents TRACK PARTY 2018 in AUTUMN 〜CYCLE ENTERTAINMENT IZU〜)にキナンサイクリングから雨乞竜己と中西健児が出場。大会初日となる土曜日のレースでは、雨乞・中西ペアで初めて挑んだマディソン種目でDNFとなり、エリミネーション種目では雨乞が14位、中西が8位となった。

トラックパーティー2018 イン オータム -サイクルエンターテイメント イズ- DAY 1 ©︎KINAN Cycling Team / Kensaku SAKAI

トラックパーティーは2020年東京オリンピック・パラリンピック自転車競技の開催地となる伊豆ベロドロームを舞台に、2017年に日本初の屋内フェス型サイクルイベントとしてスタートしている。2018年春に2回目の開催を経て、今回で3回目の開催となる。国内外の一流選手を集めたトラックレースをメインに、ダンスショーやDJイベントが会場を盛り上げ、屋外ではファミリーフードフェスや子供向け体験イベントなどのアトラクションコンテンツが充実。

メインとなるトラックレースではケイリン・マディソン・エリミネーションと初心者でも分かりやすい種目が選ばれていて、近年注目を浴びているチームパシュート種目も加えられて、トラック競技の初心者や家族連れでも楽しめるサイクルイベントとなっている。またトラック内のインフィールドエリアにはお酒や食事を楽しみながら間近でレースを観戦でき、出場選手とも交流できるVIPエリアが設置されるなど、海外のトラックイベントと同じ雰囲気を体験することもできる。

10月13日(土)と14日(日)の2日間で開催されるトラックパーティーに、キナンからは雨乞と中西の2名が参戦。2人1組で選手交代を繰り返しながらポイント周回での獲得ポイントを争うマディソンと、各周回の最後尾選手がレースを離脱し、最後に残った選手が勝者となるエリミネーションに出場した。

秋の訪れを感じさせる冷たい風が吹く初日ではあったが、会場内はレースの開始を待つ観客の熱気で半袖でも汗ばむほど。屋外のフードエリアでは「まぐろ解体ショー」が行われるなど、待ち時間も飽きさせない工夫がされていた。一方、屋内のイベントはVIPエリアの観戦者を対象にした「バンクウォーク」からスタート。アテンダントを務める選手たちの説明を受けながら観客がバンクを半周し終わると、続いてトラックパーティーの開始を告げるダンスショー。ちょうどそのころ、キナンの2人も会場へ。初めてのトラックパーティーに少し緊張気味の笑顔を見せた。そして出場選手全員による「オープニングラン」が始まると、雨乞と中西も大きなコールとともにバンク内に登場。プロの競輪選手や女子選手達は観客に笑顔で手を振りながら周回していくが、2人は少しはにかみながらの走りとなった。

2人が挑む最初のレースはマディソン。1周250mのトラックを60周回(15km)するこの種目は、10周回毎にポイント周回が設定され、フィニッシュラインの通過順位によって与えられるポイントの合計獲得数で順位が決まる。またこの種目は2名でペアを作るチーム戦となっており、走行中に選手交代をしながらレースを進めていく。ブリヂストンサイクリングや、トラックを主戦場とするCS Slingerといった国内有力勢に加え、海外からもこの大会のマディソン2連覇中のオーストラリアン・サイクリング・アカデミーやアメリカナショナルチームなどが集結し、ハイレベルの戦いに。トラックパーティー初参戦かつ初めてのマディソン種目に挑むキナン勢2人がどのように戦うか期待が高まる中でスタートが切られた。

レースは序盤から優勝候補筆頭のオーストラリアン・サイクリング・アカデミーとブリヂストンサイクリングが先行し、キナンは集団後方で展開していく。最初のポイント周回までに他チームが選手交代を繰り返していく中、キナンも選手交代にトライする。マディソンの選手交代は基本的にはレース中の選手が交代選手にタッチすれば成立するが、通常はレース中の選手が交代選手の手をつかんで前方へ放り投げる形で交代していく。これにより交代選手は自分の力以上に加速する事が可能となりレース集団のペースも上がっていく。キナンの2名はタイミングが合わずに交代に失敗するシーンがあり、また放り投げの加速がなかなか上がらない状況で徐々にメイン集団から取り残されてしまい、1回また1回とレース集団にラップされてしまう。結果としてはラップ回数が規定数を超えた段階でレースから除外され、初めてのマディソン挑戦はDNFとなった。

なお、6回のポイント周回のうち4回を先頭で通過したオーストラリアン・サイクリング・アカデミーが合計45ポイントを獲得する圧巻の走りで優勝し、この大会3連覇を達成。レース後、残念そうな表情を見せた雨乞・中西の両選手ではあったが、翌日の同種目に向けた課題も見えていた様子で、次への期待が膨らんだ。

続いて両選手はエリミネーション種目に出場。36周回(9km)で行われたこの種目は、2周回ごとに最後尾の選手がレースから除外(エリミネート)、最後に残った選手が勝者となる。

序盤、屈強なトラック選手たちが集団前方を占める中で雨乞と中西の2人は集団中ほどから後方の位置で周回を重ねていく。手練の選手の中には、意識的に集団後方に位置して体力を温存しつつ、エリミネート周回のみ前方へと上がる動きを見せるが、経験の少ない2人にとって集団後方は危険な位置取り。危ない場面が続く中でレース開始から早々のタイミングで雨乞がエリミネートされる。残る中西はなんとか粘りつつ周回を重ねるが、周回を追うごとに経験の差が出た印象。トラック競技でオランダのナショナルチャンピオンに輝いた経験もあるレイモンド・クレダー(チームUKYO)とともに集団最後尾に位置した中西だったが、先行するレイモンド選手のチェックもあり、ポジショニングに苦戦。そのままエリミネート周回を迎え、レースを離脱することとなった。

レースはオーストラリアン・サイクリング・アカデミーのキーランド・オブライエンが優勝し、先に行われたマディソンと合わせて初日2冠。チームメートのリー・ハワードも2位となり、オーストラリア勢が上位を占めた。最終結果は、中西が8位、雨乞が14位。

初参戦のトラックパーティー初日を終えたキナンの2人。特に雨乞にとってはピストバイクでの初レース。それが国内だけでなく海外の強豪選手との手合わせとなり、悔しい結果になってしまったが、第2日に向けた課題を2人の間で共有しつつ帰路についた。(Report:酒井健作、Edit:福光俊介)

雨乞竜己

雨乞竜己のコメント
初めてのトラックレースで、ピストバイクも3、4回乗っただけでレースに参加させてもらったのですが、かなり刺激的であり、怖くもあった。マディソンの選手交代も他の選手が入り乱れる状態で怖かったところもあり、1回はパスしてしまった場面もあった。エリミネーションは位置取りが利く競技なので、個人的に好きな競技なのですが、今日は悔しい結果に終わってしまった。マディソンについては、今日のレースで競技特性をつかむことができ、同時に反省点も見えたので、その部分を改善して次に臨みたいと思う。

中西健児

中西健児のコメント
マディソンは前日の公式練習を含めて3回の練習で本番に挑んだ。今日のレースではDNFとなってしまったが、反省点は見えているので明日は1周でも多く走って完走を目指したいと思う。エリミネーションでは、エリミネート周回でレイモンド選手に終始チェックされて、あれはもう嫌でしたね(笑)。自らまずい展開にしてしまった。明日のエリミネーションではリベンジしたい。

ヨネックス製ラケットを手にチームプレゼンに登場…ジャパンカップ参戦のキナン

アジア最大級のワンデーレース「ジャパンカップサイクルロードレース」が10月19日のイベントで幕を開けた。この大会に3年連続で出場するキナンサイクリングは、宇都宮市街地で行われたチームプレゼンテーションに臨み、多くのファンからの歓声と拍手を受けた。

ヨネックス製バドミントンラケットでシャトルを飛ばすキナン勢 ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

UCI(国際自転車競技連合)公認の国際レースとしては、アジア最上位のHCクラスにカテゴライズされるこの大会。開催地・栃木県宇都宮市の各所にてレースや関連イベントが3日間にわたって行われる。

実質の大会初日にあたる19日は、市内中心部のオリオンスクエアでチームプレゼンテーションが開催された。ライトアップされたステージに、キナンは翌日のクリテリウム、翌々日のロードレースにそれぞれ臨む計7選手が登壇。会場に詰めかけた多くの観衆から歓声と拍手を受けた。

年々出場チームがステージで見せるパフォーマンスのクオリティが上がっている、この大会のプレゼンテーション。キナンも負けじとあの手この手でアピール。メインスポンサー「キナン」が建設機械レンタルを扱っていることにちなみ、ミニチュア版の重機を持ち込んだり、バイクサプライヤーの「YONEX」をアピールすべく、同社製バドミントンラケットで選手サイン入りシャトルを飛ばすといった形でファンの心をひきつけた。

極めつけは表情や立ち姿、ライドフォームまでそっくりと言われる山本元喜と大喜の兄弟が、それぞれのジャージを逆に着用。元喜のロード日本チャンピオンジャージを大喜が着て、元喜がオリジナルジャージで登壇すると、ステージから客席まで総ツッコミ。

その後改めて、日本チャンピオンジャージ姿となった山本元喜がマイクを取り、ジャージに恥じない力強い走りをすることを多くのファンの前で誓った。

大会はいよいよ競技がスタート。21日に行われるUCI公認レースに先立ち、20日はさまざまなカテゴリーでレースが行われる。キナンは、宇都宮市大通り周回コースで実施されるジャパンカップクリテリウムに臨む。38.25kmで争われるスピードレースにチームは、山本元喜、山本大喜、サルバドール・グアルディオラ、トマ・ルバ、中島康晴、新城雄大の6選手がエントリー。セレモニーやパレードののち、午後3時40分にスタートを迎える。また、午前中には本戦のコースとなる宇都宮市森林公園周辺のコースでオープニング・フリーランに選手たちが顔見せ。一般サイクリストとコースをめぐりながら、ファンサービスを行う予定となっている。

ジャパンカップサイクルロードレース出場選手
山本元喜(Genki YAMAMOTO)
マルコス・ガルシア(Marcos GARCIA)※ロードレースのみ
山本大喜(Masaki YAMAMOTO)
サルバドール・グアルディオラ(Salvador GUARDIOLA)
トマ・ルバ(Thomas LEBAS)
中島康晴(Yasuharu NAKAJIMA)※クリテリウムのみ
新城雄大(Yudai ARASHIRO)

●帯同スタッフ
ゼネラルマネージャー 加藤康則(Yasunori KATO)
スポーツディレクター 石田哲也(Tetsuya ISHIDA)
マッサー 安見正行(Masayuki AMI)
メカニック 中山直紀(Naoki NAKAYAMA)
メカニック 横井利明(Toshiaki YOKOI)
メディアオフィサー 福光俊介(Syunsuke FUKUMITSU)
アドバイザー 鈴木新史(Shinji SUZUKI)

●レーススケジュール
10月20日 午後3時40分スタート ジャパンカップクリテリウム 38.25km
10月21日 午前10時スタート ジャパンカップサイクルロードレース(UCIアジアツアー1.HC) 144.2km

キナンのジャイ・クロフォードと中西健児が今季限りで退団

キナンのジャイ・クロフォードと中西健児が今季限りで退団する。

クロフォードは2015年のキナンチーム発足時のメンバーであり、チームで唯一創設以来4シーズンを送った選手だった。2017年シーズンまではチームキャプテンを務め、選手のまとめ役としても大きく貢献した。

中西は同志社大在学中の2016年にトレーニー(研修生)としてチームに加入。その後に出場したジェラジャ・マレーシアでの走りが評価され、2017年シーズンから正式契約を結んだ。以来2シーズンにわたり、国内外の主要レースでチームの好成績を呼び込む堅実な走りを見せてきた。

中西は12月16日(日)に愛知県長久手市の愛・地球博記念公園(モリコロパーク)で開催される「ヴェロフェスタinモリコロパーク」で退団のあいさつをする。また、その間も各種イベントなど従来通りチーム活動に参加する。

ジャイ・クロフォード

ジャイ・クロフォードのコメント
4年間応援をしてくださった日本のファンのみなさまに心から感謝を伝えたいと思います。日本はサイクリングを行ううえでとても美しい国でした。そして、これまで見てきた国々とはひと味違った安心感があります。
2018年シーズンは自身のレース機会が少なかったことは残念でした。6月にツール・ド・コリアに出場しましたが、それが17年間の競技人生の最終レースとなります。これまでに多くの情熱と犠牲を払ってきたキャリアを終えるうえで、決して望んでいた形とはいえませんが、サイクリストとして歩んできた期間はとても誇りに思っています。私にとっての冒険によって結ばれた絆と友人に心から感謝しています。
職業としてのサイクリングは、人生そのものでした。それは純粋に、自らの可能性を追求するものでした。その過程で私は自らの価値を見出してきました。自らを律し続けた日々は、結果として喜びと次なる目的を与えてくれました。サイクリングはまさに、自らを奮い立たせる欲求を満たしてくれるものでした。そのプロセスが、経験と理解、そして寛容さを自らに与えてくれたと思っています。私は今、日本に感謝し、サイクリングへも感謝しています。そして、多くの人々のこれからの成功を願っています。

中西健児

中西健児のコメント
ときに楽しく、ときに苦しい選手生活を支えてくださったすべての方に万謝します。いささか短い期間でしたが、満点の星空のように素晴らしい時間でした。これからも引き続きキナンに温かい声援をよろしくお願いいたします。

大分・由布院でウィーラースクール…小学校で自転車安全教室

キナンサイクリングは、10月13~14日に大分市内でレース活動を行った後も県内に滞在し、小学生を対象としたウィーラースクール(自転車交通安全教室)に参加。4選手が講師を務め、自転車の安全な乗り方をレクチャーするとともに、サイクリングを通して参加した児童との交流を深めるひとときを過ごした。

大分・由布院でウィーラースクール ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

チームが参加したのは、15日に由布市立由布院小で行われたウィーラースクール。前々日の「おおいたいこいの道クリテリウム」、前日の「おおいたアーバンクラシック」の2レースを実施したサイクリングイベント「OITAサイクルフェス!!!2018」の関連事業として行われ、キナンからは山本元喜、山本大喜、中島康晴、新城雄大の4選手が参加。同様に両レースに出場したシマノ、愛三工業、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ、オーストラリアンサイクリングアカデミーからも選手が集い、同校6年生約60人と安全な自転車の乗り方について、考え、実践する機会となった。

進行役を務めたのはウィーラースクールジャパン主宰のブラッキー中島隆章氏。はじめにスライドを用いて自転車の歴史や種類、さらにはスポーツとしての自転車についてふれたのち、実際の事故例を用いながら交通ルールの重要性やヘルメットの必要性について説いていった。

自転車の安全について真剣に考える時間を設けつつも、ときにユーモアたっぷりに話題を提供するブラッキー氏に児童はあっという間に引き込まれ、笑いたっぷりの座学となった。

場所をグラウンドに移しての実技では、決められた幅の中をはみ出さないように走り、きっちりと止まる動きや、数mおきに置かれたコーンをバランスを保ちながらのスラローム、みんなで隊列を組んで走るなど、実践的なプログラム。選手たちはお手本を見せたり、児童への声かけでチャレンジをうながしたりと、自転車を通してコミュニケーションを深めていった。

最後は校舎をバックに記念撮影をして、約1時間30分のスクールは終了。思いがけずたくさんの選手たちの訪問を受けた児童たちは、終了後も記念の握手に感激しているなど、いつまでも大興奮の様子だった。

おおいたアーバンクラシックはトマ・ルバの7位がキナン最上位…優勝は石上優大

大分市で開催されていたサイクリングの祭典「OITAサイクルフェス!!!2018」は、最終日となる10月14日にメインレースの「おおいたアーバンクラシック」が行われた。150kmで争われた戦いでキナンサイクリングはトマ・ルバの7位が最上位。レース序盤から新城雄大を先頭グループへ送り込むも、タフな展開に主導権を確保できず、残り2周回で飛び出した選手たちの逃げ切りを許す結果となった。

おおいたアーバンクラシックでゴールするトマ・ルバ(中央)ら4位集団 ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

前日に同市中心部で実施された「おおいたいこいの道クリテリウム」では中島康晴が4位。表彰台までは一歩届かなかったが、選手間での連携が機能し、想定通り中島を上位戦線へと送り込んだ。いずれの選手も調整が順調であったことを証明し、続くクラシックへの期待をふくらませる内容となった。

この日のクラシックは、これまで国内リーグ「Jプロツアー」内で開催されてきたが、2018年からUCI(国際自転車競技連合)公認の国際レースへさま変わり。同アジアツアー1.2クラスにカテゴライズされる。キナンは最新のUCIアジアツアーチームランキングで首位。さらに得点を重ねていくべく、このレースでのポイント獲得をねらう。出走は前日と同じく中島のほか、ルバ、山本元喜、山本大喜、新城雄大の5選手。

コースは、大分スポーツ公園周辺に設定された1周10kmのサーキット。中盤まではなだらかな上りが続き、その後いったん下って再び登坂するアップダウンに富んだレイアウト。特に周回最終盤での約1kmの上りは勝負を左右する可能性が高い。15周回・150kmのレースはサバイバルになるものと予想された。

午前9時のスタート以降、しばらくは各チームの思惑が交錯し、お見合い状態で進む。その均衡が破られたのは、3周回目終盤。上り区間を利用して新城を含む4人がアタックに成功。メイン集団からも追随する動きがあり、次の周回に入る頃には10人が先行を開始。新城らが先頭グループを形成し、先を急ぐ。新城を前方へと送り出したキナン勢は、残る4人がメイン集団に待機し、次なる展開へと備える。

新城らの先頭グループとメイン集団とのタイム差は、おおよそ1分30秒差で推移。一時1分を切る時間帯もあったが、大きな変化はなく残り距離を減らしていく。

攻略が難しいコースレイアウトと気温の上昇によって、徐々にメイン集団の人数が減少。力のある選手だけが主要グループでレースを進行させる。やがて後半戦へと入っていくと、先頭グループに変化が見られるようになる。

11周回目に入って、先頭グループからアタックを試みる選手が次々と現れる。決定打は生まれず、アタックとキャッチを繰り返すが、次の周回でホセ・ビセンテ(スペイン、マトリックスパワータグ)が単独で飛び出すと、それまでともに逃げてきた選手たちは追走態勢へ。積極的に追いたい選手と消耗度が高い選手とでスピードに違いがあり、思うようにビセンテとのタイム差を縮めることができない。その後ろでは、メイン集団もペースアップ。キナン勢も前方に位置し、ルバが集団先頭へ出て牽引する様子も見られるようになった。

しばし独走したビセンテだったが、13周回目で新城らが吸収。再び先頭グループとなったかに思われたが、勢いづいたメイン集団があっという間に迫ってくる。残り2周回になると同時に先頭を走っていた選手たちを捕まえ、レースはふりだしに戻った。

キナン勢は新城のほか、山本元、ルバ、中島がメイン集団で走るが、生き残りをかけた終盤の争いに苦しみ、新城と山本元が徐々に集団から遅れていく。さらには、集団から3選手が飛び出し、優勝候補選手たちのほとんどがこれを見送る。だが、集団内はライバル同士がにらみ合う状況が生まれ、先頭に出た3人とのタイム差が少しずつ拡大していった。

先頭とメイン集団とのタイム差は約25秒で最終周回の鐘を聞くが、タイム差は広がる一方。残り5kmでその差は約35秒へと広がり、3人の逃げ切りは濃厚に。ルバと中島が含まれるメイン集団では、約20人による4位争いとなった。

4位をかけた集団の上りスプリントは、ルバが4番手でフィニッシュラインを通過。チーム最上位となる7位を確保。数秒遅れて中島が続いた。なお、3人による優勝争いは、日本ナショナルチームが1位と2位を独占。石上優大が今大会を制した。

これで、大分での2連戦が終了。次戦はいよいよ、この秋最大のビッグレース「ジャパンカップ サイクルロードレース」。悔しい結果となった今回の雪辱を期して、日本国内最高峰の国際レースへと挑むこととなる。ジャパンカップは20日にクリテリウム(38.25km)、21日にUCIアジアツアー1.HCクラスにカテゴライズされるロードレース(144.2km)が行われる。

おおいたアーバンクラシック(150km)結果
1 石上優大(日本ナショナルチーム) 3時間48分49秒
2 松田祥位(日本ナショナルチーム) +0秒
3 雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン) +11秒
4 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +30秒
5 ベンジャミ・プラデス(スペイン、チームUKYO)
6 横山航太(シマノレーシングチーム)
7 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team)
21 中島康晴(KINAN Cycling Team) +37秒
25 新城雄大(KINAN Cycling Team) +51秒
40 山本大喜(KINAN Cycling Team) +6分46秒
43 山本元喜(KINAN Cycling Team) +10分20秒

トマ・ルバのコメント
敗因を冷静に探ってみないといけないね…。重要な局面での選択にミスがあったのだと思う。(新城)雄大が逃げから遅れていると聞かされ、その直後に逃げグループを捕まえることができたのだけれど、結果的に優勝を争うこととなった3人の動きを容認してしまったことが状況を悪くしてしまった。私がトップ10(7位)に入ったことがせめてもの結果だ。
現状は、9月のインドネシア遠征からのリカバリーを進めている段階。調子は上がってきているし、次の目標であるジャパンカップがとても楽しみになってきている。