日本自転車ロードの地位、中の下の脱却を目指してクラウドファンディング

日本自転車競技連盟が若手選手の登竜門、ツール・ド・ラブニールへの男子選手の派遣を取りやめたことで、ツール・ド・フランスを目指すロード・トゥ・ラヴニール(RTA)プロジェクト主宰のシクリズムジャポンが。独自に資金調達を目指し、レースへの出場を模索する。

2023ツール・ド・フランス第21ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet

2024年夏に「ロードレースの本場フランスの自転車レースに若手有望選手を出場させる」資金を確保するためのクラウドファンディングを立ち上げた。

本場フランスの自転車レースに若手有望選手を出場させたい

2024年現在、日本自転車ロードレース界の世界的地位は”中の下”クラスだとシクリズムジャポン。世界最高峰のプロ自転車レース、ツール・ド・フランスに出場できる資格を持つ、プロ自転車チーム最高カテゴリー「UCIワールド(全18チーム、選手数は全世界で約500名)」チームに所属する日本選手も、2024年現在バーレーンビクトリアスの新城幸也、EFエデュケーション・イージーポストの留目夕陽のみ。今の日本自転車ロードレース界の実力を世界サッカー界に例えるならば、ワールドカップ出場権を獲得することもほど遠い状態と分析している。

この状況を打開するには、自転車ロードレース選手が最も成長を遂げるU23世代(23歳未満)選手が本場欧州のレースに出場し、世界のトップクラス選手たちと継続的に切磋琢磨することが不可欠。

しかし海外遠征をするには選手自身による遠征費捻出が必須なため、日本の有望若手選手は本場欧州のレースに出る機会が限られている。特にコロナ禍や国際情勢の影響による航空券価格や欧州物価高騰(日本に比べて約1.5倍程度の物価割高感)は、遠征費用の工面に当たって大きな壁となっている。

そんな八方塞がり状態に置かれた日本の若手男子選手を、本場欧州のロードレース界に合流させたい。それがクラウドファンディングを立ち上げた理由だという。

クラウドファンディングの目標設定は600万円

その資金を2024年8月にフランスで開催されるロードレース大会に出場する男子選手、スタッフの準備費用、及びCAMPFIRE様向け手数料に充当する予定。必要な額以上に資金が集まった場合、プロジェクト主宰であるRTAが以降に実施する、若手選手育成の活動資金に充当する。

ツール・ド・ラブニールは日本勢惨敗…小出樹が唯一の完走

全9ステージの激闘を繰り広げるU23版ツール・ド・フランス、ツール・ド・ラブニールが8月13日から22日までフランスで開催され、日本ナショナルチームはレース途中でリタイア選手が続出。小出樹が1時間21分24秒の73位で完走した。総合優勝は双子の兄弟として出場したノルウェーのトビアス・ヨハネッセン。

完走を果たした小出樹を抱きかかえる(左から)山田拓海、川崎三織、留目夕陽、蠣崎優仁、平井光介

日本からはEQADSに所属する留目夕陽蠣崎優仁山田拓海平井光介小出樹川崎三織が日本ナショナルチームとして出場した。

序盤の平たん区間はオランダ勢が上位を独占したが、山岳に突入した第6ステージで、1999年生まれ、双子のアンデルス&トビアス・ヨハネッセン兄弟がワンツーフィニッシュするなど実効支配。最終ステージでUCIワールドチームのイネオス・グレナディアーズに所属するカルロス・ロドリゲス(スペイン)が70kmを逃げ切り優勝。一時は総合成績で逆転したが、最終的にトビアス・ヨハネッセンがわずか7秒の差で総合首位を守った。

U23版ツール・ド・フランスに6選手からなる日本チーム出場

●EQADSのホームページ

U23版ツール・ド・フランスに6選手からなる日本チーム出場

23歳以下の選手が出場するツール・ド・ラヴニールが8月13日から22日までフランス東部で開催され、日本からはEQADSに所属する6選手が日本ナショナルチームとして出場する。出場するのは留目夕陽蠣崎優仁山田拓海平井光介小出樹川崎三織

ツール・ド・ラヴニールは、世界29カ国の精鋭ばかりU23選手が一堂に集い、9ステージの激闘を繰り広げる。ツール・ド・フランスを主催するASOが後援し、U23版ツール・ド・フランスとも呼ばれる。

世界中の選手代理人がレース視察に訪れ、ここでステージ優勝をすれば翌年のプロ契約への可能性が高まることから、選手の必死さ、攻めの激しさでは世界一のレースといえる。

過去の優勝者にはフェリーチェ・ジモンディ(イタリア)、ヨープ・ズートメルク(オランダ)を筆頭に、ミゲール・インデュライン(スペイン)、ローラン・フィニョン(フランス)、近年ではエガン・ベルナル(コロンビア)、タデイ・ポガチャル(スロベニア)などのビッグネームが名を連ねる。

●ツール・ド・ラブニールのホームページ