森卓也がパリパラリンピック出場へ‥ローイング大陸選考で1位選手失格

韓国の忠州で4月21日に開催されたパリオリンピック・パラリンピックのアジア・オセアニア大陸予選で、PR1男子シングルスカルで2位になった森卓也が1位となったカザフスタン選手の失格によってパラリンピック出場権を得た。

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World Rowingが翌日朝、1位となったカザフスタン選手のトランクストラップに問題があり除外とし、パリパラリンピック出場権は日本に帰属するという記事を出した。

パリ五輪は男女軽量級ダブルスカルでも出場権獲得

廣内映美、大石綾美 ©日本ローイング協会

アジア・オセアニア大陸予選では男子軽量級ダブルスカルの古田直輝・宮浦真之(ともにNTT東日本)、女子軽量級ダブルスカルの大石綾美(アイリスオーヤマ)・廣内映美(明治安田生命)がパリ五輪日本代表に内定。大石は3大会連続出場。他の3選手は初出場。

2023年の世界ローイング選手権で荒川龍太(NTT東日本)が男子シングルスカルでの出場枠を獲得。自身がそのまま日本代表選手となった。

大石綾美・廣内映美、古田直輝・宮浦真之がパリ五輪ローイング代表へ

韓国の忠州でパリオリンピック・パラリンピックのアジア・オセアニア大陸予選が開催され、最終日の4月21日の決勝で、男子軽量級ダブルスカルの古田直輝・宮浦真之、女子軽量級ダブルスカルの大石綾美・廣内映美が1着になったことでパリ五輪日本代表に内定した。

パリ五輪出場を決めた女子軽量級ダブルスカルの大石綾美、廣内映美 ©日本ローイング協会
パリ五輪出場を決めた男子軽量級ダブルスカルの古田直輝、宮浦真之 ©日本ローイング協会

日本クルーの結果

女子シングルスカル:米川志保 2着
男子軽量級ダブルスカル:古田直輝 宮浦真之 1着
女子軽量級ダブルスカル:大石綾美 廣内映美 1着
PR1男子シングルスカル:森卓也 2着
PR1女子シングルスカル:市川友美 3着

宮浦真之 ©日本ローイング協会
古田直輝 ©日本ローイング協会
廣内映美 ©日本ローイング協会
大石綾美 ©日本ローイング協会

日本ローイング協会は2023年12月18日に「2024年パリオリンピック・世界ローイング選手権日本代表選手選考方針」を発表し、この中でアジア・オセアニア大陸予選における考え方を示している。

① 1位になった種目が1種目のみの場合、あるいは1位となった種目が2種目の場合、当該1位となった種目が出場権を獲得。
② 1位になった種目が3種目の場合、日本ローイング協会が2種目を選択し、出場権の獲得種目を確定。
③ 1位となった種目がない場合には、最上位の順位を獲得した種目が出場権を獲得。
④ 複数種目が同順位となった場合、アジア・オセアニア大陸予選決勝におけるレースの%IDTを用いて決定します。

今大会の結果は①に該当するため、強化委員会は男子軽量級ダブルスカルと女子軽量級ダブルスカルの4選手をパリ五輪代表として選考委員会に推薦。4月22日以降に開催される選考委員会と臨時理事会の承認をもって正式に内定となる。

廣内映美、大石綾美 ©日本ローイング協会
宮浦真之、古田直輝 ©日本ローイング協会

パラ種目については「パリ パラリンピック アジア・オセアニア予選日本代表選考について」において
A )各種目とも1位がパリパラリンピック出場権を獲得 
B)1カ国は1種目しか出場権を得られないルールのため、複数種目が1位となった場合、各種目の2023年世界選手権優勝タイムと予選最終出漕レースタイムとの比較で優位の種目を選択する。

今大会の結果は、ABともに該当しないためパラローイング委員会は今大会でのパリパラリンピック代表選手は内定せず。

荒川龍太がローイングのパリ五輪代表に決定…米川志保は最終予選に

パリ五輪のローイング(ボート競技)日本代表選手選考レース「Small Boat Selection」が2024年2月26日から28日、埼玉県戸田市の戸田ボートコースで開催され、男子シングルスカルの五輪代表に荒川龍太(NTT東日本)が決まった。11位となった東京五輪に続く2度目の五輪代表。

男子ダブルスカルのNTT東日本(荒川龍太、櫻間達也) 提供:日本ボート協会

女子シングルスカルは米川志保(トヨタ自動車)が1着。この種目は五輪枠がまだ獲得できていなく、4月に韓国で開催されるパリ五輪アジア・オセアニア予選に米川が派遣され、五輪切符を目指す。

Small Boat Selection各種目の優勝クルー

【男子シングルスカル】
荒川龍太(NTT東日本)

【女子シングルスカル】
米川志保(トヨタ自動車)

【男子ペア】
大塚佳宏(NTT東日本)
中溝朝善(NTT東日本)

【女子ペア】
高野晃帆(関西電力)
中条彩香(デンソー)

日本ローイング協会では、男子シングルスカルはSmall Boat Selectionの最上位者をパリ大五輪代表として内定すると定めていた。女子シングルスカルはSmall Boat Selection最上位者をアジア・オセアニア大陸予選に派遣するとしていた。

早稲田大卒の米川志保 写真提供:日本ボート協会

男女軽量級ダブルスカルは4月のアジア・オセアニア大陸予選、男女ペア種目は5月の世界最終予選の結果でパリ五輪出場が決定する。それぞれの大会の出場選手は選考委員会と3月5日~6日に行われる強化合宿内の評価レースを経て決定する。

冨田千愛らがボート世界選手権の日本代表に内定

日本ボート協会は、2022年9月18日から25日までチェコで行われるボート世界選手権の代表内定選手として冨田千愛(東京大学RSL)らを選出した。

2019世界選手権では冨田千愛が日本勢女子として初めて2位に

東京都江東区の海の森水上競技場で4月7日~12日に日本代表候補選考レースとクルー決定レースが行われ、その結果をふまえて12日に海の森水上競技場で開催した選考委員会を経て、世界選手権をはじめ、アジア競技大会・ワールドユニバーシティゲームズの代表内定選手を決めた。正式決定は臨時で行われる理事会の承認後となるという。

世界選手権(9月18日〜25日、チェコ)
【男子軽量級ダブルスカル】武田匡弘(関西電力)、宮浦真之(NTT東日本)
【女子軽量級ダブルスカル】冨田千愛(東京大学RSL)、廣内映美(明治安田生命)
【女子シングルスカル】米川志保(トヨタ自動車)

アジア競技大会(9月7日~12日、中国)
【男子軽量級ダブルスカル】西村光生(アイリスオーヤマ)、古田直輝(NTT東日本)
【男子フォア】高野勇太(NTT東日本)、新井勇大(明治安田生命)、西知希(NTT東日本)林、靖晴(NTT東日本)
【男子シングルスカル】山尾圭太(トヨタ紡織)
【女子軽量級ダブルスカル】大西花歩(デンソー)、木野田沙帆子(明治安田生命)
【女子ペア】西田結惟(NTT東日本)、高榊原春奈(トヨタ自動車)、西原佳(プリントパック)
【女子シングルスカル】大石綾美(アイリスオーヤマ)

ワールドユニバーシティゲームズ(6月30日~7月2日、中国)
【男子軽量級ダブルスカル】阿部光治(早稲田大学)、一瀬卓也(NTT東日本)
【男子ダブルスカル】菅原陸翔(日本大学)、岡山凛之(早稲田大学)
【女子軽量級シングルスカル】角谷真緒(アイリスオーヤマ)
【女子シングルスカル】米澤知華(明治安田生命)
【女子ペア】西田結惟(NTT東日本)、高野晃帆(関西電力)

●日本ボート協会のホームページ

アデュー戸田…ボート第100回全日本は海の森水上競技場

2022年5月12日から15日まで行われる第100回全日本選手権の競技会場が海の森水上競技場(東京都江東区)になった。日本ボート協会が2021年12月17日に開催した理事会で決定した。

強豪大学や実業団の艇庫が並ぶ戸田ボート場

2020年に創立100周年を迎えた同協会は、2021年11月に「日本ボート協会2020ビジョン」を発表した。ビジョンでは「2020東京オリンピック・パラリンピックのレガシーを活用する」としていて、このビジョンに沿って第100回という記念大会を行うことにした。

1964東京五輪の会場だった戸田漕艇場は現在の国際大会を開催する基準に満たないことから、2020東京は新設された海の森水上競技場で行なわれた

協会は、2022年度以降の国内外の大会も海の森水上競技場で開催していくとともに、選手権大会開催だけではなく、日本代表候補選手の選手選考や、普及のための市民レガッタ開催などビジョンに沿って行動していくという。

●日本ボート協会のホームページ

五輪開催可否にぶれず集中したい…ボート冨田千愛

ボート女子軽量級ダブルスカルで東京五輪代表となった関西電力の冨田千愛(とみたちあき)が5月14日、リモート会見に応じ、コロナ禍での揺れ動く心境と五輪への思いを語った。軽量級ダブルスカルでは大石綾美(アイリスオーヤマ)とペアを組むが、2016年リオデジャネイロ五輪に続くペアとなる。

冨田千愛。2019年世界選手権では日本女子ボート界初の快挙である2位に

選考から外れたクルーを思って喜びは封印

鳥取県出身。明大大学院卒。現在は福井県に活動拠点を置いての選手活動。女子軽量級シングルスカルの第一人者でもあり、2019年世界選手権では日本女子ボート界初の快挙である2位に入った。ただし軽量級のこの種目は五輪になく、もう1人とペアを組んでダブルスカルにエントリーする必要がある。

今回の代表選手選考はかなり複雑だった。

5年前はアジア予選で勝てば代表になれたが、今回は勝つだけではなく、日本の4クルーの中で「上位進出が期待できる」というパーセンテージによって2クルーが選考されるという条件だった。

5月5日から7日まで海の森水上競技場で行われるアジア・オセアニア大陸予選で、大石と冨田は女子軽量級ダブルスカルで優勝し、最終日のレース終了後に開催された日本ボート協会選考委員会が行われ、男子シングルスカルとともに女子軽量級ダブルスカルが東京五輪に派遣されることになる。

「アンチドーピングの検査が長くなってしまい、会場に戻ったときに大石選手に決まったと耳打ちされました。でも4クルーのうち2クルーしか五輪代表となれなかったので、他の2クルーのことを考えてあまり喜ぶのは失礼だなと思ました」

選考から外れたのは男子軽量級ダブルスカルの西村光生(アイリスオーヤマ)と古田直輝(NTT東日本)、女子シングルスカルの米川志保(トヨタ自動車)だったが、世界最終予選が5月15日から17日までスイスのルツェルンで開催されここで2位以上に入ると東京五輪出場権が与えられる。

「コロナ禍で苦労してきた全員がチームという思いが私にはあって、みんなで五輪に出場したいという気持ちも強いです」と冨田。

女子軽量級シングルスカルの冨田千愛(写真は準決勝のもの)

五輪をやる・やらないは選手としてはどうすることもできない

初参加のリオ五輪はどんなものかわからなかったので、がむしゃらになるしかなかったという。そして今回の東京五輪は1年延期になり、依然としてコロナ感染拡大も収束の兆しが見えず、「うれしいというだけの気持ちではありません」という。

苦しい時代が続いた。「どうなるのかなと思っていました」という。

「いまはスポーツをやっている場合ではないのかもという気持ちもありました。(五輪へのアプローチとなる)予選会さえできるかわからない状況でした。五輪をやる・やらないは選手としてはどうすることもできないので、五輪に出るという気持ちを抑え、レースに勝つことに集中していました」

目標は五輪ではなく、とにかく目の前にあることに淡々と集中していたという。

17日からスイスのワールドカップへ。2019年の世界選手権が最後の国際大会だったので、じつに2年ぶりの海外有力勢との対決となる。

「出場選手は五輪のセミファイナルに進出できる実力者ばかりなので、そこでどれだけ戦えるか、次の課題が見えてくる。東京五輪では決勝進出が目標です」

リオ五輪が終わって調子を落としていたときに福井県に活動拠点を移した。嶺南と言われる県の西部に住み、三方五湖で練習を積んでいる。

「湖だけど海水も混ざっていて、かなり荒れたコンディションになる」

東京五輪のボート会場である海の森水上競技場もいわゆる海上コースで、潮に流されたりする。それを修正しながらのレースになることが想定され、同様のコンディションで対応する力をつけていきたいという。

「福井県の食べものと言えばへしこが有名です。あまり食べたことがなくて、おいしくないよといわれていたけど、私は口に合いました。もともと鳥取なので海のものは慣れていたんだけど、こちらもおいしいものばかりです」

住み始めたときは、方言が関西弁に似たところがあって怖かったという。

「自動車教習所で私が鈍くさいこともあったんですけど、結構怒られました。でも福井の人たちは本当は優しく、みな家族のように接してくれます」

●日本ボート協会のホームページ