五輪開催可否にぶれず集中したい…ボート冨田千愛

ボート女子軽量級ダブルスカルで東京五輪代表となった関西電力の冨田千愛(とみたちあき)が5月14日、リモート会見に応じ、コロナ禍での揺れ動く心境と五輪への思いを語った。軽量級ダブルスカルでは大石綾美(アイリスオーヤマ)とペアを組むが、2016年リオデジャネイロ五輪に続くペアとなる。

冨田千愛。2019年世界選手権では日本女子ボート界初の快挙である2位に

選考から外れたクルーを思って喜びは封印

鳥取県出身。明大大学院卒。現在は福井県に活動拠点を置いての選手活動。女子軽量級シングルスカルの第一人者でもあり、2019年世界選手権では日本女子ボート界初の快挙である2位に入った。ただし軽量級のこの種目は五輪になく、もう1人とペアを組んでダブルスカルにエントリーする必要がある。

今回の代表選手選考はかなり複雑だった。

5年前はアジア予選で勝てば代表になれたが、今回は勝つだけではなく、日本の4クルーの中で「上位進出が期待できる」というパーセンテージによって2クルーが選考されるという条件だった。

5月5日から7日まで海の森水上競技場で行われるアジア・オセアニア大陸予選で、大石と冨田は女子軽量級ダブルスカルで優勝し、最終日のレース終了後に開催された日本ボート協会選考委員会が行われ、男子シングルスカルとともに女子軽量級ダブルスカルが東京五輪に派遣されることになる。

「アンチドーピングの検査が長くなってしまい、会場に戻ったときに大石選手に決まったと耳打ちされました。でも4クルーのうち2クルーしか五輪代表となれなかったので、他の2クルーのことを考えてあまり喜ぶのは失礼だなと思ました」

選考から外れたのは男子軽量級ダブルスカルの西村光生(アイリスオーヤマ)と古田直輝(NTT東日本)、女子シングルスカルの米川志保(トヨタ自動車)だったが、世界最終予選が5月15日から17日までスイスのルツェルンで開催されここで2位以上に入ると東京五輪出場権が与えられる。

「コロナ禍で苦労してきた全員がチームという思いが私にはあって、みんなで五輪に出場したいという気持ちも強いです」と冨田。

女子軽量級シングルスカルの冨田千愛(写真は準決勝のもの)

五輪をやる・やらないは選手としてはどうすることもできない

初参加のリオ五輪はどんなものかわからなかったので、がむしゃらになるしかなかったという。そして今回の東京五輪は1年延期になり、依然としてコロナ感染拡大も収束の兆しが見えず、「うれしいというだけの気持ちではありません」という。

苦しい時代が続いた。「どうなるのかなと思っていました」という。

「いまはスポーツをやっている場合ではないのかもという気持ちもありました。(五輪へのアプローチとなる)予選会さえできるかわからない状況でした。五輪をやる・やらないは選手としてはどうすることもできないので、五輪に出るという気持ちを抑え、レースに勝つことに集中していました」

目標は五輪ではなく、とにかく目の前にあることに淡々と集中していたという。

17日からスイスのワールドカップへ。2019年の世界選手権が最後の国際大会だったので、じつに2年ぶりの海外有力勢との対決となる。

「出場選手は五輪のセミファイナルに進出できる実力者ばかりなので、そこでどれだけ戦えるか、次の課題が見えてくる。東京五輪では決勝進出が目標です」

リオ五輪が終わって調子を落としていたときに福井県に活動拠点を移した。嶺南と言われる県の西部に住み、三方五湖で練習を積んでいる。

「湖だけど海水も混ざっていて、かなり荒れたコンディションになる」

東京五輪のボート会場である海の森水上競技場もいわゆる海上コースで、潮に流されたりする。それを修正しながらのレースになることが想定され、同様のコンディションで対応する力をつけていきたいという。

「福井県の食べものと言えばへしこが有名です。あまり食べたことがなくて、おいしくないよといわれていたけど、私は口に合いました。もともと鳥取なので海のものは慣れていたんだけど、こちらもおいしいものばかりです」

住み始めたときは、方言が関西弁に似たところがあって怖かったという。

「自動車教習所で私が鈍くさいこともあったんですけど、結構怒られました。でも福井の人たちは本当は優しく、みな家族のように接してくれます」

●日本ボート協会のホームページ

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