欧州同世代と引き離されていく危機感…ユーラシアIRCが11シーズン目活動へ

チームユーラシアIRCタイヤが2020年シーズンの活動を始める。半数の選手がU23として4年目となり、大きな節目となる年。彼らがエリート1年目となる2021年に欧州で自立できるのか? これまでやってきたことがはっきりする1年となると考えているという。

バナー提供 岸工業(広島)

「2019シーズンに所属した日本人6選手はみなサイクリングアカデミー出身メンバー。当時右も左も分からなかった高校生たちが2019年は右も左も分からない高校生たちを指導している事に大きな成長を感じている」と橋川健監督。

一方で、「レースの成績は個々で成長を感じられたことはありましたが、チーム全体としてはもっと成長していかなくてはならない」という。「はっきりと言えば、欧州の同世代のトップ選手から引き離されていると感じています」

「言葉で危機感を持てというのは簡単だが、目標と現在位置をしっかりと見定めて、目標に向かって近づいていけるように私も選手も全力で戦います」

チームユーラシアIRCタイヤ2020年所属メンバー

2020年は以下の継続5名+新規3名の合計8名でレース活動を行う
鈴木史竜 (1998年4月生 静岡)
大町健斗 (1998年4月生 広島)
花田聖誠 (1998年7月生 神奈川)
吉岡拓也 (1998年11月生 福井)
山岸大地 (1999年9月生 神奈川)
以上継続メンバー

以下は新規メンバー
古林一夢 (2001年4月生 石川)
鳥海祐甫 (2003年1月生 東京 ジュニアカテゴリー)
寺澤アンドリュー(2000年5月生 長野 八戸学院大学所属)

古林は2016‐2018年にサイクリングアカデミーに参加し、2016年にはU17カテゴリーで10位に入賞している。また鳥海も2019年にサイクリングアカデミーに参加。U17カテゴリーの4レースに参加し3位、6位、7位に入賞を果たした。

寺澤は八戸学院大自転車競技部に所属している。2019年6月に行われた熊野合宿に参加し、実力をアピールした。2020年は八戸学院大で学連登録を行ったまま、チームの合宿、欧州遠征に参加。

2020スケジュール
2月6~16日  チームトレーニングキャンプ (愛媛県今治市大三島)
3月上旬     渡欧 レース参戦
4月15~19日  アルデンチャレンジ(5日間のステージレース)
5月      合計10~15戦 参戦後 帰国
5月28~31日    ツールド熊野
6月1~10日  チームトレーニングキャンプ (和歌山県新宮市)
全日本
7月      下期欧州遠征
中旬~     チームユーラシア-IRCタイヤ サイクリングアカデミー
8月      高木秀彰 サポートプログラム
       (欧州遠征の費用の一部~全額をサポートします
        東フランダース1周レース
9月末     欧州遠征終了
10月      ジャパンカップ オープンレース
太文字の活動はチームに所属していない選手も参加が可能。詳細は後日公開

高木秀彰サポートプログラムで欧州遠征を行った川崎三織。UCIレースで9位に入賞した

チームジャージ刷新、一般販売で活動費に補充

2020年はジャージのデザインを大きく変更。まだ細かい部分の変更があるというが、このデザインで進行している。2019年の協賛スポンサー企業は2020年も継続してサポート。

2019年のジャージの売り上げは101万3040円となり、ジャージの売り上げに協力してくれた選手に個別に還元し、収益の全額をチームの活動費として使用。
2020年ジャージもジャージの販売を行う。サプライヤーはブルガリアに本社を置き、多くの欧州ウェアブランドの委託生産を行うDOLTCINI(ドルチーニ)。2020年も収益の全額をチームの活動費として使用する。

価格 
半袖 15,984円
長袖 15,984円
ベスト 15,984円
ミッドシーズンジャケット 23,760円 (冬用)
コンビ エアロスーツ 31,968円 (ロードレース用 ワンピース)
ビブパンツ 15,984円
送料 一律1,000円(梱包代込み)
サイズチャートと詳細

問い合わせ先 teameurasia2009@gmail.com

締め切り 2020年1月5日24時
受け渡し 3月初旬~中旬に国内より発送予定

ユーラシアアカデミー活動開始…高木秀彰プログラムは川崎三織に

ジュニア強化指定選手2選手を含む10選手が2019年も7月21日から8月22日までの間にユーラシアIRCタイヤサイクリングアカデミーに参加する。U17の選手は4レース(週に出走できるエントリー数が2レースまで)、U19の選手は5レースに参戦予定。

2018年、修善寺で行われたインターハイで優勝した川崎三織 ©Satoru.Katou

レースの成績等はチーム公式ブログに掲載

高木秀彰サポートプログラムも実施

2017年10月に急逝したフォトジャーナリストの高木秀彰氏は、日本の自転車競技の発展を願うとともに、「若い選手を応援したい」という強い意志で、国内のプロロードレースイベントのみならず、トラックレース、地方のローカルレースや学連、高体連のレースまで多くのレースを取材し、若い選手の活躍を多くのメディアに発信してきた。

ユーラシアIRCタイヤは高木氏の遺志と家族の意向により、その活動に寄付として提供してもらい、その全額を「サイクリングアカデミー参加者へのサポート」に使う。サポート対象者は、2001年1月1日~2002年12月31日生まれの男子、全国大会もしくは相当するレースで優勝もしくは入賞しているジュニア男子選手、ヨーロッパ参戦経験のないこと(ナショナルチームの活動を除く) を条件とした。競技関係者や選手とも協議を行った結果、川崎三織(埼玉・栄北高)へのサポートが決まった。

サポート内容は航空運賃代金、ベルギーでの生活費(15日間)、レース参戦経費(5レース)など。

川崎三織(右から2人目)は5月にフランスで行われたジュニアネイションズカップに日本代表メンバーとして参加した

川崎三織
2018年 インターハイ個人ロードレース優勝
2019年 アジア選手権6位
     Tour Centre Morbihan日本代表 個人総合成績60位

川崎三織の決意表明

今回ユーラシアIRCサイクリングアカデミーでこの1カ月間貴重な体験をさせていただけること、高木秀彰様サポートプログラムに参加させていただけることに感謝します。そして欧州でのレースでいろいろなことを吸収できるように全力を尽くします。
先日、ジャパンナショナルチームとしてフランスとスイスのネイションズカップに参加しましたが、ヨーロッパの選手に圧倒され、集団内で前に出るテクニック、コースを読む力、自脚で走りきる体力、など全ての面で劣っていることを明白に感じました。
レースでヨーロッパの選手に通用するにはどうすればいいか。僕はヨーロッパで経験を積むことが一番大切だと思い、今回参加を希望しました。
また、ネイションズカップで活かすことができなかった、レースコースの特徴をつかんで集団前方でレースを展開し、積極的な走りをすることを目標に取り組みます。そしてなにより上位を狙えるように頑張りたいです。
多くのことを学んで今後のレースに活かし、日本のトップ選手になれるように、また海外でも通用するような選手になっていきたいと思います。よろしくお願いします。

ユーラシアIRCアカデミーが夏休みの欧州遠征を募集

「ユーラシアIRCタイヤサイクリングアカデミー」(JCF強化パートナー事業)が2019年夏の欧州遠征を企画。その参加者を募集している。今回から「高木秀彰サポートプログラム」が行われ、欧州レース経験のない(ナショナルチームでの活動は除く)選手を対象に参加費用の一部もしくは全額をサポートする。

ユーラシアIRCタイヤサイクリングアカデミー

同アカデミーも5年目を迎え、これまで60名以上のユース選手のサポートが行われ、10名の強化指定選手を輩出している。サイクリングアカデミーではレースに参戦するだけではなく、集団内での位置取りやトレーニングの組み方、またトレーニング、レースに関わらず走行中の事故を低減させるための指導に力を入れている。

参加するレースについて
出場するレースはU17(2003年1月1日~2004年12月31日生まれ)およびU19(2001年1月1日~2002年12月31日生まれ)のカテゴリーが対象。

スケジュール
インターハイの開催時期を考慮し、7月20日前後出国のグループと8月5日以降出国のグループに分ける。レース数に関して、U17は週に最大2レース、U19は3レースと規則があり、約2週間の滞在でU17は4レース、U19は5レースを予定している。

参加費(参考代金)
25~30万円
約2週間の生活費、活動費、航空運賃代金実費(15~25万円)含む
遠征の時期により航空チケット代金が大幅に変わるが、可能な限り効率的に低予算で実現できるよう努める。また今後の為替などの影響で参加費も変わってくる可能性がある。

参加人数
7月出発グループ U17とU19合計4~6名
8月出発グループ U17とU19合計4~6名

申し込み期限
5月8日 申請書送付依頼期限
5月10日 申請用紙送付期限(メールにて)
サイクリングアカデミーへの参加の可否は「申請書」によりお申し込みをいただいた後に、選考を行い誓約書へ記入及び送付していただき正式にメンバーが決定されます。申請書の送付の段階ではまだ参加は決定していません。

●ユーラシアIRCタイヤ サイクリングアカデミーに関する情報

問い合わせ及び申請用紙の請求先
teameurasia2009@gmail.com
橋川健

過去の参加者のコメント
2015年~2017年まで高校3年間毎年参加し、現在EQADSに所属しナショナルチームメンバーとしても活躍している蠣崎優仁選手

2017年の高校選抜を走る蠣崎優仁 ©Takagi Hideaki

高校の3年間の8月は、毎年必ずアカデミーに参加させていただきました。初めてベルギーのレースを走った時の衝撃は、今でも鮮明に覚えています。日本とは「レベルが違う」のではなくて、「全く違う種目」なのだと感じました。ジュニアカテゴリーに上がった後も、ナショナルチームの活動がハードではありましたが、1レースでも多くヨーロッパで走りたいという思いで、アカデミーに参加させていただきました。
サイクリングアカデミーは、自分のキャリアに素晴らしい経験値を与えてくれました。簡単には実現できない、ヨーロッパでレースを走る機会を与えてくれたサイクリングアカデミーにとても感謝しています。
これからヨーロッパでプロの自転車選手を目指すジュニア・ユース選手にはぜひ、 サイクリングアカデミーでチャレンジして下さい!

故高木秀彰カメラマンの若手選手サポートプログラム

2017年10月に急逝したフォトジャーナリストの高木秀彰氏は、生前の遺志と家族の意向により、「若い選手の育成に役立ててほしい」とユーラシアIRCタイヤの活動に寄付。同チームはその全額を「サイクリングアカデミー参加者へのサポート」に役立てることを発表した。

フォトジャーナリストの故高木秀彰氏 ©Yuya Yamamoto

高木氏は日本の自転車競技の発展を願っていたとともに、「若い選手を応援したい」という強い意志で、国内のUCIレースやJプロツアーのみならず、地方のローカルレースや学連、高体連のレースまで多くのレースを取材し、若い選手の活躍を世に発信し続けていた。

元自転車プロ選手の橋川健が運営する「サイクリングアカデミー」は、ジュニアやU23の強化指定選手が多く輩出されるなど若い選手の意識改革、強化につながっている。ここにはチームユーラシアのみならず、国内クラブチームや高体連に所属する選手のエントリーも多く、若い選手やチームの共同体として欧州のレース活動を続けてきた。

しかし航空運賃代、滞在費、レースエントリー代などの個人負担があるため、金銭的な理由で参加を見送る国内トップの高校生が存在しているのが現状だった。今回の「高木秀彰サポートプログラム」により、対象選手の遠征費用の一部もしくは全額をサポートすることができるようになった。

サポート対象者
・全国大会もしくは相当するレースで入賞もしくは優勝しているジュニア男子選手(2001年1月1日~2002年12月31日生)
・ヨーロッパ参戦経験のないこと(ナショナルチームの活動を除く)

申請用紙を請求の上、必要事項を記入し申請用紙提出期限である5月10日までにお申し込みください。 サポート対象者がいない場合および寄付金が余剰した場合は、翌年に繰り越す。

日本の中学生・高校生が本場ベルギーでサイクリングアカデミー

7月15日から8月26日までU17およびジュニアカテゴリーの中学生・高校生を対象にしたサイクリングアカデミーがベルギー西フランドル地方を拠点に開催された。2018年で4回目となる。(ユーラシアIRCタイヤ監督・橋川健)

2017年に続き2018年もUCIレース「OMLOOP DER VLAAMSE GEWESTEN」に参戦

毎年国内の全国レベルで活躍している選手のみならず、名前の知られていない選手がベルギーのレースでサプライズな走りや成績を残し、後に日本代表メンバーとして認知され、活躍しているジュニア選手たちが多数いる。サイクリングアカデミーでは「人材の発掘」、「選手の強化」、「安全対策」を課題として取り組んでいる。

レース参戦
合計の参加者11名がそれぞれ2〜3週間滞在し、合計23レースに参戦した。

香山飛龍(2017年に引き続き2回目の参加。ジュニア強化指定選手)が13位に入賞(冒頭写真右端)。鳥倉必勝(2017年に引き続き2回目の参加。ジュニア強化指定選手 写真左から2人目)は同レースにおいて勝ち逃げに反応したものの、ちゅうちょしてしまい入賞を逃した。結果は残念だが、このような小さな積み重ねが将来大きな成果となる。

主なレース結果
ジュニア
7月24日 Izegem
9位 高木英行(PRT KOSEKI)

8月19日 OMLOOP DER VLAAMSE GEWESTEN (UCI MJ1)
13位 香山飛龍(横浜高)

21日 Langemark
3位 鳥倉必勝(SBC VERTEX RACING TEAM)
5位 香山飛流(横浜高)
9位 福田圭晃(横浜高)

23日 Kortemark
6位 鳥倉必勝(SBC VERTEX RACING TEAM)
10位 古林一夢(南大隅高)

8月25日 Bury
3位 香山飛龍(横浜高)
5位 福田圭晃(横浜高)


U17
8月25日 Bury
優勝 津田悠義(EQADS)

8月22日 Ruiselede
優勝 津田悠義(EQADS)

8月18日 Kortemark
3位 津田悠義(EQADS)

8月12日 Neder-Zwalm
5位 津田悠義(EQADS)

8月11日 Heestert
10位 津田悠義(EQADS)

「落車のリスクを下げる」思考と「レースで勝負に挑む」思考はまったく別のものだが、両立できることをワークショップ形式で意見を出し合い、「多くの落車は防げる」と学ぶ

安全対策
サイクリングアカデミーでは毎年、落車事故防止に力を入れている。2018年はトレーニング、レースを通し落車したのは3名で、合計4回の落車があった。そのうちレース中の落車1回では大きな事故となってしまった。レース中の落車は仕方がない・・・のではなく、その多くは防ぐことのできる落車。落車の原因を深く追求し、認識することで若い選手たちが「落車しない」ことを学び、実戦で成果を上げている。

人材の発掘
サイクリングアカデミーでは若い選手のタレント発掘の場としても機能している。毎年サイクリングアカデミーを通し覚醒した選手たちが大きく成長し、日本の代表選手として活躍している選手が多数いる。2018年も全国的には知られていないジュニアの選手が「サプライズな走り」を披露してくれた。今後の活躍も見守っていきたい。