チームパシュートで日本勢は男女とも金【アジア競技大会】

中国の杭州で開催されている第19回アジア競技大会は自転車競技のDAY-3となる9月27日、トラックで男女のチームパシュートが行われ、日本勢は梶原悠未、垣田真穂、内野艶和、池田瑞紀で臨んだ女子、松田祥位、窪木一茂、橋本英也、兒島直樹で臨んだ男子ともに1-2決定戦で中国を逆転で制して優勝した。

アジア競技大会トラック女子チームパシュートで優勝した、左から垣田真穂、内野艶和、梶原悠未、池田瑞紀 ©日本自転車競技連盟

【男子チームパシュート(1-2決定戦)】4km(250mx16周)

レース前半は中国に先行を許すも、後半に逆転した日本は、じわじわとその差を広げ、大会記録となる3分52秒757で優勝した。

2023アジア競技大会トラック男子チームパシュートで日本チームが優勝 ©日本自転車競技連盟

橋本英也のコメント
「勝ててよかったです、最高です。チームメイトそれぞれがベストのパフォーマンスを出すことができて、本当によかったです。オリンピックを目指す立場では、アジア大会を勝つのは当然というところで、取りこぼさずにしっかり勝ち切れました。パリオリンピックを目指せる環境を作ってもらえるのは、みなさんのお陰。来年のオリンピック、その先の自転車界のためにも、これからも頑張って行きます」

【女子チームパシュート(1-2決定戦)】4km(250mx16周)

ラップごとに一進一退の攻防となる中、レース後半には中国優勢の展開で迎えた最終ラップで見事な逆転劇を演じた日本が、大会記録を更新する4分21秒224で優勝した。

2023アジア競技大会トラック女子チームパシュートで日本チームが優勝 ©日本自転車競技連盟

梶原悠未のコメント
「勝ててよかったです、ホッとしました。才能のある、高いモチベーションを持った若い選手が入って来てくれて、日本代表全体のレベルを上げることができたので勝つことができたと思います。この勢いで、パリオリンピックに向けてみんなで頑張っていきたいと思います。オムニアムでも、金メダル獲得に向けて頑張ります」

内野艶和のコメント
「今日は、接戦でしたが勝てて本当によかったです。この後、マディソンも控えていますので、また勝てるように頑張ります」

●アジア競技大会のホームページ(JOC)

パリ五輪を目指す日本中距離陣は予選敗退で厳しい道のり

2023 UCIトラックネイションズカップ第3戦が4月20日にカナダのミルトンで開幕し、2024パリ五輪のトラック中距離枠獲得を目指す日本は男子チームパシュート予選で9位、女子は10位となり、ともに本戦進出を逃した。

女子チームパシュートの日本チーム ©JCF

池田瑞紀(チーム楽天Kドリームス/早稲田大)、梶原悠未(TEAM Yumi)、内野艶和(チーム楽天Kドリームス)、垣田真穂(チーム楽天Kドリームス/早稲田大)で臨んだ女子チームパシュート予選。8位の予選突破攻防となり、ターゲットタイム4分24秒台に3カ国が同居する形となったが、日本代表はコンマ4秒およばずに予選敗退した。

2023 UCIトラックネイションズカップ第3戦 ©JCF

橋本英也(チームブリヂストンサイクリング)、窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)、今村駿介(チームブリヂストンサイクリング)、兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング/日本大)で臨んだ男子チームパシュート予選。女子同様に8位ぎりぎりの攻防戦となり、ターゲットタイム3分55秒台に4カ国が同居する形となったが、日本代表はコンマ1秒以下の僅差で9位となり予選敗退した。

男子チームパシュートの日本チーム ©JCF

大会2日目のエリミネイションでも日本は上位に食い込めず

24選手で行われた女子エリミネーションが大会2日目の21日に行われ、日本からは池田、内野が参戦。スタート直後の最初のスプリントラップで池田がエリミネイト(排除)され、早々にレースを離脱。内野も中盤まで粘ったものの、ちょうど半分の12回目のスプリントラップでエリミネイトされ13位でレースを終えた。

女子エリミネーション ©JCF

男子も24選手でで行われたエリミネーション。今村は5回目のスプリントラップでエリミネイト、全体の20位。橋本は表彰台圏内が見えてきたところで足元をすくわれ、スプリントで差されてしまい6位でレースを終えた。

男子エリミネーション ©JCF
2023 UCIトラックネイションズカップ第3戦 ©JCF

パリ五輪で日本自転車界の悲願金獲得なるか…本番舞台でトラック世界選手権

2024パリ五輪で日本自転車界悲願の金メダル獲得なるか? トラック世界選手権が10月12日から16日まで、五輪会場となるパリ郊外のサンカンタン・アン・イブリーヌ自転車競技場で開催された。女子ケイリンで佐藤水菜(23=楽天Kドリームス)が、男子スクラッチで窪木一茂(33=ブリヂストンサイクリング)がそれぞれ2位に入った。

女子ケイリンで2年連続2位になった佐藤(左) ©日本自転車競技連盟

最も期待されるケイリン…女子の佐藤が2年連続で2位に

自転車競技は1896年にギリシャのアテネで開催された第1回五輪からの正式種目。日本の自転車選手が初出場したのは1952年のヘルシンキ五輪だが、それからメダル獲得を目指す戦いが始まった。世界選手権では1977年からプロスプリントで中野浩一が10連覇を達成。しかし日本勢として世界チャンピオンの座は獲得できても、五輪金メダルはいまだに手中にしていない。

女子ケイリン決勝、ドイツのフリードリッヒと残り1周で激しく争った佐藤(左から3人目)がゴール ©日本自転車競技連盟

2020東京五輪以前のメダル獲得数は4個で、すべて短距離男子。日本自転車競技連盟は地元開催の利がある東京で金メダルを取るために海外コーチを招へい。梶原悠未(現Team Yumi)が女子で初めての銀メダルを獲得することになるが、悲願の金メダルには至らなかった。

今回の世界選手権は2年後に迫ったパリ五輪のトラック競技場が舞台。世界新記録が続出した超高速バンクだ。日本勢はその本番走路で佐藤が2年連続の女子ケイリン2位。1回戦は封じ込められて3着だったが、敗者復活戦からしたたかに勝ち上がり、決勝では世界チャンピオンと車輪1つの差で2位に食い込んだ。

ケイリン種目で日本勢が3位以内に入ったのは男女合わせて5年連続だ。

男子チームパシュートは予選通過ラインの8位に0.9秒届かず予選敗退 ©日本自転車競技連盟

来シーズンからはパリ五輪の出場枠を争う戦いが本格化する。日本勢は3人編成で走るチームスプリントで一気に3枠を獲得するのが狙い。代表となった3選手はそのままケイリンとスプリントにエントリーできる。

「2位ではなく頂点へ。表彰台で国歌を流したい」。佐藤は金メダル獲得に意欲を見せた。

小原佑太が男子1kmタイムトライアル予選で日本新記録となる59秒796 をマーク ©日本自転車競技連盟

女子の梶原が低迷するも男子の窪木がスクラッチで気を吐く

中距離種目の男子スクラッチでは窪木が初めて2位になった。佐藤と同様に、競輪選手という職業に就きながら、五輪や世界選手権で実施される種目を目標とした民間チームに所属。連盟の強化指定を受けて2足のわらじを履きこなす。

女子スクラッチ種目でも優勝候補だった梶原(左から2人目)は集団から抜け出すことができず11位 ©日本自転車競技連盟

2020東京五輪の女子オムニアムで銀メダルを獲得した梶原は2020年の世界チャンピオン。この大会で2年ぶりのタイトル獲得を目指したが、前日種目の落車負傷が影響して13位に終わった。

男子スクラッチで2位になった窪木(左) ©日本自転車競技連盟

まずはパリ五輪の出場枠を獲得することから

2024年7月26日から8月11日まで開催されるパリ五輪。自転車トラック種目の出場枠は、2024年4月14日までの主要大会での成績をもとに、選手権者やランキング上位の所属国に与えられる。日本は短距離種目3枠が獲得できるチームスプリント、中距離種目4枠が獲得できるチームパーシュートを集中強化する。日本がこうして手中にした出場枠は、エントリー締め切りとなる7月8日までに五輪代表選手を決めてうめられる。金メダルまでの道は長い。

サンカンタン・アン・イブリーヌのベロドロームナシオナル ©Paris 2024

五輪自転車における日本勢のメダル獲得

日本自転車選手が獲得した五輪メダルは銀2、銅3で、すべてトラック種目。1984年ロサンゼルス大会の個人スプリントで坂本勉が銅、1996年アトランタ大会の1kmタイムトライアルで十文字貴信が銅、2004年アテネ大会のチームスプリントで長塚智広・伏見俊昭・井上昌己の日本チームが銀、2008年北京大会のケイリンで永井清史が銅、2021年東京大会の女子オムニアムで梶原悠未が銀。

2022トラック世界選手権フランス大会の日本ナショナルチーム

窪木一茂が個人パーシュートで日本新…全日本トラック

自転車競技トラックレースの日本一を決める第88回全日本自転車競技選手権大会トラックレースが9月14日に開幕し、男子個人パーシュートの予選で窪木一茂(ブリヂストンサイクリング)が4分15秒889の日本新記録を樹立。決勝でも近谷涼(ブリヂストンサイクリング)を制して、2年連続3度目の優勝を達成した。

男子4km個人追い抜きを制した窪木一茂。予選では4分15秒889の日本新 ©2019 JCF

女子個人パーシュートの予選では梶原悠未(筑波大)が3分33秒740の日本新記録を樹立。決勝でも先着して4年連続で優勝した。

女子エリートスプリント決勝
1位 小林優香(ドリームシーカー)
2位 太田りゆ(ブリヂストンサイクリング)
3位 尾方真生(日本競輪選手養成所)

女子スプリントを制した小林優香 ©2019 JCF
女子スプリント優勝の小林優香。左が2位太田りゆ、右が3位尾方真生 ©2019 JCF©2019 JCF

男子エリートスクラッチ決勝
1位 橋本英也(ブリヂストンサイクリング)
2位 安彦統賀(日本体育大)
3位 草場啓吾(愛三工業)

女子エリートマディソン決勝
1位 強化A(梶原悠未・中村妃智) 63p
2位 Live GARDEN Bici Stelle(鈴木奈央・吉川美穂) 29p
3位 日本体育大学(古山稀絵・中村愛花) 18p

女子エリート3km個人パーシュート決勝
1位 梶原悠未(筑波大) 3:42.236
2位 古山稀絵(日本体育大) 3:50.059
3位 上野みなみ(シエルブルー鹿屋) 3:42.658

女子個人追い抜き優勝の梶原悠未 ©2019 JCF
女子エリート3km個人パーシュート優勝の梶原悠未。左が2位古山稀絵、右が3位上野みなみ ©2019 JCF

男子エリート1kmタイムトライアル決勝
1位 沢田桂太郎(ブリヂストンサイクリング) 1:02.590(大会新)
2位 村田祐樹(日本体育大) 1:03.138(大会新)
3位 一丸尚伍(シマノ) 1:03.244(大会新)
沢田桂太郎コメント
「最近までロードの練習がメインだったので回転数が上がらなくなっていて、去年優勝した時よりギアを重めに設定して挑みましたが、それがぴったりハマったという感じです。ベストタイムも0.6秒くらい更新できてよかったです」

女子エリート500mタイムトライアル決勝
1位 吉川美穂(ライブガーデン・ビチステンレ) 36.025
2位 野寺楓(順天堂大) 37.937
3位 小泉夢菜(早稲田大) 38.124
吉川美穂コメント
「思ったようなタイムではありませんでしたが、都道府県大会で出した35秒台がまぐれではなかったかなというくらいのタイムは出せたので、これからもっと練習して日本記録も更新できるくらい良いタイムを出せるようになりたいです」

男子エリートスプリント決勝
1位 河端朋之(JPC)
2位 新田祐大(ドリームシーカー)
3位 深谷知広(ドリームシーカー)

男子エリートスプリント優勝の河端朋之。左が2位新田祐大、右が3位深谷知広 ©2019 JCF

男子エリート4km個人パーシュート決勝
1位 窪木一茂(ブリヂストンサイクリング) 4:22.343
2位 近谷涼(ブリヂストンサイクリング) 4:26.421
3位 橋本英也(ブリヂストンサイクリング) 4:23.681

男子エリート4km個人パーシュート優勝の窪木一茂。左が2位近谷涼、右が3位橋本英也 ©2019 JCF

窪木一茂、橋本英也、梶原悠未が優勝…ジャパントラックカップ

2019ジャパントラックカップⅠ/Ⅱが8月23日(金)から25日(日)まで開催され、TEAM BRIDGESTONE Cyclingの窪木一茂と橋本英也、機材サポート選手の梶原悠未が優勝した。

橋本英也(中央)がジャパントラックカップⅡ男子オムニアム優勝

ジャパントラックカップⅠオムニアム優勝の窪木は試合後のインタビューで「久しぶりに優勝することができ、やっぱり気持ちいいものだなと思いました。今日は気持ちを強くもつということを実行できたのかなと思います」とコメント。

窪木一茂(TEAM BRIDGESTONE Cycling)
ジャパントラックカップⅠオムニアム優勝の窪木一茂(中央)

ジャパントラックカップⅡ男子オムニアム優勝の橋本は「世界チャンピオンや世界の強豪選手と日本で走れる機会はめったにないので、自分らしい走りで優勝できたらいいなと思っていたけど、本当にその通りになってよかったです」と語った。

ジャパントラックカップⅡ男子オムニアム優勝の橋本英也

同種目では今村駿介(TEAM BRIDGESTONE Cycling)が3位に。

ジャパントラックカップⅠ女子オムニアム優勝の梶原は「スタートリストを見た時にワールドカップでよく見るメンバーも多かったし、10月から始まるワールドカップシーズンの前哨戦だと思って、強い気持ちで戦いました。積極的なレースで勝つことができてとてもうれしい」という。

女子エリートオムニアムを走る梶原悠未(中央) ©2019 JCF
女子エリートオムニアム1位の梶原悠未(中央) ©2019 JCF

窪木一茂が全日本自転車競技選手権大会オムニアムで優勝

自転車競技トラックレースのオリンピック種目、オムニアムの日本一を決める「2018全日本自転車競技選手権大会オムニアム」が10月7日、伊豆市の伊豆ベロドロームで開催され、男子エリートで窪木一茂(ブリヂストンサイクリング)が全日本個人タイムトライアル、全日本トラック4冠、JBCF年間総合優勝のタイトルに続き優勝。

2018全日本自転車競技選手権大会オムニアム ©2018 JCF

2位は橋本英也、3位は近谷涼とブリヂストンサイクリングが上位を独占する結果となった。

2018全日本自転車競技選手権大会オムニアムを制した窪木一茂 ©2018 JCF

2018全日本自転車競技選手権大会オムニアムを制した窪木一茂を中央に左が2位橋本英也、右が3位近谷涼 ©2018 JCF

2018全日本自転車競技選手権大会オムニアムを制した窪木一茂 ©2018 JCF

窪木一茂のコメント
今年は全日本個人タイムトライアルのタイトルも獲ったが、このタイトルも獲りたいと臨んだ。気持ちは入っていて実際優勝することができてよかった。得意とするエリミネーションで優勝することができ、自信につながりポイントレースでは余裕を持っていつも通りの走りができた。団体追い抜きでの東京オリンピック出場は、日本自転車競技界を底上げするし、より盛り上げることができると思うのでそこにこだわっていきたい。