22歳のアユソがティレーノ〜アドリアティコ総合優勝…次の目標はジロ・デ・イタリア

イタリア半島の西側に広がるティレニア海と東側のアドリア海を結ぶ7日間のステージレース、第60回ティレーノ〜アドリアティコは大会最終日となる3月16日、ポルト・ポテンザ・ピチェーナ〜サンベネデット・デル・トロント間の147kmで第ステージが行われ、UAEチームエミレーツ・XRGのフアン・アユソ(スペイン)が初の総合優勝を手中にした。

トライデント(三叉のやり)を獲得したアユソ ©Massimo Paolone/LaPresse

アユソは2024年の総合2位。初日から第6ステージまで首位を走ったイネオス・グレナディアーズのフィリッポ・ガンナ(イタリア)を第7ステージの独走勝利で逆転。紺碧のリーダージャージ、マリア・アッズーラを獲得し、最終日も守り切った。22歳のアユソは新人賞でも1位。

総合2位は35秒遅れでガンナ、総合3位は36秒遅れでバーレーン・ヴィクトリアスのアントニオ・ティベーリ(イタリア)。第7ステージの優勝はリドル・トレックのジョナタン・ミラン(イタリア)。今大会2勝目で、ポイント賞を獲得した。

2025ティレーノ~アドリアティコ第7ステージ ©Massimo Paolone/LaPresse

ジロ・デ・イタリアに向けてこれまでにない状況を体験できた

「このティレーノ〜アドリアティコは、精神的にも大きく成長できたと思う。なぜなら、これまで寒さや雨の経験があまりなかったので、このような日が何日かあるはずのジロ・デ・イタリアに向けてこれが必要だったからだ」とアユソ。

「辛い瞬間もあったが、他のライダーも苦しんでいるのを見ると、それは学びの道だと感じた。それを乗り越えて、昨日のステージに集中し続けなければならないことはわかっていた。チーム、特にジロ・デ・イタリアでも一緒に走ってくれるイサーク・デルトロには大きな助けがあったし、彼に恩返しをするためにまた彼と一緒にレースをしたいと思っている。今年はプレッシャーがかかってきて、それが気に入っている」

2025ティレーノ~アドリアティコ第7ステージ ©Massimo Paolone/LaPresse

2位は勝利ではないけど、最高のパフォーマンスだった…総合2位ガンナ

「2位は勝利ではないけど、私のキャリアの中で最高のパフォーマンスの1つとなった。私たちはチームとして素晴らしい仕事をした。仲間たちは表彰台に立つチャンスを与えてくれた。彼らはそれを信じてくれた。今日はスプリントの前にいくつかのアタックを試みたが、私の後ろに選手がいた。ミラノ〜サンレモでもうまくやりたいと思っている」とガンナ。

ミランがティレーノ~アドリアティコ第7ステージ優勝 ©LaPresse
総合優勝のアユソ、左が2位ガンナ、右が3位ティベーリ ©Fabio Ferrari/LaPresse

ティレーノ〜アドリアティコ日程
3月10日 第1ステージ リド・ディ・カマイオーレ 11.5km(個人タイムトライアル)
3月11日 第2ステージ カマイオーレ〜フォッローニカ 192km
3月12日 第3ステージ フォッローニカ〜コルフィオリート(フォリーニョ) 239km★★
3月13日 第4ステージ ノルチャ〜トラサッコ 190km★★★
3月14日 第5ステージ アスコリピチェノ〜ペルゴーラ 205km★
3月15日 第6ステージ カルトチェート〜フロンティニャーノ(ウッシータ) 163km★★★
3月16日 第7ステージ ポルト・ポテンザ・ピチェーナ〜サンベネデット・デル・トロント 147km
★は難易度
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距離短縮の第7ステージでジョーゲンソン首位死守【パリ〜ニース】

第83回パリ〜ニースは3月15日、悪天候で距離短縮の109.5kmに変更されたニース〜オロン間で第7ステージが行われ、チューダープロサイクリングチームのマイケル・ストーラー(オーストラリア)が優勝。チームヴィスマ・リースアバイクのマッテオ・ジョーゲンソン(米国)が首位の座を守った。

マイヨジョーヌ・エ・ブランを守ったジョーゲンソン ©A.S.O. Billy Ceusters

距離が短縮されたパリ〜ニース第7ステージは、15人の逃げ集団が最大3分10秒の差をつけた。2021年に同様の状況でブエルタ・ア・エスパーニャでステージ2勝を挙げているストーラーは、チームメイトのジュリアン・アラフィリップにサポートされ、パリ〜ニースで初優勝を果たした。

マイヨジョーヌ・エ・ブランを着用するジョーゲンソン ©A.S.O. Billy Ceusters

優勝候補のグループが1分遅れでゴールしたことにより、ストーラーは総合順位で13位から4位に順位を上げた。首位を守ったジョーゲンソンは総合2位フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)に37秒のアドバンテージをもって最終ステージに挑むことになった。

2025パリ〜ニース第7ステージ ©A.S.O. Billy Ceusters

チームメートのアラフィリップに感謝している

「勝ててよかった! とても寒かったけど、素晴らしい1日となった。2度の世界チャンピオン(チームメートのアラフィリップ)が逃げ集団で走るなんて、毎日あることではない。本当に感謝している」とストーラー。

「当初の計画では、実はジュリアンが逃げ切る予定だった。私としては、直感に従って行動し、マルコ・ハラーとともに、適切なタイミングで適切な場所にいた。私たちは堅実なグループで先頭に立っていた。そして、その溝を埋めるためにジュリアンがそこにいてくれたのは素晴らしいことだった。今日は無線を持っていなかったが、彼は稀に見る知性を持った選手だ。彼はチャンスを察知し、我々の勝利の鍵となった。この作品を完結することができて本当にうれしい。総合順位が上がったのもうれしいボーナスだが、ステージ優勝は本当に素晴らしい」

2025パリ〜ニース第7ステージを走るジョーゲンソン ©A.S.O. Billy Ceusters

最終ステージは緊張するが、すでに昨年経験している

「パリ〜ニースは決して終わらないということを私たちはよく知っている。最終日が終わるまでは! 今日のような日はいつもストレスがたまり、簡単ではない。昨日とはなんの関係もなかったとしても、状況は厳しかった」とジョーゲンソン。

「しかし、すべてはうまくいき、我々の知る限り、状況は制御下にあった。このリードは明日の勝利に十分だと思うが、同時に最終ステージがいかに緊張するものかも分かっている。同時に、この最後の段階をすでに経験していることは私にとって有利なことであり、私はこのことを自覚した上で自分自身を表現したい。そして自信がある」

2025パリ〜ニース第7ステージを走るマイケル・ストーラー ©A.S.O. Billy Ceusters
マイケル・ストーラーが2025パリ〜ニース第7ステージ優勝 ©A.S.O. Billy Ceusters

第83回パリ〜ニース日程
3月9日 第1ステージ ル・ペレ・アンイヴリーヌ〜ル・ペレ・アンイヴリーヌ 156.1km
3月10日 第2ステージ モンテソン〜ベルガルド 183.9km
3月11日 第3ステージ シルキュイ・ド・ヌヴェール・マニクール〜ヌヴェール 28.4km)チームタイムトライアル)
3月12日 第4ステージ ヴィシ〜ラ・ロジュ・デ・ガルド 163.4km
3月13日 第5ステージ サンジュスト・アンシュヴァレ〜ラ・コートサンタンドレ 203.3km
3月14日 第6ステージ サンジュスト・アンサンタルバン〜ベールレタン 209.8km
3月15日 第7ステージ ニース〜オロン 109.5km
3月16日 第8ステージ ニース〜ニース 119.9km
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アユソが第6ステージ独走勝利でティレーノ~アドリアティコ首位に

イタリア半島の西側に広がるティレニア海と東側のアドリア海を結ぶ7日間のステージレース、第60回ティレーノ〜アドリアティコは3月15日、カルトチェート〜フロンティニャーノ(ウッシータ)間の163kmで第6ステージが行われ、2024年の総合2位、UAEチームエミレーツ・XRGのフアン・アユソ(スペイン)が独走勝利。

アユソがティレーノ~アドリアティコ第6ステージで独走して首位に ©Massimo Paolone/LaPresse

アユソは総合成績でも初日から首位に立っていたイネオス・グレナディアーズのフィリッポ・ガンナ(イタリア)を逆転して、紺碧のリーダージャージ、マリア・アッズーラを獲得した。

ティレーノ~アドリアティコ第6ステージ ©LaPresse

総合優勝の有力候補であるアユソは、ガンナの影に6日間隠れた後、最終日前日の山岳区間でマリア・アッズーラを取った。アユソはフロンティニャーノへの最後の上りの途中で加速。Q36.5プロサイクリングチームのトーマス・ピドコック(英国)とレッドブル・ボーラ・ハンスグローエのジャイ・ヒンドレー(オーストラリア)の反撃をかわし、13秒差をつけてフィニッシュ。ガンナは総合3位以内に留まった。

アユソに食らいつくピドコックとジャイ・ヒンドレー。ティレーノ~アドリアティコ第6ステージ ©LaPresse

ティレーノ〜アドリアティコはジロ・デ・イタリアに向けた最初のチェックポイント

「この日の戦術はチーム全員で練ったものだった。計画を立て、それぞれがそれにコミットした。完璧に実行することができた。私は非常に速いペースを望んでいた。バーレーン勢がペースアップを始めたが、それが不十分だとわかったのでアタックすることに決めた」とアユソ。

「チームは素晴らしい仕事をした。イサーク・デルトロは私を含む全員を限界まで追い込み、彼の最後の引きで私は攻撃する必要すらなかった。ペースを上げて一人で行くことができた」

「ティレーノ・アドリアティコはシーズン初めの大きな目標としていた。ジロ・デ・イタリアに向けて、自分を証明したいと思っていた。これは私が取りたかった最初の大きなステップであり、準備ができていると示すことができた。これは大きな前進だ。今年は3レースに勝った。これ以上のスタートはなかっただろう。冬の間に行った改善が効果を発揮し、レースにそれを反映させることが重要だった。ティレーノ〜アドリアティコはジロ・デ・イタリアに向けた最初のチェックポイントだ」

アユソが総合1位のマリア・アッズーラを獲得 ©Massimo Paolone/LaPresse
ピドコックがポイント賞1位に ©Massimo Paolone/LaPresse
ティレーノ~アドリアティコ第6ステージ ©LaPresse

ティレーノ〜アドリアティコ日程
3月10日 第1ステージ リド・ディ・カマイオーレ 11.5km(個人タイムトライアル)
3月11日 第2ステージ カマイオーレ〜フォッローニカ 192km
3月12日 第3ステージ フォッローニカ〜コルフィオリート(フォリーニョ) 239km★★
3月13日 第4ステージ ノルチャ〜トラサッコ 190km★★★
3月14日 第5ステージ アスコリピチェノ〜ペルゴーラ 205km★
3月15日 第6ステージ カルトチェート〜フロンティニャーノ(ウッシータ) 163km★★★
3月16日 第7ステージ ポルト・ポテンザ・ピチェーナ〜サンベネデット・デル・トロント 147km
★は難易度
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春夏の定番で使えるジャージを探しているならパールイズミのプリントもの

国際最大手の自転車ウエアメーカー、パールイズミが2025年春夏新商品としてプリントジャージ、女性用のUVプリントジャージを発売した。ピッタリしすぎないフィット感のジャージ。1万3200円、ワイドサイズは1万4300円。

今シーズンから薄手軽量素材を採用し、着心地も軽くなってアップデートされたプリントジャージとUVプリントジャージ。着こなしやすいシンプルなデザインとエモーショナルなグラフィックや、女性らしさを引き立てるプリントデザインに、適度なフィット感で、夏のライドには欠かせない吸汗速乾性とUVカット性能を備えた。さまざまなライドシーンにマッチする1着だ。メンズはチェストを2サイズ分、ウエストを3.5サイズ分アップしたワイドサイズもある。

W621-B / UV プリント ジャージ

621-B / プリント ジャージ

●パールイズミのホームページ

池田瑞紀がトラックネーションズカップ女子エリミネーション3位

池田瑞紀(楽天Kドリームス/早稲田大)が2025年3月14日にトルコのコンヤで開幕した自転車トラックネーションズカップの女子エリミネーションで3位になった。優勝はメキシコのヤレリ・アセベド。大会は3日間で16日まで。

2025 UCIトラックネーションズカップの女子エリミネーションを走る池田瑞紀 ©日本自転車競技連盟

女子チームスプリントでは、佐藤水菜(楽天Kドリームス/JPCU神奈川)、酒井亜樹(楽天Kドリームス)、仲澤春香(楽天Kドリームス/JPCU福井)がチームを組み、予選で47秒733の日本新記録。1回戦でドイツに敗れて6位になった。

2025 UCIトラックネーションズカップの女子エリミネーションを走る池田瑞紀 ©日本自転車競技連盟

男子チームスプリントは小原佑太(楽天Kドリームス/JPCU青森)、太田海也(楽天Kドリームス/JPCU岡山)、長迫吉拓(ブリヂストンサイクリング)で臨み、全体の2位で1回戦進出。42秒007の日本新記録でドイツに先着した日本は、英国との1-2位決定戦に進出。1走、2走と先行したものの、3走で逆転を許し僅差の2位。

池田瑞紀が2025 UCIトラックネーションズカップの女子エリミネーション3位 ©日本自転車競技連盟
2025 UCIトラックネーションズカップ女子スプリントの酒井亜樹、佐藤水菜、仲澤春香 ©日本自転車競技連盟

●自転車トラックネーションズカップ・トルコ大会のホームページ

前日負傷のヴィンゲゴーはスタートせず…ピーダスンがパリ〜ニース第6ステージ優勝

第83回パリ〜ニースは3月14日、サンジュスト・アンサンタルバン〜ベールレタン間の209.8kmで第6ステージが行われ、リドル・トレックのマッズ・ピーダスン(デンマーク)が集団スプリントを制して優勝。

ピーダスン(左)が2025パリ〜ニース第6ステージ優勝 ©A.S.O. Billy Ceusters

前日に落車で負傷したヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、チームヴィスマ・リースアバイク)はこの日出走せず。それでもチームメートのマッテオ・ジョーゲンソン(米国)が首位の座を守った。

新人賞のフロリアン・リポヴィッツはこの日終わると総合2位になる ©A.S.O. Billy Ceusters

ヴィスマ・リースアバイクが難敵アルメイダらを脱落させる

ヴィスマ・リースアバイクは総合2位のヴィンゲゴーを失うスタートとなったが、この暗い天候を巧みに利用した。ジョーゲンソンのチームメイトは下り坂で集団を粉砕。単独で逃げていたグルパマFDJのレミ・カヴァニャ(フランス)を吸収しただけでなく、40秒遅れのジョアン・アルメイダ(ポルトガル)と1分05秒遅れのブランドン・マクナルティ(米国、ともにUAEチームエミレーツ・XRG)、55秒遅れのレニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス)といった総合順位の上位選手をふるい落とした。

ステージ終盤の4分の1をリードした17選手がゴール勝負に挑んだが、すでにスーダル・クイックステップのティム・メルリールは脱落していて、ピーダスンがゴール勝負を制した。総合成績ではジョーゲンソンが首位を守り、新人賞ジャージを着るレッドブル・ボーラ・ハンスグローエのフロリアン・リポヴィッツ(ドイツ)が40秒遅れの総合2位に浮上した。

2025パリ〜ニース第6ステージ、冷たい雨の中でのレースとなった ©A.S.O. Billy Ceusters

周到な作戦を立ててそれを実行できたことがうれしい

「今朝、チームで立てた計画を忠実に実行したという事実に感銘を受けた。ルートを調べて戦略を決めた。我々がこのような状況に最適なチームを持っていることは分かっていた。それを最大限に活用して、天候的には非常に暗い1日を、少なくとも結果的には素晴らしい経験に変えることができてうれしい」とジョーゲンソン。

「ダウンヒルのときに十分な風があるかどうかを確認した。何度か振り返って後続との差を見つけたので、そこからゴールまでは全力でペダルをこぐだけだった。週末に向けていい位置にいる。明日のステージを全速力で攻めて、この黄色いジャージをニースに持ち帰らなければならない」

2025パリ〜ニース第6ステージ ©A.S.O. Billy Ceusters

難しいことは多いが表彰台に残りたい(リポヴィッツ)

「チームは常に先頭に立って素晴らしい仕事をした。私たちがこの小さなグループの中にいるのを見つけることができてうれしかった。本当に本当に大変な1日だった。とても寒かった。週末は多くの大きな課題があり、非常に厳しいものになる。いろいろなことが起こると思うが、表彰台に残り続けたいと思っている」とリポヴィッツ。

2025パリ〜ニース第6ステージ ©A.S.O. Billy Ceusters
2025パリ〜ニース第6ステージ ©A.S.O. Billy Ceusters

第83回パリ〜ニース日程
3月9日 第1ステージ ル・ペレ・アンイヴリーヌ〜ル・ペレ・アンイヴリーヌ 156.1km
3月10日 第2ステージ モンテソン〜ベルガルド 183.9km
3月11日 第3ステージ シルキュイ・ド・ヌヴェール・マニクール〜ヌヴェール 28.4km)チームタイムトライアル)
3月12日 第4ステージ ヴィシ〜ラ・ロジュ・デ・ガルド 163.4km
3月13日 第5ステージ サンジュスト・アンシュヴァレ〜ラ・コートサンタンドレ 203.3km
3月14日 第6ステージ サンジュスト・アンサンタルバン〜ベールレタン 209.8km
3月15日 第7ステージ ニース〜オロン 147.8km
3月16日 第8ステージ ニース〜ニース 119.9km
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