【ツール・ド・フランスファム第5S】フォレリングがまさかの落車で首位陥落

ツール・ド・フランスファムは8月15日、ベルギーのバストーニュからフランスのアムネビルまでの152.5kmで第5ステージが行われ、首位デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム)が残り6km地点で落車に巻き込まれた。1分47秒遅れの50位でゴールするのがやっとで、総合成績で1分19秒遅れの9位に陥落した。

マイヨジョーヌのフォレリングをライバルチームのキャニオン・スラムが取り囲む ©A.S.O. Charly Lopez

SDワークス・プロタイムのチームメートで、ハンガリーチャンピオンのカタブランカ・バシュが、キャニオン・スラムレーシングのカタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド)とのゴール勝負を制して初優勝。バシュは4月のラ・ブエルタフェメニーナでも首位に一時首位に立った注目の若手選手。東京五輪でMTBで4位、パリ五輪ではロードレース4位、MTBで10位。

総合成績では前日まで34秒遅れの総合3位につけていたニエウィアドマが首位に立った。

2024ツール・ド・フランスファム第5ステージ ©A.S.O. Charly Lopez

メダルを逃したパリ五輪と同じミスはしたくなかった(バシュ)

「無線が機能していなかったので、後ろでなにが起こっているのか分からなかった。デミがクラッシュしてマイヨジョーヌを失ったので残念で、今は複雑な気持ち」とバシュ。

「4位でメダルを逃したパリ五輪と同じミスをしたくなかった。とても苦しんだが、小さなグループにいれば勝てるかもしれないと分かっていた。五輪では先頭でレースしていたので、とても自信が持てた。だから今は調子がよければ勝てると思う」

2024ツール・ド・フランスファム第5ステージ ©A.S.O. Charly Lopez

とにかく前方にいることが重要だった(ニエウィアドマ)

「今日のステージは全体的にとてもカオスだった。これまでのステージはすべてとても慌ただしかったので、とにかく前にいなければならないと分かっていた」というニエウィアドマ。

「最初のステージでクラッシュに巻き込まれたので、事故やカオス、クラッシュを避けるためにとにかく前にいることを心がけた。だから、いいポジショニングと周りにチームメイトがいたおかげで首位に立てたのだと思う」

2024ツール・ド・フランスファム第5ステージ ©A.S.O. Thomas Maheux
2024ツール・ド・フランスファム第5ステージ ©A.S.O. Thomas Maheux
山岳賞のパック・ピーテルス ©A.S.O. Thomas Maheux
2024ツール・ド・フランスファム第5ステージで首位を譲り渡したフォレリング ©A.S.O. Charly Lopez

シマノがツール・ド・フランスとの契約を2028年まで延長

大阪府堺市に本社を置く自転車パーツメーカーのシマノと、ツール・ド・フランスを主催するアもリ・スポルト・オルガニザシオン(A.S.O.)は、自転車競技への取り組みを強調する動きとして、パートナーシップ契約を4年間延長し、2028年末まで継続することを発表した。

ニュートラルサポートをこなすシマノ。スタッフ7人で役割分担する

2021年3月に創業100周年を迎えたシマノは同年からツール・ド・フランスのニュートラルメカニックを担当すそ。これまでフランスのマビック社が務めていたが、2021年からニュートラルカーは黄色から水色に変わった。

両社のコラボレーションはツール・ド・フランスだけでなく、ツール・ド・フランスファム、ブエルタ・ア・エスパーニャ、パリ〜ルーベなどのワンデーレースなどを含める。さらにエタップ・デュ・ツール ド フランスなどの一般参加イベントも加わり、2028年まで世界最大のレースをサポートする。

2021パリ〜ニースのニュートラルアシスタンスはシマノ ©A.S.O. Fabien Boukla

ツール・ド・フランスディレクターのクリスティアン・プリュドムは、「プロとアマチュア両方のサイクリング界のキープレーヤーであるシマノとのパートナーシップを継続できることをうれしく思う」とコメント。

「彼らの技術的専門知識と革新への取り組みは、私たちが主催するレースの成功に不可欠な資産。彼らのプロフェッショナリズムは、すべてのライダーに最適で公平な条件を保証する。この更新は、私たちがお互いに抱いている相互信頼を反映している」と述べた。

何度となく取材で通ったシマノ本社。取り壊して新社屋を建設する計画があるという
シマノ 世界を制した自転車パーツ

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【ツール・ド・フランスファム第4S】パリ五輪MTBでメダルを逃したピーテルス優勝

ツール・ド・フランスファムは8月14日、オランダのファルケンブルクからベルギーのリエージュまでの122.7kmで第4ステージが行われ、フェニックス・ドゥクーニンクのパック・ピーテルス(オランダ)が首位デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム)をゴール勝負で制して優勝。

2024ツール・ド・フランスファム第4ステージを制し、山岳賞でも1位になったパック・ピーテルス ©A.S.O. Charly Lopez

ピーテルスはMTBやシクロクロスの強豪選手で、2024パリ五輪ではMTBクロスカントリーオリンピックで4位。わずかにメダルに届かなかった。

2024ツール・ド・フランスファム第4ステージ ©A.S.O. Charly Lopez

「デミ(フォレリング)を相手にスプリントで勝てたのは本当に夢が叶ったようなもの。彼女が総合優勝を狙っているのは知っていたし、私はステージ勝利のためにここにいるだけだから、元気なうちにポーカーフェイスを保ってスプリントで勝つようにした」とピーテルス。

カタジナ・ニエウィアドマ(左)とパウリナ・ロイジャッカーズ ©A.S.O. Thomas Maheux

「勝てて本当にうれしい。このために生きているんだ。パリ五輪に向けてたくさん練習してきたから、このレースでもかなり走れる脚力がある」

2024ツール・ド・フランスファム第4ステージ ©A.S.O. Charly Lopez
2024ツール・ド・フランスファム第4ステージ ©A.S.O. Charly Lopez
2024ツール・ド・フランスファム第4ステージ ©A.S.O. Charly Lopez

【連載第4弾】ヒマラヤ未踏峰プンギ遠征までの陰の道のり

記事の連載が就職活動のピークもあり、滞っていて申し訳ありません。どうも、未踏峰遠征隊で渉外・会計・記録を務めております、横道文哉です。基本的には隊員全員に仕事を分配して作業をしていますが、ネパールのトレッキング会社への交渉や航空券の手配、VISAや予算案の作成など、渡航にあたっての主要な手続きは主体となって行っております。私は幸運ながらも機会に恵まれ、今回の遠征は2回目となりますが、1回目の遠征の手続き業務は目立った情報もなく手探りの状況であったため、難航した記憶があります(笑)。そこで、今回はこれから未踏峰遠征に限らず、ネパールに海外遠征を企画しようとしている人たちも参考になるような、ヒマラヤ遠征の手続きのあれこれについて、紹介したいと思います。

目指すのは未踏峰プンギ

予算案の作成。物価は実際どうなのか

ヒマラヤ遠征にはお金がかかります。しかし、どこで節約できるのか、相場を知っておくと無駄な支出を抑えられるので2024年の大まかなネパールの物価について紹介したいと思います。

宿泊費(カドマンズ):衛生面を無視できるのであれば、一泊500npr程度、約500円前後でドミトリーなどで過ごすことができます。しかし、そこから遠征に向かう場合、体調不良などは避けたいと思う人がほとんどだと思うので、AgodaやBooking.comなどを参照してもらえるとわかるのですが、タメル地区で1500円~2500円程度で綺麗な部屋に泊まれるので、そちらをお勧めします。

1泊1人500円のドミトリー

食費(カトマンズ): とても安い!!という訳でもなく、外国人宿街のタメル地区であれば500npr前後した覚えがあります。いかに日本が安くておいしいかというのを思い知らされました。ネパール料理も向き不向きはあると思いますが、ダルバートやチョウメンなど日本人の舌に合いやすい食事も多く、首都であるという点において、ピザやケバフなどさまざまなレストランがある印象が強かったです。朝食は無難にホテルで済ませるのが得策だと思います。

カトマンズの食事はとても安い!というわけでもない

宿泊費(トレッキング):ツインルームで500~2000npr、エベレスト街道は高くなる傾向もあるのでもう少し予算を多めに取ることを推奨します。

食費(トレッキング):泊まるロッジにもよるが、朝食200nprから、昼食、夕食はおおよそ500nprでお腹いっぱいにダルバートが食べられたりする。以下の画像を参照されたい。

ロールワリンでのロッジの価格表

交渉はここから! トレッキング会社編

ネパールにおけるヒマラヤ遠征において、登山手続きや特定地域入域許可取得手続き、BCや頂上まで案内してくれるガイド・スタッフの手配(給料、保険、ヘリ保険、装備)は必須である。昨年、ガイドからネパールにおける無許可登山による外国人遭難者の増加により、BCまでのガイドの同伴が義務になったような話を聞くと、諸手続きをアレンジしてくれるトレッキング会社との契約は避けられないと考えてもいいだろう。

ネパールにおいて登山産業は大きな財源でもあり、富裕層の商業登山も増えた影響で行く山によってその価格は変わるものの、予算の大半はこのトレッキング会社への費用になることが多い。 日本では基本的にモノの値段が決まっていることが多いが、海外では値引き文化が強く根付いている。そのため、言われた金額を2つ返事で返してしまうと、相当な金額を損する場合があるので、トレッキング会社と契約をする際に高額な金額を提示された場合には、予算に応じて値引き交渉をすることを勧める。

タメル地区でトレッキング会社に電話

基本的に全ての行程を至れり尽くせりな環境で行えるパッケージプランを最初に提示されることが多いだろう。予算に余裕があり、残金を計算しながらトレッキングをしたくない人にはお勧めのプランである。まだ学生であるからか、私は少々割高な印象を持つことが多い。そのため、トレッキングにおける宿泊費と食費を全て自分たちで払う場合の方が大幅な減額を望めるので、まずにそのような交渉をするのがいいと考える。ただ交渉において、過度な値引きは禁物である。トレッキング会社と良好な関係も登頂成功率に関わってくるのは言わずもがな。交渉学における相手のBATNAを見極めることも重要であるが、サービスが雑になる可能性があるため、値引きはほどほどにするべきだろう。以下に交渉テクニックをいくつか抜粋して紹介する。

0.パッケージプランではなく、カトマンズやトレッキング中に発生する宿泊費、食費を自己負担にしたいことを伝える。

1.先に強気な値段を提示する。(序盤に提示した双方の金額の中間あたりで落ち着くことが多い。)

2.同時並行で進めている他社の見積もりを引け合いに出して、より安い金額を求める。

3. 他の遠征隊を紹介する。

4. トレッキング費用に出せる金額を伝える(うまく行かない場合の最後の一押しの値引き)。

トレッキング会社の選定は山岳会や所属団体のOBOGからの紹介や他登山隊の報告書から選ぶといいだろう。

航空券、実は穴場なあの航空会社

日本からネパールへの直行便の数は少なく(ネパール航空など)、高額になる傾向がある。そのため、サービスもよく意外と安い、キャセイパシフィック航空とシンガポール航空を紹介したい。

キャセイパシフィック航空は香港の航空会社であり、香港乗り換えで首都カトマンズに向かうことができる。優良航空会社の1つであり、サービスもよく選択肢の1つに組み込むべきであろう。

キャセイパシフィック航空の機内食。香港→カトマンズの食事だからか少し辛かった

シンガポール航空は毎年の航空会社格付においてANAやJALを差し引いて上位に位置する航空会社であり、エコノミークラスであっても席がふかふかであったり、食事が美味しいなど、サービスがトップクラスな航空会社であることがうかがえる。なによりも衝撃なのが、その価格がキャセイパシフィック航空と同様に他の航空会社よりも安価にあることである。さらに、学生登山隊にぜひ紹介したい学割制度がシンガポール航空にあり、今回のプンギ遠征隊は平均往復10万円という価格で航空券を購入することに成功している。学割制度は航空券が2割引きで購入することができ、預け荷物も40kgまで上限が高いことも魅力の一つである。さらに1回限りになるが、片道の航空券の変更手数料が無料という、遠征期間が変動する可能性にある登山隊にとってはとてもうれしい特典がある(注意点として航空券の差額は払わないといけない)。

コロナ禍も明け、海外渡航が簡単になったからこそヒマラヤ遠征を目標にしている大学山岳部は多いと考える。しかし、影に隠れがちな手続きのノウハウ不足は学生にとって困難な壁の一つでもあると考える。そこで、この記事を通して社会人登山隊ももちろんであるが大学山岳部の遠征手続きの助けになればうれしい限りである。

隊員名簿

横道文哉(よこみちふみや)
役職:渉外(輸送)、会計(海外)、記録(メイン)
所属:立教大学体育会山岳部(部内学年4年 副将)
実績:槍ヶ岳西稜(無雪)、屏風岩雲稜ルート(無雪)、槍ヶ岳中崎尾根(12月)、      
Ramadung Peak(5925m) 5555m敗退、裏同心ルンゼ(1月)

ヒマラヤ未踏峰に挑む特集サイト(Contents一覧)

中沢将大、横道文哉、井之上巧磨、尾高涼哉、芦沢太陽。羽田空港にて

【ツール・ド・フランスファム第3S】連覇を目指すフォレリングがTTを制して首位に

ツール・ド・フランスファムは8月13日、オランダのロッテルダムなどで集団スタートの第2ステージ(距離69.7km)、個人タイムトライアルの第3ステージ(6.3km)が行われ、大会連覇を目指すデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム)が個人タイムトライアルでトップタイムを記録。

トップタイムを叩き出したデミ・フォレリング ©A.S.O. Thomas Maheux

フォレリングはこの日の前半戦として行われた第2ステージ終了後の総合成績、20秒遅れの総合24位から一気に首位に立ち、DSMフィルメニッヒポストNLのシャルロット・クール(オランダ)からマイヨジョーヌを奪った。

2024ツール・ド・フランスファム第3ステージ ©A.S.O. Charly Lopez

「個人タイムトライアルでは期待していなかったので、第2ステージをフィニッシュしてから二度寝した」というフォレリング。

「じつは翌日のリエージュのことばかり考えていた。リエージュ〜バストーニュ〜リエージュが得意なのでわたしの出番だと思っていた。まさか優勝できるとは思っていなかったけど、家族が喜んでくれてうれしかった」

マイヨジョーヌのシャルロット・クールがタイムトライアルを走る ©A.S.O. Thomas Maheux
デミ・フォレリングが暫定1位のホットシートに座る ©A.S.O. Charly Lopez
デミ・フォレリングが第3ステージでマイヨジョーヌを獲得 ©A.S.O. Charly Lopez

【ツール・ド・フランスファム第2S】マイヨジョーヌのクールがスプリント制覇

女子版のツール・ド・フランス、ツール・ド・フランスファムは8月13日、オランダのドルドレヒトからロッテルダムまでの第2ステージが行われ、第1ステージで首位に立ったDSMフィルメニッヒポストNLのシャルロット・クール(オランダ)が連勝。マイヨジョーヌを守った。

マイヨジョーヌのシャルロット・クールが第2ステージ優勝 ©Rafa Gomez/SCA/Cor Vos 2024

この日は集団スタートの第2ステージ(距離69.7km)、個人タイムトライアルの第3ステージ(6.3km)が行われるというプログラム。まずはクールがゴール勝負を制して首位を堅持した。

第2ステージのスタートで声援に応えるマイヨジョーヌのシャルロット・クール ©A.S.O. Thomas Maheux
2024ツール・ド・フランスファム第2ステージ ©A.S.O. Thomas Maheux
オランダを走るツール・ド・フランスファム第2ステージ ©A.S.O. Charly Lopez