創業から93年目の京都の自転車ブランドVIGORE(ビゴーレ)を手がけるビゴーレ・カタオカは、3代目フレームビルダー片岡聖登の手により一つひとつ製作するハンドメイドフレーム「70next」(ナナゼロネクスト)を6月23日より受注開始する。
日本の美意識を伝える漆芸家服部一齋とのコラボモデルも
VIGOREで1970年代から受け継がれるクラシカルなデザインでありながら、クロモリ製ロードバイクのレーサーとしての走行感を最大限に引き出した。価格は完成車1台79万9700円~(内税)、 フレーム&フォークは1台37万4600円~(内税)の完全受注製作。「70next」をベースとした、 京都の漆芸家服部一齋との記念コラボモデル「70next 知足」(ナナゼロネクスト ちそく)も同時発売する。
これからのもののあり方を考える自転車を
ビゴーレ・カタオカは1929年に京都で創業。1963年にはオリジナルブランド「VIGORE」を興し、国内初の独自ブランドショップを展開した国内フレームビルダーの老舗。無駄を削ぎおとし、必要なものだけを残すという哲学の下、ものづくりをしてきた。
創業100年を前に、先代から受け継がれた想いを見つめなおし、これからのモノのあり方を考えるための自転車をつくりたいという想いから開発が始まる。鍛えあげられた技術でこそ性能が発揮できるラグ溶接で職人がひとつひとつ手工業で製作。VIGOREのスチールフレームの原点である1970年代のクラシカルなデザイン設計でありながら、最新のレーサー感の乗り味を楽しめる自転車が完成した。
日本の美意識を伝える
ビルダー片岡がこれまで培った技術の粋を集め、新たに開発したクロモリ製ロードバイク「70next」。VIGOREで1970年代から受け継がれるラグ溶接を採用したデザイン設計をベースに、最新のクロモリ素材とコンポーネントパーツでレーサーの走行感を最大限に引き出した。 片岡の手でひとつひとつ製作し、次のメッセージを込めた。
余分なものを削ぎ落とし、本質を追求した先に生まれる機能美。日本のものづくりにおいてその哲学・美意識は受け継がれてきた。そうした想いでつくられたものを人々は大切な何かを感じ、ていねいに扱ってきた。その感性を今改めて見つめ直すという想いをこめ、漆芸家服部とのコラボモデル「70next 知足」も販売。見るたび、乗るたびその想いが伝わる自転車になることを願っているという。
クラシカルで新しい美しさ
全体のデザイン、ラグ、ヘッドバッヂ、エンドキャップ、そしてエンド接合部の仕上げまで1970年代から受け継がれた技術とデザインを再現。そこから不要なものは削ぎ落とし、必要なものだけを磨き込むVIGOREのデザイン設計の原点を改めて突き詰め、VIGOREらしい美しさを実現した。
高い走行性を実現するフレーム
クラシカルなラグ溶接が抱える、溶接時の熱による軟化の課題に対応するため、フレーム素材にはKAISEI 8630Rを使用。KAISEI 8630Rは肉薄で軽量な素材でありながら、クロモリにニッケルが配合されているので、溶接時の熱で結合部に剛性が生まれる。これがクロモリのしなやかなバネ感と合わさり、乗り手の力を前に進む力に変換。この溶接時の熱による組織変化を最適な範囲に留め、素材の力を最大限に引き出せるよう、片岡が長年鍛え上げた職人技でひとつひとつ手工業で製造。
軽量で操作性の高いコンポーネントパーツ
伝統的な技術や仕様を応用しながらも、最高の乗り味を体感できるよう推奨完成車モデルのコンポーネントパーツは、SHIMANO ULTEGRA Di2キャリパーブレーキ仕様を採用。STIレバーがコンパクトになり、ハンドルがより握りやすく、軽量となった。さらに、電子制御のためにワイヤの抵抗感も減少したことで、ロードレーサー本来のハンドリング感と走行感を実現した。この最新のコンポーネントパーツは、見た目にもVIGOREらしいシンプルなデザインと調和。まさに、機能性も美しさも兼ね備えた完成車となった。
メッセージを伝えるフレーム
日本で脈々と受け継がれてきた「余計なものを削ぎ落とし、本質を追求した先に生まれる機能美」。日本のものづくりにおいてその哲学・美意識は脈々と受け継がれてきた。そのような意識でつくられたものに、人々は大切な何かを感じ、そしてていねいに扱ってきた。
モノに溢れた時代。極めて利便的な世の中だが、手軽になんでも手に入れることで、逆に大切なものを失っていないか。今あらためてこの地で受け継がれた哲学や感性を見つめ直すことは、ものの選び方、ものとの過ごし方の変化につながり、そして目に見えないものを大切にする豊かな生活にも繋がるのではないかと考えたという。
このVIGOREの想いを、強いメッセージ性とともに表現した自転車が「知足」(ちそく)。今、満ち足りていることを改めて認識し、本当に自身が気に入ったもの、美しいと感じたものを大切に扱うことで人々の時間がより豊かなものとなるように、そして人々の足の一部となる自転車という道具をもっと深く知り愉んでもらいたいという想いで「知足」と名づけたという。
漆芸家服部一齋×フレームビルダー片岡聖登
奈良時代より永く受け継がれてきた蒔絵や螺鈿などの漆芸の技術を鍛え、進化させてきた漆芸家服部一齋。ものそのものの魅力を最大限に際立たせたいという想いのもと漆芸と向き合う服部の描くデザインは、自転車フレームそのものの構造と一体化し、VIGOREで受け継がれてきた、細部にわたる線と曲線の美しさを際立たせる。
漆芸と自転車で生み出された研ぎ澄まされた美しさは、時間をかけて紡がれるものに溢れる京都という地で培われたその感性を最大限に表現されている。まさに「知足」にかける想いを体現したものが完成した。
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