チクリッシモNo.61は第106回ツール・ド・フランス特集

レースの本場、欧米に軸足を置き、取材現場直送のコンテンツを届ける国内唯一の自転車ロードレース専門誌チクリッシモ。8月26日(月)発売のNo.61の特集は第106回ツール・ド・フランス 21日間の神話。

チクリッシモNo.61の特集は第106回ツール・ド・フランス

総合王者の証であり、大会の象徴でもあるマイヨジョーヌが採用されてから100年の節目となった2019年大会のすべてを伝える。近年まれに見る接戦となった大会の裏側を見せるスペシャル企画満載の号。

特別付録は2本立て! 「ツール2019出場22チームジャージステッカー」と「総合覇者E・ベルナル/チーム イネオスの両面刷りポスター」。チームジャージ複製シールの図柄は、2019年大会バージョン。特別デザインのチームがいくつかあるので、ディテールの違いを本誌No.59(選手名鑑号)掲載のイラストと比べて確認してみると楽しい。

総合覇者E・ベルナル/チーム イネオスの両面刷りポスター
総合覇者E・ベルナル/チーム イネオスの両面刷りポスター

砂田弓弦監修 自転車ロードレース・マガジンciclissimo(チクリッシモ)2019 No.61
■発売日:2019年8月26日(月) ■付録とも定価:1,480円【税込】■A4ワイド判 ■全116ページ ■発行元:(株)八重洲出版

■主な内容
●特集 総括 マイヨ・ジョーヌ百年戦争
今大会の主役たち〜E・ベルナル、G・トーマス、S・クラウスウェイク、P・サガン、R・バルデ、J・アラフィリップ
第106回ツール・ド・フランス全21ステージ詳報
注目チーム・クローズアップ〜チーム イネオス、チーム ユンボ・ヴィスマ
“集団”大解剖! プロトンの本質
本誌監修者・砂田弓弦のツール雑記帳
ツール・ド・フランス2019 チームバイク大図鑑
●パワートレーニング最前線〜新城幸也のパワーデータ
●チーム イネオス専属マッサーコラム「旅の空から」

ツール2019出場22チームジャージステッカー

●八重洲出版のホームページ

バンクリーグ名古屋ラウンドが8月23日に開催へ

国内最高峰の自転車ロードレース「Jプロツアー」に参加するチームを中心に、リーグの発展と自転車ファンの拡大、地域振興を目的として立ち上げたトラックを利用した新しいサイクルレース、「バンクリーグ」の最初の大会が8月23日(金)、名古屋競輪場で開催される。

ロード選手がトラックを走るバンクリーグ
2019年より本格始動する自転車トラックレース対抗戦
自転車競技の発展と振興を目的に、UCIコンチネンタルチームを中心としたプロチームによるトラックレース対抗戦。国内各競技場での開催により、ロードレースの枠を超え各種サイクルスポーツのファン層拡大を図るとともに、「観戦型スポーツ」としての魅力の向上、さらにはそれを発信していくツールとして、出場チームが全力で取り組んでいきたいという。
バンクリーグの特徴
選手が使用するのはロードバイクだ
ルールはシンプルで分かりやすく、接戦が予想されるバンクリーグオリジナルの「3ポイントゲーム」を採用 。プロレーサーの走りをバンク間近で観戦、体感。レースだけでなく、ファンと開催地域の人々とがふれあうことのできるさまざまな催しをレース前やレース中に企画。これまでにない「参加型サイクルイベント」。会場ではフード・ドリンクの販売、バンクリーグオリジナルグッズの販売。

バンクリーグオリジナル「3ポイントゲーム」

チーム同士の対戦型で、各チームからの出走人数は3~4人を予定。スタートから2周をニュートラル周回とし、3周回目からポイント周回を設定。以降は隔周(3, 5, 7, 9, 11周)をポイント周回とする。
ポイント周回では、1位通過した選手の所属チームにポイントが付与され、3点先取したチームが勝利。
最小で7周回、最大で11周回で競われるが、開催競輪場によって周長(1周あたりの距離)が異なり、レース展開や戦術に変化が生まれることが見込まれる。
バンクリーグ 名古屋round
開催日:8月23日  
開催地:名古屋競輪場(愛知県名古屋市中村区中村町字高畑68)  

タイムテーブル:  
17:00〜 開場  
18:00〜 オープニングセレモニー  
18:15〜 予選レース  
19:45〜 ハーフタイムイベント(競輪選手が登場予定)  
20:15〜 決勝  
20:30〜 エンディングセレモニー  

※レース進行状況により、時間が変動する場合あり
ファンと開催地域の人々がふれあうことのできる、さまざまな催しを企画
名古屋round 参加チーム
・宇都宮ブリッツェン(栃木県)  
・那須ブラーゼン(栃木県)  
・チーム ブリヂストンサイクリング(静岡県)  
・マトリックスパワータグ(大阪府)  
・シマノレーシング(大阪府)  
・KINAN Cycling Team(和歌山県・三重県・愛知県)
名古屋round チケット情報
■バンクリーグ自由席 
●前売券  
通常価格 1,800円  
会員価格 1,500円  
こども価格 900円  
こども会員価格 500円  

●当日券  
通常価格 2,000円  
こども価格 1,000円  

■VIPエリアチケット 
●前売券  
通常価格 4,800円  
会員価格 4,500円  
こども価格 2,400円  
こども会員価格 2,000円  

●当日券  
通常価格 5,000円  
こども価格 2,500円
※前売券特典:バンクリーグ2019オリジナル チーム・選手缶バッチ付
※VIPエリアチケット特典:バンク内VIPエリアから観戦可能、ウェルカムフード&ワンドリンクサービス
※会員価格:バンクリーグ会員(一般財団法人日本サイクルスポーツ振興会運営)へ登録(無料)すると、会員価格で購入が可能。
場外フード・ドリンク・イベントコーナー
■フードカー 
人気の「名古屋めし」を中心にバンクリーグを「食べながら、飲みながら」楽しんでいただけるフード、ドリンクコーナーを16時よりオープンいたします。  

■バンプトラック無料試乗コーナー 
こども達にBMX競技の楽しさを体験してもらえる、パンプトラックを用意。どなたでも気軽に参加していただけます。  

■チームカー展示コーナー 
参加6チームのチームカーをイベントスペースに特別展示いたします。選手とバイクともに各地を転戦しているレースカーを間近で見るチャンスです。フォトスポットとしても楽しめます!

2019年シーズン開催日程
Round 1 8月23日(金) 名古屋競輪場
Round 2 8月30日(金) 松阪競輪場(三重県)
Round 3 9月23日(祝・月) 広島競輪場
Round 4 10月21日(月) 宇都宮競輪場(栃木県)

■バンクリーグ2019「完全制覇」シーズンパックチケット 
4大会すべてをこの目で見届けたい!というファンのための限定チケット。名古屋・松阪・広島・宇都宮全てのチケットを特別価格でセット販売いたします。あわせて、前半の2大会(名古屋・松阪)のパックチケットの販売いたします。  

●シーズンパック(自由席)  
4大会 自由席パック 会員価格4,000円  

●シーズンパック(VIP席)  
4大会 VIP席パック 会員価格15,000円  

●TOKAIパック(自由席)  
名古屋・松阪2大会 自由席パック 会員価格2,500円  

●TOKAIパック(VIP席)  
名古屋・松阪2大会 VIP席パック 会員価格8,500円

■「集まれサイクリスト! 選手と走ろう」バンク走行会参加権付きチケット 
4大会直前のバンク内を走行体験できるバンク走行会の参加権をセットにしたチケットです。1日を通じてバンクリーグを満喫したいサイクリストには最適なチケットです。途中、選手の参加も予定されていますのでどうぞご期待ください。  

●バンク走行会参加権付き(自由席)  
会員価格 3,000円  
こども会員価格 1,500円

エリア・ビビアーニが4代目欧州チャンピオンに

UEC(ヨーロッパ自転車競技連合)のヨーロッパ選手権は2019年8月11日、オランダのアルクマールでエリート男子ロードレースが開催され、イタリアナショナルチームのエリア・ビビアーニが優勝。イブ・ランパールト(ベルギー)、パスカル・アッカーマン(ドイツ)とともに集団を抜け出し、ゴール勝負を制した。

エリア・ビビアーニが欧州チャンピオンに ©Dario Belingheri/BettiniPhoto©2019

残り65kmで3選手を含む13人が第1集団を形成。残り25kmでここからビビアーニ、ランパールト、アッカーマンが抜け出した。チームメートで前大会の覇者マッテオ・トレンティン(イタリア)は33秒遅れとなったメイン集団の抑え役に回り、7位に入った。

オランダのアルクマールで開催された欧州選手権 ©Luca Bettini/BettiniPhoto©2019
エリート男子ロードは距離172.6km ©Luca Bettini/BettiniPhoto©2019
欧州選手権最終日はエリート男子ロード ©Luca Bettini/BettiniPhoto©2019

ヨーロッパ自転車競技連合は1995年創立。現在は50の国と地域が加盟している。当初はU23男子を対象とした大会だったが、2016年からはエリート男子と女子も追加。個人ロードと個人タイムトライアルが開催されている。

2019 UEC欧州選手権エリート男子ロード ©Dario Belingheri/BettiniPhoto©2019
2019 UEC欧州選手権エリート男子ロード ©Dario Belingheri/BettiniPhoto©2019

エリート男子ロードのこれまでの優勝者は、スロバキアのペテル・サガン(2016)、ノルウェーのアレクサンドル・クリストフ(2017)、イタリアのマッテオ・トレンティン(2018)。2020年は現在のドゥークニンク・クイックステップからフランスのコフィディスに移籍するビビアーニは4代目のエリート男子チャンピオンとなる。

2020年の欧州選手権は9月9日から13日までイタリアのトレントで開催される。

2019 UEC欧州選手権エリート男子ロード ©Dario Belingheri/BettiniPhoto©2019
2019 UEC欧州チャンピオンジャージを着用したエリア・ビビアーニ ©Luca Bettini/BettiniPhoto©2019

椿大志がおおいたアーバンクラシックで日本勢最高の5位

大分市で8月11日まで開催された「J:COM presents OITAサイクルフェス!!!2019」。この日はメインレースとなる「おおいた アーバンクラシック」が行われ、5選手で挑んだKINAN Cycling Teamは椿大志が日本人選手最上位となる5位でフィニッシュ。前日の「おおいた いこいの道クリテリウム」に続く上位フィニッシュを決めた。また、終盤に追い込んだ山本元喜も7位と続き、2選手がUCIポイントを獲得した。

椿大志がおおいたアーバンクラシックで5位 ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

前日は大分駅前で「おおいた いこいの道クリテリウム」が実施され、積極策を実らせた椿大志が2位入賞。ハイスピードかつテクニカルなコースでの戦いで、優勝こそ逃したがよい形で終えることができている。

連戦となるこの日は、前日とは打って変わってアップダウンの連続する変化に富んだレイアウトが特徴的。1周11.6kmのコースは住宅街を抜け、周回終盤に控えるハードな上りは勝負どころになる可能性も高い。これを13周回・150.8kmのレース距離に加えて、気温30度を超える暑さも相まって、サバイバル化することが予想された。

このレースへは、クリテリウム同様に国内外の18チームがエントリー。KINAN Cycling Teamからは、山本元、椿のほか、大久保陣、山本大喜、中島康晴の5選手がスタートラインへ。なお、UCIアジアツアー1.2クラスにカテゴライズされ、トップ10フィニッシュでUCIポイントが付与される重要レースでもある。

戦前の予想通りとなったレースは、3周目に20人の先頭グループが形成される。スタート直後から集団前方に位置し、あらゆる動きに対応できる態勢を整えたKINAN勢は、山本元と椿が20人のグループに加わる。有力チームのほとんどが最低でも1人は選手を先頭へと送り込んだこともあって、後続に対してリードを得ながら進行していく。

実質の追走グループとなった第2集団では、先頭へメンバーを送り込むことができなかったチームや、全戦への厚みを加えたいチームがアシスト陣を使って前を目指す。この中には山本大と中島が待機する形に。先頭グループと第2集団とのタイム差は1分台で推移した。

形勢に変化が生まれたのは7周目。1分台だった両グループの差は一気に3分台にまで開くと、第2グループではこの状況を嫌った選手たちによるアタックが散発。出入りが激しくなる中、9周目に中島を含む4人が追撃を本格化。徐々に先頭グループとのタイム差を戻していき、11周目を終える頃には約30秒差にまで縮小させた。

タイミングを同じくして、先頭グループでも動きが出始める。11周目に入って1人がアタック。これをきっかけに、勝負どころを見据えた動きが少しずつ見られるようになる。それでも決定打はないまま進んでいき、山本元と椿は重要局面に備えて落ち着いて走り続けた。

そして残り2周、序盤から続いた先頭グループの態勢についに変化が訪れた。アタックをきっかけに椿らが反応すると、5人がそのまま抜け出すことに成功。残された選手たちは牽制状態となり、椿ら5人がそのままリードを広げていく。その後、後ろから3選手がブリッジを成功させて先頭グループは8人と膨らむが、後続に対してリードを広げて逃げ切る構え。この周回の終盤に1人が飛び出すと、さらに活性化し、優勝争いは完全に椿らのグループに絞られることとなった。

迎えた最終周回。先行していた選手をキャッチし、この時点で先頭グループは6人まで絞られる。各選手が勝負どころを探る中、残り3kmで椿がアタック。下りを利用して加速を狙うが、ここは優勝争いのライバルたちの厳しいチェックにあってしまう。これに代わって残り2kmから1人が加速し、椿は追う側へ。残り500mを切ってコーナーを過ぎると、あとはフィニッシュまでの上り基調。

最後の上りへ5番手で入った椿だったが、先に最終コーナーを過ぎた4人の勢いには勝てず。残り300mから始まった上りスプリントにはわずかに加わることができなかった。それでも番手を下げることなく、5位を確保。前日のクリテリウムに続く上位進出を決めた。

この結果により、椿は今大会の日本人選手最上位に。先着4選手がいずれもUCIアジアツアーでのライバルでもあり、あと一歩のところで敗れたことを悔やんだが、連日で一定の成果を残したあたりは大きな収穫に。これにより、UCIポイントで15点を獲得した。

優勝争いの後方では、山本元が抜け出すことに成功し、最終的に7位でフィニッシュ。こちらもUCIポイント圏内で、5点を獲得している。また、中盤から猛追した中島は18位。先頭グループ合流目前で動きがあったことから、最後まで前を追うことを余儀なくされたが、粘り強く走り切っている。

これで、大分での2連戦は終了。椿の連続上位進出をメインに、UCIポイント合計20点を獲得するなど、日本人選手だけでのメンバー編成でも戦えることを示した機会となった。ビッグレースが控える今後に向けても、各選手の状態のよさも含めて戦力・戦術の幅が広がっていくことが期待できる。

KINAN Cycling Teamの次戦は、8月19日から23日までのツール・ド・インドネシア(UCIアジアツアー2.1)。チーム力や総合力が試されるタフな戦いに挑むことになる。出場選手については近日中に発表を予定している。

J:COM presents OITAサイクルフェス!!!2019 おおいたアーバンクラシック(150.8km)結果
1 ドリュー・モレ(オーストラリア、トレンガヌ.INC・TSGサイクリングチーム) 3時間36分31秒
2 マラルエルデネ・バトムンフ(モンゴル、トレンガヌ.INC・TSGサイクリングチーム)+0秒
3 イーヴァン・バートニク(カナダ、エックススピードユナイテッドコンチネンタル)+3秒
4 ニコラス・ディニズ(カナダ、エックススピードユナイテッドコンチネンタル) +6秒
5 椿大志(KINAN Cycling Team) +10秒
6 今村駿介(チームブリヂストンサイクリング) +28秒
7 山本元喜(KINAN Cycling Team) +1分21秒
18 中島康晴(KINAN Cycling Team) +3分0秒
DNF 山本大喜(KINAN Cycling Team) 
DNF 大久保陣(KINAN Cycling Team)

椿大志のコメント

椿大志

「本当に悔しい。レース展開や脚の具合からして、どうやっても勝てる手ごたえがあった。最後はみんな疲れている様子が見てとれたので、思い切ってアタックしたがチェックされてしまい、よくない状況から抜け出せなくなってしまった。結果的に余力の差が出てしまった。チームとしてはプラン通り走ることができ、みんなそれぞれに重要な動きには対応できていた中で勝負を託してもらったが、自分がやるべき仕事の部分で力負けしてしまった。
“完全復活”というには、まだまだあと二段階くらいは上げていく必要があると思っている。この先のレースプログラムが多数控えているので、シーズン後半の形をしっかりと作りたい。
個人的には久々にレースができている感覚がある。UCIポイント獲得については、今回は最低限。もちろんゼロで終わってしまうよりマシなので、チーム全体としてよい結果だったとポジティブにとらえたい」

●キナンのホームページ

ダイネーゼがU23、ピエテルスが女子の欧州チャンピオンに

UEC(ヨーロッパ自転車競技連合)ヨーロッパ選手権は2019年8月10日、オランダのアルクマールで2クラスの個人ロードレースが開催され、女子ロードは地元オランダのアミ・ピエテルスが、男子U23ロードはイタリアのアルベルト・ダイネーゼが優勝した。

欧州選手権女子ロード。先頭からエレーナ・チェッキーニ、リサ・クライン、アミ・ピエテルス ©Dario Belingheri/BettiniPhoto©2019

女子ロードはピエテルス、イタリアのエレーナ・チェッキーニ、ドイツのリサ・クラインが先行し、3人のゴール勝負をピエテルスが制した。

オランダのアミ・ピエテルスが欧州選手権女子ロードを制した ©Luca Bettini/BettiniPhoto©2019

U23は大集団によるゴール勝負となり、アルベルト・ダイネーゼがデンマークのニクラス・ラールセン、エストニアのライト・アルムを制して優勝した。

欧州選手権U23のゴールスプリント ©Dario Belingheri/BettiniPhoto©2019

ヨーロッパ自転車競技連合は1995年創立。現在は50の国と地域が加盟している。当初はU23男子を対象とした大会だったが、2016年からはエリート男子と女子も追加。個人ロードと個人タイムトライアルが開催される。

エリート男子ロードのこれまでの優勝者は、スロバキアのペテル・サガン(2016)、ノルウェーのアレクサンドル・クリストフ(2017)、イタリアのマッテオ・トレンティン(2018)。

最終日となる11日にはエリート男子ロードが開催される。

欧州選手権U23ロード ©Luca Bettini/BettiniPhoto©2019
欧州選手権U23を制したアルベルト・ダイネーゼを中央に左が2位ニクラス・ラールセン、右が3位ライト・アルム ©Dario Belingheri/BettiniPhoto©2019
欧州選手権女子ロードを制したアミ・ピエテルスを中央に左が2位エレーナ・チェッキーニ、右が3位リサ・クライン ©Dario Belingheri/BettiniPhoto©2019

椿大志がおおいたいこいの道クリテリウムで2位

大分県大分市を舞台とする自転車の祭典「OITAサイクルフェス!!!2019」が8月10日に幕開け。この日のメインイベント「おおいた いこいの道クリテリウム」が大分市街地にて行われ、5選手が臨んだKINAN Cycling Teamは椿大志が2位入賞。優勝こそ逃したが、レース序盤、後半と効果的な動きを成功させ、積極策を実らせた。

椿大志が「おおいたいこいの道クリテリウム」で2位  ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

レースイベントとして国内はもとより、海外からの注目度も高まっている今大会。2019年もクリテリウムに始まり、翌日にはUCI公認のロードレース「おおいたアーバンクラシック」が実施される。今回は国内外から18チームがエントリー。これまでの秋開催から真夏へと移行し、より熱く、より華やかにレースや関連イベントが展開されていくことになる。

大分での2連戦にあたり、KINAN Cycling Teamは山本元喜、椿大志、大久保陣、山本大喜、中島康晴の5選手を招集。オール日本人編成で勝利を狙っていくことになる。

「おおいた いこいの道クリテリウム」は、大分駅前の目抜き通りを使って1周1kmのサーキットコースを設定。これを30周する総距離30km。オールフラットで、レースの重要ポイントとなるのは180度ターンと4カ所の鋭角コーナー。勝敗を分けるのは、コーナーワークとポジショニングとなる。周回最後のコーナーからスタート・フィニッシュが置かれるコントロールラインまでは約350m。スプリント勝負が予想される中で、このコーナーをどの番手でクリアするか、そして緩やかなカーブになっているフィニッシュ前でいかに最短ラインを確保できるかも上位進出へのカギとなる。

レースはまず、序盤の探り合いから5人がリードを開始。この中に椿が乗り、プロトンの活性化につなげる。メイン集団に残った4選手もスタートから前方を固め、レース展開を見ながら動きを定めていく構え。椿が加わった逃げグループは、1回目の中間スプリントが設定された10周目を前に集団へと引き戻されたが、チームとして上々の形でレース前半の流れを作った。

1回目の中間スプリントを狙った動きから、2選手が新たにリードを開始。10秒から15秒ほどのタイム差でメイン集団は続く。やがて1人、また1人と先を行く2人を追う動きが見られ始め、力のある選手たちが逃げグループへと合流していく。

選手たちが着々と残り周回を減らしていく中、このレースの重要な局面が残り8周で訪れた。新たに形成された4人の追走グループに椿がジョイン。再び前をめがけてスピードを上げた。この動きを成功させると、先頭グループは一気に8人に膨らんだ。複数メンバーを送り込んだチームを中心に逃げ切りに向けた機運を高めると、メイン集団とのタイム差は20秒ほどに拡大。集団ではスプリントを狙うチームを中心にペーシングを本格化させるが、勢いづく先頭グループとの差は簡単には縮まらない。椿は先頭交代のローテーションに加わりながらも、余裕をもってハイペースに対応。レース終盤に向け、態勢を整えていく。

メイン集団に残ったKINANメンバーでは、残り3周で山本元がアタックを試み先頭への合流を狙うが、厳しいチェックにあい集団へと戻る形に。残り2周では山本大が集団からリードを奪ったが、スプリンターチームにその差を埋められ、集団へと引き戻されてしまう。

一方で形勢を優位にしたのは、椿らの先頭グループ。1人が脱落し、7選手で最終周回へと突入。後続とのタイム差を維持し、逃げ切りを濃厚なものとさせた。

そして運命の最終局面。ここで持ち前のスピードを発揮したのは、2選手を先頭に送り込んだチームブリヂストンサイクリング。窪木一茂選手からのホットラインで今村駿介選手が抜け出し、そのままフィニッシュへ。椿はこの2選手をマークし、最後の直線で今村選手を追ったがわずかに届かず。それでも他選手の追撃は許さず、2番手を確保。2位を確定させ、表彰台の一角を押さえてみせた。

椿にとって、今シーズン初となる上位進出。昨シーズンからけがや不調で不本意な時期を過ごしてきたが、いよいよ本来あるべき姿に戻ってきた。順調にトレーニングを積み、それをレースで発揮したところは本人はもちろん、チームにとっても大収穫のレースとなった。かたや、「詰めが甘かった」と椿が反省するように、あと一歩勝利に届かなかった点もチーム全体が真摯に受け止めている。

椿以下、メイン集団でスプリントに備えた残りの4人では、中島が12位。山本元、大久保、山本大もフィニッシュラインを通過し、出走全選手がしっかりと完走を果たしている。

翌11日は、大分スポーツ公園へ主会場を移して「おおいた アーバンクラシック」へ。周辺の住宅街を縫って進んでいくコースセッティングで、アップダウンが連続する変化に富んだレイアウトも特徴。1周11.6kmのコースを13周回する、総距離150.8kmで争われる。こちらはUCIアジアツアー1.2クラスの国際公認レースで、上位10選手にUCIポイントが付与される。クリテリウムを終えたKINAN Cycling Teamは、このよいムードを本戦ともいえるロードレースにつなげていくことになる。タフな戦いを得意とするチームの真価を発揮すべき一戦だ。

おおいたいこいの道クリテリウム(30km)結果
1 今村駿介(チームブリヂストンサイクリング) 41分30秒
2 椿大志(KINAN Cycling Team) +0秒
3 窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング) 
4 イーヴァン・バートニク(カナダ、エックススピードユナイテッドコンチネンタル) 
5 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン) 
6 内間康平(チームUKYO) 
12 中島康晴(KINAN Cycling Team) +21秒
38 山本大喜(KINAN Cycling Team) +37秒
49 大久保陣(KINAN Cycling Team) +51秒
55 山本元喜(KINAN Cycling Team) +1分12秒

椿大志のコメント
「序盤と中盤は逃がすと危険だと感じる動きだけチェックするようにしていて、チームとしては残り10周から確実に動いていこうという考えだった。結果的に逃げ切りとなった動きは、力のある選手たちが飛び出したので、対応できるポジションにいた自分がチェックにいった感じ。先頭が8人になった時点で、そのまま逃げ切りを決めようとしている選手が多くいたのと同時に、メイン集団の動きも見えていたので、自分の感覚でも“これは決まったかな”と思いつつ走っていた。あとは脚を残しながら、最後に備えていた。

今まで、調子が良いのに上手くいかないことが続いていて、ここにきてようやくかみ合ってきたかなと思えている。レース中に余裕が生まれているあたりは個人的にも大きな部分。この結果は自信につながる。チームとしても暑さの中でのタフなレースは得意なので、サバイバル化する中でも連携をとりながら戦っていきたい。個人的にも最後までしっかり残って結果につなげたい」

●キナンのホームページ