アルメイダ悲願の区間V、トーマスがマリアローザ奪還…ジロ・デ・イタリア

全23日間で開催される第106回ジロ・デ・イタリアは5月23日、サッビオキエーゼ〜モンテボンドーネ間の203kmで第16ステージが行われ、1分30秒遅れの総合4位ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)がステージ優勝。

アルメイダがトーマスを制してガッツポーズ ©Gian Mattia D’Alberto/LaPresse

同タイムの2位でゴールしたゲラント・トーマス(英国、イネオス・グレナディアーズ)が首位に返り咲いた。トーマスは2位アルメイダに18秒差、3位プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)に29秒差とした。

2023ジロ・デ・イタリア第16ステージ ©Fabio Ferrari/LaPresse

5月22日に国際規定である2度目の休息日を過ごし、いよいよ最後の6日間の戦いとなった。23日の第15ステージはサッビオ・キエーゼ〜モンテ・ボンドーネ間の203km。1級、3級、2級、2級の峠を越え、ゴールとなる標高1632mの1級山岳モンテ・ボンドーネに上る。

総合1位のマリア・ローザを着用するのは、第14ステージで一躍首位に立ったグルパマ・エフデジのブルーノ・アルミライル(フランス)。1分08秒遅れの総合2位にゲラント・トーマス(英国、イネオス・グレナディアーズ)、1分10秒遅れの同3位にプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)、1分30秒遅れの4位にヤング・ライダー賞1位のジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)がつけている。

2回目の休息日にリモート記者会見に臨んだアルミライルは、「チームエースは依然としてティボー・ピノであり、彼がステージ優勝するか総合成績の上位でフィニッシュするようにアシストする」と決意を明かした。

ジロ・デ・イタリア最終週もアルミライルの役割とチームの計画は変わっていないという。

「このマリア・ローザはある意味でボクのボーナスなんだ。ティボーのために働いて、運よく獲得したものだからだ。このあとのボクの役割は、マリア・ローザをできるだけ長く保つこと。そしてマリア・ローザを失ったら、ティボーとできるだけ緊密に連携して、ステージ優勝するか、可能な限り最高の総合順位を獲得できるようサポートしたい」とアルミライル。

アルメイダ、トーマス、ログリッチが最後の山岳で勝負 ©Fabio Ferrari/LaPresse

この日は気温20度の好天のなかをスタート。すぐさまアタック合戦となり、12人の先頭集団が形成される。メイン集団はログリッチを擁するユンボ・ヴィスマ勢がペースメーク。たまらずマリア・ローザのアルミライルが脱落。エースのピノも総合成績の上位選手らに着いていくことができない。この日の勝負どころ、最後の山岳であるモンテ・ボンドーネの中腹で追走集団はすべての逃げ選手を捕らえた。

この日はステージ優勝争いが総合優勝の行方に直結する展開となる。UAEチームエミレーツ、ユンボ・ヴィスマのアシスト陣が主導権争いを展開し、そしていよいよエースたちのつばぜり合いが始まった。白熱のシーンは天気が悪化して雨模様となった。

アルメイダが残り6km地点でアタックすると、すかさずトーマスが反応してアルメイダを追い抜く。ログリッチはアシスト役のセップ・クス(米国)に牽引されながらも苦しいレースとなる。トーマスとアルメイダは後続に置き去りにしたログリッチに差をつけることで協力体制を取った。しかしその差は30秒ほどだ。

最後はトーマスとアルメイダのスプリント争いとなり、アルメイダが先着。タイム差なしでトーマスがゴール。ログリッチは必死に追い上げて25秒遅れの区間3位でゴールした。

この結果、ボーナスタイムは1着アルメイダが10秒、2着トーマスが6秒、3着ログリッチが4秒を獲得。総合成績ではトーマスが3ステージぶりに首位に返り咲き、2位アルメイダに18秒、3位ログリッチに29秒差とした。

アルメイダはプロコンチネンタルチーム時代の2018年、U23版ジロ・デ・イタリアで総合2位、ヤング・ライダー賞1位で注目された逸材だ。2020年ジロ・デ・イタリアはドゥクーニンク・クイックステップの代役エースとして出場。初日の個人タイムトライアルでフィリッポ・ガンナに次ぐ2位につけ、山岳区間の第3ステージで首位に浮上。それから15日間もマリア・ローザを着用した。

トーマスとアルメイダが協力してログリッチに差をつける ©Fabio Ferrari/LaPresse

アルメイダにとって初グランツールだったこの2020ジロ・デ・イタリアは、当時サンウェブのジャイ・ヒンドレー(オーストラリア)とウィルコ・ケルデルマン(オランダ)がマリア・ローザを着回しし、最終的にイネオス・グレナディアーズのテイオ・ゲオゲガンハート(英国)が総合優勝。アルメイダは総合4位だった。2021年も総合6位でレースを終えた。

ただしステージ優勝にはいつもわずかに届かず、ジロ・デ・イタリアでは2020年と2021年の大会で4回も2位に。ジロ・デッミリアでも2位2回、2022ブエルタ・ア・ブルゴス総合2位、ブエルタ・チクリスタ・ア・カタルーニャで2回の3位とあと一歩の成績ばかりだった。

「何度も2位、3位に入賞したボクにとって、グランツールでのステージでの初優勝は大きな意味がある」とアルメイダ。

「最後は約9〜10%のかなり急な登りで、できる限りの走りに徹した。トーマスがロケットのようにやってきたことに少し驚いた。最後まで苦しかったので、総合成績のことを考えずに全力を尽くしてトーマスとの一騎打ちに挑んだ」

「ステージ優勝できたことはボクのキャリアにおける重要な前進だ。この勝利がさらなる自信につながる。今回のジロ・デ・イタリアに勝てるチャンスはあると思うけど、ログリッチとトーマスがいるので決して簡単ではない」

首位に返り咲いたトーマスは、「ログリッチは100%ではないような気がした」と、先行したアルメイダに追従する判断をした。

「アルメイダとフィニッシュに向かって一緒に働いたのがよかった」

一方、重要なアシスト役であるパベル・シバコフがこの日リタイアして、「彼を失うことは明らかに理想的ではない。チームにとって大きな戦力だった」とトーマスは残念がる。

「願わくば、明日の平坦ステージはスプリントの日となってほしい。最終日までにまだ山岳ステージが2日間も残っているからね」

マリアローザを奪還したトーマス ©Gian Mattia D’Alberto/LaPresse

山岳賞はEFエデュケーション・イージーポストのベン・ヒーリー(アイルランド)が76.8km地点の1級山岳をトップ通過するなどで、山岳ポイントを獲得。総得点は164点となり、エオーロ・コメタのダヴィデ・バイス(イタリア)の144点を逆転して、アイルランド選手として初めての山岳賞ジャージを獲得した。

バーレーン・ヴィクトリアスの新城幸也は42分44秒遅れの102位でゴール。総合成績は3時間50分44秒遅れの125位。チーム賞で1位を堅持するとともに、ダミアーノ・カルーゾ(イタリア)がマリア・ローザもうかがえる位置の2分50秒遅れの総合4位につける。

また、第2ステージで区間勝利したジョナサン・ミラン(イタリア)は、その日手中にしたポイント賞ジャージを一度も手放すことなくキープしている。

アルメイダが待望のステージ優勝 ©Gian Mattia D’Alberto/LaPresse

●4賞ジャージ
マリアローザ(個人総合成績)ゲラント・トーマス(英国、イネオス・グレナディアーズ)
マリアチクラミーノ(ポイント賞)ジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
マリアアッズーラ(山岳賞)ベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)
□マリアビアンカ(新人賞)ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)

第15ステージにもどる≪≪   ≫≫第17ステージにすすむ

パールイズミがガチでロードウエア発売…モデルに小林海起用

パールイズミが新シリーズ「GACH」を2023年春夏コレクションの受注販売として2023年6月11日までの期間限定で行う。

ベースカラーはブラックや、ダークカラーのグラデーションを採用。強さを感じるイメージにした。スペイン語で「真剣」や「チャレンジ」などのメッセージをスポンサーロゴ風にアレンジし、ウェアの各所にレイアウトすることでプロチームのウェアのようなビジュアルに仕上げた。

マトリックスパワータグの小林海(まりの)

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荘司ゆうがBMXフリースタイルワールドカップフランス大会で初優勝

UCI BMXフリースタイルワールドカップ第2戦が5月17日から21 日にフランスのモンペリエで開催され、BMXフラットランド男子で荘司ゆうが初優勝。 2位が早川起生、佐々木元(鎌ケ谷巧業)が5位になった。

荘司ゆうがBMXフリースタイルワールドカップフランス大会で初優勝 ©UCI

BMXフラットランドは強化指定選手の佐々木、早川、荘司、伊藤真人、中川きらら、川口朔来の6名が参戦。予選から全員が活躍を見せる中、決勝では荘司が力を発揮し、大会初優勝を飾った。

荘司ゆうがBMXフリースタイルワールドカップフランス大会で初優勝 ©UCI

さらに男子・早川と女子・中川が準優勝、女子・川口が3位と、4名の日本人が表彰台に上がった。

早川起生がBMXフリースタイルワールドカップフランス大会で2位 ©UCI

BMXフリースタイル・パークは男子100名、女子38名のライダーが集まり大会が行われた。日本からは中村輪夢、溝垣丈司、小澤楓、寺林昌輝、内藤寧々が日本代表として派遣された。

大会は雨によりたび重なるスケジュール変更を行いながら開催された。 特に男子は、セミファイナルが急きょファイナルに変更となり、中村・溝垣・小澤の3名を含む24名で行われることになった。ジャンプランプのない特徴的なパークに苦戦しながらも、決勝では中村が攻め切り6位。

女子の内藤寧々は準決勝敗退となり、15位で大会を終えた。また、強化育成指定選手で、2022年国際大会ジュニアクラスで優勝経験のある松本翔海(14)、小澤美晴(14)もFISE Montpellierに参戦。今回はジュニアよりレベルが高いアマチュアクラスにエントリーしていたが、天候不良のため全日程がキャンセルとなった。

マクナルティ初V、アルミライルが首位を守って終盤戦へ…ジロ・デ・イタリア

第106回ジロ・デ・イタリアは5月21日、セレーニョ〜ベルガモ間の山岳区間195kmで第15ステージが行われ、UAEチームエミレーツのブランドン・マクナルティ(米国)がEFエデュケーション・イージーポストのベン・ヒーリー(アイルランド)とイスラエル・プレミアテックのマルコ・フリーゴ(イタリア)を抑えてグランツール初優勝。

フリーゴ、ヒーリー、マクナルティ。2023ジロ・デ・イタリア第15ステージ ©Fabio Ferrari/LaPresse

総合成績では、前日に首位に立ったグルパマFDJのブルーノ・アルミライル(フランス)が32位でゴールしてマリアローザを守ったものの、総合2位ゲラント・トーマス(英国、イネオス・グレナディアーズ)ら有力選手に33秒詰め寄られた。

5月22日は大会2回目の休養日。23日から最終週が再開し、28日にローマでフィナーレを迎える。

2023ジロ・デ・イタリア第15ステージ ©Fabio Ferrari/LaPresse

大会第2週の最後となる山岳ステージ

5月21日はアスタナ・カザクスタンチームのマーク・カヴェンディッシュ(英国)の38回目の誕生日でもあった。ツール・ド・フランスでは史上最多タイとなるステージ34勝と2011年・2021年ポイント賞を獲得しているが、ジロ・デ・イタリアでも2013年にポイント賞に輝き、区間通算16勝の実績を持つ。スタート前にはバースデーケーキがプレゼントされ、多くのカメラマンに囲まれた。

この日のコースはイタリアの自転車文化を牽引し続けるミラノにも近く、沿道にはコルナゴ一族がスマホを片手に陣取り、選手たちの走りを動画撮影してアップするなども。天気予報で心配された雨も収まり、久しぶりの陽光に恵まれて選手たちの半袖ジャージ姿も見られた。

この日のステージは区間勝利をねらう選手たちと、マリア・ローザを争う選手たちに分かれて2つのレースが同時展開された。翌日に2回目の休息日が設定されていて、これまで勝ち星をつかめていない選手たちが積極的に動いた。自らの成績のために自由を与えられ、フィニッシュを目指す17選手が第1集団を形成した。

この中から抜け出したのがヒーリー、フリーゴ、マクナルティで、最後の山岳で三つ巴の戦いに展開していく。ヒーリーが単独になって山岳ポイントを越えると、マクナルティがこれに追いつき、フリーゴもそれに合流しようと必死でペダルを漕ぐ。

こういったコースを最も得意とするのはヒーリーだ。ヒーリーは何度もアタックをするが、マクナルティはその攻撃のひとつひとつに見事に反応した。勝負は2人の一騎打ちと見られたが、最後の最後にフリーゴが追いついた。フリーゴはその勢いでゴール勝負を先行して仕掛けるが、ヒーリーも追従。そして3番手の位置からスプリントしたマクナルティがフィニッシュラインのわずか手前で2選手を逆転してステージ優勝を飾った。

2023ジロ・デ・イタリア第15ステージは好天 ©Fabio Ferrari/LaPresse

マクナルティはグランツールでのステージ初優勝となるが、2022年はパリ〜ニース第5ステージで優勝していて、437日ぶりの勝利となった。2019年にはジロ・ディ・シシリアの第3ステージ勝利と総合優勝を勝ち取った実績がある。山岳に強く、ツール・ド・フランスでは2021年と2022年に出場し、アシスト役としてエースの動きをサポートしている。

米国勢としてのステージ優勝は15回目。初勝利はロン・キーフェルが1985年の第15ステージで勝っている。

「いい日だった。ようやく晴れたけど、アップダウンの多いハードなステージだった」とマクナルティ。

「ゴール勝負でも一生懸命レースをした。最後は意地の張り合いだった。ヒーリーは最後の長い登りでスパートを仕掛けたので、彼に追いついて勝てるかは自信がなかった」

後続のフリーゴに追いつかれないように、2人でローテーションし、石畳と短い登りでペースアップするヒーリーにマクナルティが食らいつく。何度も困難な状況になりながらも脱落しなかったのが勝利の要因だ。

「かなり苦しんだけど、スプリントするパワーは十分残っていた。ジロ・デ・イタリアでこれまでも何度か逃げのチャンスがあったが、今日は優勝するしかないと思っていた。沿道のファンがボクを励ましてくれた」

一方の総合優勝争いも最後の山岳で動きがあった。前日にマリア・ローザをグルパマ・エフデジのブルーノ・アルミライル(フランス)に譲ったゲラント・トーマス(英国、イネオス・グレナディアーズ)ら有力選手がマリア・ローザを突き放しにかかったのだ。

有力選手を含むこのメイン集団はレース中盤ですでに6分の差を第1集団につけられていた。マリア・ローザを獲得するために重要な第3週が始まる前に無理をすることなく、優勝候補を擁するチームは揃ってゴールラインを通過することがこの日の目標だった。

自転車レースが盛んな北イタリアを走る ©Fabio Ferrari/LaPresse

そういった状況の中で、1分41秒遅れの総合2位トーマス、1分43秒遅れの総合3位プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)らが最後の上りでペースアップすると、首位アルミライルは遅れ始めた。

「総合上位を目指す有力選手は、最後の登りで激しくレースをした。ボクは彼らに着いていくにはかなりの無理があることを知っていた。チームエースのティボー・ピノには、ボクが落ちても待たないようにと言っていた」とアルミライル。

「最後の坂でふるい落とされたが、最後まで全力を尽くした。大勢の群衆にあおられて感情に夢中にならないように集中した。あとはダウンヒルしてのフィニッシュなので1分40秒を失う可能性はほとんどないことはわかっていた」

23秒以内でつばぜり合いするログリッチ、アルメイダ、トーマスが石畳を走る ©Fabio Ferrari/LaPresse

アルミライルは結局ステージ32位でゴール。トーマスら有力選手に33秒詰め寄られたものの、この日はマリア・ローザを守った。ログリッチもトーマスから依然2秒遅れの位置で休息日を迎えることになった。まさに嵐の前の静けさだった。

「マリア・ローザ最初の日は特別だった。多くの選手がこの日のボクが置かれた状況を体験したいと思っている。チームメートに守られてなんとかジャージを保持することができた。第3週は非常に複雑になることもわかっている。火曜日以降は、優勝候補の間で大きな戦いがあり、素晴らしい光景が展開されるだろうね」(アルミライル)

山岳賞はエオーロ・コメタのダヴィデ・バイス(イタリア)がトップを守った。ヤング・ライダー賞はUAEチームエミレーツのジョアン・アルメイダ(ポルトガル)で、総合成績でも1分30秒遅れの4位につけている。

マクナルティがヒーリーとフリーゴを制して2023ジロ・デ・イタリア第15ステージ優勝 ©LaPresse

バーレーン・ヴィクトリアスの新城幸也は29分44秒遅れの117位でゴール。総合成績は3時間09分02秒遅れの130位。ジョナサン・ミラン(イタリア)のポイント賞1位の座と、チーム成績1位に大きく貢献する走りを続けている。

5月22日は大会2回目の休養日。23日から最終週が再開し、28日にローマでフィナーレを迎える。

●4賞ジャージ
マリアローザ(個人総合成績)ブルーノ・アルミライル(フランス、グルパマFDJ)
マリアチクラミーノ(ポイント賞)ジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
マリアアッズーラ(山岳賞)ダヴィデ・バイス(イタリア、エオーロ・コメタ)
□マリアビアンカ(新人賞)ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)

ブルーノ・アルミライルがマリアローザを守った ©Gian Mattia D’Alberto/LaPresse

第14ステージにもどる≪≪   ≫≫第16ステージにすすむ

サドルバッグが背負えるようになると輪行が格段にラクになる

R250の新商品として防水サドルバッグが発売されたが、改良に次ぐ改良を加えた輪行マイスターの自信作は輪行する際にはシートポストから取り外して背中に担げるというアイデア。日本人に合うサイズ感も追及している。

R250 防水サドルバッグ2 ハイブリッド ラージ グレー/ブラック

R250 防水サドルバッグ2 ハイブリッド ラージ グレー/ブラック

溶着された防水タイプなので、雨でも安心サドルバッグ 輪行中はバックパックにも変身

R250の防水サドルバッグシリーズの日本人向けラージサイズ。身長165cm以下の人が乗るロードバイクでも取り付けられる大型サドルバッグとして開発された。それ以上の身長にも対応。

独自の防水コーティングされたファブリック素材を、縫製ではなく溶着することで防水を実現している。糸による縫製を行わず、素材を重ね合わせて溶着させる独自の技術だという。防水のレベルは、IPX6(暴噴流に対して保護。)相当。

輪行中はバックパックにも変身。ショルダーストラップを1本だけにすれば、ワンショルダータイプにもなる。

R250 防水サドルバッグ2は背負える

サドルレール用バックルはロック付き(デュラフレックス製)。ロックなしに比べて緩みにくくなった。型くずれしにくいように、芯材を多く使用。内側には中身が見やすいように黄色い生地を採用。ちょうど芯材が入っている部分だ。

開口部はロールトップバックルなので、ジッパーが壊れるといった心配はない。両サイドのR250ロゴと、後部のリフレクターテープは再帰反射タイプ。夜間車のライトに反応して光る。

シートポストとサドルのレールに取り付けする。ペダリング時に太ももの裏側が当たりにくいように、前側は細くデザイン。開口部は上向きに巻いても、下向きに巻いてもリフレクターとテールライト取り付け用クリップが出るデザイン。

ウインドブレーカーなど軽いものをちょっと引っかけておくことのできる、バンジーコード付き。エアロシートポストにも対応するように、シートポスト用ベルトは長短2種類が付属。

サイズ 横(上から見て)5.5~22cm×長さ(前後)33~43cm×高さ11~13cm ロールアップを開いた状態の長さは50cm ロールアップの幅は38cm
サドルのレールの下から後輪までの長さが13cm以上が取り付けられる目安。簡易泥除けにもなる。

容量:5~7L
素材:600D/TPU
重量:370g (ショルダーストラップ40gは別)
販売価格:12,100円(税込)

R250 防水トップチューブバッグ2 ハイブリッド レギュラー グレー/ブラック

走行中にさっと中身を取り出せる、便利ポケット。ロードバイクにフィットする細さが人気

R250 防水トップチューブバッグ2 ハイブリッド レギュラー グレー/ブラック

2023年5月にモデルチェンジ。ダボ穴にも対応するハイブリッドタイプに進化した。フォークコラムへの取り付けをフロート構造にすることで、ハンドルリングに影響を受けないトップチューブバッグになった。ベルトの取り付けが独特。トップチューブとステム(フォークコラム)に取り付ける。スマホや補給食等を入れるのに便利。

独自の防水コーティングされたファブリック素材を、縫製ではなく溶着することで完全防水を実現。糸による縫製を行わず、素材を重ね合わせて溶着させる独自の技術。

フォークコラムの角度にピッタリ沿うオリジナルデザイン。さらに、コラムスペーサーへの取り付けには、ベルトを2本にすることでバッグの揺れを抑えた。スペーサーを付けずにステムを一番下まで下げている場合は、上側のベルトは外すこともできる。上面が平らなトップチューブにも、丸いトップチューブにも安定するように、底の硬さとベルクロの形状を工夫。

止水ジッパーを使用しているので、少しの雨なら大丈夫。ジッパーの取っ手は指を入れるだけで引っ張ることのできるタイプ。特に冬のグローブで便利。予備バッテリーを入れたときに便利な、コードを通す穴も。最初に穴が開いていない場合は、溝に沿ってカッターで切り込みを入れればいい。

両サイドのR250ロゴはリフレクター素材。夜間車などからの視認性は抜群。全体に芯材を仕込んでいるので、型崩れがしにくい。内側の生地が黄色なので、中身が見えやすい。使い勝手を考えると、中の仕切りはあえてない。

ダボ穴付きトップチューブに取り付ける場合は、バッグの底側のベルクロは使用せず。ダボ穴の位置は、キャノンデールとジャイアントを基準。一部メーカー・年式・モデルによっては異なる場合がある。ダボ穴ボルトは附属しない。ボトルケージ用ボルトと同じ5mmピッチのボルトだが、頭部形状は丸キャップ頭が出っ張らないのでおすすめ。

R250の防水サドルバッグ2と防水トップチューブバッグ2

素材:ポリエステルタスロン、ポリエステル100% 裏面PUコーティング
サイズ:長さ210mm x 高さ100~70mm x 幅40mm
重量:105g
カラー:杢グレー/ブラック
販売価格:4,950円(税込)

デンツ2勝目、アルミライルがまさかのマリアローザ…ジロ・デ・イタリア14S

第106回ジロ・デ・イタリアは5月20日、スイスのシエッレからイタリアのカッサーノマニャーゴまでの193kmで第14ステージが行われ、ボーラ・ハンスグローエのニコ・デンツ(ドイツ)が少人数のゴール勝負を制し、第12ステージに続く大会2勝目を挙げた。

ブルーノ・アルミライルがマリアローザ ©Massimo Paolone/LaPresse

首位ゲラント・トーマス(英国、イネオス・グレナディアーズ)を含むメイン集団は21分11秒も遅れ、ステージ勝利を目指して先行していたグルパマFDJのブルーノ・アルミライル(フランス)が一躍首位に立った。トーマスとの差は1分41秒。

2023ジロ・デ・イタリア第14ステージ ©LaPresse

悪天候で我慢のレースが続く第106回ジロ・デ・イタリア。レースはボーラ・ハンスグローエのニコ・デンツ(ドイツ)が少人数のゴール勝負を制し、第12ステージに続く今大会2勝目を挙げた。一方、首位ゲラント・トーマス(英国、イネオス・グレナディアーズ)を含むメイン集団は21分11秒も遅れ、ステージ勝利を目指して先行していたグルパマ・エフデジのブルーノ・アルミライル(フランス)が一躍首位に立った。

総合2位となったトーマスとの差は1分41秒。総合3位プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)は1分43秒。大会中盤で、総合優勝を目指す戦いが新たな局面を迎えたのは確かだ。

スタート地点となったシエルはスイスのヴァレー州にあって、味の首都とも呼ばれる。ラクレットチーズとワインが名産。山岳ステージにカテゴライズされていないが、そびえ立つ山々に囲まれたシンプロン峠(パッソ・デル・センピオーネ)が56.6km地点にあり、標高は2004mもある。この峠をパスして20km下るとイタリアに入る。このあたりにはミラノ大聖堂の建設資材として使われたカンドグリア大理石の採石場もある。

このスタート地点のシエルは穏やかな陽光が降り注いだが、天候は次第に悪化。シンプロン峠ではみぞれ混じりの雨になり、選手たちはこの日もレインウエアを着込んでの走りを余儀なくされた。ときおり出現するトンネルがつかの間の骨休めとなるほどだ。

シンプロン峠は1級山岳に指定され、この上りで29選手が第1集団を形成する。この中にデンツとアルミライルも加わっていた。

前日にグルパマ・エフデジのティボー・ピノに山岳賞ジャージを奪われたエオーロ・コメタのダヴィデ・バイス(イタリア)も29選手の中にいた。バイスは1着通過で40ポイントを獲得。この日の山岳ポイントはこの峠だけで、トータルでバイスが144点となり、114点のティボー・ピノを逆転。わずか1日で山岳賞ジャージを奪い返した。

これに対するメイン集団は29選手の逃げを容認した。18分37秒遅れの総合23位に位置するアルミライルが最上位で、ある程度のタイム差は問題ないと判断したからだ。アルミライルはピノのアシスト役で、バイスに山岳賞の高得点を奪われないように動くことも任務だった。結局はアルミライルはシンプロン峠を2位通過したが、アルミライルが逃げ集団に加わったことがゴール時に思わぬ局面を生むことになる。

メイン集団の動きのなさを知った先行29選手は冷たい雨が降り続けるダウンヒルでも積極的に展開する。ステージ優勝を目指しての過酷なサバイバルレースに発展した。

2023ジロ・デ・イタリア第14ステージ ©Marco Alpozzi/LaPresse

EFエデュケーション・イージーポストのアルベルト・ベッティオル(イタリア)がステージ勝利を目指して仕掛けた。それがつぶされるとアンテルマルシェ・サーカス・ワンティのローレンス・レックス(ベルギー)が単独アタック。アルペシン・ドゥクーニンクのステファノ・オルダーニ(イタリア)、スーダル・クイックステップのダヴィデ・バッレリーニ(イタリア)、トレック・セガフレードのトムス・スクインシュ(ラトビア)がジョインして、先頭は4人となる。残された選手たちは追いかけたいが、冷たい雨と意志の不統一でなかなか足並みが揃わず。

ゴールのカッサーノ・マニャーゴは、18世紀のヴィラオリバやヴィラブッタファヴァ、百屋根の城、ローマ時代後期にまでさかのぼり、町のシンボルであるサンマウリツィオの塔などの貴族の邸宅で知られる街だ。市街地に突入したのはオルダーニ、バッレリーニ、スクインシュの3人。残り1kmで背後からようやく追走グループがやってきた。

ステージ勝利を懸けた戦いは、追走した選手らの中で積極的に戦闘を走り、好調さを見せつけたデンツだった。2日前の第12ステージでも、トレック・セガフレードのトムス・スクインシュ(ラトビア)とイスラエル・プレミアテックのセバスチャン・バーウィック(オーストラリア)を制してグランツール初優勝したデンツが消耗戦を再び制したのだ。

「この2つの勝利のどちらが難しかったかはわからない。第12ステージはクレイジーだった。グランツールのステージ優勝をずっと夢見ていて、それを実現できた。そして今日は再びそれができたのだから、まだ雲の中にいる気持ちだ」とデンツ。

「フィニッシュラインを越えたとき、ステージ優勝を予期していなかったので、何が起こっているのか不思議な感じだった。総合成績で上位を目指すリーダーをサポートするために参戦して、2つのステージ優勝を果たすことになった。それは計画していたことではなかった」

ニコ・デンツがステージ2勝目 ©Massimo Paolone/LaPresse

総合優勝争いではこの大会の新局面を迎えた。第1集団に加わり、53秒遅れの区間15位でゴールしたアルミライルが首位に躍り出ることになったのだ。

「まさか自分がマリア・ローザにたどり着くとは想像もしていなかった。それは特別なものだ。しかし、今日はステージ優勝を目指して逃げ切ろうと考えていた」とアルミライル。

一躍スターになったアルミライルは29歳のベテラン選手としてチームのアシスト役として走ってきた。2017年に現在のチームに練習生として加入し、グルパマ・エフデジ一筋のフランス人だ。タイムトライアルに強く、今大会の第9ステージでは5番目のタイムを記録している。エヴェネプール、トーマス、ゲイガンハート、そしてタイムトライアルのスペシャリストであるシュテファン・キュング(スイス)に続く好記録で、6位のログリッチよりも速かった。

「マリア・ローザがボクのキャリアを変えるかどうかはわからない。しかし、現実的に考えると、ボクはアシスト役のままで、再びティボー・ピノのために働いていく。彼には最終的なトップ10に入るチャンスがあるけど、ボクはそうではない。彼はまだステージに勝ちたいと思っている。明日は山頂フィニッシュではないので、次の休息日までまだマリア・ローザを持っているかもしれないが、総合優勝を争う有力グループと最後の上りを走りたい」

フランス選手がマリア・ローザを獲得するのは21世紀で初めてのことだという。1999年にローラン・ジャラベールが獲得して以来の快挙だった。

「それは知らなかった。ボクはイタリア語の単語をもうすこし学ばなければならない。ガールフレンドはイタリア人なんだけど」

バーレーン・ヴィクトリアスの新城幸也はこの日もポイント賞首位のジョナサン・ミラン(イタリア)をサポートしながらメイン集団のなかの81位でゴール。総合成績は2時間46分44秒遅れの131位。頼もしいキャプテン格として着実に日々のステージをこなしている。

ダヴィデ・バイスがわずか1日で山岳賞ジャージを奪還 ©Massimo Paolone/LaPresse

●4賞ジャージ
マリアローザ(個人総合成績)ブルーノ・アルミライル(フランス、グルパマFDJ)
マリアチクラミーノ(ポイント賞)ジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
マリアアッズーラ(山岳賞)ダヴィデ・バイス(イタリア、エオーロ・コメタ)
□マリアビアンカ(新人賞)ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)

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