「ツール・ド・フランスを喋る」ポッドキャスト書籍化…小俣雄風太&辻啓

ツール・ド・フランスを全日程取材するジャーナリストとフォトグラファーがレース期間中現地から毎日配信するポッドキャスト「Daily Tour」。3年目を迎えた番組初の試みとして、2024年大会の全24エピソードを一冊にまとめた書籍を制作・販売する。

日本初のツール・ド・フランス現地から全日程配信を行ったポッドキャスト「Daily Tour」は、2022年7月期のApple Podcastスポーツランキング1位、2024年7月も総合ランキング上位入りを果たし、ロードレースファンにとって夏のお楽しみコンテンツとして定着。

ツール・ド・フランスでは取材陣も選手たち同様に毎日が移動の旅。レース内容はもちろん、ツール・ド・フランスだからこその変わりゆく文化や風景、食事、言語を主なトピックとして、中継には映らないレースの裏側ととの魅力を語り合う。

語り手は自転車ジャーナリストの小俣雄風太とフォトグラファーの辻啓。書く・撮るとそれぞれの表現でツール・ド・フランスを追いかける2人の、それぞれに異なる視点から語り続ける雑感は、このレースが単なるスポーツイベントではないことを証している。

開催前日と2度の休息日を含む、全24エピソードを完全収録。扉には全ステージ簡易MAPとリザルトを掲載。全158ページのボリュームは、年末年始にじっくりと2024年ツールを振り返るのにぴったり。

購入者限定エピソードとして、小俣&辻によるDaily Tour特別プログラム「2024年どんな年だった?」が付録。ツールやその他のレース、2024年をぐるりと振り返る対談。

書籍 Daily Tour 24
判型/A5 ページ数/158P
発売日/2024年12月25日
購入先/Arenbergのオンラインストアより予約受付中

トレックが「組み立て不要の自転車直送サービス」を開始

トレック・ジャパンが公式オンラインストアで自転車の自宅直送サービスを開始した。キッズバイクから最新のMadone SLRまで、ほぼ全ての自転車を自宅に直接届けてもらえる。

注文した自転車はトレック専門のベテランメカニックによって完璧に組み立てられた上で配送されるため組み立て作業は一切必要なく、サドルの高さを調整するだけですぐに乗り出せる。初めてのスポーツ自転車を探している人にも、ギフトとして自転車を贈りたいという人にもピッタリ。

届け時は簡易カバーだけが被せられた状態で渡される。その他梱包材は全て配送業者が持ち帰るため、大量の緩衝材や巨大な段ボール箱の処分に困ることもない。カバーにはブランドメッセージが印刷され、そのまま室内での保管や車載時などに活用できる。
 
また自社倉庫内に組み立て工場を保有することで迅速なリードタイムを実現している。人気モデルは組み立てが完了した状態で保管されているため、最速で注文の翌日に出荷される。月曜日に自転車を注文して週末から乗り出すことも可能。
 
全ての自宅直送の自転車には全国30店舗のトレック直営店での4回分の定期点検サービスが付帯され、直営店で購入した自転車とまったく同じサービスを受けることができる。
 
トレック・ジャパンは、各地域の販売店、直営店、そして公式オンラインストアの3つの販売チャネルを通じ、オンラインとオフラインの垣根を超え、日本全国のサイクリストをサポートしていきたいという。

●トレックの詳細ページ

【ヒマラヤ未踏峰に挑む】Episode 7/ネパール山岳ビジネスの現状と未踏峰遠征で実際にかかった費用

ヒマラヤにある標高6524mの未踏峰プンギに2024年10月12日午後12時09分、日本山岳会学生部の5人全員、井之上巧磨(青山学院大)、尾高涼哉(東京大)、中沢将大(立教大)、横道文哉(立教大)、芦沢太陽(中央大)が初登頂した。ヒマラヤ未踏峰にたどり着くにはいくらかかったのか? ネパール山岳ビジネスの現状と合わせて、横道が報告。

自分たちで切り拓く道。標識もFIXも支点もない雪稜。プンギにて

商業登山ならしたくない…自分らの手で道を切り拓いて登りたい

遠征帰還後にたびたび聞かれることの中で、費用の話がある。私もこの遠征に行くにあたって、両親から「金持ちの道楽」とも言われたりしたものだが、実際にそのように思っている人は少なくないと思う。

たとえば最高峰のエベレストは契約するエージェントやパッケージにもよるが、総費用でだいたい1000万円かかるとも言われており、私も幼い頃に「高いお金を払ってまでも、自分の命を危険に晒すようなことをなぜするのか」と疑問に思うことはあった。今回ヒマラヤ山脈の未踏峰に挑んだ訳であったが、やはりこの話を聞いて「エベレストに登るんだ」という人は非常に多く、「ヒマラヤ山脈≒エベレスト」ではないことを説明することが多かった。

エベレストなどの8000m峰は商業登山がほとんどであることが現状である。商業登山の定義はさまざまではあるが、その名前の通りビジネス化された登山のあり方であり、豪華なガイド登山をイメージすると分かりやすいだろう。テントの設置や食事、FIXロープの設置など全てガイドがやってくれるのである。

確かに登山者本人には山頂まで行く最低限の体力と気概が必要ではあるが、技術面では登攀行為で必要となるような高度な技術を擁していなくても行けるのがポイントである。一昨年お世話になったガイドの方からは「君たちはなにもしなくても、歩けさえすれば※アマダブラムにでも僕が連れていけば登れるよ」とも言われたりするところから、商業登山は私たちがこの間、自分らの手で道を切り拓きながら未踏峰に登る行為と全く異なる種類の登山であると思った。

※アマダブラムは、ネパール東部ヒマラヤ山脈に位置する標高6812mの美しい山で、その特徴的な形状から「ヒマラヤの宝石」と称され、登山家に人気の高い峰です。

ヒマラヤ遠征がネパールに多くの雇用機会を生み出す

ネパールでは主にこのような商業登山を中心にビジネスは回っており、理屈としてはガイド料を筆頭に入山料や小屋泊代、荷物持ちのポーター代など1回の山行にたくさんの雇用機会を生んでいる。アジア最貧国とも呼ばれるネパールは主な産業がなく、国民の半数が海外に出稼ぎに行く中、観光業が国内での大きな利益を生んでいることは明白である。

今回私たちはベースキャンプまで山小屋(通称ロッジ)を経由して行った。4700mのベースキャンプまではガイドの方と進み、その先は自分たちだけで進んだのがいわゆる、先ほど言及した商業登山と大きく異なるところだろう。今回の場合はベースキャンプにガイドとコック、そしてポーターの計3名が駐在しており、一番近い村までプンギから10kmほどあることを考えると、とてもありがたい限りであった。

今回の遠征での予期せぬ出費

我々の今回の隊での予算の誤算として大きかったのが2つ、関税と食費であった。

今回の遠征において装備が非常に重かったことから、事前にネパールに国際郵便で送ることとした。しかし、不幸なことに後日18万円の関税を取られることとなってしまった。その理由としては内容物記載事項において不要なトラブルに巻き込まれまいと正直に新品価格での価値を内容物として30万円ほど記載したからではないかと推測できた。旅の始まりでの18万円の出費は隊の財布に堪えるものがあった。

タメル地区でキャッシングに挑む。ATMによって手数料が違うため、手当たり次第に挑む

外貨への両替も昨今の円安の煽りを受け、手数料を入れると、100ネパールルピーを手に入れるのに125円かかるというような状況。クレジットカードのキャッシングも両替屋とも変わらない手数料での両替だったため、常に為替相場を見ながら円の価値が上がるのをひたすらメンバー全員が祈っていた。結局遠征が終わり、カトマンズに戻ってくる頃には円安は悪化しており、みな頭を抱えて残りの2週間を過ごした。

当たり前であるが、キャラバンが進み、山々の奥に行くほど物価は上がり、OBOGから聞いた数十年前の相場とは大きくかけ離れていた。想定外の出費から、途中からは自分でお湯を沸かし始めるなど、泊めてくれる彼らからしたらとても非経済的な行為をしていたと思う。

ロッジでのダルバート。ロッジごとに味付けが異なる

ネパールの定番料理のダルバート一食の価格が1000ルピー(1200円)と想像の2倍の値段で、1日3食ダルバートだったメンバーも1日1ダルバートにせざるをえない状況にもなった。一方、宿泊費は想定通りで一泊ツインルームで1200ルピーなど非常にリーズナブルであった。聞く話によると、エベレスト街道など外国人登山客の多い山域は値段がより高く設定されているらしく、注意が必要だ。

一方、昨年訪れたロールワリン渓谷は比較的アプローチがしやすいところから物資が多く流入し、物価が比較的安かったのではないかと考えた。山域ごとに価格設定は大きく異なるところから予算にはある程度の幅を持たせるのがいいだろう。

結局いくらかかったか

当初の予算としては、全体で約575万円。1人あたり約115万円であった。寄付金は各大学のOBOG、日本山岳会の会員方、そして日本山岳会海外登山奨励金を含むと340万円近く集まり、1人あたりの負担額はだいたい50万円、プラス新調した個人装備となった。

実際にかかった支出は約590万円で、15万円ほどの超過であり、関税がその大半を占めた。航空券が安く買えたところや、アルファー米など尾西食品から食料の協賛のおかげで少しは相殺することができて、物価の高騰や円安の影響を受けながらも全体で15万円の超過ですんだのは幸運であった。

私は現在、遠征のために新しく購入したダブルブーツの分割払いの返済に追われており、帰国早々アルバイト尽くしの生活を送っている。年末にはその支払いが全部済むので、来年には撮影した映像の整理に入りたいと考えている。

横道文哉の愛用品

Kindle Paperwhite 

1カ月以上電波の繋がらない山行での順応日はとても退屈です。完全防水で重さも200g程度、本や漫画がギガ数にもよるが数千冊保存できる点から、おすすめです。かさばる漫画もこれで何百冊もどこにでも持っていけます。

チャレンジを終えて…横道文哉

この1年半プンギ遠征と就職の2つを大きな目標に日々努力していたところ、両方とも幸運にも成し遂げてしまったため、燃え尽き症候群のような日々を送っています。春から社会人になる身として、山と仕事の両立を目指して、山だけでなく、人生そのものを自分の納得できるものにしたいと思います。目指せチベットの未踏峰。


これまでのバックナンバーは下記PHUNGI 6524特集トップページにもくじがあって確認できます。

2025シーズンもJ SPORTSはグランツール全ステージを放送

J SPORTSが2025シーズンにおける海外サイクルロードレースの放送予定を発表した。ツール・ド・フランス、ジロ・デ・イタリア、ブエルタ・ア・エスパーニャのグランツール全ステージをはじめ、ワンデーレースの中でも歴史あるモニュメントと呼ばれる5大レースを全戦中継する。

マイヨジョーヌのポガチャル ©A.S.O. Charly Lopez

これらのレースは放送に加え、パソコン、スマホ、タブレットで見られる動画配信サービス「J SPORTSオンデマンド」でも配信。またサイクルロードレースの楽しさをより多くの人に伝えるため、注目のレースを毎月1~2番組厳選し、無料放送/J SPORTSオンデマンドで無料LIVE配信する予定。

ポガチャルがバッサーノデルグラッパでマリアローザを手中に ©LaPresse

埼玉県内8店舗目、ダイワサイクル与野本町店が12月13日オープン

自転車専門店DAIWA CYCLEが2024年12月13日、ダイワサイクル与野本町店を埼玉県さいたま市中央区にオープンさせた。パンクやチェーン外れなど突然のトラブルが起きた際にバイクで向かい、その場で修理対応する「出張修理」サービスも行う。

全国133店舗目、埼玉県内8店舗目、ダイワサイクル与野本町店

JR与野本町駅から徒歩5分の距離に位置し、通勤通学や買い物途中の空気入れ・困りごとなどでも気軽に立ち寄りやすい立地。18台の共用駐車場もある。

2階建ての店舗で、1階には電動アシスト車、シティサイクル、2階にはスポーツサイクル、ミニベロ・折畳車、子供車と幅広い年齢に向けた自転車を用意。10月に新発売したDAIWA CYCLEオリジナルスポーツバイク「ARTMA」も取り扱う。「ARTMA」は元プロロードレーサー辻善光監修で開発された、手の届きやすい価格の本格スポーツバイク。限定店舗のみでの販売。

タラマエと橋本英也加入のキナンは11人で2025シーズンに挑む

KINAN Racing Teamは2025シーズンを今季から1名減の11選手でレース活動を行う。アンテルマルシェ・ワンティ所属のレイン・タラマエ(エストニア)、JCL TEAM UKYO所属のネイサン・アール(オーストラリア)、さいたま佐渡サンブレイブの宇賀隆貴(東京都出身)、日本大の新宮颯太(宮城県出身)、ブリヂストンサイクリングの橋本英也(岐阜県出身)が新たに加入。6選手が来季への契約を更改した。

レイン・タラマエ ©PHOTO NEWS

11選手の内訳は、日本7人、オーストラリア2人、フランス1人、エストニア1人で、平均年齢は29.4歳。アンダー23カテゴリーの若手有望株から、世界を知る実績十分のベテランまでがそろい、これまでに培ってきた経験やスキルをビッグレースでの結果に結びつけていきたいという。

ネイサン・アール
橋本英也 ©Satoru KATO

チーム方針としてはこれまで同様、バッグボーンが多彩で個性豊かな選手たちのよさを生かすべく、特性や専門性を生かしたレース選択やメンバー選考を行っていく。スケジュール次第では、2部隊でのレース活動など幅広く取り組んでいく。メインであるロードレースにとどまらず、トラック競技やシクロクロス競技を得意とする選手も多いことから、今後は各方面でKINANジャージが見られる。

宇賀隆貴 ©2024 Yoshiyuki Gamo
新宮颯太 ©Satoru KATO

ロードレース競技における最大目標は、メインスポンサー「キナン」のお膝元・熊野地域を舞台に開催されるステージレースのツール・ド・熊野でのタイトル獲得。国際レース参加に関しては、UCIワールドツアーはもちろん、ヨーロッパツアーなどグローバルな活動を引き続き視野に入れる。同時に国内シーンにも積極的に参戦し、成果を求めていく。

ドリュー・モレ
山本元喜

スタッフでは、2024年シーズンに約20年におよぶ競技キャリアを終えた畑中勇介がチームに残り、コーチに就任。ライダーとして培ってきた経験を生かし、チーム力の向上に尽力。

柚木伸元
トマ・ルバ

2025年シーズンの初戦としてシャールジャ・ツアー(UCIアジアツアー2.2、1月24~28日)を予定。同レースには2年ぶりの出場で、中東においても自転車熱の高いUAEでのシーズンインになる。

新城雄大
宮崎泰史