世界的自転車ブームで部品払底…完成車が供給不能【自転車10大ニュース】

世界的な自転車ブームで部品在庫が払底し、完成車が供給不能に。2021年に起きた主な自転車関連ニュースのなかで最も話題になったのは、部品製造が需要に追いつかず、自転車店舗で完成車と言われる乗れる状態の商品に組み立てられなかったという事実だった。自転車活用推進研究会から「自転車10大ニュース」が発表された。

2021年に起きた30本の主な自転車関連ニュースから、ウェブ投票で「自転車10大ニュース」が選ばれた。一般も投票でき、同会会員は1票につき倍のポイントが与えられた。2021年も新型コロナウイルスに関連するニュースがランクインしたが、東京五輪・パラリンピック自転車競技のメダル獲得、政府の第2次自転車活用推進計画の閣議決定、サイクルトレインの社会実験が増えるなど前向きなニュースもあった。

「残念だったのは、自転車の少額違反金制度見送りや条件付きで電動キックボードの歩道通行が認められる方向が打ち出されたこと。ますます歩道が混沌とすることを危惧している」と同会。

2021自転車10大ニュース

①世界的な自転車ブームで部品在庫が払底 完成車が供給不能に…138

②東京パラ、自転車ロード・タイムトライアルで杉浦佳子選手が金…94

③各地でサイクルトレインの社会実験が進む。専用車両の増結に期待…89

④東京五輪、自転車トラック オムニアムで梶原悠未選手が銀メダル…82

⑤別府史之選手がプロ引退を発表。欧州で戦った20年間に幕を下ろす…81

⑥創業100周年 シマノが世界的な自転車ブームで過去最高益記録…75

⑦政府が第2次自転車活用推進計画を策定、5月28日に閣議決定…68

⑧警察庁が自転車取り締まりで少額違反金制度導入について検討…55

⑨第2次ナショナルサイクルルートに太平洋岸、富山湾岸、トカプチ400…54

⑩コロナ禍で自転車需要が増加するも違反摘発件数も過去最高に…41

自転車活用推進研究会の詳細ページ

JAFと警察、伊丹市が交通安全を訴え イオンモール伊丹昆陽でイベント

JAF(日本自動車連盟)兵庫支部は1月15日(土)と16日(日)の2日間、交通安全の大切さを学んでもらうため、兵庫県警察伊丹署と協力してイオンモール伊丹昆陽(伊丹市池尻)で交通安全イベントを開催する。

このイベントは、さまざまな交通安全機材を実際に体験してもらうことで参加者の交通安全意識向上をはかり、ひろく交通事故防止を訴えることを目的にしている。

今回は、反応速度をゲーム感覚で測定し、俊敏性年齢が確認できる「クイックアーム」「クイックキャッチ」の体験と、交通ルールをクイズで学び、その場で写真を撮って作る「子ども安全免許証」(小さな子どもの交通安全に対する意識を高める)などを出展。

また兵庫県警察伊丹署は、効率的に自転車のルールなどを学べる体験型の「自転車シミュレーター」を出展。自転車シミュレーターは15日の10時から15時のみ。

日時:2022年1月15日(土)・16日(日)10時から16時
会場:イオンモール伊丹昆陽 1階 光の広場(伊丹市池尻4-1-1)
参加無料・事前予約不要
新型コロナウイルス感染防止のため、マスク着用・手指のアルコール消毒等を徹底するとともに、 他の人との十分な距離確保のうえ開催。

●JAF兵庫支部のご当地情報

3年ぶり開催の気仙沼つばきマラソンはコロナ禍を考慮して秋開催へ

宮城県気仙沼市の大島を舞台とする「第39回河北新報気仙沼つばきマラソン」は2022年4月の開催予定だったが、新型コロナウイルス感染症の状況を考えて、11月6日に延期して開催を行う。2020、2021年と大会は中止となっていただけに、3年ぶりの開催を目指す。

気仙沼つばきマラソンは震災以来参加し続けているハーフ大会だ

天候不順がちな4月開催を変更

河北新報社、気仙沼市などが主催する同大会。12月23日に同実行委員会が延期開催を発表した。河北新報の記事には、「大会はこれまで春に行ってきたが、天候不順なことが多かった。コロナの影響を極力回避するためにも、来年は秋開催が望ましいと判断した」とある。

大島小・中学校前を発着点とするコースを島内に設け、ハーフ、10km、5km、3kmのレースを実施する予定。1300人程度のランナーを募集する。2019年大会は本土を結ぶ気仙沼大橋開通イベントとして、この橋をコースの一部に取り入れたが、2022年はそれ以前の島内コースに戻す計画。ただし、復興議定により島内の道路が一部変わっているためコースは検討中だという。

詳細は2月に更新予定の大会ホームページに掲載される。

気仙沼つばきマラソンには震災翌年の2012年(復興支援団体による気仙沼大島ランフェスタとして開催)から連続出場しているが、確かに好天は少なかった。2013年は凍てつくようなみぞれ、2016年は土砂降り、2018年も雨、2019年も前日に大雪となり、大会当日は路肩に雪が残る中でのイベントだった。

ただし東北の4月中旬は桜のつぼみがほころびる時期で、花びらが散り始めた首都圏からクルマで北上する道中は、桜前線の現在地を確かめるようなワクワク感が常にあった。復興道路のシンボルである三陸自動車道も仙台を基点に、毎年延伸していき、ついに全線開通となった。

また、毎年フェリーで往復していた気仙沼大島は、悲願の大橋が完成して陸続きで訪問できるように。もはや孤島とはいえない。復興事業のフィナーレがなんとなくささやかれる昨今、つばきマラソンもその役割を変えようとしている。

●気仙沼市のホームページ

おしゃれかつ求めやすい価格の「ラ・ビチ」が新規参入

イタリア語で自転車を意味するニューブランド『La Bici=ラ・ビチ』が2022年から国内販売される。西洋のエリート職人の技術を自転車生産大国であるアジア各国のファクトリーに導入して製造。研究開発は、通勤やレジャーから競技まで、ニーズに合わせてサイクリング関連のパーツやアクセサリーにも力を入れているブランド。

DISC ROAD 700c(ブルー)

取り扱いはWBS。北海道の自転車卸業として70年あまり一般車からスポーツまで幅広いジャンルを北海道内販売店への販売を行っている。2007年に社名変更した。

ラ・ビチはほかのブランドとは違い、取り扱いをする各国の担当者がラ・ビチブランドとのミーティングによりラインナップが決まる。各国のさまざまなニーズに合わせ、その国々のブランドとして展開するためだ。日本のマーケットでは、「おしゃれかつ求めやすい価格」をモットーに4モデルを発表し、スター トを切る。歴史はないが、今後さまざまなモデルやジャンルを展開していく予定。

GRAVEL ROAD 700c(カーキ)

入荷時期は2022年6月予定。価格は2022年1月現在。 コロナ禍の影響により入荷時期・価格ともに変更する場合も。

DISC ROAD 700c

DISC ROAD 700c(ボルドレッド)

価格 7万6780円(税込)
サイズ 450mm,470mm,490mm
カラー BORDE RED, BLUE

ここ数年ロードバイクの進化の一つとして歩み続けているディスクブレーキロードバイク。6061アルミニウムフレームにクロモリフォーク。コンポもターニーを採用することによりこの価格を実現。安いだけでなく、ライディングにしっかり耐えうるフレーム。ハンドル幅、ステムやクランク長をこの価格帯では珍しくサイズごとに設定し、フィッティングにも抜かりなくスペックインされている。

GRAVEL ROAD 700c

GRAVEL ROAD 700c(ブラック)
GRAVEL ROAD 700c(カーキ)

価格 9万3280円(税込)
サイズ 450mm,470mm,490mm
カラー BLACK, KHAKI

すっかり市民権を得たグラベルロード。さまざまな用途にも使える懐の深さや長距離にも街乗りにも対応するで人気を博したカテゴリー。 ROADと同じく6061アルミニウムフレームだが、フォークもアルミニウム。コンポは各ブランドが求めやすい価格のモデルに採用するシマノクラリスを採用。他ブランドでなかなか実現できない10万円以下を実現した。写真はサンプルのためダボ穴はないが、製品版においてはフォーク横、バックステーに装備予定。

MTB 27.5”

CROSS 700c(オレンジ)
CROSS 700c(ブラック)
CROSS 700c(ホワイト)

価格 7万6780円(税込)
サイズ 380mm,430mm,480mm
カラー BLACK, WHITE

27.5インチによるハンドリング・スタートの良さを生かしたMTB。6061アルミニウムフレーム、24スピードに加え、油圧ブレーキをインストール。主に街中における悪路などもクッション性の高いMTBタイヤにサスペンションも相まって快適に走破することができる。街中での使用をメインに想定しているため、キックスタンドを標準装備している。

CROSS 700c

MTB 27.5”(ブラック)
MTB 27.5”(ホワイト)

価格 6万5780円(税込)
サイズ 380mm,420mm,460mm
カラー BLACK, WHITE,ORANGE

日本におけるクロスバイクの基本形というべきこのモデル。700×35cにディスクブレーキとトレンドをつかみながらも、ハンドリングや乗り心地はいたってフラットであり、通勤・通学や街乗りにピッタリな一台。クロスバイクでも統一のクランク長ではなく、各サイズでクランク長を設定。身長に適正なクランク長にすることにより、快適にライディングが楽しめる。街中での使用をメインに想定しているため、キックスタンドを標準装備している。

植竹海貴…2022年の全日本選手権で勝ったらホンモノです

2022年は植竹海貴に大注目。ちょっと前まで無名の存在。ところが2021年の全日本選手権ロードで、東京五輪代表を打ち負かして初優勝。実業団シリーズ戦でも11勝を挙げて年間チャンピオンになった。スポーツ自転車専門店のワイズロードで週5日の勤務をしながら、室内バーチャルトレーニングで実力をつけた。見た目と裏腹に負けず嫌いな25歳は、日本チャンピオンジャージを着て2022シーズンを走る。

店舗前で日本のナショナルチャンピオンジャージを着て見せた

2度目の全日本選手権ロードで頂点に君臨

2021年10月23日に広島県三原市で開催された第89回全日本自転車競技選手権ロードレース。女子エリートは五輪代表の金子広美のアタックを何度となく封じ込め、一騎打ちのゴール勝負を制した植竹が日本の頂点に立った。2度目の参加で、2019年の前大会(2020年はコロナ禍で中止)は途中リタイア。女子ロードが全日本の正式種目となったのは1982年だが、歴代女王にはそうそうたる名前が連なる。そのリストに植竹が加わった。

「シーズン始めは全日本で上位入賞できたらいいなと考えていた。全日本で勝てるようになるのはもっと先だと思っていた」という。

ワイズロード新宿本館で。週5回の勤務をこなすフルタイムワーカーだ

専門学校への通学のため、ワイズロードでクロスバイクを購入。これが店舗との出会いとなる。荒川沿いを走る楽しさにひかれ、もっとスピードが出るロードバイクに乗り換えた。日曜日のチーム練習に顔を出すようになり、8時間耐久レースに女子チームの一員として参加して優勝した。

ところがその後のレースで高校生に負けた。「もっと速くなりたい」と、練習に打ち込めるようにワイズロードへの転職を決意。配属された新宿の店舗では、毎週月曜夜に同社が代理店を務めるSARISスマートトレーナーを使ったオンライン参加イベントを担当。「室内トレーニングは逃げ道がなく、実力アップもデータで手に取るように分かる」と急成長を遂げていく。

植竹海貴(右)が金子広美を制して優勝 ©JCF

今回の全日本では五輪代表で、海外プロとして活動する与那嶺恵理が欠場。大本命が不在となったが、植竹自身はそれを喜ばなかった。どんなに強い相手でもレースで勝負をしたかった。

「来季の全日本は与那嶺選手も参戦してくるはず。そこで私が勝ったらホンモノです」

仕事休みの日もやることはトレーニング。雨なら室内でバーチャル練習。食べ歩きが数少ない趣味というが、それもトレーニング中に立ち寄る。

全日本実業団自転車競技連盟が主催するJフェミニンツアーのリーダージャージを手中に

ブレない強さ…室内バーチャルトレーニングの申し子

所属するワイズロードチームで女子は唯一の存在だ。「男子選手のようにレースでチームプレーをしてみたいです。女子の選手層がもっと増えてくれたらうれしいです」

男子に混じる練習では「負けるものか」という思いを持って食らいつく。同じ新宿の店舗で働くチームメートの三上玄選手によれば、「ブレないこと。粘り強さが植竹の強み」だという。「弱点は下りコーナーなので、それがうまくなればもっと成績が伸びるはず」

スマートトレーナーのSARISに乗ってバーチャル練習。左はチームメートの三上

自転車で風を切って走れば気温の変化も、草木の香りで季節が感じられるという植竹。「海外で走ることはまだ考えていませんが、どこを目指していくべきかこれから思い描いていきたいです」。最大のターゲットは2022年6月の全日本選手権で連覇することだ。

エリート女子ロードのナショナルチャンピオンジャージを着る植竹海貴

▼植竹海貴(うえたけ・みき)
1996(平成8)年1月29日生まれ、25歳。東京都出身。中学でバスケ、高校で剣道をこなす。保育専門学校時に通学のためクロスバイクを買ったのをきっかけに自転車の楽しさを知る。競技に集中するために保育士をやめてワイズロードに転職。2021年全日本選手権エリート女子ロード優勝。Jフェミニンツアー年間総合優勝。勤務先はワイズロード新宿本館。

名古屋サイクルクラブ…日常ツールとしての自転車やサイクルスポーツを体験

自転車の正しい知識と技術、走行時の交通安全について学ぶとともに、サイクルスポーツとしての自転車を感じる場として船出を切った「名古屋サイクルクラブ」。名古屋競輪場を主会場に、小学生と中学生を対象とする自転車教室にKINAN Cycling Teamも全面協力している。

名古屋サイクルクラブ ©Syunsuke FUKUMITSU

クラブでは自転車の走行技能の向上はもとより、体を動かす楽しさを経験することを重視し、スポーツ全般に役立つ心身の発達を目的としている。新型コロナウイルスの感染拡大状況を見ながら開催時期を調整し、晴れて12月から活動が本格スタート。2021年中は2回の開催が実現した。

12月29日に行われたプログラムでは、2022シーズンから選手として走る鈴木宏幸サイクルインストラクターをメイン講師に、所属選手からは花田聖誠がレクチャー役として参加。鈴木インストラクターの進行のもと、ジョギングやハードル越え、腿上げなどの陸上トレーニングでウォーミングアップ。体が温まったところで、いよいよ自転車へとまたがった。

名古屋サイクルクラブ ©Syunsuke FUKUMITSU

実技は、一本橋走行やスラローム、8の字走行といった、バイクスキルの基本を重視した内容。一度の走行で複数種目をこなせるようコースをセッティングし、参加者たちは繰り返し課題にチャレンジした。

そして締めには、プログラムのメインともいえるバンク走行体験へ。今回はカント(傾斜)の緩い内側のみだったが、今後は参加者のスキルなどを見定めながら走行ラインの設定を行っていく。

名古屋サイクルクラブ ©Syunsuke FUKUMITSU

この日は小学校1年生から中学3年生までの約20人が参加。ここまでの2回は自転車教室の体験参加を主なコンセプトに据えたが、今後は操作技術のレベルアップをねらいとした取り組みや、アスレチックトレーニングといった基礎体力アップを目指したカリキュラムも導入していく予定。そして、グループワークによって社会性や協調性を身につけていくことも図っていく。

名古屋サイクルクラブは毎月数回のペースで開催。2022年1月は12日(水)・26日(水)の実施に向けて調整中。開催日時が決定し次第、KINAN春日井サイクルターミナルのTwitter、KINAN Racing TeamのWEB・SNSで案内する。ここまでの2回同様、所属選手も講師陣に加わる予定となっている。

名古屋サイクルクラブ ©Syunsuke FUKUMITSU

名古屋サイクルクラブ「ジュニア育成プログラム」
●教室の目的と効果
・体を動かす楽しさを経験して心身の発達と個々の能力向上を自発的に行い、良好な人間関係の構築と社会性を身につけることを目的とする。
・参加児童・生徒及び保護者が自転車へのかかわり方を知り、安全性および危険性、特性を理解できる場にする。
●参加料金
初回参加500円
(2回目以降)事前予約2000円、当日参加2500円
※名古屋サイクルクラブ会員は1500円
※いずれも保険料含
●参加定員:20人
●対象年齢:小学生、中学生
●場所:名古屋競輪場(名古屋市中村区中村町字高畑68)
●コーチ:鈴木宏幸(KINAN Racing Teamサイクルインストラクター)
●協力:KINAN Cycling Team(2022年よりKINAN Racing Team)
●その他
自転車(補助輪付き可)・ヘルメット・グローブは持参
※自転車のレンタル対応あり(子供用スポーツバイク1000円、ヘルメット・グローブ各500円)
●予約・問い合わせ
KINAN春日井サイクルターミナル 090-2925-9711