キナンのシーズン最終戦ツール・ド・おきなわは山本大喜の14位が最高

2018年の最終戦となったツール・ド・おきなわ2018は11月11日、沖縄県名護市を発着とする210kmで争われた。キナンサイクリングは新城雄大がレース前半に形成された先頭グループに加わったものの、その後展開された優勝争いに加わることはかなわず。チーム最高位は、メイン集団からの追い上げを試みた山本大喜の14位だった。

14位でゴールする山本大喜 ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

プロライダーからホビーレーサー、さらにはキッズまで参加できる幅広いカテゴリーが魅力のツール・ド・おきなわ。そのなかでもメインレースに位置づけられる男子チャンピオンレースは、UCIアジアツアー1.2クラスに設定される。同ツアーはすでに2019年度のレースカレンダーに加えられていて、このチャンピオンレースもそれに該当する。

レースの特徴は、210kmと国内のレースでは屈指の長丁場であること。11月の開催はシーズン最終盤とあり、百戦錬磨の選手といえど過酷な戦いとなる。コースは、名護市を出発したのち、名護湾と東シナ海に面した本部半島を時計回りに進み、海岸線を北上。沖縄半島最北端の国頭村に入って反時計回りに向きを変え、レース後半は太平洋沿いを南下して名護市へと戻ってくる設定。沖縄半島北部をおおむね8の字に進むルートは、中盤に2カ所の山岳ポイントが待つほか、後半にかけても細かなアップダウンが控えている。

キナンはこのレースに山本大と新城のほか、山本元喜、トマ・ルバ、中島康晴の5選手が出場。シーズンを通して主力として走ってきたメンバーをそろえて、2018年最後のタイトル獲得をかけた戦いに挑んだ。

18チームから85選手が、午前6時45分の号砲とともに出発。すぐにリアルスタートが切られると次々とアタックが発生するが、集団から抜け出すまでには至らない。激しい出入りを繰り返しながら、レース序盤は進んだ。

その状態が落ち着いたのは、40km地点に差しかかろうかというタイミング。10人が飛び出すと、ここに新城が加わる。この動きをきっかけにメイン集団が落ち着き、快調に飛ばした新城らは約9分のリードを得た。一方のメイン集団は、新城らを見送るとサイクリングペースに。集団に残ったキナン勢4選手は、次なる展開に備えながら淡々と距離を減らしていった。

レースが少しずつ動きを見せたのは、中盤に入ってからのこと。内陸部を通過する山岳区間のうち、2回目の登坂で先頭グループから新城が遅れ始める。前方への復帰を目指しての粘りも届かず。タイミングをほぼ同じくして、メイン集団ではルバが牽引して山岳区間へ。一気の引きに集団の人数が減っていき、力のある選手だけに絞られる。こうした動きによって、先頭グループとのタイム差は4分台に縮まった。

追撃ムードが高まったかに見えたメイン集団だったが、チーム間での思惑が交錯してか、ペースがいまひとつ上がらず、先頭を走る選手たちとのタイム差に大きな変化が見られなくなっていく。他チームの動きに合わせた山本元が5人の追走グループに加わったものの、やがて後退。かたや、先頭グループは協調体制が続き、後続の追い上げをかわすほどの勢い。結局、レース前半に集団から抜け出した選手たちの逃げ切りが濃厚な情勢となった。

上位フィニッシュが難しくなったキナン勢だが、1つでも上の順位を目指す姿勢は崩さない。先にポジションを上げつつあったルバに続き、山本大も終盤の登坂区間で合流。以降はルバの引き上げを受けた山本大がチーム最上位となる14位でフィニッシュラインを通過。ルバが16位でレースを終えたほか、中島、山本元、新城も走り切り、出場5選手全員が完走した。

順調に調整し、好調でレースに臨んでいただけに、上位フィニッシュが果たせなかったことに選手たちは一様に悔しさをにじませた。一方で、選手間で要所での動きについて意見が交わされるなど、フィニッシュした瞬間からその視線は来季へと向けられている様子。今回のレースで明白となった課題を、来シーズンのチーム力アップに反映させる強い意志が選手たちの姿からうかがえた。

これをもって、2018年のロードレースシーズンは終了。キナンは2018年、9つの勝利を含む多数の上位進出を果たした。成果を挙げ、来季へ向けた指標となる1年とした。今後チームは、各種イベントや小学校での交通安全教室などへの出席を予定。引き続き精力的に活動していく。

ツール・ド・おきなわ 男子チャンピオンレース(UCIアジアツアー1.2、210km)結果
1 アラン・マランゴーニ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ) 5時間5分4秒
2 フレディ・オヴェット(オーストラリア、オーストラリアン・サイクリング・アカデミー・ライド・サンシャイン・コースト) +19秒
3 フェン・チュンカイ(台湾、チャイニーズタイペイナショナルチーム)
4 デルク・アベル・ベッカーリン(オランダ、WTC de アムステル) +50秒
5 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン) +1分29秒
6 畑中勇介(チームUKYO) +1分31秒
14 山本大喜(KINAN Cycling Team) +4分37秒
16 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +4分40秒
35 中島康晴(KINAN Cycling Team) +14分56秒
36 山本元喜(KINAN Cycling Team)
47 新城雄大(KINAN Cycling Team) +16分3秒

山本大喜のコメント
力のある選手が逃げに入った状況で、チームとして後手を踏んでしまった。集団内での協調がうまくいかず、追う体勢がいまいち整わなかったことも展開を厳しくしてしまった。追走グループが形成された時は高強度の動きに対応できず、(個人として)勝負するには力が足りていなかった。
(シーズンを振り返って)アジア選手権で勝てて、全日本選手権でも個人タイムトライアルを勝つことができた一方で、後半戦で個人・チームともに成績が残せなかったことが悔しい。今年はナショナルチームで走ることが多く、チームにあまり貢献できなかったと思っているので、もっと強くなって今度はチームに結果をもたらすことができるようになりたい。

トマ・ルバのコメント
チームとしては(新城)雄大が先頭グループから下がってしまった時点で、難しい状況になってしまった。個人的にはベストコンディションではなかったので、チームメートのサポートができればと考えていた。順位がともなわなかったことは悔しい。長かったシーズンを無事に終えることができた。今年が格別よかったとは思っていないけれど、また勝利を収められるようトライし続けていきたい。

中島康晴のコメント
逃げに(新城)雄大ともう1人加えることができれば、違った展開になったのかなとは思う。先頭グループに選手を送り込まないという判断をしていたチームもあったので、彼らの様子を見て動こうと思っていたが、結果的に(先頭グループに)タイム差を広げられてしまった。それが順位に反映されてしまっただけに、悔しい形で終わることになった。
1月のシーズンインから多くのレースでメンバー入りができ、チームメートとうれしいことも悔しいことも共有してきたことがなにより。このレースでしっかりシーズンを締めくくることができればよかったけれど、全体としてはよいシーズンになったと感じている。ただ、レースによっては大きな失敗もあったし、まだまだ改善の余地はあるので、より選手間の連携を深めてチーム力を高めていきたい。

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自転車の落車事故に特化した救急救命講習が12月24日開催

自転車の落車事故で想定される外傷を伴った事故に対しての応急処置を学ぶ「サイクルセイフティサミット」が12月24日に神奈川県の向ヶ丘自動車学校で行われることになり、その参加者を募集中。初回開催から3年になるが、これまではショップやイベント主催者らが参加しやすい平日開催。今回は初めて祝日の開催となり、一般サイクリストも参加しやすくなった。

【主催】サイクルセイフティーサミット(Cycle Safety Summit)実行委員会
【協賛】フィジオコントロールジャパン・東京海上日動株式会社(予定)
【開催日】2018年12月24日(月曜・祝日) 8時30分開場 17時終了予定

【参加費と参加形態】
・一般参加費1万円
・早期申込割引8500円(2018年11月15日まで)
・大学生・専門学校生・高校生3000円(数量限定)
・法人複数割引 ショップなど自転車業界関係者で3名以上で参加する法人は、まとめて割引受講が可能。法人あての領収書も発行可。
・過去のサイクルセイフティサミット参加者で再度希望の人 メッセージで連絡ください。半額で受講可能。過去の参加が確認でき次第、割引コードを通知。また、補助スタッフとして参加することも可能。早朝の準備、イベント後の撤収に協力すると、アシスタントスタッフとして動きながらファーストエイド内容の復習が可能。補助スタッフは過去のサイクルセイフティ受講者に限定。

【費用に含まれるもの】会場利用料・講師謝礼・事務局費・保険代・テキスト代(1週間前にPDFデータで配布。各自プリントもしくはipadなどで持参。約130ページ)
【修了証明書・ステッカー】受講証明書・ステッカーを希望の方は1500円で発行。エントリーの際にお申し込みください。
【復習者】過去開催のサイクルセイフティサミット受講者で再度受講を希望する方
【場所】向ヶ丘自動車学校
【講師・アシスタント紹介】
(10月25日時点での予定。都合により変更の可能性もあります)
平泉裕氏  昭和大学医学部整形外科学講座 客員教授
      日本整形外科学会専門医 日本スポーツ協会公認スポーツドクター
      日本トライアスロン連合メディカル委員 他
橋隅和明氏他 横浜市消防局 元司令課 実業団チームFARs代表
高山真由子氏 看護師 保健師 自転車実業団登録選手
      ツアー・オブ・ジャパン医療班やJBCFレース救護班
安藤隼人  株式会社スマートコーチング代表取締役 
      日本スポーツ協会公認自転車競技コーチ 日本登山医学会評議員
      日本登山医学会認定ファーストエイド夏季研修終了 
【内容】(10月20日時点での予定。都合により変更の可能性もあります)

○9:00-10:30 講義
 ・サイクルセイフティーサミットを開催するにあたって
  自転車・トライアスロン界の現状と問題〜各種統計データより〜
 ・ラグビー・マラソン等他競技での安全管理事例
 ・119番と消防の出動体勢
 ・ファーストエイドの基本
○10:30-12:30、13:30-15:30
 ・「安全確保」「初期評価」「全身観察」「搬送」の4セクションに分かれて各1時間ずつ、サイクルスポーツ現場での落車や事故状況を再現し、ファーストエイドのシナリオトレーニングを行います。
○15:30-16:30
 ・「2017-2018年国内サイクルイベントで発生した複数落車事例・頚椎損傷落車事例の総合シナリオ実習」
○16:30-17:00
・自転車保険・AED導入について
・事業主・イベント主催者が加入すべき損害賠償保険、レクレーション・イベント・事業保険・AEDの導入方法について

【準備するもの】
・筆記具・事前配布資料(1週間前にPDFデータで送付します。プリントするかipad等にダウンロードしてご持参ください)
・ホイッスル(持っていない場合はご自身で購入し準備するか、エントリー時にご購入下さい)
・ロードバイク(推奨:シナリオトレーニングでロードバイクを使用します)
・バイクウェアー・ヘルメット・グローブ、寒くない格好(屋外での実習でアスファルト上に横になる、講師の話を立ったまま聞くなど運動を行わないため)
【駐車場】
・駐車場1000円/台。20台限定。自転車での自走、もしくは乗り合わせの上お越しください。

【参加証明書・ステッカー】任意。希望の方はエントリー時にチケットを購入ください。
本サミット参加コーチやショップ関係者には、安全対策に意識のあるサイクルセイフティーコーチ、セイフティーショップとして、実行委員会認定の参加証とステッカーを発行します(別途手数料必要)。ステッカーを店舗に貼り、お客様へ安全管理意識の高いコーチやショップというアピールに使っていただけます。遅刻ならびに途中退場の方には発行できません。

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●過去の取材記事

サイクリングでケガした仲間を救えるか?…自転車の落車事故に特化した救急救命講習

女子舵手つきクォドルプルは早大が5年ぶり12回目V…ボート全日本新人選手権

第59回全日本新人選手権が11月9日から11日まで埼玉県戸田市の戸田ボートコースで開催され、最終日に男女7種目の決勝が行なわれた。女子舵手つきクォドルプルは早稲田大が5年ぶり12回目の優勝、男子エイトは明治大が3年ぶり6回目の優勝を果たした。

全日本新人選手権女子舵手つきクォドルプルは早稲田大学が5年ぶり12回目の優勝 撮影:日本ボート協会 宅島正二

各種目の決勝結果。氏名の後の学校名は出身校。

【男子シングルスカル】
1位 日本体育大学C 遠山 秀雄 市立伏見工業高 7:27:59(2年連続2回目)
2位 早稲田大学 田中 海靖 今治西高 7:39:15
3位 関西電力美浜 兼康 慎 敦賀工業高 7:42:22
4位 日本体育大学D 江畠 慧斉 都立千歳丘高 7:45:05
5位 立教大学A 渋井 大生 城北埼玉高 8:01:29

【女子シングルスカル】 
1位 中央大学B   米澤 知華 県立浦和第一女子高 8:30:47(初優勝)
2位 鹿屋体育大学A 四方 美咲 府立朱雀高 8:31:19
3位 金沢大学 柿島 麗 県立七尾高 8:40:27
4位 龍谷大学A 菅沼 奈津美 浜松太平台高 8:47:40

【男子ダブルスカル】  
1位 富山国際大学A 6:58:22(初優勝)
S 柘植 実 美濃加茂高
B 及川 城 佐沼高
2位 日本体育大学B 7:00:07
S 日田 駿 熊本学園大学付属高
B 六平 人 県立東郷高
3位 仙台大学A 7:00:33
S 阿部 亮平 県立今治南高
B 佐竹 洸紀 県立阿賀黎明高
4位 日本体育大学A 7:09:31
S 大輪 龍斗 県立本荘高
B 村上 真之輔 県立潮来高

【女子ダブルスカル】  
1位 法政大学A   8:00:41(9年ぶり3回目)
S 石垣 優香  都立本所高校
B 市田 佑来  県立加茂高校
2位 中部電力 8:08:17
S 國元 悠衣 唐津商業高校
B 宮住 真奈 宇和島東高
3位 早稲田大学B 8:08:80
S 宇都宮 沙紀 今治西高校
B 尾嶋 歩美 南稜高校
4位 明治大学 8:10:90
S 岡田 葵衣 県立舘林女子高校
B 種田 奏子 県立米子東高校

【男子舵手つきフォア】   
1位 法政大学 7:13:44(6年ぶり6回目)
S 西岡 俊太郎 県立越ケ谷高
3 ポンシアノ・ ルカス 県立小松明峰高
2 堀川 拓実 県立阿賀黎明高
B 藤吉 俊樹 熊本学園大学付属高校
C 秋葉 雄貴 都立本所高校

2位 明治大学 7:17:56
S 鈴村 勇人 都立小松川高
3 小林 駿斗 県立岡谷南高
2 境 凌輔 県立米子工業高
B 加藤 未来斗 都立小松川高
C 岡部 龍成 徳島市立高

3位 早稲田大学A 7:19:04
S 中川 大誠 都立小松川高 
3 瀧川 尚歩 高松高
2 舩越 湧太郎 膳所高校 
B 鈴木 利駆 浜松西高
C 菱谷 泰志 米子東高 

4位 龍谷大学A 7:23:80
S 斉藤 雅人 関西高
3 開地 祐斗 県立小松明峰高
2 宮川 侑也 県立美方高
B 門岡 泰地 熊本学園大学付属高校
C 飛永 晃助 桜宮高

【女子舵手つきクォドルプル】
1位 早稲田大学 7:34:20(5年ぶり12回目)
S 安井 咲智 都立小松川高
3 松井 友理乃 今治西高
2 宇野 聡恵 日田高
B 藤田 彩也香 都立小松川高
C 奈良岡 寛子 青森高

2位 仙台大学 7:35:51
S 柴田 寿音 市立横浜商業高
3 加藤 彩香 県立由利工業高
2 佐々木 遥香 市立横浜商業高
B 玉田 夢子 県立むつ工業高
C 上浦 実咲 県立猿投農林高

3位 明治大学 7:36:43
S 塩田 遥香 熊本学園大学付属高校
3 西田 結惟 県立加茂高校
2 増田 萌 関東学園大学付属高
B 黒沼 実生 市立横浜商業高
C 東 夢 県立浦和第一女子高

4位 日本体育大学 7:41:48
S 天池 奈桜 美濃加茂高
3 宮本 公香 熊本学園大学付属高校
2 濱中 愛生 県立七尾高
B 小松原 杏 県立舘林女子高
C 山上 真弥 熊本学園大学付属高校

男子エイトは明治大が3年ぶり6回目の優勝 撮影:日本ボート協会 宅島正二

【男子エイト】
1位 明治大学 6:06:57(3年ぶり6回目)
S 鎌原 康陽 岡谷南高
7 木村 奨 今治西高
6 佐々木 心 田名部高
5 茂見 輝 熊本学園大学付属高
4 藤長 寿哉 美方高
3 佐藤 雅也 本荘高
2 河畑 晴斗 美方高
B 小野田 実 越ヶ谷高
C 対比地 祐希 太田東高

2位 中央大学 6:13:06
S 石塚 慎之助 県立田村高
7 千種 蒼大 県立松山東高
6 齋藤 拓馬 県立酒田光陵高
5 二本松 慎也 県立富山工業高
4 白鳥 翼 県立石巻高
3 久木 隆一郎 県立米子東高校
2 中曽根 祐太 都立小松川高
B 高村 信音 県立吉田高
C 小島 発樹 熊本学園大学付属高

3位 仙台大学A 6:15:90
S 信夫 涼 宮古高
7 桑村 潤 小松明峰高
6 村野 滉太郎 佐野高
5 鳥居 勢矢 山田高
4 横尾 剛士 長崎明誠高
3 梶原 龍将 石巻高
2 藤岡 駿平 高鍋高
B 古賀 健嗣 大村城南高
C 別府 弘崇 今治南高

4位 慶應義塾大学 6:23:42
S 鍛治田 有史 慶應義塾高
7 王田 恭之 慶應義塾高
6 村上 廉太郎 慶應義塾志木高
5 小宮山 息吹 慶應義塾高
4 田村 直親 慶應義塾高
3 永田 大智 清風高
2 浦 敬太郎 攻玉社
B 古谷 高章 慶應義塾志木高
C 向井 新 慶應義塾高

アラン・マランゴーニが引退レースのツール・ド・おきなわで逃げ切り優勝

NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニのアラン・マランゴーニが11月11日に沖縄県で開催されたツール・ド・おきなわで逃げ切り優勝。チームにとって2018シーズン最終戦で、マランゴーニはこの大会で引退することになっていて、感動的なプロ初勝利でキャリアを締めくくった。

アラン・マランゴーニが逃げ切り優勝

コースは沖縄北部やんばる地域を巡る国内UCIレース最長距離の210km。2回登る与那と、終盤に組み込まれる羽地ダムへの登りが勝負所。また終盤には細かいアップダウンが多く組み込まれていて、体力面の強さも要求されるコースだ。

まだ夜が明け切らない6時45分に選手たちは名護の街からスタート。なかなか逃げは決まらずに進んだが、約40km地点で今回が引退レースとなるマランゴーニを含む10名のやや大きな逃げが形成された。

有力チームが選手を一人ずつ送り込んだ逃げ集団は協調体制が取られ、本島の西側を北上する海岸線で、タイム差は一気に8分台まで広がった。本島北端を周り、2回目の与那の登りに入るとタイム差は6分台まで縮まり、メイン集団はアタックがかかり活性化。下り終えた時点でタイム差を4分半まで詰めていく。

ツール・ド・おきなわ(UCIアジアツアー1.2)

そしてメイン集団から5人が飛び出して追走集団を形成。一方の先頭からは2選手が脱落し先頭は8名に。しかし先頭と追走との差は縮まらず、逃げ切りの展開が濃厚となっていく。そして最後の長い登坂となる羽地ダムへの登坂区間で先頭からアタックがかかり、先頭集団はマランゴーニを含む4名に絞られた。

冷静さを失わないマランゴーニは、勝負をしかけるタイミングを待ち続け、残り5kmの緩やかな登坂区間で一気にアタック。それが決定的な動きとなり、そのままフィニッシュラインへ独走で飛び込んだ。

現在34歳のマランゴーニは、2009年のプロデビュー以来、ワールドツアーチームにも長く所属していたが、アシストとしての走りに徹し、自身が勝利するレースはなかった。そして迎えたキャリア最後のレースで、念願だったプロ初勝利をつかみ、フィニッシュ後には大勢の方の祝福に大粒の涙を見せた。

NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニのアラン・マランゴーニ

ツール・ド・おきなわ結果
1 MARANGONI Alan NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ  5:05:04
2 OVETT Freddy オーストラリアン・サイクリングアカデミー・ライド・サンシャインコースト  +0:19
3 FENG Chun Kai 台湾ナショナルチーム  +0:19

アラン・マランゴーニが自らの引退に花を添えた

アラン・マランゴーニのコメント
今日はすべてのことが完璧に進み、まるで映画のなかにいるような気分。今日のレースに向けて、1カ月以上イタリアには帰れず、多くの犠牲を払ってきた。知らない土地で、一人でトレーニングすることになったが、素晴らしい友人の助けもあり、今日の勝利をつかむことができたと思う。助けてくれた全ての人に感謝している。レース中はいままでのキャリアが走馬灯のようによぎり、勝ちたいという一心でペダルを踏んだが、なぜか今日は冷静さを失うことはなく、最後までタイミングを待つことができた。ミラノ〜サンレモのようなビッグレースではないけれど、今回の勝利は自分のなかで特別な意味をもつ。考えられる最高の形でキャリアを締めくくることができ、本当に幸せに思う。

内間康平のコメント
いつもどおりの展開であれば、逃げは捕まると思い、最初のアタックには吉田に動いてもらい、自分は最後の展開に向けて温存しているなかで、アランの逃げが決まった。メンバーを聞いて、脚が揃っていたこと、今までは羽地ダムへの登りで逃げは捕まるが、2回目の与那で8分差があったため、逃げ切りが濃厚だと思った。
メイン集団はアタックが頻発してペースが上がらなかった。伊藤と二人だったが、枚数が足りず、脚も攣りそうだったため、追走には乗れなかった。入らないといけないグループだったが、そこに入れなかったことは、優勝できる脚がなかったと感じた。
しかし、シーズン最後の地元のレースで、大勢に応援してもらっていたので、全力をつくしてゴールしようと思った。最初は無謀かと思ったが、アランがいいメンバーとともに逃げ切り、優勝したと聞いて、とても嬉しかった。キャリア最後のレースで勝てることはそう簡単ではない。アシスト人生を送って来た彼のキャリアにおいて、本当に素晴らしいと感じた。チームは4人での出走だったが、最後のレースで勝って、シーズンを終えられるということはとてもうれしい。来年以降も今回のことを思い出して、頑張っていきたい。

NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニの4選手と福島晋一監督(左)

BMX世界選手権フリースタイルパークで大池水杜10位…中村輪夢は転倒

中国の成都で11月7日から開催されているUCI世界選手権アーバンサイクリングは、11月11日にBMXフリースタイルパークで男女の決勝が行われ、女子エリートに出場した大池水杜(岡山JFBF)が62.40ポイントで10位に入った。大池は朝の試走で転倒し、足首を痛めての出走。1本目はラン序盤の大技バックフリップで転倒し37.00ポイント。2本目はバックフリップを成功させ、最後のテイルウイップで転倒してしまい62.40ポイントとなり、この得点が最終結果となった。

UCI世界選手権BMXフリースタイル・パークの大池水杜 ©2018 JCF

BMXフリースタイルパークの世界選手権は2回目の開催で、大池は2017年も出場してメダルまであと一歩の4位に入った。前日に行われた予選を自身初の1位で通過。準決勝は2本目での転倒が響き、点数を落とすものの8位で決勝に進出していた。

男子の中村輪夢(ウィングアーク1st)は予選を前年の最終順位を上回る6位で通過するものの、準決勝での転倒が響き17位。決勝進出はならなかった。

UCI世界選手権BMXフリースタイル・パークの中村輪夢 ©2018 JCF

BMXフリースタイルパーク 女子エリート決勝結果
1位 BENEGAS Perris(米国)93.00
2位 MARINO Angie(米国)87.80
3位 ROBERTS Hannah(米国)86.30
10位 大池水杜(岡山JFBF)62.40

大池水杜のコメント
優勝を狙って調整中の技を初めて大会で挑戦していくなかで、朝の試走で転倒して足を痛めてしまった。決勝でも2本とも転倒してしまった。課題も見える大会であったし、この経験を次につなげていきたい。

出口智嗣監督のコメント
大池がいま持っているすべての技を出し切らないとメダルには届かないと思っていた。彼女自身、調整中の技にも挑戦するという気持ちで決勝に臨んだ。その結果転倒したが次への課題も見つかり、来年や東京オリンピックに向けていく姿勢も確認できた収穫のある大会だった。
全体を通しては、ジャッジの傾向が今後の課題になってくると感じた大会だった。これまでは技の難易度を重視していたが、全体の流れや高さ、スピード感を重視したものになっている傾向だった。こちらもそれらを考えながら作戦を組み立てて臨んでいきたい。

中村輪夢のコメント
準決勝1本目は、パフォーマンスを上げてだいぶうまく走れていたが、ラスト1秒で転倒してしまって悔しい。転倒がなければ決勝に進出できていたと思う。ただ2本目で自分の思いどおりの走りができた。もっと練習して体力をつけて、次につなげたいと思う。

山本雅道さんが教えるメリダ・サイクリング・アカデミー第1回は11月18日開催

ミヤタサイクルが日本国内での独占販売権を有するMERIDA(メリダ)の試乗・展示施設『MERIDA X BASE(メリダ・エックス・ベース)』(静岡県伊豆の国市)で『MERIDA CYCLING ACADEMY(メリダ・サイクリング・アカデミー)』を開設し、地域へのスポーツ自転車文化の浸透と発展を促進するプログラムを定期的に開催することになった。

山本雅道氏が指導するロードバイク基礎講座が開催予定

第1回MERIDA CYCLING CYCLE ACADEMYは11月18日(日)。シエルヴォ奈良ミヤタ・メリダレーシングチーム監督兼選手の山本雅道氏が指導するロードバイク基礎講座を開催予定。乗車前の車体チェックから、車体のコントロール練習、集団走行時のルール確認、仕上げのファンライドなどロードバイクでのツーリングを安全に楽しむためのスキルを学ぶプログラム。ロード初心者から、ソロツーリングには慣れているがこれからイベントやファンライドに参加したい人まで幅広く参加できる。

第1回MERIDA CYCLING CYCLE ACADEMYロードバイク基礎
11月18日(日) 13:30~16:30
受講料:各5000円(バイクレンタル込みの場合は、8000円)
定員 10名(最少催行人員 5名)
対象年齢 中学生以上
※未成年者の受講に際して保護者の同意/同行を。未成年者とは15歳以上の高校生から20歳未満。中学生以下の方は必ず保護者の同伴が必要。
講座の詳細・申し込みは、MERIDA X BASE公式サイト

ロード初心者からイベントやファンライドに参加したい人まで教えてくれる

【講師:山本雅道氏】
イタリアやフランスでプロライダーとして活動。1999年、2000年の全日本選手権U-23を連覇。2001年からシマノレーシング(スキル・シマノ)に所属。同年のツアー・オブ・ジャパン大阪ステージで日本人最高位の4位となる。 現在は、国内のJBCFロードレースシリーズを中心に戦う『シエルヴォ奈良ミヤタ・メリダレーシングチーム』の監督兼選手を務める。

【MERIDA X BASEとは】
9月1日(土)に伊豆の国市にオープンした『MERIDA X BASE(メリダ・エックス・ベース)』は、その卓越した技術力と商品力を持つMERIDAの「楽しさ」を「最高」の環境で「体験」するという意味で、「XCITING(EXCITING)」「XCELLENT(EXCELENT)」「XPERIENCE(EXPERIENCE)」の3つのXを掲げる、国内外では他に類を見ない規模のスポーツバイクの試乗・展示施設。スポーツバイク市場を盛り上げ、伊豆半島全体をサイクリングで活性化することを目指す。
所在地:静岡県伊豆の国市田京195-2 伊豆ビレッジ内
TEL 0558-77-2727