照明を落としたスタジオで、ヘッドホンから流れる音楽とインストラクターの声に合わせてペダルを漕ぐ。単調で飽きてしまう室内マシンとは違って、自分の世界に没入しながらも、他の参加者との一体感も味わえる。米国生まれの新感覚インドアサイクリングを日本でいち早く取り入れたトキノサイクリングに潜入。自転車専門誌などでモデルを務めるインストラクターの1人、石垣美帆さんにその魅力を聞いた。
米国生まれの新感覚インドアサイクリング
たいていのジムにある固定式バイクは平均12分でこぎ続けることに飽きてしまうという。だったら効率的なフィットネスに精通したインストラクターを指揮者として、ノリのいい音楽を聞きながらみんなでペダルを回そう。
1990年代に米国西海岸で考案されたインドアサイクリングをベースに、暗闇とヘッドホンを使うことで独特の世界観に仕立て上げたのが時野谷光弘さんだ。有酸素運動に特化して脂肪燃焼をターゲットにする。
ヘッドホンで流れる音楽は1分間に128拍で、これはレッスン中のペダル回転数と同じ。45分間のレッスンで消費されるエネルギーは750キロカロリー。ツラさよりも楽しさが上回るのが特徴だ。
1日のレッスン数は約10本。週に52本開催される。レベルは5段階に分けられているが、ペダル回転を制御すれば多少の体力差はカバーできる。インストラクターは34人が登録し、それぞれが持ち味を生かした特徴的なレッスンを行っている。参加者はレベルとともに、自分とマッチするインストラクターを選べる。
モデルの石垣美帆もレッスンインストラクター
人気インストラクターの石垣さんは、自転車歴8年。記者も自転車専門誌の撮影やイベントでよく知るモデルだ。1日210kmの長距離をこなしてしまう実力者で、健康美あふれるボディと笑顔が特徴的。
「ここは私が大好きな場所です。スタイルキープしたい女性、コロナ禍でリフレッシュしたい人などが参加してくれます。自分に自信をつけるために始めたという人が3カ月で健康を手に入れるほど効果があります。お客さん同士もチームライドという感覚で、みんな明るくなっていきます」
自転車イベントで時野谷さんから誘われたのがきっかけで、2年前からインストラクターを始めた。30分間の中級スクールを担当し、ヘッドホンを介して参加者に呼吸法を意識させながらペダリングの強弱などを誘導する。
参加者が得る情報は音楽とかけ声だけなので、目を閉じていてもいい。石垣さんがイマジネーションした景色や周囲の雰囲気、勾配の厳しさがマイクで語りかけられる。参加者はそんな景観を頭の中でイメージしながらペダルを漕ぐことに没頭していく。スタジオが一体となった運動が終わったあとは、涙が出るほど感動すると石垣さん。
現在もモデルが本業である石垣さんには、「どうしたら脚が太くならないで自転車やれますか?」という質問も。重いギヤを使わず、回転数を上げて呼吸を意識した有酸素運動が決め手となると伝える。
「アウトドアを走った経験がない人も、次は実際に外で走ってみたいと本格ライドに挑戦する人もいます。ここで知り合った人と埼玉の飯能周辺の山々や伊豆大島などを一緒にサイクリングしたりもしています。フィットネスって鍛えるだけじゃなくて、心がハッピーになれる。身も心もリフレッシュできます。元気のいい人がもっと元気になれる場所です」
トキノサイクリング
インドアサイクリングのスタジオと自転車ショップが1つになった会員制フィットネスジム。室内トレーニング以外にも、ホノルルの長距離サイクリングや国内でサイクルトレインを使ったツアーなどを定期的に実施。
住所=東京都杉並区上荻1-24-10
●トキノサイクリングのホームページ
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