【Column】フランスには外国人が免税で新車を購入できるシステムがある

フランスの自動車メーカー、プジョー、ルノー、シトロエンにはそれぞれ短期滞在の外国人が免税で新車を購入でき、帰国時に買い取ってくれるシステムがある。これが実に便利で快適で安価。好きな車種を選べる。しかしながら思わぬ落とし穴がある。

ツール・ド・フランスをルノーで追いかける。写真はピレネー山中のアンドラ公国

ツール・ド・フランス取材時にボクがいつも利用しているのが、プジョーなら「オープンヨーロッパ」、ルノーなら「ユーロドライブ」と呼ばれるシステム。サイクルスポーツ編集部時代の1994年から利用しているので、もう20年以上にもなる。

17日以上の外国人旅行者や6カ月以内の駐在員にうってつけで、免税で新車を購入し、帰国時に売却する。インターネットで申し込むことができ、利用者は購入金額と売却金額の差額をクレジットカードで支払えばいい。ツール・ド・フランス取材とその前後で26日間乗り回して、たとえばルノー・メガンヌで14万円くらいだ。

赤いナンバープレートには外国人が免税で乗っているという意味がある

レンタカーの場合、保険や税金などで見かけの見積額より高くなるケースがある。それに対してこのシステムは、税金は当然免除。保険は追加料金なしでフルカバーされる。そしてなんといっても自分名義の新車が乗り回せることが魅力。

納車や返却をシャルルドゴール空港にすれば、到着して電話すれば迎えに来てくれるので、重い荷物を引きずって移動することは帰国時までない。かなり激しくぶつけても返却時にとがめられることはないのだが、毎年無傷で返却するのがボクのモットーだ。交通事故を起こしたらもうツール・ド・フランス取材はやめようという覚悟で安全運転しているのが、無事故無違反の秘けつだと思う。

2013年の100回大会のときはコルシカ島で3日間レンタカーを借り、ニースに入ってからマイカーをピックアップした

欧州では日本のような「新しいモノ主義」がないので、ちょっと乗り回したくらいの中古車を購入する人たちが多い。だから自動車メーカーも、外国人に安く買わせて中古車として下取りをして売るという商売が成り立っている。

万一故障した場合はフランスのどんな町にもあるメーカーのディーラーに持ち込めば無償修理してくれる。24時間態勢で緊急アシスタンスサービスもある。ところが唯一注意しなければならないこと。レンタカーと違って故障しても別のクルマに交換してくれない。自分名義のクルマなので修理が終わるまで待たなくちゃいけないことだ。

無料でレンタカーを出してくれるので駐在員などは問題ないだろうね。でもツール・ド・フランスは1日200kmを移動するイベントなのである。

隣国ドイツにも陸送してもらった

2000年の取材途中にボクの新車が乗り始めて6日目にオイル漏れを起こした。最寄りの修理工場で点検した結果、「エンジンに亀裂が入っているので修理に4日かかる」とのこと。仕方ないので4日間は与えられたレンタカーを乗り回し、約束の日にボクだけ800kmを引き返すことになったとき、「ツール・ド・フランスから脱落する」というさみしさがこみ上げた。しかも工場に行ったら「あと1日待ってくれ」と。

2018年はどのクルマにしようかなと楽しみではあるが、壊れないヤツにしてください。

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© 仲沢隆

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5000kmを無事に走り終えてパリの常宿の前、いつもの定位置に駐車するとホッとする

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