インドネシアのジャカルタとその周辺で開催されているアジア競技大会は5日目となる8月22日、自転車女子ロードレースが行われ、与那嶺恵理(ウィルグ・ハイ5)が銅メダルを獲得。唐見実世子(弱虫ペダルサイクリング)は20位。優勝は韓国の羅亜凜で、2位に1分20秒差をつけた独走勝利。与那嶺は3選手による2位争いで2番目にゴールした。
女子ロードはスバンの街をスタートして、アップダウンを含む折り返しのあるコースを90kmほど走ってから15kmの登りでフィニッシュとなる104.4kmで争われた。日本チームは与那嶺をエースとして、最後の登り口までは集団で進めたいという戦略。各国の参加選手は最大2名のため逃げを許してしまうと追走できるチームが限られるため有力国の逃げには少人数でも注意をしなければならなかった。
スタートと同時に地元インドネシアの選手がアタックして5kmほどで50秒ほどのタイム差をつける。その後タイム差が1分、2分と広がっていく。集団は有力国から選手を出していいペースで進むが、タイム差は広がっていき3分差となる。唐見が中心となり集団のペースを作りインドネシアの選手とのタイム差が広がり過ぎないように注意する。
最初の40kmが追い風でUターンしてからは向かい風になるため、後半にゆっくりタイム差を詰めて勝負どころの登りまでに1分差以内に詰め寄れば問題のない状況ではあったが、60km地点から先頭の選手が大失速して2分以上の差がわずか10kmでなくなり集団は一つになる。そこから韓国や中国を中心にアタック合戦となり、唐見だけではなく与那嶺もこれらに対応して集団は一つで登り口に入る。登りに入ると与那嶺と韓国の羅がペースを上げて最初の1kmほどで先頭集団は一気に7名に絞られる。
この中にはスプリントに強い選手が複数名入っているため与那嶺と羅がペースアップでふるいにかけるが、登りには緩くなる区間や下り区間もあるため集団はそこからは大きく崩れない。その中で羅が抜け出し、与那嶺が追走グループを引っ張る。この動きで優勝候補の1人ベトナムのNGUYEN Thi Thatが遅れて、追走は与那嶺を含む3名のグループとなる。与那嶺はスプリント力のある中国のPU Yixian、香港のYANG Qianyuを引き連れて羅を追うが追いきれない。そのまま羅が独走で優勝し、与那嶺はスプリント力のある2人を相手に冷静に立ち回り、PUにゴール前で抜かれたものの3位を確保し銅メダルを獲得した。
与那嶺恵理のコメント
唐見さんがやってほしいこと、やらないといけないことをわかってくれていたので、スムーズにレースを進めることができた。最後の登りでは、表彰台は3人なので、ついてくる選手が2人になるまで引き続けようと考えていた。一人多く4選手の集団となってしまったが、韓国が協調してくれたことはよかった。しかし残り5kmで韓国で逃げられてしまった。その時点で表彰台ねらいに頭を切り替え、最後のスプリントでは中国にまくられることはわかっていたので、貪欲に先駆けして表彰台をねらった。
金メダルをねらいにきたが、なにもなく帰るよりも銅メダルを持って帰ることができてよかった。明後日に個人タイムトライアルもあるので、また頑張りたい。明日、試走をして最後の機材選択をしたい。
唐見実世子のコメント
スタートアタックした選手は簡単に捕まるだろうと思っていたが、どんどん差が開いてしまったことが予想外だった。中盤を過ぎても追いつかないので、脚を使って追い始めたら意外にも早く捕まってしまったのがチームとして失敗だった。最後の山の麓で捕まえられるのが理想の展開だった。
逃げが吸収されて集団が一つになってからは、与那嶺さんに脚を使わせたくなかったので、集団の後方で脚をためていた香港や中国がカウンターアタックできないくらいのペースで登り口までずっと引いて、あとは与那嶺さんに勝負を託した。
23日は男子ロードレースが行われ、別府史之(トレック・セガフレード)と中根英登(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ)が出場する。
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