外国人観光客1億人を目指すフランスがスポーツイベントで日本とタッグ

フランス観光開発機構のクリスチャン・マンテイ(Christian MANTEI)総裁が、日本国観光庁と日本政府観光局との観光協力に関する覚書署名式に出席するために来日。9月19日に行われたその調印式に先立って、マンテイ総裁は親交の深いアラン・デュカスが東京にオープンさせたこだわりのチョコレートファクトリー、ル・ショコラ・アラン・デュカス東京工房に現れ、チョコレート製造の様子がガラス越しに見えるティーサロンで取材に応じた。

クリスチャン・マンテイ総裁(左)とアラン・デュカス氏

日本は毎年のように訪問しているというマンテイ総裁。このティーサロンを会場に選んだ理由を「私はチョコレート好きで毎日食べているから」と切り出した上で、「多大なる情熱をもって才能を発揮し続けるデュカス氏のチョコレート工房は、フランスの話をするのにうってつけの場所だから」と続けた。

コルシカ島出身。キャリア初期より複数の観光関連の企業を立ち上げ、ワインツーリズム高等評議会事務局長を兼務。レジヨンドヌール・オフィシエ勲章を受勲している。世界ナンバーワンの観光大国フランスをけん引する要職にあって、スポーツが観光産業にもたらす重要性を力説する。

「フランスと日本はこれから数年にわたって大きなスポーツイベントが交互に開催される。これまで以上に日仏が親密になるきっかけとなる」

2018年夏にはフランスで女子サッカーU20ワールドカップが開催され、日本が優勝しているが、2019年には女子フル代表のワールドカップが同じフランスで行われる。そして2019年には日本でラグビーのワールドカップが開催される。フランスは優勝候補の筆頭だ。
「決勝ではぜひ日本とフランスの対戦が見てみたいです」

フランス観光開発機構(Atout France)のクリスチャン・マンテイ総裁

「フランス政府は観光促進のためにインフラ投資を常に心がけている。観光的産業にかける金額は毎年140億ユーロ(約2兆円)、大きなスポーツイベントがある年はこれに追加して25億円ユーロを投資している。スポーツイベント・イコール・メディアなんです。スポーツイベントを行うことによって世界じゅうにその内容が報じられる。そして世界中からスポーツ観戦に来る人たちはこの国の素晴らしさを目撃する。フランス各地のライフスタイルに興味を持ってくれる人も多いと思う」

2020年の東京五輪の次はパリ。観光大国フランスはそれを契機に1億人の外国人観光客誘致を目指している。五輪開催までにホテル、博物館、スポーツ施設など既存建造物への再投資や準備が進む。

1018年は観光客9000万人を達成したが、問題点も山積し、それをクリアしていくのも課題だという。
「例えば特定観光地への一極集中という問題。これはフランスに限らず世界中で問題化していること。1億人を達成したとしてももっとクオリティの高い旅行が求められる時代になるかもしれません」

(左から)田端浩・日本国観光庁長官、清野智・日本政府観光局理事長、クリスチャン・マンテイ フランス観光開発機構総裁

日本とフランスがさらに観光分野でタッグ
日仏交流160周年を契機とし、日本国観光庁(JTA)、日本政府観光局(JNTO)及びフランス観光開発機構(Atout France)は、日仏両国において観光分野が両国国民の相互理解および友好を促進するために重要であるとの共通認識を踏まえ、当事者間の協力を強化することを確認し、覚書に署名した。

三者はすでに2013年6月7日、日仏間観光協力に関する共同声明に署名していて、今回の覚書は協力のさらなる強化を確認するもの。覚書は3年間継続し、2018年から2020年までに三者が観光交流の促進のために実施する予定の代表的な事業を共有した。

2019年にラグビーワールドカップ、2020年にオリンピック・パラリンピック競技大会が日本で開催されることに続き、2023年にラグビーワールドカップ、2024年にオリンピック・パラリンピック競技大会がフランスで開催されることを踏まえ、三者は両国間の観光客往来の増加に寄与すべく、各スポーツイベントを活用したプロモーション事業を互いに実施し、その経験を共有することを確認した。

クリスチャン・マンテイ(Christian MANTEI)
アトゥー・フランス(Atout France)/フランス観光開発機構総裁
ワインツーリズム高等評議会事務局長
レジヨンドヌール・オフィシエ勲章受勲

1991年フランス観光開発機構の前身である「経済利益団体(GIE)メゾン・ド・ラ・フランス(Maison de la France)」のマーケティング・インフォメーション部長に就任。5 年後、副総裁に任命される。
1997年「パリ市観光・会議局」局長に就任。
2002年「Parishotel.com」のアソシエイト・ディレクターおよび「CMCコンサルティング・観光エンジニアリング事務所」代表に就任。
2004年「国際博覧会Expo 2004」の副運営委員長に就任。同年、観光素材提供を目的に設立された 「フランス観光エンジニアリング局 (Agence française de l’ingénierie touristique , AFIT)」の局長となる。
2005年「フランス観光エンジニアリング局」、「全国観光観測所(Observatoire National du Tourisme,ONT)」ならびに「山岳観光調査整備機関(service d’Etudes et d’Amenagement Touristique de la Montagne, SEATM)」の合併で創設された「オディット・フランス(観光に関する開発・ エンジニアリング観測所 ODIT France)」の総裁に就任。
2008年12月29日 「経済利益団体(GIE)メゾン・ド・ラ・フランス(Maison de la France)」を「アトゥー・フランス/フランス観光開発機構」へ刷新するための立役者となる。
2009年6月17日「メゾン・ド・ラ・フランス」と「オディット・フランス」の合併で創設された「アトゥー・フランス/フランス観光開発機構」の総裁に就任する。

日本の中学生・高校生が本場ベルギーでサイクリングアカデミー

7月15日から8月26日までU17およびジュニアカテゴリーの中学生・高校生を対象にしたサイクリングアカデミーがベルギー西フランドル地方を拠点に開催された。2018年で4回目となる。(ユーラシアIRCタイヤ監督・橋川健)

2017年に続き2018年もUCIレース「OMLOOP DER VLAAMSE GEWESTEN」に参戦

毎年国内の全国レベルで活躍している選手のみならず、名前の知られていない選手がベルギーのレースでサプライズな走りや成績を残し、後に日本代表メンバーとして認知され、活躍しているジュニア選手たちが多数いる。サイクリングアカデミーでは「人材の発掘」、「選手の強化」、「安全対策」を課題として取り組んでいる。

レース参戦
合計の参加者11名がそれぞれ2〜3週間滞在し、合計23レースに参戦した。

香山飛龍(2017年に引き続き2回目の参加。ジュニア強化指定選手)が13位に入賞(冒頭写真右端)。鳥倉必勝(2017年に引き続き2回目の参加。ジュニア強化指定選手 写真左から2人目)は同レースにおいて勝ち逃げに反応したものの、ちゅうちょしてしまい入賞を逃した。結果は残念だが、このような小さな積み重ねが将来大きな成果となる。

主なレース結果
ジュニア
7月24日 Izegem
9位 高木英行(PRT KOSEKI)

8月19日 OMLOOP DER VLAAMSE GEWESTEN (UCI MJ1)
13位 香山飛龍(横浜高)

21日 Langemark
3位 鳥倉必勝(SBC VERTEX RACING TEAM)
5位 香山飛流(横浜高)
9位 福田圭晃(横浜高)

23日 Kortemark
6位 鳥倉必勝(SBC VERTEX RACING TEAM)
10位 古林一夢(南大隅高)

8月25日 Bury
3位 香山飛龍(横浜高)
5位 福田圭晃(横浜高)


U17
8月25日 Bury
優勝 津田悠義(EQADS)

8月22日 Ruiselede
優勝 津田悠義(EQADS)

8月18日 Kortemark
3位 津田悠義(EQADS)

8月12日 Neder-Zwalm
5位 津田悠義(EQADS)

8月11日 Heestert
10位 津田悠義(EQADS)

「落車のリスクを下げる」思考と「レースで勝負に挑む」思考はまったく別のものだが、両立できることをワークショップ形式で意見を出し合い、「多くの落車は防げる」と学ぶ

安全対策
サイクリングアカデミーでは毎年、落車事故防止に力を入れている。2018年はトレーニング、レースを通し落車したのは3名で、合計4回の落車があった。そのうちレース中の落車1回では大きな事故となってしまった。レース中の落車は仕方がない・・・のではなく、その多くは防ぐことのできる落車。落車の原因を深く追求し、認識することで若い選手たちが「落車しない」ことを学び、実戦で成果を上げている。

人材の発掘
サイクリングアカデミーでは若い選手のタレント発掘の場としても機能している。毎年サイクリングアカデミーを通し覚醒した選手たちが大きく成長し、日本の代表選手として活躍している選手が多数いる。2018年も全国的には知られていないジュニアの選手が「サプライズな走り」を披露してくれた。今後の活躍も見守っていきたい。

スプリント参加の山本元喜が13位…ツール・ド・シアク第2ステージ

インドネシアで開催中のツール・ド・シアク(Tour de Siak、UCIアジアツアー2.2)は9月19日、距離115.45kmの第2ステージが行われ、前日に続き逃げ切りが決まった。参戦しているキナンサイクリングはメイン集団でのフィニッシュに切り替え、山本元喜がスプリントにトライしてチーム最上位の13位でステージを終えた。

ツール・ド・シアク第2ステージ ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

18日の第1ステージではライバルチームの上位独占を許したキナンだが、残る3ステージで総合成績の挽回とステージ優勝を目指して走っていくこととなる。初日をメイン集団で終えた新城雄大、サルバドール・グアルディオラ、山本元喜は、今後の走り次第で個人総合で上位進出をねらえるポジションに位置する。

この日の第2ステージは、大会の拠点都市であるシアクを出発し北上。セイ・アピトを折り返して再びシアクへと戻ってくる115.45km。全4ステージ中、唯一のワンウェイルートに設定されている。平坦基調のコースは、逃げねらいのアタック合戦が予想されるほか、集団が1つであれば激しいスプリントフィニッシュとなる可能性が高い。キナン勢もアグレッシブな姿勢が求められる。

レースはアクチュアルスタート直後からアタックと吸収とを繰り返す。出入りが激しい状況が続くが、決定的なアタックは生まれない。リーダーチームのセントジョージコンチネンタルがプロトン(メイン集団)をコントロールしながら、前半戦を進行。キナン勢は効率的な動きに努めながら、重要局面に備えて集団内に待機した。

均衡が破られたのは、レース中盤。中間地点を過ぎてすぐに訪れた、この日唯一の中間スプリントポイントをきっかけに2選手が集団から抜け出す。この中にリーダーチームのセントジョージコンチネンタル勢が含まれ、やがてその差は2分近いものに。その後先頭は単独逃げへと変わったが、強い雨も影響してか集団とのタイム差は大きく変動することなく、そのまま逃げ切りが決まった。

独走を許したメイン集団は、2位争いのスプリントへ。キナン勢は山本がポジションを確保し上位進出にトライ。13位でフィニッシュし、チーム最上位となった。

キナンはこのステージを終えた時点で、山本が個人総合25位。グアルディオラが35位、新城が37位、トマ・ルバが55位、マルコス・ガルシアが58位としている。

20日の第3ステージは、シアクを発着とする約80kmのコースをおおよそ2周回する161.48kmで、今大会の最長ステージ。開幕から2日間逃げ切りが決まっているが、キナン勢も逃げや好タイミングからのアタックでレースを動かしていきたいところ。ライバルチームからの厳しいマークが続く状況だが、よい流れをつかむべく、残り2ステージへと照準を定める。

ツール・ド・シアク第2ステージ(115.45km)結果
1 ベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) 2時間30分7秒
2 モハドハリフ・サレー(マレーシア、トレンガヌサイクリングチーム) +47秒
3 モハマド・アブドゥルハリル(マレーシア、チームサプラサイクリング)
4 ディラン・ペイジ(スイス、チームサプラサイクリング)
5 プロジョ・ワセソ(インドネシア、ジャワ・パルティザンプロサイクリング)
6 プユス・ヨユン(カンボジア、ネックスCCNサイクリングチーム) +48秒
13 山本元喜(KINAN Cycling Team)
38 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +50秒
47 新城雄大(KINAN Cycling Team) +51秒
51 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +52秒
55 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +1分55秒

個人総合時間賞
1 マシュー・ゼノヴィッチ(ニュージーランド、セントジョージコンチネンタル) 5時間49分7秒
2 マーカス・クレイ(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +8秒
3 ベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +3分49秒
4 ライアン・カヴァナフ(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +4分44秒
5 ディラン・ペイジ(スイス、チームサプラサイクリング) +4分49秒
6 モハドハリフ・サレー(マレーシア、トレンガヌサイクリングチーム) +5分1秒
25 山本元喜(KINAN Cycling Team) +5分7秒
35 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team)
37 新城雄大(KINAN Cycling Team)
55 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +9分33秒
57 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +10分41秒

ポイント賞
1 ベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) 26pts
20 山本元喜(KINAN Cycling Team) 1pts

チーム総合
1 セントジョージコンチネンタル 17時間31分56秒
10 KINAN Cycling Team +10分46秒

山本元喜のコメント
中盤まではアタックが続き、雨も強くて視界が悪いなかでのレースが続いた。チームとしては効率的に動くことを心がけていたが、逃げが長い時間決まらなかったこともあり、状況に合わせながら各選手が前をねらうような感じになっていった。キナンから誰かが動くとセントジョージコンチネンタルの選手がついてくるような形で、かなりマークされていることを実感している。
残るステージは、ステージ優勝に照準を定めながら、レース展開次第ではスプリントにも挑戦していく必要があると思っている。スプリントでねらう経験はあまり多くはないが、できる限りのことをしながら、今後のレースにもつなげていけるようなものにしていきたい。

サルバドール・グアルディオラのコメント
多くの選手がアタックしては吸収されることが続くレースだった。個人的には久々のレースだが、1ステージごとに調子が上がってきている。チームとしても不可能なことはないと思うので、残るステージもベストを尽くしたい。

宇都宮ブリッツェンがジャパンカップで特別ジャージを着用

サイクルスポーツマネージメントが運営する地域密着型プロ自転車ロードレースチーム「宇都宮ブリッツェン」は、10月20日(土)~21日(日)に栃木県宇都宮市で開催される2018ジャパンカップサイクルロードレースで、同大会限定の特別ジャージを着用して出場する。

岡篤志

チームカラーであるレッドを全面に押し出すことで、2018年10月に創立10周年を迎えるチームの原点を印象づけ、両ソデ、両脇には2018年レギュラージャージに採用された稲妻モチーフのジオメトリー柄を施し、これまでの10年とこれからの未来に向けたチームのヘリテージを感じさせるデザインに仕上げた

2017年はチーム所属の雨澤毅明が3位表彰台という活躍を見せ、勝利まであと一歩のところまで詰め寄った宇都宮ブリッツェン。2018年はこの特別ジャージを身にまとい、ホームタウン宇都宮の街を赤く染めて勝利に向かってレースに挑む。

この特別ジャージは、選手着用モデルと同品質のオーセンティックジャージとして期間限定受注生産で一般発売する。


■2018JC限定 オーセンティックジャージ
・完全受注限定生産(注文専用サイトより申し込み ※サイズ交換・返品不可)
・受注期間:10月1日(月)~11月5日(月)まで (納品:2019年2月下旬~3月上旬予定)
・選手着用モデルと同等品(素材:ポリエステル80%、ポリウレタン20%)
・サイズ展開:SSS、SS、S、M、L、O、XO
・価格:2万7000円(税込み)

阿部嵩之

ツール・ド・シアク開幕…キナンは逃げ切りを許し残り3区間で挽回をねらう

インドネシア・スマトラ島中央部を舞台に行われる4日間のステージレース、ツール・ド・シアク(Tour de Siak、UCIアジアツアー2.2)が9月18日に開幕。総距離523.17kmの戦いがスタートした。第1ステージは154.18kmで争われ、ライバルチームの選手による逃げ切りに。レース中盤にかけてメイン集団のコントロールに加わったキナンサイクリングだったが、第2ステージ以降はタイム差を挽回し総合成績で上位浮上をねらうとともに、ステージ優勝も意識して戦っていくことになる。

ツール・ド・シアク第1ステージ ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

キナンにとって、実質2018年シーズン第2ピリオドの始まりを告げる今大会。8カ国から13チームが集まったレースに、キナン勢は山本元喜、マルコス・ガルシア、サルバドール・グアルディオラ、トマ・ルバ、新城雄大を招集。ライバルチームの多くがスプリンターを擁するなど、ハイスピードバトルが予想されるなか、キナン勢はあらゆるレース展開に対応できるようバランス重視の布陣を敷いて臨む。

4ステージはいずれも、スマトラ島中央部のシアク市を拠点とし、スタート・フィニッシュを同市街地に設けられた。18日に実施された開幕ステージは、シアクを出発し、ダユンで折り返す52.52kmのコースをおおよそ3周回する154.18km。南北を行き来するルートがセットされた。

現地時間午後1時36分(日本時間午後3時36分)にスタートが切られたレースは、序盤にオーストラリアのセントジョージコンチネンタルチーム勢が、立て続けにアタックを成功させ、そのまま2選手の逃げが決まる。キナン勢は山本や新城らが集団前方に位置し、効果的な動きをねらったが、メイン集団全体にペースの上下が繰り返されたこともあり、先行する2人とのタイム差が広がっていく。

しばらくは1分台で推移した逃げとメイン集団とのタイム差だったが、2周回目に入って2分を超える差となったことから、ルバやガルシアが集団コントロールに参加。他のスプリンターチームとともに前を行く2人との差を縮めていく。

一時は約2分差としたメイン集団だったが、3周回目に入っても先頭2人の勢いは衰えず、やがてその差は開く一方に。結局、序盤からの逃げが決まり、最後は後続に4分以上の差をつけてフィニッシュに到達した。

逃げ切りを許したメイン集団だったが、フィニッシュを目前に動きが発生。大型橋の上りを利用して、3選手がアタック。キナン勢もチェックに動くも、合流ならず。集団の追い上げをかわした3人のうち、先着した2選手がセントジョージコンチネンタルチーム勢。結果的に1位から3位までを同チームが独占した。

キナン勢のこのステージは、新城の30位が最上位。グアルディオラが36位、山本が42位でメイン集団でのフィニッシュとなっている。

19日に行われる第2ステージは、シアクをスタートし、セイ・アピトで折り返し。シアクへと戻ってフィニッシュを迎える115.45km。追い上げる立場となったキナンは、高低の変化が少ない平坦ステージで逃げやスプリントなど、さまざまな動きに対応しながらレースを進めていくことになる。

ツール・ド・シアク第1ステージ(154.18km)結果
1 マシュー・ゼノヴィッチ(ニュージーランド、セントジョージコンチネンタル) 3時間18分29秒
2 マーカス・クレイ(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +2秒
3 ライアン・カヴァナフ(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +4分32秒
4 ディラン・ペイジ(スイス、チームサプラサイクリング) +4分33秒
5 ベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル)
6 プロジョ・ワセソ(インドネシア、ジャワ・パルティザンプロサイクリング) +4分51秒
30 新城雄大(KINAN Cycling Team)
36 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team)
42 山本元喜(KINAN Cycling Team)
58 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +9分17秒
59 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team)

個人総合時間賞
1 マシュー・ゼノヴィッチ(ニュージーランド、セントジョージコンチネンタル) 3時間18分13秒
2 マーカス・クレイ(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +8秒
3 ライアン・カヴァナフ(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +4分44秒
4 ディラン・ペイジ(スイス、チームサプラサイクリング) +4分49秒
5 ベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル)
6 ディマス・セプトロ(インドネシア、BSPシアク) +5分6秒
29 新城雄大(KINAN Cycling Team) +5分7秒
35 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team)
41 山本元喜(KINAN Cycling Team)
58 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +9分33秒
59 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team)

ポイント賞
1 マシュー・ゼノヴィッチ(ニュージーランド、セントジョージコンチネンタル) 25pts

チーム総合
1 セントジョージコンチネンタル 10時間1秒
10 KINAN Cycling Team +9分59秒

新城雄大

新城雄大のコメント
「序盤からのアタック合戦は想定通りで、メンバー全員が逃げにトライできる位置をキープして走っていた。ところが、セントジョージコンチネンタルの1人が先行したところで自分が追ったものの、さらにもう1人を行かせてしまうような格好になってしまった。それからは集団に待機して、スプリントに備える形をとった。終盤の3選手のアタックにも反応しきれず、その後のスプリントもポジションを下げてしまい、思うような結果には至らなかった。
久々のレースでイメージしていたような走りができず、悔しい形になってしまった。残り3ステージあるので、しっかり切り替えて、表彰台をねらって走っていきたい。

中根英登が世界選手権ロードに…男子エリートは日本勢唯一の出場

オーストリアで開催される2018ロード世界選手権インスブルック・チロル大会は、最終日となる9月30日に男子エリートが開催され、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニの中根英登が日本代表として出場する。

NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニの中根英登

9月30日(日)に開催される男子エリートの日本代表に中根が選出された。世界選手権は年に一度開催される世界チャンピオンを決めるワンデーレース。勝者には5色のストライプ(虹色)が施されたアルカンシエルが贈られ、1年間着用する。世界チャンピオンのステータスは非常に高いもので、現在はスロバキアのペテル・サガンが3連覇中。

各国に世界選手権の出場枠を割り振る8月12日時点のUCIワールドランキングで、日本は国別ランキング33位だった。31位以下50位までの出場枠は1枠(21位から30位は4枠)となっていて、非常に少ない出場枠だが、コースプロフィールに適した脚質であることや8月下旬のアジア競技大会での活躍が評価され、中根が日本代表として選出された。中根の世界選手権出場は全カテゴリーを通じて初めてとなる。

男子エリートはクーフシュタイン(KUFSTEIN)からスタートし、インスブルックにゴールする258.5km。スタート後、84.7km走行して23.9kmの周回コースに入り、そこを6周回したあと男子エリートのみが使用する1周31kmのコースを通ってフィニッシュを迎える。どちらの周回コースにも厳しい登坂区間が設定されていて、フィニッシュ前は平坦だが、近年の世界選手権のコースのなかでも特に登坂力が問われるコース設定となっている。

NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニからは、中根が唯一国の代表として世界選手権に出場。またチームメカニックの西勉も引き続き日本ナショナルチームのスタッフとして参加、選手たちが最大限の力を発揮できるよう水面下から支える。

世界選手権ロードの周回コース高低表。エリート男子はショートラップを6周し、最後にロングラップを1周する

中根英登のコメント
世界選手権には初めて出場するが、世界トップクラスの選手たちが集う欧州のレースは昨年から所属チームで出場させてもらっているので、とてつもなくキツく厳しいレベルというのは百も承知。世界選手権はまた雰囲気が違うかもしれないが、このチームでの経験があってトップのレベルを知っているからこそ、気負いやレースに対する不安恐れなどは特にない。ただ全力を尽くすのみ。自分の力をしっかり出し切り世界トップクラスの先頭集団にどこまで食らいついていけるかがむしろ楽しみです。頑張ります!

大門宏監督のコメント
昨年、コースが正式に発表されたときから山岳が得意な中根に向いているコースだとは感じていたが、今年のツアー・オブ・アルプスのステージで同じコースを通った時もそれとなく意識はしていたと思う。日本自転車競技連盟も3名以上の出場枠獲得を目標としていることを国内のロード選手(チーム)に促し目指していたが、我々の度量も及ばず1枠となり、世界選手権では実績も豊富な新城幸也選手に託されるのが当然の流れだと思っていた。結果的に中根選手が選ばれた背景には、8月のオランダでのクラッシュによる大怪我の影響が新城選手にあったのだと思い残念だったが、アジア大会での登坂区間での実績も評価されたのだと思う。
これからは世界選手権の前哨戦としていいタイミングで実施されるイタリアで連戦にエントリーさせながら本番で1番ベストなコンディションでスタートラインに立たせるためにイタリア人スタッフとも連携を取りながら準備していきたい。
世界選手権本番のレースのミッションに関して自分の立場からなにあにも言うことはない。まずはナショナルチームを率いる浅田顕監督の采配によく耳を傾けることが大切。ナショナルチームから期待されていることは、勝負が動く後半(特に最後の1時間)の走りと結果だと思うので、ワンポイントでもナショナルチームの観点で評価に値する走り、結果に結びつくことを願っている。

世界選手権ロードの周回コース部分。ジュニア男子はショートラップ2周、U23は4周、女子は3周、エリート男子はショートラップを6周し、最後にロングラップを1周する
世界選手権エリート男子ロードの周回コース部分

2018ロード世界選手権大会インスブルック・チロル大会
開催期間/2018年9月23日(日)〜30日(日)
開催国/オーストリア

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世界選手権ロードのハッシュタグ  #InnsbruckTirol2018

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