キナンサイクリングの選手・スタッフが講師を務める自転車安全教室が和歌山県新宮市で始まった。11月15日に同市の小学校2校を訪問し、地域の交通事情や環境に合わせた安全な自転車の乗り方や楽しみをレクチャーした。例年5月下旬から6月上旬にかけて開催される国際自転車ロードレース「ツール・ド・熊野」の関連事業。
エコで健康的な乗り物である自転車に親しむことと、新宮市を含む熊野地域が舞台となるツール・ド・熊野の普及、そして和歌山県唯一のプロスポーツチームであるキナンへの応援のきっかけづくりを目的として行う地域貢献活動。これまでも同市周辺での自転車安全教室を実施してきたが、新たに「ツール・ド・熊野自転車安全教室」と銘打ち、所属選手・スタッフが同市内の小学校を巡回し指導することになった。
15日は加藤康則ゼネラルマネージャー(GM)、石田哲也監督、椿大志、中西健児、山本大喜、雨乞竜己、中島康晴、新城雄大の6選手が市立熊野川小学校と同三輪崎小学校を訪問。加藤GMが進行役を務め、座学と実技によって講義が構成された。
全校児童が参加した座学では、プロチームとしての活動やツール・ド・熊野の意義についてふれたのち、実際に起きた小学生による事故例を挙げて、安全意識を高く持つ必要性を説明。交差点の写真を例にとりながら、加藤GMが自転車走行時の注意点を児童に問うと、両校ともに多くの児童が手を挙げ、おのおのが思う注意すべきポイントを発表。日頃からの心がけとともに、自転車の走行スキルを高める必要性を説いていった。
その後に行った実技は、全校児童43人の熊野川小学校は2年生以上、同じく389人の三輪崎小学校は4年生から6年生が臨んだ。長さ10mのレール上を走る「一本橋」では、前方を見ながらはみ出さずに走り、しっかりとブレーキをして止まることを重視。数メートルおきに置かれたコーンをジグザグにすり抜けていく「スラローム」では、左右に体重移動をして、自転車の進路をコントロールすることを目指し、急な路面の変化への対応力を身につけた。
なかには何度もトライを繰り返す児童や、友達同士でアドバイスを送り合う姿も見られ、楽しみの中にも安全に走るための認識の高まりが感じられた。
両校とも、代表児童と教員、さらにはキナン選手たちによる「おそ乗り競争」のチャンピオンを決めて締めくくり。足を地面につかずに、フィニッシュまでどれだけゆっくり走ることができるかの勝負は、競うメンバーのみならず、その様子を見守った児童たちも大盛り上がり。とびきりの笑顔とにぎわいは、プログラムのクライマックスにふさわしいものとなった。
ツール・ド・熊野自転車安全教室は16日まで実施。同日は市立神倉小学校を訪問する。
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