日本初開催となるレッドブル・クラッシュドアイスが2018年12月7、8日に神奈川県横浜市の臨港パーク内特設トラックで行われ、前日の6日に会場入りした注目選手が意気込みを語った。
男子の注目選手はXゲームズのインラインスケート・ハーフパイプで世界タイトルを持つ安床エイトと武士の「安床ブラザーズ」だ。2017-18シーズン最終戦として3月10日に開催されたエドモントン大会(カナダ)でクラッシュドアイスを初体験。このときは予選を突破したが、決勝当日がまさかの温かさで氷の一部が溶けるなどして、スタートを前に予選下位の選手がカットされた。当惑の初参戦だったが、以来この横浜大会のために磨きをかけてきた。
「実際のコースを見てワクワクしてきました。ボクたちはアイススケート歴が少ないので、平面で走るところが多くなるとアイスホッケー選手には勝てないけど、横浜のコースはジャンプセクションが多いので、チャンスがあります。インラインでこれまでやって来たことが武器になるかな」と弟の武士。
ジャンプセクションなど空中を飛ぶ動作はなんの問題もない。ただし180度ターンなど氷上スケーティングの経験が絶対的に足りなかった。それを克服するために、参戦を目指す他の日本選手とお金を出し合って深夜のアイススケートリンクを貸し切りにして練習した。
「エドモントンで感じたこと。トップ選手ほど冷静なことです。4人が一斉にスタートする競技ですが、競り合っている選手がこうコケたら、こういこうという冷静さが必ずある。横浜に来てくれる観客のみなさんには、派手なところだけでなく、そんな緻密なところを見てほしいです」
「インラインスケートのプロ選手になって海外遠征を初めて24年目。会場に来ると緊張と興奮を持ちながら落ち着いていく自分がいて、不思議な感じです」と兄のエイトは横浜大会を楽しみにしている。
「インラインスケートをしてたった何カ月で、この競技が分かったなんて言われたらボクはカチンとくる。だからボクたちもアイススケートが分かったなんて言えないけど、ようやくシューズが足の一部になってきた。自分らしい滑りをやっていけたらいい。正々堂々とつっこんでいける滑りをやりたい」
自己分析では闘争心がなくて、ヨーイドンという競争が苦手だという。同走選手に接触しようものなら「ごめんなさい」と引いてしまうタイプだという。それを克服するために、「音楽で早めの曲を聴いたりとか、早歩きで歩いてみたりとか自分の生活を変えるくらい真剣にやって来ました。クルマの運転は荒くなっちゃったかもしれませんが」
クラッシュドアイスは加速と減速の繰り返し。速く走るために減速したりして、奥が深いという。横浜に来てくれる観客にはシンプルに楽しんでほしいと願う。相撲のように転んだり手をついたほうが負け。純粋に速い人が強いというシンプルなところが日本人には受けるはずだという。
「珍しく家族が来ているので、いいとこを見せたいな」
兄弟の活動は海外なので、5歳と8歳の息子たちにゲームをするところを見てもらったことはないという。今回は見に来てくれた。
「パパ、カッコいいなというところをみせてあげたい」(エイト)。
「エドモントンから10カ月、できることはやったと自信を持って言えます。ベスト4で滑りたいと本気で思いました」(武士)。
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